チンクエ・テッレを歩く1

 7月10日(土)・11日(日)の2日間、リミニの友人たちと共に、リグーリア州にあるチンクエ・テッレ(Cinque Terre)を訪れました。海に面し、険しくそそり立った岸壁の上に小さな漁村が五つあり、急な斜面に苦労して作り上げたブドウ畑、青い海と岸壁が、それは美しい場所です。
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 上の写真は、この5小村の一つ、マナローラ(Manarola)で、左上の急斜面に、ブドウ畑が見えます。かつては、人々が厳しい生活を強いられていたこのチンクエ・テッレは、、現在では1年中多くの観光客が訪れる観光地となっています。

 狭い意味では、チンクエ・テッレは、下の地図で、赤色で囲んである五つの村です。
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WelcomeRiviera.itによる地図。レヴァントの観光案内所で入手。

 ただし、国立チンクエ・テッレ自然公園(Parco Nazionale delle Cinque Terre)は、この五村の南北に位置する海岸の町および内陸部も含むかなり広いものであり、上の地図で、緑色の斜線が引かれている部分です。

 1日目、7月10日土曜日は、夕方、レヴァント(Levanto)からボナッソラ(Bonassola)まで、海岸沿いを歩き、美しい海や岸壁の眺めを存分に楽しみました。レヴァントとボナッソラは、上の地図で青色で囲んである町です。

 こちらが出発地、レヴァント(Levanto)の海岸です。
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 チンクエ・テッレが、人気のある有名な観光地である上、この土曜日前後は、連日猛暑に襲われていたため、海水浴を楽しむ人が大勢います。

  この海岸沿いの道は、徒歩と自転車でしか通れないので、景観を楽しみながら、のんびりと歩くことができます。
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 レヴァントの砂浜はとても長くて、ここまで続いています。前方に写っているフランコと夫の間にトンネルが見えます。ボナッソラまで続く散歩道には、こうしたトンネルがいくつもあります。
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 こちらが、このトンネル(galleria)を歩いている様子です。トンネルの外は、太陽の光が焼きつけ、とても暑いのですが、トンネルの中に入ると、空気がひんやりとしていて、心地いい涼しい風が吹いています。道中時々現れるこの暗くて長いトンネルは、暑い中を苦しみながら歩くわたしたちに、一時の安らぎを与えてくれました。夫や友人たちは、大声を上げたり歌ったりして、声がトンネルの壁に響くのを楽しんでいます。

 手で壁を触れると、煤で真っ黒になることから、トンネル内をかつては汽車が走っていたことを、身をもって確かめた友人もいました。
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 トンネルを抜けると海が見え、岩浜で海水浴を楽しむ人々がいます。写真の右手には、まだレヴァントの長い砂浜が見えます。レヴァントを遠ざかるに従って、海水浴客も少なくなってきます。

 わたしたちも、泳ぐのにいい場所を見つけようと探しながら歩いているのですが、夫や友人たちに言わせると、まだ人が多すぎるということで、さらにボナッソラに向けて足を進めます。
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 海が青くて美しい上に、人の少ない場所を見つけて、夫とフランコ、マウリッツィオが、泳ぐのに適した場所かどうかを検討中です。男性陣は大いに気に入ったのですが、マヌエーラとわたしが、岸壁が急で降りるのが大変な上に、大きな岩がごろごろしていて、歩くのも泳ぐのも大変だという理由で、却下しました。正確には、マヌエーラの反対にわたしが同意したというところです。イタリア暮らしが長くなったものの、わたしはいまだに正面切って異議を唱えるのが苦手なので、一人では反対と言えなかったと思います。
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 散歩道、最後のトンネルから出ると、奥の方に小さく、ボナッソラ(Bonassola)の砂浜が見えます。散歩はもう終着点。この写真手前の岩浜が、海の色や景観が美しい上、泳ぎやすそうだということで、わたしたちが海水浴を楽しむ場所となりました。ひどく暑い中を歩いてきたので、海水の冷たさが肌に心地よく、海の青さと風景に感嘆しながら、しばらく澄んだ海の中を泳ぎ回りました。
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 こちらの写真も同じ岩浜です。散歩道をボナッソラ方面までさらに進んで、振り返って撮影したものです。岩が急で、ごつごつしているため、泳ぐ分にはいいのですが、濡れた体を乾かすために座る場所を見つけるのが大変でした。

 海水浴のあと、バールで冷たいものを飲んでくつろいでから、ボナッソラの町を散歩しました。
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 町に並ぶ家は色とりどりで、どれも柔らかい温色のパステル・カラーをしていてます。注意深く見てみると、おもしろいのが家の壁です。窓の周囲に、見せかけだけの枠や窓台を絵で描いてあるところがところどころにあります。上の写真で、奥に見える二軒の建物にも、そうした見せかけの窓枠や窓台が描かれています。

 上の写真には、キョウチクトウ(oleandro)の並木も写っていて、ピンクや赤の美しい花を咲かせています。

 ブーゲンビリア(buganvillea)の花も、町のあちこちで見かけました。
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 見事さに圧倒されたのが、こちらのブーゲンビリアです。気候が温かいのでよく育つのでしょう、大きく育ったブーゲンビリアが鮮やかな花を咲かせている庭や家が、そこかしこにありました。
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 写真の左手に教会があり、正面の建物の1階には、レストランがあります。ボナッソラの町では、散歩と共に夕食も取ることにしたため、町の散歩は、レストラン探しも兼ねていました。散歩中、最初に見つけたのがこちらのレストランだったのですが、「値段が高い」、「他を見てから決めよう」という意見があって、あちこち他のレストランも見て歩いた結果、結局は、このレストランで食べることにしました。

 パスタは今ひとつでしたが、カタクチイワシのマリネを始めとする前菜や魚料理は、とてもおいしかったです。

 帰り道は、道のりが長いため、疲れた体と足には厳しかったのですが、こだまの響くトンネルの中で、夫や友人たちに、「ほ、ほ、ほたる来い」の歌を教えたり、一緒に歌ったりもして楽しみながら、何とか最後まで歩き通すことができました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-26 14:20 | Liguria | Trackback | Comments(4)

猛暑対策と宿・レストランの選び方

猛暑対策と宿の選び方

 イタリア中部や山岳地帯にあって普段は夏でも涼しい地域では、一般の住宅や安く利用できるホテルに、エアコンがない場合がよくあります。

 2002年4月から半年わたしが語学留学していたマルケ州の小村では、親しい友人もできたので地元の方の家庭をたくさん訪れたのですが、夏がどんなに暑くても、エアコンのある家庭は一つもありませんでした。マルケ州を発ってから現在まで、8年近くも暮らしている、ここウンブリア州ペルージャでも、事情は似たようなものです。

 2005年秋に外国人大学を卒業して、同時に同学で日本語を教えると共に、夫と共に暮らし始めたのですが、それまでの3年間、わたしはペルージャで家を転々としました。ホームステイを6か月経験したあと、他の学生や社会人との共同アパート生活を、二つのアパートで、さらに、非常に小さいワンルーム住まいも経験しました。この中に、エアコンのある住居は一つもありませんでしたし、現在住んでいる二世代住宅にもエアコンはありません。

 義父母にせよ、わたしと夫にせよ、エアコンを設置・維持できるだけの経済力がないわけではないのですが、義父母に言わせると「夏は暑く、冬は寒いのが当たり前」であり、また、実際に、暑くても工夫を凝らせば、何とか快適に過ごせるのです。

 食物、旅行先、そして人生においても「自然」を大切に考える夫は、エアコンだけではなく扇風機にも目くじらを立てます。扇風機はとても安い値段で売っています。けれども、わたしにしても、仕事のため、学生の作文、授業プリントや試験問題、参考資料など、とにかく紙をたくさん机に並べ立てている場合が多いので、扇風機が回っていると、一々紙が飛ばないように注意しなければいけないのが厄介でもあり、結局、今のところは、扇風機も購入していません。

 それでは、どう工夫すれば、エアコンや扇風機がなくても、うまく猛暑を乗り切れるかをご説明しますが、これはイタリアで暮らし始めたばかりの方、あるいは暑い時期にエアコンのないホテルに滞在することになった方へのアドバイスです。すでに何年も暮らしている方にとっては、当たり前のことも多いかと思いますので。


1.早朝と夜寝る前の涼しい時間帯に窓をすべて長時間開け放して、涼しい空気を屋内に
 取り込むこと、

2.暑くなり始める午前10時頃には、屋内の窓およびよろい戸やブラインドをすべて閉め
 て、暑い空気や屋内を一気に暑くしてしまう日光が入らないようにすること、

に気をつけてください。

 1については、たとえばペルージャでは最高気温と最低気温にかなり差があるので、効果があるのですが、わたしたちが2週間前に旅行で訪れたリグーリア州では、この差がわずか3度くらいしかなく、こういう場合には、あまり効果が期待できません。

 旅行先の町ごとの最高気温や最低気温の天気予報については、メルマガ第8号の記事(リンクはこちら)を参考にしてください。

 2については、住んでいるのが広いアパートである場合も、一人部屋である場合にも、部屋の向きによって、事情が変わってきます。北向きの部屋は夏は1日中涼しく、日光が差し込むことがないので、朝・晩に涼気を取り込み、外気の方が暑くなってきたら窓を閉めることは必要ですが、よろい戸やブラインドを閉める必要はありません。

 というわけで、夏に短期の留学をして共同アパートで暮らすなら、涼しく過ごせる北向きの部屋がおすすめです。ただし、冬は日光が差し込まず、イタリアの家屋は得てして暖房効率が悪いため、寒さに苦しむことになります。

 わたしと夫が住んでいる家には、東・南・西に面した窓があります。それで寝ている途中、6時前後に目が覚めると、泥棒侵入の恐れのない場所については、窓およびよろい戸をすべて開け放してしまいます。これで、窓を開けた午前6時ごろには29度であった室温が、午前8時ごろには26度前後とかなり涼しく、過ごしやすくなっています。ただ、東向きの窓には、9時頃から日が強く差し込み、東側は暑くなるので、窓もよろい戸も閉めてしまいます。南向きの部屋は午後10時頃から外気の方が暑くなり、日光が差し込むために、窓とよろい戸を共に閉めてしまいます。一方、西向きの窓については、午前11時あるいはそのあとで、外気の方が暖かくなってきたなと感じる頃に、窓もよろい戸も閉めてしまいます。こうして日によって違いますが、夕方8時頃になって、外気の方が室温よりも低く、涼しくなった頃に、再び窓とよろい戸をすべて開け放して、空気を入れ替えるわけです。

 というわけで、夏語学学校に短期留学される方には、北向きだけではなく、東向きの部屋も過ごしやすいかと思います。というのは、日が部屋に差し込むのは、まだ涼しい、あるいは学校の授業がある午前中である上、窓とよろい戸を閉めておけば、それほど部屋が暑くなることがないからです。と言っても、ここまで申し上げたことは、周囲に他の高い住宅がない場合であって、たとえば、たとえ南向きの部屋であっても、30センチ離れたところに、他の高い住宅やビルが建っている場合には、日中に暑くなる程度がかなり軽減されます。

 そして、夏も冬も避けたいのが、アパートの最上階です。1階や中間階だと、地面や他の階に挟まれているため、寒さも暑さも軽減されるのですが、最上階は、夏は太陽がすぐ上の屋根に照りつけるので、非常に暑くなる上に、冬は、暖房効率が非常に悪く、暖房をつけてもなかなか温まりません。

 以上の部屋の向きについては、旅行中に、飛び込みで宿を探す場合にも、まずは部屋を見せてもらって、部屋の設備や窓の景色と共に、夏にはどの方角を向いているかを確認してください。エアコンのない西向きの部屋は、午後いっぱい強い日差しが当たりますので、外出時には、窓もよろい戸も閉めておくのが無難です。たとえ部屋にエアコンがあっても、南向きの部屋では、夕食後から部屋で過ごしてエアコンをかけ始めても、なかなか涼しくなりません。

 そして、旅行の際には、最も暑い時間帯は美術館などの屋内で過ごす、食べ過ぎに注意し、水を多くのみ、できるだけ野菜・果物を食べるなど、体調管理に気をつけてください。猛暑対策についての詳しい情報は、メルマガの第9号(リンクはこちら)を参考にしてください。

 特に7月、8月に旅行される方には、そして、そうでない方にも、イタリア旅行では、できるだけあらかじめ宿泊先を決めておかれることをおすすめします。

 インターネットであらかじめ調べれば簡単に分かるホテルの設備・サービスや料金の比較が、現地に行って、その場で飛び込みでとなると、難しくなります。近所にホテルだけが立ち並んでいるわけでもなく、重い荷物を抱えて、いくつも宿を訪ね、部屋を見せてもらって値段を聞いてから選ぶとなると、無駄に体力も使いますし、他にいい宿が安くあるのに、ひどい宿に高い料金を払って泊まることにもなりかねません。

 7、8月にはイタリアでは国内、外国からの観光客が多いため、手頃な値段で快適なホテルから満室になってしまいます。今月10日ほど夫と旅行をした際には、旅先で宿を決めたことが多かったために、そうと知らずにB&Bで狭いシングル・ルームに二人で押し込まれて、しっかりダブル・ルーム用の料金を取られたり、夕方なかなか空室のあるホテルが見つからずに、日暮れ前にようやく見つかったホテルの空室は、当日の朝かび取り作業が終わったばかりで、匂いもひどいし、掃除もできていなかった、などということもありました。

 そして、イタリア旅行のホテル選びに、とても便利なのが次のサイトです。

 Hotel Comparior(リンクはこちら

 何が便利かというと、宿泊したい場所・時期・人数などを入力すると、空室のある宿の一覧が分かる上に、Booking.com、venere.com、Expediaなど比較的安い宿も含む多くの宿泊先情報を有する複数のサイトで、同じ宿泊先の料金がそれぞれいくらになるかが、一目で分かるようになっているからです。これは、それぞれのホテル検索サイトで、一々同じ情報を打ち込むのに比べて、はるかに楽です。

 イタリア語だけではなく、英語やドイツ語、フランス語などにも対応しています。サイトの右上にある国旗のアイコンをクリックすれば、希望する言語で、ページを読むことができます。

レストランの選び方 ~ ぼったくり対策

 レストランについては、ウンブリア州では、値段も書かれたメニュー一覧を店頭に掲げている上に、席に着くと、給仕がすぐにメニューを持ってきてくれる場合がほとんどです。
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 たとえば、上のレストラン、Risotrante L'Osoは、トラジメーノ湖に浮かぶマッジョーレ島(詳しくはこちら)にあって、美しい眺めを楽しみながら、湖で獲れる魚の料理を中心としたおいしいものが、たくさん食べられるのですが、メニューと値段の一覧が、店頭に掲げてある上に、客が席につくと、給仕がすぐにメニューを運んでくれます。
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 おいしい魚料理を扱う店にしては、値段も手軽で、おすすめです。ただし、この値段表は昨年、2009年6月に撮影しましたので、現在は値上がりしている可能性もあります。友人たちとレストランで撮った上の写真は、やはり2009年の10月に撮影したものです。

 けれども、これまでに旅先で利用したトスカーナ州、ラッツィオ州のレストランには、客にメニューを運ばずに、給仕が口頭で、どういう料理ができるかを説明するという店もかなりありました。

 こういう場合、一品ごとの値段を聞くのも憚られるので、つい分からぬまま注文して、あとで多額の領収書を見て驚くこともあれば、単に毎日店で用意できるメニューが異なるのでメニューを置いていないだけで、おいしいわりに、料金が安かったり、良心的だったりする場合もあります。

 山中の小村のレストランでは、確かにメニューを常に多く用意し、客のあらゆる注文に応じられる新鮮な食材を確保するのも大変で、仕方のないところもあるかもしれません。

 ただし、本当は法律では、レストラン側は客に頼まれれば、メニューを提示する義務があることになっていますし、店によっては、メニューを客に出しておいて、「このうち、今日は、こちらとこちらは食べられません。」、あるいは、「こちらとこちらの品だけが準備できます。」というところもあって、その方が良心的だと思います。

 とにかく日本からイタリアに旅行される皆さんには、念のために、店頭にきちんとメニューと料金の一覧がある店を選んで入り、かつ、給仕に必ずメニューを運ぶように頼むことが、ぼったくり被害に遭わないために、大切かと思います。

 昨年ローマで起こったぼったくり事件の詳細とぼったくり対策については、メルマガ第15号「ローマのぼったくりレストラン」(リンクは こちら)と第16号「ぼったくり事件」その後 & ぼったくり対策の手引き」(リンクはこちら)で、イタリア語の記事を取り扱って、説明してあります。

 これからイタリアに、個人手配で旅行をしようという方は、ぜひお読みください。

 というわけで、エアコンの恩恵を受けるのは、試験日に大学を訪れる際やスーパーで買い物をするときくらいですから、幸い夏かぜの心配だけはまったくありません。うちの夫の働くウンブリア州庁の建物にしても、外国人大学の教室にしても、窓が非常に大きく、日ざしがたっぷり差し込むために、エアコンがかかっていても、暑さがなかなか退去しないという状況です。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-24 13:01 | Viaggi | Trackback | Comments(0)

アグリトゥリズモの夕宴

 農場を営む夫妻、エーレナとブルーノから、7月7日、夕食に招待されました。この農場・アグリトゥリズモ、プレッジョ(Preggio)は、以前にもご紹介したように(記事はこちら)、ペルージャ北方の村、プレッジョにあります。

 緑の丘に囲まれたアグリトゥリズモに到着すると、エーレナが愛犬たちと共に、わたしたちを迎えてくれました。
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 さっそく農場内をいろいろと案内してくれたのですが、見ていてとにかく微笑ましかったのは、卵からかえったばかりのヒヨコたちです。
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 小さくかわいいヒヨコたちは、母親が歩き出せば、列をなしてしずしずと後についていき、母親が立ち止まれば、一斉に止まって、辺りをキョロキョロと見回します。この「刷り込み現象」は、遠い昔に生物の授業で習いましたが、こうやって振る舞う小鳥たちを見るのがこんなに楽しいとは思いも寄りませんでした。
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 写真左手前にはローズマリーがあり、その奥にオリーブの木々が並んでいます。のんびりとくつろぐ犬たちの右手奥には、ブドウ畑が広がっています。
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  敷地内には、ミツバチの巣箱もあります。そもそもわたしの夫がエーレナと知り合ったのは、今年の春に同じ養蜂の講習会に参加したからです。
 
 今回、エーレナがわたしたちを招待してくれたのは、夫が彼女にトマトと花の苗をたくさん贈ったお礼です。

 夫がかつて会員であったCiviltà Contadina(「農民文化」と訳せるでしょうか)という協会は、イタリアに伝統的に栽培されてきた農作物を、次の世代に伝えていくことを目標の一つに掲げており、そのために、希望する会員がいれば、そうした農作物の種を無料で配布しています。この在来種のトマトを、夫が種から育てたものを、昨年の夏に食べたのですが、パスタに使うトマト・ソースにすると、ほどよい甘みとコクのある非常においしいソースができ、生で食べても、味わいが深くて、それはおいしかったのを覚えています。
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右にあるのが、この従来種のトマトです。撮影は昨年8月。今年はまだ熟していません。

 見かけが少し不恰好で、さらに最近の品種に比べて病気に弱いこともあって、最近はこの伝統的な従来のトマトが姿を消しつつあるのだと思うのですが、夫は、エーレナが有機農業を志していることを知って、昨年収獲したトマトの種から育てた苗を50本ほど贈ったのです。この日の晩、エーレナは譲り受けたトマトの苗すべてを植えつけた畑も案内してくれました。
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 いよいよ夕食です。ワインは、ウンブリア州自慢のグレケット(Grechetto)。イタリア北部出身で味にうるさいブルーノと質にこだわるエーレナが選んだだけあって、さわやかでおいしかったです。
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 前菜には、プレッジョ産のサラミソーセージ、そして、ペコリーノチーズにソラマメのクリームを添えたものをいただきました。
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 プリモは、エーレナ手作りのラザーニャ。目にも留まらぬ速さで、次々と皿に盛りつけていきます。エーレナは、今年8月に滞在を予約した日本人女性から、料理講習を頼まれていて、引き受けたのはいいけれど、英語で大丈夫だろうかと、ひどく心配しています。英語とイタリア語しか説明のないサイトを見て申し込んだくらいだから、英語でも大丈夫なはずだと、励ましました。
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 セコンドの肉料理も、付け合わせのズッキーニと玉ネギも、味がしっかり素材に染み込んでいて、おいしくいただきました。今回は友人として招かれたので、エーレナ自身が腕をふるってくれましたが、アグリトゥリズモに宿泊する場合には、料理を専門に担当する女性が、夕食を支度することになります。

 一つひとつの部屋の設備も豪勢なため、わたしたちから見ると、宿泊費が非常に高いのですが、エーレナによると、夕食に関しては、希望する宿泊客全員に提供していると、現在の料金ではむしろ赤字になってしまうので、今年いっぱい様子を見てから、来年以降どうするかを考えたいということでした。イタリア各地で、アグリトゥリズモやホテルに泊まってみると、規模の小さいところでは、夕食は週末やイベントのある日のみ、あるいは客の人数が多いときのみというところも多く、他の日には、近所のおいしいレストランを紹介してくれることも多かったのは、そういう事情があるからか、と思い至りました。
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 これはエーレナが、すべての仕事を法に則り、税金もきちんと払った上で、客においしく質の高い食材を提供し、料理人にも相応の給料を払おうとしているためでもあります。アグリトゥリズモやホテルの経営者の中には、エーレナと同じように、質のよいサービスを法に則って客に提供しようとする人も多い一方、残念ながら、ふつうの家庭料理と大差ない素朴な夕食を法外な値段で提供するアグリトゥリズモもあれば、客に領収書を渡さない、つまり、本来払うべき税金をごまかそうとするような宿の主人もいます。

 最近は、地方料理をうたう店でも、経営者や給仕がその地方出身ではなかったり、イタリア人ではなかったりということも、増えてきた気がします。ただし、今月旅行していて思ったのですが、外国から来た料理人の方が地元のコックよりも、よっぽどおいしい地元料理を作る場合もあるので、皆さんも、イタリアを旅行する際には、料理人や給仕の国籍や出身地に目くじらを立てないようにしてくださいね。
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 最後のデザートは、わたしの夫手製の、パイナップルとココナツのティラミスです。マスカルポーネの代わりに、クリームに生クリームを少々加えてあり、ビスケットにはパイナップルの果汁がたっぷり染み込んでいます。さわやかな夏の味がおいしく、エーレナとブルーノも喜んで食べていました。

 こうして、おいしいものを味わいながら、皆でおしゃべりを楽しむうちに、夜が更けていきました。

 上の写真にはブルーノ、エーレナとわたしだけで、撮影した夫が写っていないこともあり、ティラミス作成中の夫の真剣な姿をご披露して、締めくくりとします。
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-23 23:27 | Umbria | Trackback | Comments(0)

リラの花咲く家

 わたしの夫は、幼い頃から自然に囲まれた小さな家に住むことが夢だったそうで、本人に言わせると、それは母がよく歌っていた次の歌の影響だということです。

「カナダに小さな家を持っていたんです。
 水槽と小さい魚たち、たくさんのリラの花に囲まれた家を。
 そばを通りかかった娘たちは、口々に、
 カナダの小さな家、なんてすてきなんでしょう、と言ったものです。」 
                           (「  」内は石井訳。以下も同様。)

 この歌、『La casetta in Canada』(訳すと、「カナダの小さな家」)は、YouTubeの映像(リンクはこちら)で、視聴できます。
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 イタリアの我が家の庭には、このリラ(ライラック)の木がいくつかあります。日本に住んでいた頃は、ライラックと言うと、芳香剤くらいしか連想できなかったのですが、春にリラが美しい花をいっぱいに咲かせるのを見てから、リラはわたしの好きな花の一つになりました。
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 Wikipediaや日本語のサイトを見ると、紫色や白のリラの写真が多いのですが、我が家のリラは、ご覧のように、つぼみの時には、深い桃色で、花が開くと、花弁は淡い桜色となります。
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 4月の初めから終わりにかけて、仕事から帰るたびに、リラの花のつぼみが、少しずつ開いていく様子を眺めるのが、わたしの楽しみでした。

 ブログを書き始めてから、大学の授業があって、中心街に出かけるたびに、カメラも持参していたため、リラが開花していく様子を、少しずつ写真に収めていったのですが、ご紹介するのがすっかり遅くなってしまいました。
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 優しい桜色の花が目を楽しませてくれると共に、甘いほのかな香りもとても心地いいので、リラの花に近寄っては、家に入らずに、長い間眺めたり、写真を撮ったりしていたので、室内からその様子を見ていた義父母が、あきれることもたまにありました。
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 実は、春に撮影したものの、まだ記事にしていない写真や話題がたくさんあるのです。盛夏の折、季節はずれにはなりますが、時々はそういう写真を題材に、記事を書いてみたいと思っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-22 16:50 | Fiori Piante Animali | Trackback | Comments(0)

バーチとアンゴラの意外な関係

 ペルジーナ(Perugina)の工場で生産されるバーチのチョコレートは、日本でもご存じの方が多いのではないかと思います。商品名のバーチ(baci)は、「キス・口づけ」を意味するbacioの複数形です。
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 銀色の包み紙を開けると、ブラックチョコレートとヘーゼルナッツでできたチョコレートと共に、小さな紙片が入っていて、この紙片には、愛や恋に関するしゃれた文句が、5か国語で書かれています。

 たとえば今手元にある紙片を見ると、こうあります。

Il rumore di un bacio non è forte come quello di un cannone, ma il suo eco dura molto più lungo. (O.W.Holmes)

 「口づけの音は大砲の音ほど激しくとどろきわたることはないが、その反響は、はるかに長く続くものだ。(O・W・ホームズ)」 (「  」内は石井訳。以下も同様。)

Amare è scegliere, baciare è la sigilla della scelta. (Anonimo)

「愛することは選ぶことであり、口づけはその選択の封印である。(作者不明)」

(石井注:実は紙にはsiglaとあるのですが、英語版にsealとあるため、sigillaの間違いだと思います。)

 商品名にちなんで、特に「口づけ」(bacio, baci)という言葉が含まれたものを選んでご紹介しましたが、他にも、こんな言葉があります。

Il cuore è una ricchezza che non si vende, non si compra, ma si regala. (Proverbio)

「心は、売ることも買うこともできず、贈ることだけができる富である。(ことわざ)」

 L’amore non fa ruotare il mondo, ma rende la rotazione piacevole. (F.P. Jones)

「愛が世界を動かすわけではないが、愛のおかげで世の営みは心地よいものとなる。(F・P・ジョーンズ)」

 というわけで、バーチのチョコレートを食べるときには、この中に入っている言葉を読むのも、楽しみの一つです。今回は、わたしの集めたバーチの紙片の中から、特に気に入っている言葉のいくつかをご紹介しました。

 ブラックチョコレートとヘーゼルナッツを使って、バーチを作ろうと思いついたのは、ペルージャの女性企業家、故ルイーザ・スパニョーリLuisa Spagnoli、1877‐1935)です。もともと、他の菓子を生産する過程で余ってしまうヘーゼルナッツを有効利用しようという発想から生まれた商品であること、そして、最初は形が不規則で、商品名がcazzotti「げんこつ」であったことは、すでにメルマガ第14号(記事はこちら)でも詳しくご紹介しました。

 ペルジーナは、かつてペルージャの駅周辺にあった工場が郊外に移転され、もう何年もの間スイスの多国籍企業、ネスレの傘下に入っています。

 けれども、その創立者の一人であるルイーザ・スパニョーリの名前は、今でも、女性服飾業界、ファッションの世界で周知のブランド名として、通用しています。ルイーザ・スパニョーリの最新のコレクションに興味のある方は、こちらの同社のウェブページで、その数々をご覧になることができます。

 ただ、今回ルイーザ・スパニョーリを取り上げたのは、彼女の発明家精神について、お話ししたかったからです。余ったヘーゼルナッツの利用からバーチを考案したというのも、もちろんその一つ。ただし、このことは、日本でもご存じの方がいらっしゃるかもしれません。

 一方、意外に知られていないのが、アンゴラウサギの毛を、ニット製品に使うことを初めて考えたのも、このルイーザ・スパニョーリだということです。さらに、彼女は、毛を刈り込むのではなく、櫛で梳かして採るという方法を思いつきました。

 ルイーザ・スパニョーリ社の本部や工場は、長い間、ペルージャ郊外のサンタ・ルチーアという地域にありました。実は、この地域は、我が家とミニメトロ終着駅であるピアン・ディ・マッシアーノ駅(記事はこちら)のすぐ近くにあります。
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ミニメトロ終着駅の駐車場から、サンタ・ルチーア地域を撮影。写真中央の、大きくSPAGNOLIの文字が掲げてある辺りに、ルイーザ・スパニョーリ社本部があります。

 義父母によると、数十年前には、サンタ・ルチーア地域に住む農民は、ルイーザ・スパニョーリに提供するために、皆アンゴラウサギを飼っていたということです。

 現在では、機械化および工場の海外移転が進み、サンタ・ルチーアには、ルイーザ・スパニョーリ社の本部と企画・研究開発部だけが残っています。

 昨年、通訳の仕事で、日本企業の社長さんのスパニョーリ社訪問に同行した際に、社の歴史博物館を訪れ、そこで、こうした話を伺ったのですが、この博物館内には、初期のバーチ製造工場の写真や、何列にも並ぶ椅子に座った女性たちが、一斉にアンゴラウサギの毛を梳いている写真など、興味深い写真が、たくさん展示されていました。

 「アンゴラウサギの毛の利用は、ルイーザ・スパニョーリが考案したもので、さらに特許も取ったために、Angoraを商標として使えるのは、我が社だけなんですよ。」と、同社代表の方が、誇らしげに説明されていたのを思い出します。

 ルイーザ・スパニョーリ社および同社に歴史的に関連のあるペルジーナは、現在もペルージャの主要な企業であり、どちらも機械化などによって、かなりの人員削減が進んだものの、今でも多くの人が働いています。

 わたしたちの周囲にいる人だけみても、たとえば、夫の弟がペルジーナに勤めていたり、友人のルーカのお母さんがかつてルイーザ・スパニョーリ社で製品の品質管理を担当していたりします。実は、通訳でスパニョーリ社を訪れたあとで、夫の従姉から「この間、うちの工場に来てたでしょう。上司と一緒だったから、声がかけられなかっんだけど。」と言われて初めて、彼女も同社で働いていることを知りました。

 ルイーザ・スパニョーリ、そして彼女の関わった企業が、長年にわたって、地域産業の発展に貢献してきたために、ペルージャの多くの人々が、その歴史に関わっているわけです。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-21 16:50 | Notizie & Curiosita | Trackback | Comments(2)


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