花とツグミおどし

 毎日太陽の照りつける暑い日が続いています。ベランダの鉢に植えたバーベナ(verbana)がすくすく育ち、鮮やかに赤い美しい花を咲かせています。
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 イタリアは日ざしがことに強い上に、この西向きのベランダは午後は日暮れまでずっと日光が降り注ぎます。最近は、夏時間に入ったためもあって、日が長くなり、午後9時にもまだ空が明るく見えます。ちなみに、今日のペルージャでの日没は、午後8時52分とのことです。
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 角度を変えて撮影してみました。花の育ちぶりと我が家が緑に囲まれていることがお分かりかと思います。

 車でペルージャの中心街や駅まで15分という便利な位置にあります。ただ、住宅地としては、市のバス網から少し置き去りにされていて、仕事で中心街に行くときは、バスを乗り継いで、40分から1時間ほどかかってしまいます。実は、以前には中心街まで乗り換えずに行ける直通のバスが我が家の近くを走っていたのに、新しい交通手段であるミニメトロ(記事はこちら)ができて以来、ミニメトロの利用率向上を図るために、路線が変わり、わたしたちにとっては、交通がかえって不便になってしまいました。
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 こちらは夫が種から育てた花です。最初は1輪の茎に小さなごく数輪の花が咲いていたのに、どんどん茎が枝分かれして、花やつぼみがあっという間に増えていきました。

 わたしと夫の住む家は、二世代住宅の中にあります。急な斜面に建っているために、家の西側と東側では階が違い、西側は建物の2階であるのに、東側は1階で、地面と同じ高さにあり、ベランダがそのまま庭に続いています。
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 これが家の東側のベランダと庭です。後方にある石垣の上が道路になっているので、道を行く人から庭やベランダ、家の中がよく見えてしまいます。家を少しでも、自分たちの居心地のいい、他人の目がいたずらにのぞきこまない場所にしようと、夫が、ベランダを覆う屋根の柱に細竹を組み合わせ、大きい鉢植えのジャスミンを竹の網にからませて、アーチを作りました。撮影時の日の光が強かったため、写真では見にくいのですが、和洋の味を両方取り入れ、緑に囲まれたすてきな空間になっています。数週間前までは、ジャスミンの白や黄色、ピンクの小さい花が美しく咲いていました。
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 ところが、この1か月ほどの間に、ジャスミンの鉢の土が掘り返されて、ベランダにまき散らかされるという珍事がたびたび発生しました。ジャスミンの鉢自体は、もう何年も庭やベランダに置いてあったのですが、こんなことはこれまで一度もありませんでした。

 我が家の周囲でよく見かける猫とツグミに容疑がかかっていたのが、先日から夫が何度か、土を掘り返している最中のツグミを目撃し、どうやら犯人はツグミらしいということが分かりました。
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猫とジャスミンの黄色い花(昨年5月末に撮影。猫が無実か共犯かはまだ捜査中です)

 イタリアの家庭では、食事の際に使うテーブルクロスの上のパンくずを、庭の上に払い落として、野生の鳥たちのエサにします。我が家でもやはりそうやってパンくずをやる上に、庭や野菜畑にある木々に実る果物を目当てに、ツグミを始めとする鳥たちが我が家にはよく訪れます。

 朝から晩まで朗らかな鳴き声を楽しませてくれる半面、ナシやサクランボ、リンゴなどの果物を、まだ実が熟さないうちからつつき始めて、そのため実が熟していないのに地面に落ちてしまうという問題もあります。

 それはさておき、この鉢へのいたずらの頻度や掘り返す土の量がだんだん増えてきたために、わたしと夫で、ツグミを鉢から遠ざけるための対策を練りました。
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 こちらが、わたしの作品です。カカシと違って、顔だけを紙に描いて、ツグミがねらっている植木鉢の地面の近くに結わえつけました。表が赤、裏面が銀色に光る紙を細く切り取って、髪の毛のように取りつけ、「赤毛のあんちゃん」が完成しました。
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 一方、夫は「あまり怖そうじゃない」と言って、音でツグミを脅かそうと考え、何年も前にインドネシアのバリ島で購入したという上の部屋飾り(?)を、ジャスミンの鉢の間に竹で作ったアーチの下に吊り下げました。風が吹くと、貝殻の中に通してある小さい釘が貝殻にあたって、涼しい音色を立てるのです。

 実は夫には前科(?)があって、かつて、わたしが日本からの土産として贈った風鈴を、イノシシ対策として、当時二人で住んでいた田舎の一軒家の家から離れた畑の真ん中に立つ木に取りつけたことがあります。音色が好きだというから贈ったのに、野獣対策に使われ、風鈴が風雨にさらされて、悲しかったのを覚えています。

 結果はというと、最初の1週間ほどは、わたしのお面のある鉢以外の鉢がねらわれるようになりました。
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 そこで昨日、7月4日日曜日に義父母宅での恒例の日曜の昼食会に来た姪っ子たちに、昼食後、ツグミを怖がらせるお面作りをしよう、と呼びかけました。上の写真は、小学1年生を終えたばかりの妹娘、マッダレーナの作品です。

 我が家の庭でも時々猫がツグミを襲って食べることがあり、猫はツグミの天敵です。マッダレーナはさらに、口から火を吐かせ、足を3本つけて、恐ろしい雰囲気を出すのに、成功しました。
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 一方、こちらは姉、アレッシアの作品です。目や耳の描き方や色使いが独創的です。

 毎週日曜日の昼食会の後は、義弟夫婦が散歩をしている間に、わたしと夫、あるいは義父母が姪たちの遊び相手を引き受けることが多く、このお面作りは、あきやすい姪っ子たちにも楽しめるし、わたしたちもジャスミンの根を守ることができて、一石二鳥だと考えたのです。

 ところが、昼食の席でこの話を姪たちに持ちかけてすぐに、彼女たちの母から、「鉢の土の中に、いくつか串をさしこめば、鳥が来なくなる」という名案を聞き、夫はこの案に賛成。ただ、一度お面作りと聞いて大喜びした姪っ子たちは、お面を作りたがったので、わたしたちも手伝いながら作ったのが、このお面です。

結果
 日曜日までは、わたしのお面のある鉢を避けて、土を掘り返していたのが、この日の夕方見てみると、わたしのお面のある鉢だけ、かなりの量の土がまき散らかされていました。姪たちの作ったお面の方が、やはり迫力があるからでしょうか。わたしたちが猫を疑っているのは、小鳥が虫を探して掘り返すにしては、土の量が多すぎるような気がするからです。

 現在は、夫が枯れ木の枝を串代わりに土に差し込んで、被害を防ごうと計画しているところです。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-05 15:56 | Fiori Piante Animali | Trackback | Comments(5)

ピザと教会と音楽と

 イタリアでは年間を通じて、食や音楽・芸術などに関する催しが各地で行われますが、特に夏になると、村祭り(sagra)やコンサートなどの開催が目白押しになります。

 ペルージャやその近辺でも、夏は有料・無料のコンサートが多く、昨日7月3日土曜日は、教会にオーケストラを聴きに出かけました。

 コンサート会場は、サン・ドメーニコ教会。「パノラマ鳥瞰」の記事(リンクはこちら)でもご紹介したように、この写真の左手にある鐘楼を修復中の教会です。ちなみに、写真中央よりやや右、奥の方に小さく細長い鐘楼が見えるのは、サン・ピエートロ教会で、サン・ドメーニコ教会同様に、歴史の古い美しい教会です。

 一方、こちらは、昨夜のコンサートの前に、サン・ドメーニコ教会(Basilica di San Domenico)を、正面から撮影したものです。
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 午後9時15分から、オランダのオーケストラ、VU-Orkestの無料コンサートがあり、バーンスタインやガーシュインなどの音楽を披露してくれました。
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 メロディーの美しい曲や陽気な曲もあり、久しぶりにオーケストラの演奏を生で楽しむことができました。こうしたコンサートの情報は、観光案内所にチラシが置いてある上に、開催地近辺の掲示板にも貼り出してあります。

 催し物の情報は、インターネット上にもあります。たとえば今回のコンサートは「若手合唱団・オーケストラ国際フェスティバル2010、Musica dal mondo」の一環として行われたのですが、8月末まで続くこの音楽祭や7月9日から始まるウンブリア・ジャズのプログラムは、現在、ペルージャ市のウェブページ(リンクはこちら)からダウンロードすることができます。このウェブページには、他にも講演や各地の村祭り、美術展の案内もあります。

 コンサートの前に、会場に近いピザ屋で、夕食にピザを食べました。
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 ナポリ風の生地の厚いピザがおいしい、このピザ屋、ポンペイ(Pizzeria Pompei)は、上の写真の左側、日よけ・雨よけのためのオレンジ色のオーニングがある店です。ペルージャ中心街のはずれにあり、ちょうど最初の写真でご紹介した二つの教会、サン・ドメーニコとサン・ピエートロを結ぶ道路沿い、しかもそのほぼ中間地点にあります。写真の奥には、サン・ピエートロ教会の鐘楼が見えています。
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 夫の好きなピザ屋の一つで、わたしが昨日頼んだゴルゴンゾーラ・チーズとクルミのピザ(上の写真)もおいしかったです。一風変わった映画を上映することの多いCinema Zenithに近いので、この映画館で映画を見る前、あるいはその後に、ここでピザを食べることが、たまにあります。
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 わたしが座った席の横にはポンペイの遺跡の壁画らしき絵がありました。店内は、ナポリやその周辺に関連する絵や写真で、飾られています。テーブルの上には、ナポリ名物のデザート、ババ(babà)があります。ラム酒に浸されたこのデザート、夫も大好きなのですが、昨日注文したのはルーカでした。

 さて、中心街のはずれとは言え、上のピザ屋の写真を見れば、道路の両脇に隙間なく路上駐車されているのがお分かりかと思います。そのため、Zenithで映画を見るときやポンペイでピザを食べるときは、サン・ピエートロ教会の近くの路上、または教会の駐車場まで行って、そこに駐車することになります。
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 昨夜も、ピザを食べる前に、車をサン・ピエートロ教会(Chiesa di San Pietro)に駐車しました。有名な芸術作品の多い教会を訪れようと、境内に入ったのですが、残念ながら、教会は閉まっていました。
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 それでも教会の扉の横にある古い壁画は見ることができました。というわけで、この日の晩は、おいしいものを味わっただけでなく、美術・音楽の作品も楽しめて、とても充実したときを過ごすことができました。

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# by milletti_naoko | 2010-07-04 21:50 | Umbria | Trackback | Comments(2)

サンティアーゴ巡礼、2600kmを歩く旅

 と言っても、この長距離の巡礼を計画しているのは、わたしではなく、フランコです。フランコは夫の幼なじみで、わたしのブログやメルマガに、すでに何度も登場しています。

 上の写真で、左から二人目がフランコです。一番左は、船長のスピーディ。(写真の船旅については、こちら

 フランコは、スペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラへの巡礼を、すでに2度経験しています。ポルトガルから出発したり、フランスのスペインとの国境付近から旅立ったりと、出発地点や経路を変えて、スピーディたちと共に、毎日30kmほどの道のりを歩く巡礼を達成しました。
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サンティアーゴ・デ・コンポステーラの写真を含むポスター。下記の信者会本部で撮影。

 スペインの北西にあるこの町は、9世紀にキリストの十二使徒である聖ヤコブの墓が発見されて以来、イェルサレム、ローマと共に、キリスト教の三大聖地の一つとして、数多くの巡礼者が目指したところです。1985年には、巡礼路が世界遺産にも指定されています。Santiagoはスペイン語で、聖ヤコブのことです。

 ただ、フランコやスピーディがこの巡礼を繰り返し行っているのは、宗教心というよりも、自然や風景、歩くことに加えて、世界各国から来る巡礼者との交流を楽しむためのようです。

 今回フランコは、イタリアの自宅からサンティアーゴまで、約2600kmの道のりを、8月から11月までの3か月間にわたって、歩き通そうと計画しています。本人の話を聞いていると、歩くことを楽しもうという気持ちと共に、自分自身の限界に挑戦するというという意識が強いようにうかがえます。とにかく歩くのが速くて、体力もあり、アッペンニーニ山脈を歩いていても、目安が6時間のトレッキング・コースを、3時間半弱で歩いて、疲れを知らない健脚の持ち主です。
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 昨年、ラヴェルナまで巡礼をした際に(上の写真。詳しくはこちら)、オランダからヴァチカンまで2500kmを徒歩で旅するオランダ人、グスターヴォに出会って、啓発されたからかもしれません。

 実は、ペルージャには、サンティアーゴ・デ・コンポステーラ信者会があり、サンティアーゴを含むさまざまな聖地への巡礼を志す人々に、巡礼者証を発行しています。

 7月2日金曜日は、フランコに頼まれて、ペルージャにあるこの信者会に、巡礼者証を受け取りに行きました。信者会を設立したのは、サンティアーゴ巡礼の研究家であるカトゥッチ教授です。
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 信者会に着いたとき、ちょうど担当者が不在だったため、しばらく前の廊下で待つことになりました。本部近くの廊下には、巡礼に関する本が何冊も並んでいます。
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 巡礼の歴史研究書、聖地巡礼のガイドブックなど、主題こそ「巡礼」で統一されているものの、本の内容は多岐にわたっています。

 巡礼といっても、サンティアーゴへの巡礼だけではなく、アルプス山脈を越えて、ローマを目指す巡礼路(Via Francigena)を歩くためのガイドブックもありました。下の写真)
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 廊下には、サンティアーゴ巡礼に関するポスターが、たくさん貼り出されています。3枚目の写真は、その一つを撮影したものです。
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 こちらは2002年5月下旬にペルージャで行われた国際会議、「サンティアーゴとイタリア」のポスターです。信者会の担当者が戻るのを待っている最中に、通りかかった他の教授に質問したところ、話がはずみ、カウッチ教授の研究活動や、ペルージャでは毎年この時期にサンティアーゴ巡礼に関する催しが行われることを教えてもらいました。

 思いがけず話がはずみ、夢中になっている間に、係の人が戻ってきました。フランコから預かっていた必要書類を提出すると、すぐに巡礼証(Credenziale del Pellegrino)を、受け取ることができました。
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 巡礼者証の表紙は、左側の部分です。古来から巡礼者のシンボルとされている貝殻(conchiglia)の絵で飾られています。数年前に、サンティアーゴ巡礼から帰ったばかりのマヌエーラが、大きな貝殻で飾られた杖を誇らしげに見せて、「この杖を使って巡礼を達成したのよ」と言っていたのを思い出します。

 巡礼者証には、ローマまでの巡礼路(Via Francigena)及びサンティアーゴまでの巡礼(Camino de Santiago、スペイン語)の道のりを記した地図も、載っています。

 フランコの3か月、2600kmという長い巡礼のうち、何日間かは、マヌエーラやスピーディも同行することになっているため、ひょっとしたら参加するかもしれないわたしと夫の分も含めて、9枚の巡礼証をもらって来ました。
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 こちらは、今年5月末からペルージャで行われた、「ローマ・サンティアーゴ間の巡礼」に関する催しのポスターです。描かれているのは、数世紀前の巡礼者たちのようです。写真展(mostra fotografica)と書かれているので、写真の展示もあってのでしょうか。6月4日にフランコたちが日本に関する映画を見るために、はるばる遠くから駆けつけてくれたとき(詳しくはこちら)に、知っていれば一緒に見ることができたのに、と残念です。

 実はこのところ太陽の照りつける暑い日が続いていたので、出かけるときは気が重かったのですが、興味深い話もいろいろ聞けて、いい経験になりました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-04 09:50 | Cammino di Santiago | Trackback | Comments(0)

パノラマ鳥瞰

 こちらは、ペルージャ中心街からのパノラマです。
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 よく晴れた日には、遠くの山の中腹にアッシジの町並みが見え、さらにはるか彼方にはシビッリーニ山を見渡すことのできるとても眺めのいい場所です。

 「鳥瞰」と言っても、ここでは、辞書どおり「空飛ぶ鳥が上から見下ろしている」という意味ではありません。塀の上をよくご覧になると、鳥が1羽いるのが見えますが、この鳥が眺めを楽しんでいる、と言いたかったのです。
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 このツグミ(merlo)、他の鳥たちが木々の間で戯れたり、歩道の上に観光客の落とすパンくずに群れたりする中で、1羽孤高に、感慨にふけりながら風景に眺め入っているように見えます。

 次の写真は、ツグミのやや左側に見えた風景です。
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 左側に見えて、鐘楼を修復中の教会は、サン・ドメーニコ教会(Chiesa di San Domenico)で、回廊(chiostro)が美しかったのを、ぼんやりと覚えています。

 写真の中央よりやや右手、奥の方に小さく見える細長い鐘楼は、サン・ピエートロ教会(Chiesa di San Pietro)です。歴史の非常に古い教会で、内部には、ペルジーノ(Perugino)、ラッファエッロ(Raffaello)、ヴァザーリ(Vasari)など、著名な芸術家の作品が多数あります。

 さて、この見晴らしの美しい場所にはどうすればたどり着けるのかというと、ペルージャの観光案内所があるマッテオッティ広場(詳しくはこちら)から、まずはイタリア広場に向かって、バッリョーニ通り(Via Baglioni)を進みます。
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 しばらく歩くと、すぐに上の写真にあるイタリア広場(Piazza Italia)が右手に見えます。お疲れの場合は、しばらくベンチに腰を下ろしてゆっくり休まれてもいいでしょう。銅像は、1861年のイタリア統一時の国王、エマヌエーレ・ヴィットーリオ2世のものです。

 まだ体力に余裕のある場合は、イタリア広場に立ち寄らず、来た道を突き当たり付近までずっと進んでください。
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 美しい眺望を遠方まで270度見晴らせるこの場所まで、たどり着けるはずです。

 では、残りの90度の眺めはどうかというと、これは次の写真に収めてあります。
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 右に見える道路の奥の方が、バッリョーニ通り。左に見える緑は、カルドゥッチ庭園(Giardini Carducci)です。
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 地元の人や観光客などが、緑の木陰を散歩したり、ベンチでおしゃべりをしたり、休んだりしています。外国人大学の語学・文化コースに通っていた頃、この庭園に来て勉強をするのが好きだという友人もいました。まもなく始まるウンブリア・ジャズでは、この庭園もコンサート会場の一つになります。

 引き続き、ペルージャのパノラマを楽しむ散歩を続けましょう。マッテオッティ広場から、バッリョーニ通りをまっすぐ進み、イタリア広場を右に通り過ぎて、突き当たったところを右に曲がって、下って行くと見えるのが、次の風景です。
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 右手に見えるのはカルドゥッチ庭園、左側には、ペルージャのこれまでとは違う方面のパノラマが見えてきます。
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 中央に見える鐘楼は、サント・スピーリト教会(Chiesa di Santo Spirito)のものです。この方面では、道のすぐ下方に赤い屋根の家々が見える上、遠くの丘や山も見晴らすことができます。

 このまま道を下って曲がり角まで行くと、別の新しい方面のペルージャのパノラマを楽しむことができます。今の季節には、空や家々の間を飛び交うアマツバメたちがたくさん見え、また、西に向かっているため、夕日がそれは美しいので、まだわたしが学生生活を送って、ペルージャの中心街に住んでいる頃には、夫とよく散歩した場所の一つです。

 今回の写真を撮影したのは、実は去る4月30日です。この日は、正午に大学の授業を終えたあと、帰宅前に、バスの待ち時間を利用して撮影をしたため、この曲がり角まで行く時間はなく、上の写真の地点まで歩いてから、引き返しました。
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 さて、冒頭のツグミですが、眺めをゆっくり楽しんでいる傍らで、わたしがいい写真を撮ろうと周囲をうろうろするのが、気になったのか、一度後ろを振り返りました。

 首をかたげた様子がなんとも愛らしく思えましたので、最後はこの写真で締めくくることにします。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-02 20:00 | Umbria | Trackback | Comments(0)

古き良き時代のコーモ ~遠来の友人からの贈り物

 6月28日月曜日の午後は、遠いコーモ市から、我が家に来客がありました。コーモは同名の湖、コーモ湖のほとり、イタリアの北端にあります。

 わたしの夫、ルイージが友人のルーカたちと、22年前の夏に、アドリア海岸の町、イジェア・マリーナの海辺(詳しくは、こちら)を訪れたときに、まだ独身であったシルヴァーナたちと出会って、一緒に休暇を過ごしたのがきっかけで、今でも家族ぐるみのつきあいがこうして続いているとのことです。
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 上の写真に写っているのが、この遠来の友人たちで、右から、シルヴァーナ、その夫のエンゾ、そして、エレオノーラとダニエーレ、二人の子供たちです。シルヴァーナとエンゾは、人手が足りず多忙な職場で、何とか金曜日・月曜日に休暇を取って、4日間のウンブリア旅行をすることに成功しました。

 客をもてなそうと、義母がテーブルに運んだのは、まずは、こちらのビスケットです。
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 トスカーナ州のビスケット、カントゥッチ(cantucci、複数形)のウンブリア版で、ウンブリア州では、これをトッツェッティ(tozzetti、複数形)と呼びます。このトッツェッティは、義母の手作りの一品です。
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 おいしいので、ぜひレシピが知りたいとシルヴァーナが言うので、義母が長年いろいろなおいしい料理のレシピを集め続けてきたノートを、テーブルまで持って来ました。

 シルヴァーナは、時々義母に質問をしながら、手帳にレシピを書き写していきます。
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 今回、シルヴァーナは、最近亡くなった父君の著作を1冊、わたしたちに、思い出にと贈ってくれました。題名は、訳すと『昔のコーモの思い出』

 彼が生きた古き良き時代、1930年代から1950年代の初めにかけてのコーモの町の様子や生活を、詳細に描いていて、現在、この本を読書中の義父母によると、「ペルージャでも、昔はこうだった。懐かしい。本当によく書かれている。」ということです。

 いずれメルマガでも一部ご紹介するつもりですが、たとえば、洗濯機(lavatrice)が家庭に普及する前には、洗濯は主婦の仕事だったけれども、シーツやテーブルクロスなど、特に洗濯の大変なものについては、洗濯女(lavandaia、コーモ方言では lavandéra)が有料で請け負い、公共の洗濯場(lavatoio)や川、湖のほとりで洗濯をしていたとあります。本の第1章は、こうした今はなき、あるいは廃れつつある昔の職業(le professioni ormai estinte)に充てられています。

 参考までに、6月にマルケを訪れたときに見かけたこの昔の洗濯場(lavandaia)の写真をいくつかご紹介します。
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 いずれも、勢いよく流れる川沿いに設けられていて、たとえば、この洗濯場は、セーフロ(Sefro)の村の中心にあります。(セーフロを訪ねたときの記事は、こちらです。)
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 こちらは、セーフロの村はずれにある洗濯場。洗い桶もあります。
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 一方、この大きな洗濯場は、セーフロの近隣にあるピオーラコ(Pioraco)村の中心にあります。今は、川の水を使って洗濯する人もいないので、川では白鳥たちがのんびりと泳いでいます。
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 今度は、お義母さんの方から、本についてシルヴァーナに質問。シルヴァーナはレシピを書き写す手をいったん止めて、質問に答えます。

 この本、『昔のコーモの思い出』で、特におもしろいのは、コーモのことわざ(proverbi comaschi)を当地の方言で記し、解説してある第3章です。

 次のコーモ方言のことわざが、どういう意味がお分かりですか。

 I du ròpp impussibil: fà stà fermi i fiöö e fà cuur i vècc.

 イタリアに住まれている方、イタリア語を学習中の方は、少し頭をひねって考えてみてください。お分かりになりましたか。

 答えは以下の通り。本には、方言で書かれたことわざの下に、著者がそのイタリア語訳と解説を付しています。

 Due cose impossibili: far rimanere fermi i bambini e far correre i vecchi.

 (絶対に不可能な二つの事業:子供をじっとさせておくことと老人を走らせること‐石井訳)

 解説には、「元気な盛りの子供は一瞬もじっとしていることができない一方、老人は歳を重ねるにつれて、若いときの体力を失っていき、あまり体を動かさずに過ごすことを好むようになる」とあります。執筆したときすでに80歳が近かったシルヴァーナの父君の解説には、自身の人生の述懐もこもっているのでしょう。奥深いものがあります。

 ダニエーレは、ルイージやわたしがコーモ方言のことわざの意味を理解できるかどうか試し、シルヴァーナはルイージに、コーモ方言の発音を教授していました。
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 やがて、仕事を終えて駆けつけたルイージの弟マルコも会話に加わり、皆で久しぶりの再会とおしゃべりを楽しんだあと、シルヴァーナたちは、高速道路を車で約5時間という長い帰途についたのでありました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-01 12:20 | Feste & eventi | Trackback | Comments(2)


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

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Naoko Ishii
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