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テッツィオ山登頂

 この週末、5月1日(土)から5月2日(日)にかけては、昨秋ラヴェルナへの巡礼の旅(詳しくはこちら)を共にした仲間の大勢が、エミリア・ロマーニャ州からやって来て、ペルージャに集合。
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 初日は、あいさつを交わした後、午後4時前から、ミジャーナの家(上の写真)を出発して、テッツィオ山(Monte Tezio)を登ることにしました。
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 時には広い散歩道を歩き、時には緑の木々をかき分けながら、皆で上へ上へと登って行きます。
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 テッツィオ山には、山頂付近に建てられた大きな十字架(croce)が三つあります。まずは最初の目的地である一つ目の十字架に到着。まだまだ頂上は遠いのですが、はるか彼方まで緑の山々を見晴らし、あちこちに散らばる町や畑も見下ろせて、眺めは最高です。登り道がずっと続いて大変だったので、美しい景色を堪能しながらしばらく休憩。
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 こちらが、一つ目の十字架近くからすぐ下を見下ろすと目に入る風景です。右手に見える家々が連なっているところが、夫が生まれ育ったミジャーナの町。

 わたしたちは今回、一番手前にある住宅群から左側に見える古城目指して進み、さらに古城の横を通り過ぎて、ここまでひたすら山道を登ってきたのです。
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 山道のここかしこに美しいランの花が咲いています。赤紫色のものが一番多いのですが、よく見るとランの色や花びらの形が少しずつ微妙に違っているのがわかります。
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 クリーム色のランが群れをなして咲いているところも、時々見かけました。こうして辛く苦しいのぼり道を、美しい風景や花々に励まされながら進んでいきました。

 目ざとく野性のアスパラガスを見つけては、摘んでいる人もいます。
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 ようやく二つ目の十字架に到着。古城がもうこんなに小さく見えます。また、これまでは見えなかった湖も姿を現しました。
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 子供たち3人もよく頑張って、ここまできちんと歩いてくることができました。すばらしいパノラマを楽しみながら、疲れた足をゆっくり休めます。

 子供たちは、二つ目の十字架まで登った後、両親に伴われて山を下ることになりました。午後6時5分前。

 すでに2時間も山を登ってきているし、三つ目の十字架まで行って下山すると帰宅が午後8時頃になることが予想されます。それでもメンバーの半分は、せっかくだからと三つ目の十字架を目指してさらに歩いて行くことにしました。
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 テッツィオ山は、フタコブラクダの背中のような形をしており、二つのコブの間にあたる部分は若干の上り下りはあるものの、ほぼ同じ高さです。二つ目の十字架はちょうどその一つのコブの頂付近にありますそして三つ目の十字架があるのは別のコブのやはり山頂付近。というわけで、高度差こそあまりないものの、かなり長い距離を疲れた足でひたすら歩き続けることになります。
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 ようやく三つ目の十字架に到着。ここからも、また峰を歩いている途中にも、四方の景色が非常に美しく、大変ではありましたが、ここまで歩いてきてよかった、と満足。霞がかかっていはいますが、写真の左手にある山の緑の斜面の横にうっすらと見えるのは、丘の頂にあるペルージャの町並みです。時間は、午後6時45分。

 パノラマを十分に堪能してから、今度は別の道を通ってひたすら山を下りて行きます。
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 フランコがぜひ見たいというので、わたしと夫も一緒に3人で少し帰り道から外れて、急斜面をすべりながら下って見に行ったのが、この菩提樹(tiglio)の巨木です。
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 森の中に入り、緑の木々の間を歩いて下っていると、山の斜面いっぱいに小さなシクラメンの花が咲いているところが、あちこちにありました。

 ようやく出発地点のミジャーナの家にたどり着いたのは、ちょうど午後8時ごろ。日が暮れる直前のことでした。

 ありがたいことに、登山には最初から参加しなかった小さい子供たちやそのお母さんたち、そして先に下山したメンバーがすでにかなり夕食の支度を進めてくれていました。

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 暖炉に薪と木炭をくべ、網に肉(carne)やサルシッチャ(salsiccia)を載せて、じっくりと焼き上げていきます。担当はピザも魚も、炭火で焼くのが名人の域に入ったフランコ。
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 ルイージ手作りのローズマリー風味のフォカッチャ(focaccia)を切り分けているのはシモーナ。合気道の先生で、日本文化に興味津々です。
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 特に、エミリア・ロマーニャから来た友人たちとは本当に久しぶりに再会しました。絶妙な焼き加減を見て、フランコが配ってくれる焼肉をおいしくほおばり、皆が持ち寄ったワインを味わいながら、楽しくおしゃべり。暖炉の火がその陽気さをますます盛り上げてくれます。

 4時間にわたったテッツィオ山登り。登山は大変でしたが、見晴らしも野の花も美しく、そのあとで皆で共有するおしゃべりや食事のおいしいこと。

 翌日日曜日に、雨の中でした散歩については、また次回お話するつもりです。

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by milletti_naoko | 2010-05-02 23:50 | Viaggi in Umbria | Comments(0)

外国人大学と町並みを訪ねて

 今回は、ペルージャ外国人大学の学舎をペルージャの町並みの写真と共にご紹介します。世界各国から来た生徒たちがイタリア語を学ぼうと語学講座に通い、イタリア人を中心とする学生たちが、国際社会での活躍を目指して大学の課程に通う、この外国人大学の学び舎は、実は、芸術的・観光的な魅力も非常に高いのですが、このことはあまり知られていません。

 大学に通っていても、その魅力と恩恵に気づかない学生がいることや、わたし自身も、せわしなく過ごしていると、ついその美しさに感動する心を忘れてしまうことが残念です。
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 これが、Palazzo Gallenga(ガッレンガ校舎/ガッレンガ宮殿)。語学講座に通う学生が、最初に入学手続きをする事務室(segreteria)や主要な式典や行事が催される講堂(aula magna)があるのはこちらです。イタリア語のPalazzoは、「貴族などの住む館や宮殿」も意味すれば、「住居や公共施設などの大きな建築物」(たとえばマンションとかビル)も意味します。

Palazzo Gallengaの場合、このpalazzoという言葉は、本来は貴族の館であったことを考えると「宮殿」と訳せますが、現在は大学の建物として使われていることに着目すると「校舎」になります。

 かつて貴族の館であったために、語学講座や大学課程の授業が行われる教室(aula)も、壁に大きな絵画があったり、装飾模様を施した布が貼られていたりする場合があります。そうした教室では、
、机や椅子、そして扉が、木に美しい装飾絵画を施したものであり、照明は豪華なアンティークのシャンデリアです。廊下の絵画を注意深く見ると、秘密の扉や隠し階段への入り口が見つかったりもします。

 また、4階のテラスは、校舎の周囲360度を取り囲んでいます。このテラスからは、ペルージャの町並みや遠くの山々を見晴らすことができ、その眺めが本当にすばらしいのです。
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 そして、大学正面から、向かってすぐ右手に、道路を挟んで見えるのが、このエトルリア門(Arco Etrusco)。エトルリア人が紀元3世紀に建造したこの壮大な門は、今もペルージャの中心街へと登っていく坂道の入り口に、そびえ立っています。2千年以上も昔に、巨大な石の塊を見事な計算を尽くして積み重ねでできた荘重な門。エトルリア人がこうして積み重ねた石は、現在もこの門の右側に続く壁や住宅の下方に認めることができ、町を取り囲む城壁も、エトルリア壁(mura etrusche)と言える部分があちこちにあります。

 さて、このガッレンガ校舎とエトルリア門から、ペルージャの町の中心街(Centro)に行くには、三つの方法があります。最も距離が短く時間がかからないのは、エトルリア門の下をくぐって、なだらかな坂道を登って行く道です。けれども、見晴らしがすばらしいのは、門のすぐ右側を車道に沿って歩いて行く石畳の歩道(下の写真は、この道からのパノラマです)、あるいは、門のすぐ左側にある急な階段をひたすら歩いて登って行く道なのです。
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 写真の右側、上方にはペルージャの町の城壁とその上に建てられた家が見えるのですが、この城壁の下の方の白い部分もエトルリア人が石を積み上げて築いたものです。城壁の左側に見えるのは、もちろんガッレンガ校舎。ガッレンガ校舎とエトルリア門に挟まれた道路を、エトルリア門の右手に続く城壁に沿って登って行くと、見えるのがこの風景です。

 下方に見える細い道のようなものは送水路(acquedotto)。中世に、清水が湧き出る近隣の高い丘から、ペルージャの中心街に作られた大噴水(Fontana Maggiore)まで水を運び込むために、築かれたものです。この送水路の上は、整備されたすてきな遊歩道になっています。家々の間を、見晴らしを楽しんだり、近所の家の庭を上から覗き込んだりしながら、石畳の美しい道を通っていくこの送水路の散歩もおすすめです。
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 けれども、そもそもペルージャの町自体か非常に高い丘の上にあるために、噴水まで水を運ぶ事業は失敗を繰り返したとか。大噴水に施された彫刻も美しく、上方の女性像は若さ・成熟・老いを表す三つの顔を持ち、中央の十二角形にはそれぞれの頂点にカトリック教や町にとって重要な人物の彫像が配置され、下段の白い大理石の部分には、柱で仕切られた長方形の中に、十二の月をそれぞれ象徴する彫刻やさまざまな職業・学問を表す彫刻で飾られています。

 今回の町や美術の説明は、ほとんどがElvio Lunghi先生の説明の受け売りです。ペルージャ外国人大学で、まだ語学講座に通っていた頃(もう7年前になります)、中世イタリア美術の授業を担当するルンギ先生は、しばしば学生たちをペルージャの町の中心街や美術館、送水路、教会やアッシジまで連れ出して、町や教会の中にある美術作品について、冗談も交えながら、詳しく説明してくださいました。

 たとえば、この大噴水についても、歴史や芸術的意義について真面目に説明したあとで、「ペルージャの大噴水は高い柵に囲まれているから、人間には近づけず、水を飲めるのは鳩だけです。柵の先端が尖っているのは、鳩を食べようというペルージャ人のたくらみかもしれませんね。」などと冗談を言っていました。

 そうです。ペルージャの人は鳩(piccione)を食べるのです。食用の鳩はそのために飼育されたものであり、町で見かける鳩とは種が異なり、大きさもかなり小さいものです。小さい鳥が丸ごとお皿の上に載っているのを見るのはいたたまれなくて、わたしはまだ鳩は食べる気になれません。ウサギ(coniglio)は時々義母が料理したものをいただくので食べ慣れましたが、それでも、料理をする気にはなれません。残酷と言えば、どの動物も同じことで、鶏だってウサギだって、基本的に義母が料理するのは我が家で飼育しているものでもあるのですが……
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 話を変えて、今度はガッレンガ校舎から、エトルリア門のすぐ左手にある急な階段を登って行く道についてお話したいと思います。上の写真で、ガッレンガ校舎の前から手前に向けて伸びている茶色の部分が、歩行者用の階段になっています。上から撮影したので分かりにくいのですが、この階段は急傾斜で、歩くのにはかなり厳しい心臓破りの階段です。
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 けれども、少し上に登ると、緑の山々の上に連なる城壁や四方に伸びるペルージャの町並みが見えて、眺めが本当に美しいのです。高い位置にいるために、真下に目をやると、家々の壁の間に木や花に覆われた緑の庭が広がっているのも見ることができます。階段の壁に心ない落書きがあるのが残念。
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 まだまだ登り道が続きます。上の写真で、建物がある場所、木の下に学校遠足の児童たちが集っている場所まで、歩いて登らなければいけません。(写真には見えませんが)この建物の正面に、市立図書館があり、学生生活を送っていた頃は、本を借りたり勉強したり、インターネットを利用したりするために、ガッレンガ校舎と図書館の間を往復することがよくありました。距離が最短であるために、この階段を登ることが多かったのですが、暑い夏は図書館にたどり着く前にすっかり汗だくになってしまい、遠回りでもなだらかな道(エトルリア門の下を通る道)を選べばよかったとよく後悔したものです。
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 あと少しで、階段も終わり。ここまで来ると、再び下方にガッレンガ校舎が見えます。美しい町並みの向こうには緑のなだらかな丘が見えるのですが、その丘のさらに後方にうっすらと見える山、フタコブラクダのこぶのような形をした山が、これまでも何度かお話したテッツィオ山(Monte Tezio)です。

 観光にペルージャにいらっしゃる方には、中心街からエトルリア門まで降りるときには、この階段を下り、再び中心街に戻るときには、エトルリア門の右手にあるなだらかな坂道を登って、美しいパノラマや町並み(上から3枚目の写真)を楽しみながら歩かれることをおすすめします。

 ペルージャの町はただでさえ坂や階段、歩くところが多いので、この心臓破りの階段で疲れてしまうと、あとが大変だと思うからです。

 さて、ガッレンガ校舎とペルージャの中心街を結ぶ道が、いかに眺めの美しいものであるかを述べてきたのですが、ここで、話を元に戻して、ペルージャ外国人大学の他の校舎も見てみましょう。
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 こちらはPalazzina Valitutti。「授業風景」の記事には、雨の日に正面から撮影した写真を載せましたが、今日は斜め横から撮ってみました。写真の奥の方に見える修復中の塔は、聖ドメニコ教会のものです。歴史ある教会で、修道院もあり、今なお修道士たち(monaci、単数形はmonaco)が祈りに捧げる日々を送っています。写真の右側手前の部分に、今日もわたしが授業をした教室があります。この教室内で、先週の授業中に学生たちをとった写真も、やはり「授業風景」の記事にあります。写真でお分かりのように、朝の授業では教室に日が当たらないので、わたしのほうから学生たちに、日本語で、「電気をつけましょうか。」、「電気をつけてください。」と言って、「~ましょうか」、「~てください」という表現の復習をするのにも役立ちます。
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 左手に見えるのはPalazzina Valitutti。この1階に、いつもお世話になっている語学助手の先生方の研究室(Sala del Lettorato)があります。日本語だけではなく、スペイン語や英語、アラビア語の先生方も皆利用するため、落ち着いた雰囲気ではないときもたまにあります。そして、この校舎の2階に、大学や語学講座に通う学生たちがコンピュータやインターネットを利用できる情報処理室(Sala informatica)があり、何十台ものコンピュータが学生に無料で開放されています。教室もいくつかあり、つい最近になってPalazzina Valituttiが完成するまでは、わたしの授業はここ、あるいはPalazzo Gallengaで行っていました。

 写真の右手に見えるのが食堂(mensa)です。学生たちが手軽にバランスのとれた食事をとれる場所で、セルフサービスで、いくつかあるメニューや組み合わせの中から、自分の食べたいものを選んでいきます。値段は安いし、栄養のバランスも取れ、何より便利ではやいのですが、味はまずまず、といったところです。

 校舎の右手で、赤紫色の鮮やかな花を咲かせている木は、セイヨウハナズオウ。イタリア語では、albero di Giudaと呼ばれ、これは「ユダの木」という意味です。弟子でありながらイエス・キリストを裏切ったユダ(イタリア語で「Giuda」)がキリストの死後に悔恨の情に襲われて、この木の下で自ら首をくくって死んだという俗信から来る名前のようです。
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 最後になりましたが、これがPalazzina Prosciutti。イタリア語の入門・初級の授業はほとんどがこの校舎で行われるようです。教育実習のために、わたしもここで授業観察をさせていただきました。世界各国からさまざまな年齢層の学生がイタリア語を学習しに来ています。

 この近年は、伊中両政府が協力して実施中のマルコ・ポーロプログラムのために、中国人学生が毎年イタリアの大学に多数留学しています。ペルージャ外国人大学は、そうした中国人学生たちが、まずイタリア語の力を十分につけるための語学講座も開設しています。このプログラムを利用して他の大学に入学する前に当学に来る中国人学生の数があまりにも多い上、イタリア語学習は中国人学生にとってはとりわけ難しく、他言語を母国語とする人以上の困難があるために、現在こうした学生に対しては、彼ら専用の授業を、レベルによってクラス分けをした上で実施しています。

 校舎の奥の方、手前に見える1階建ての小さい建物はバール(bar)です。コーヒーなどの飲み物を頼んだり、菓子パンやサンドイッチなどを買って食べたりできるので便利です。

 今日はとても天気がよかったので、授業が終わってから、うれしそうにあちこちで写真を撮影していたら、帰りのバスに乗り遅れてしまい、昼食の支度が遅くなってしまったのでありました。

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by milletti_naoko | 2010-04-30 19:30 | Umbria | Comments(5)

アグリトゥリズモ、Preggio

 先週4月20日(火)に、プレッジョ(Preggio)郊外にある豊かな緑に囲まれた美しいアグリトゥリズモ、Agriturismo Preggioを訪れました。(ホームページはこちらです。)
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 プレッジョは石造りの町並みの美しい小さな町です。ペルージャ中心街から、車で北に30分ほど。新緑の鮮やかな麦畑や咲きほこる菜の花畑の間を通り抜け、さらに連なる緑の丘の峰を走る道路をしばらく進み、松林を通り抜けたあたりに、さらに一際高い丘があります。プレッジョの町は、この丘の上にあります。
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 ペルージャからプレッジョまでの道路は、オリーブ園に囲まれた丘の坂道を登り始めたあたりから、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)や山々、下方に広がる平地を見晴らすことのできる絶好のドライブ・コースでもあります。

 今回、このアグリトゥリズモのある農場(azienda agricola)、Preggioを訪れたのは、夫が養蜂の講習を受けたときに、経営者のエーレナと知り合ったからです。エーレナもご主人のブルーノもイタリア北部の出身なのですが、北部の人の波や喧騒に耐えられず、自然の中に暮らし、大地の恵みを生かして働くことを志してウンブリア州、プレッジョの田舎に、農場を開きました。
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 わたしの夫の母の家族は、プレッジョの町のさらに北方、車で10分ほど行ったところにあるレスキオ(Reschio)という村の出身です。レスキオはウンブリアとトスカーナの州境に位置し、緑の丘や森、田園に囲まれたそれは美しい場所で、実はかつてわたしは夫と二人で、1年余りこのレスキオで暮らしたことがあります。その1年ほどの間は、夫の母が生まれ育った家に住んだのですが、今は人手に渡ってしまったこの家では、水道の蛇口から水が出るものの、それが井戸の水なので節約の必要があったり、暖房は薪をくべる旧式のストーブと暖炉しかなくて冬は仕事が多い上に寒かったり、最も近い店が車で10分ほど行ったところだったりと、生活はなかなか大変でした。けれども、ナイチンゲール(usignolo)の歌声が聞こえたり、春には野の花の咲き誇る森の中の道を散歩したり、夏には静かに広がる畑の中で夫と二人で舞い踊る蛍(lucciola)の光を眺めたり、すてきな思い出もたくさん残っています。

 そういうわけで、近くに住んでいた上に、夫の親友も住んでいるため、プレッジョを訪れることはしばしばありました。にも関わらず、この農場が、緑に囲まれ、見晴らしのいい、非常に美しい場所にあるため、わたしたちも、すっかり農場に魅了されてしまいました。

 養蜂に興味のある夫のために、エーレナはわたしたちをミツバチの巣箱(arnia)まで案内してくれました。鶏やアヒルたちがのどかに闊歩する道を通り抜け、可憐な白い花の美しいリンゴ並木の下を通って、巣箱の前に到着。
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写真のリンゴの木は我が家のものです。農場にはカメラなしで行ったのが残念。


 それから、畑や果樹園についても、有機農業(agricoltura biologica)での企業を志す夫のために、エーレナは畑を回りながら、自分たちがどんなふうに作物を育てているかを詳しく説明してくれました。

 オリーブ・オイル(olio d’oliva)が健康によいことは近年日本でもよく知られているようで、Wikipedia日本語版の「オリーブ・オイル」の項にも、「健康とオリーブ・オイル」について、詳しい説明があります。

 中でも最良とされるのが、エキストラ・バージンのオリーブ・オイル(olio extravergine d’oliva)。そして、さらにその中で、最高級とみなされるのがDOP (Denominazione d’Origine Protetta、「保護を受けた原産地呼称」)を有するものです。 Wikipedia日本語版「DOP」の説明にあるように、DOPは、「伝統的食材に対し、品質管理と産品保護のため地域を指定した上、基準をみたすものにのみ特定原産地の名称を付して販売することを許可する制度」によって、外部機関から厳しいチェックを受けて合格した、本当に優れたごく限られた食材だけに認められるものです。

 イタリアで生産されるオリーブ・オイルは無数にありますが、このDOPを有するエキストラ・バージンのオリーブ・オイルは、イタリアにも数えるほどしか存在しません。(その一覧表は、こちらのページでご覧になれます。)

 ウンブリア州で、DOPを誇るエキストラ・バージンのオリーブ・オイルは、その名も「Umbria」で、その原産地として記述されているのはColli del Trasimeno、「トラジメーノ湖の丘陵」です。
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 このウンブリア州が誇るl’olio DOP “Umbra”については、トラジメーノ湖およびその周辺のミニ観光ガイド、『Trasimeno 2010』(上の写真)にも、もちろん説明があります。

 農場Preggioは、家族経営の零細企業でありながら、品質と有機栽培にこだわり、見事このl’olio DOP “Umbra”の生産許可を獲得し、最高級のエキストラ・バージンのオリーブ・オイルを生産しているのです。
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 イタリア政府の農業食糧林産資源省が発行するオンライン雑誌、『AGRICOLTURA ITALIANA』(イタリアの農業)の昨年12月号には、「Regali di Natale? olio d’oliva made in Italy」という記事があります。題を訳すと、「クリスマス・プレゼント? (おすすめは、)イタリア産オリーブ・オイル」。この記事は、「贈り物を選ぶ際には、卓越した品だと公的に認められたDOPやIGPのものを選びましょう」と締めくくられているのですが、「卓越したDOP商品」の例として、この記事の写真に選ばれたのは、この農場Preggioが生産するl’olio DOP “Umbra”なのです。皆さんも、記事と写真をこちらからご確認ください。
 
 残念ながら、農場のShopping On Lineでは、現在はイタリア国内向けにしか販売を行っていないのですが、日本のオンライン・ショップで売られている他のDOPの商品と比べると、かなり良心的でお得な値段(750ml入り、16ユーロ)で販売されています。他の商品にはなんと3倍やそれ以上の価格で売られているものもありますから……。

 実際、Wikipedia日本語版の「オリーブ・オイル」の項にも、「最高級クラスのオリーブ・オイルのほとんどは手搾りなので、入手困難な稀少品である。しかしこの事は日本ではあまり知られていない。最高級クラスのオリーブ・オイルの生産者は零細な農家ばかりで、プラント化と大量生産が可能な業者がいないからである。」とありますが、この家族経営の農場Preggio も、まさにそうした生産者であり、上質なものを有機栽培で、じっくり手がけて作るために、生産量が限られているのです。

 原産地域も生産方法もきちんと管理・保証された農場Preggioが生産する 最高級のl’olio DOP “Umbra”。日本へも、たとえばオリーブ・オイルを愛好するグループやレストラン、卸業者などで一定量の注文があれば発送も考えるとのことですし、イタリア国内にお住みの方やペルージャ周辺を旅行で訪れる方にはおすすめです。輸出となると関税や送料・保険料で値段が高くなるとは思いますが、現在はちょうど今年9月に消費期限が切れてしまう在庫もあるため、特にこうした品についてはさらなる割引も可能とのことです。新鮮なオリーブ・オイルは開けたらできるだけ早く使い切る必要がありますし、我が家では揚げ物意外はすべてオリーブ・オイルを使っていますので、1か月に1本は楽に消費してしまいます。ちなみに、義母は揚げ物にもすべてオリーブ・オイルを使っています。
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  このl’olio DOP “Umbra”については、観光ガイド、『トラジメーノ湖2010』の34ページ(上の写真)に、「particolarmente indicato per tutte le pietanze delicate e per il pesce」(特に、あっさりとした風味の料理や魚料理におすすめです)とありますので、日本料理にもうってつけではないかと思います。わたし個人は、日本料理も(時には揚げ物まで)オリーブ・オイルで料理して食べるのに慣れてしまいましたので、あまり断言ができませんが、生での使用にも炒め料理にも、健康に最良なのはエキストラ・バージンのオリーブ・オイルですから、多少オリーブの風味に癖があっても、できればオリーブ・オイルを使われることをおすすめします。

 日本からイタリアを訪れるのに、仕事の都合などで、日程が限られていて、慌しく各地を回らなければいけない方が多いのはよく承知しています。ローマ、フィレンツェ、ヴェネッツィアなどの町並みや美術館、風景をぜひ見たいと考えて、忙しく移動する方も多いことでしょう。

 ただ、日本でも最近は、slow tourism、ゆっくりと楽しむ旅を楽しまれる方が増えてきたと、トスカーナ州が発行していた観光動向か何かで読みました。熟年の方や定年退職された方で、時間にも経済的にも余裕のある方が多いようです。

 そういう大人の旅をじっくり味わいたい方にとっては、このAgriturismo Preggioでの滞在はうってつけだと思います。
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 優しい緑と美しい景色に囲まれてゆっくりと安らぎ、自家生産の蜂蜜・野菜・穀物、手作りのパン・パスタ、最高級のオリーブ・オイルを使った伝統料理を味わうことができるからです。

 車でいらっしゃる方には、アカデミー賞も受賞したベニーニの傑作、『ライフ・イズ・ビューティフル』の舞台となった中世の町並みが美しいアレッツォ(Arezzzo)の町やトラジメーノ湖もすぐ近くなのですが、車なしでも、せわしく移動することなく美しい自然の中で、散歩を楽しんだり、大地の恵みをおいしい伝統料理で味わったりしたいという方にはおすすめです。

 エレーナもブルーナも自分たちが人混みや喧騒から逃げ出して来たために、「たくさん客を泊めて収入を上げること」よりも、「もし満室になっても互いの存在が煩わしくなく、ゆったり過ごせる静かな落ち着いた空間を提供すること」を重視しています。そして、イタリアの法律で定められた公共施設の屋内での禁煙に加えて、このアグリトゥリズモでは、屋外も全域が禁煙です。
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 本当に健康にいいこと、自分たちが納得のいく質のいいものを提供することに専念しているのは、オリーブ・オイルやワインなどの生産物だけでなく、部屋(大きくゆったりしたバブル・バスのある部屋もあります!)や希望すれば食べられる昼食・夕食も同じ。

 わたしと夫は、二人だけで、あるいは友人たちと共に、イタリア各地のアグトゥリズモで食事をしたり、宿泊したりすることも多いのですが、実は、アグリトゥリズモとは名ばかりで、耕地や果樹園が木の剪定や果実の収獲もせずに放ったらかしで、単に緑の自然には囲まれているものの、農業活動はまったくしていないか、していても形だけのところがたくさんあります。そうした中で、この農場Preggioは、伝統の味と技術を守ろうとして、真剣にかつ愛情を持って、農作業に取り組む人々によって経営されています。

 美しい自然の中で、本物のアグリトゥリズムで、一味違う乙な休暇を過ごしてみたいという方は、ぜひ宿泊、あるいは自家製のオリーブ・オイルやパスタの購入のために立ち寄ってみてください。
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 わたしの夫自身が目指す農業が、やはり伝統や自然を大切にしたものなので、この農場訪問ではかなり啓発・刺激を受けて、「自分も頑張らなければ」と思ったようです。実は夫がうちの野菜畑で育てているトマトなどの野菜も、イタリア伝統の、従来の純粋な品種を種から育てたものです。そして、その種は、「イタリアの食と農業の伝統である在来品種を絶やさず、後世に受け継ぐべく努めよう」とする農業家から、譲り受けたものです。

 最近流行のトマトと比べると皮が厚く種の多いものもあれば、病気にも弱いのでしょうが、生でサラダとして食べても、パスタのソースに使っても、コクのある甘さが本当においしいので、夫もわたしも昨年は大喜びで、お義母さんも時々味を試しては、おいしいと言っていました。(我が家の野菜畑には、お義父さんが市場で買ってきて育てている一般に出回っているトマトも各種あり、数もはるかに多いのです。)

 ブルーノから、つい最近「日本から宿泊の予約が入ったよ」と電話で聞きました。Agriturismo Preggioの英語版ホームページを見て、特にレストランで食べられる自家生産の品々を使ったおいしい伝統料理に魅かれたからということです。「手作りのパスタを食べられるなら、そのパスタ作りを自分も学びたい」という日本人旅行者の方の希望にも応じたとのことです。

 交通には不便なので、今のところイタリア国内やヨーロッパから車で訪れる客が圧倒的に多いとのことですが、至近の鉄道の駅、パッシンニャーノ(Passignano)までは車で送迎サービスも可能だそうです。上記の日本の方も、フィレンツェから鉄道で到着するのを車で出迎えに行く予定だとか。

 興味のある方は、ぜひAgriturismo Preggioのホームページ(イタリア語)をご覧ください。英語ページもあります。イタリア語を勉強中の方は、Prezzi e Prenotazioni(値段と予約)Cosa produciamo(農場で生産しているもの)など、興味のあるリンク先をクリックすると、イタリア語のいい勉強にもなります。

 日本からオリーブ・オイルの注文をぜひしてみたいという方は、もし一定の数以上の希望があり、送料・手数料や税金で価格が高くなってもいいからということであれば、サイト上にある農場の連絡先に直接ご連絡ください。

 英語もイタリア語も苦手だという場合には、わたしの方で仲介の努力もいたします。こちらにメールアドレスがありますので、ご連絡ください。ある程度希望者が募れば、ブルーノたちも日本への輸出を真剣に考慮するかもしれません。売ることや宣伝することより、もっぱら質の高いものを作って提供し、質の高い生き方をすることにばかり関心の高い二人なのではありますが……

 何となく宣伝めいた記事になってしまいましたが、とてもすてきな農場を見つけたので、もし「そんなアグリトゥリズモを探していた」という人がいたら、価値あるものを提供する人と価値あるものを求める人の架け橋になれたらという気持ちになったからだけのことです。それが気に障ったという方がいたら、失礼いたしました。

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by milletti_naoko | 2010-04-29 07:55 | Viaggi in Umbria | Comments(4)

トラジメーノ湖、ポルヴェーセ島の散歩

 4月3日(土)は朝からとても天気がいいので、午後から夫と二人で散歩を楽しむことにしました。
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 ウンブリア州で、私も夫も大好きな場所の一つに、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)があります。緑の丘に囲まれた広大な湖は、その湖水が日光や空の色の加減によって、淡い水色、濃紺、そして穏やかな緑色とさまざまに色を変えるのですが、高速道路で近くを通りかかってもはっきりと見えて、美しい風景が心を慰めてくれます。

 トラジメーノ湖には島(isola)が三つあり、その名もIsola Minore、Isola Maggiore、そしてIsola Polvese。Isola Minoreは個人の所有する島で訪ねることができないのですが、Isola MaggioreとIsola Polveseは、小型フェリーで訪れることが可能です。
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 さて、今日は、ペルージャから車で30分ほど行ったところにあるSan Felicianoの町に車を置き、港からフェリー(traghetto)でポルヴェーセ島(Isola Polvese)に向かいました。

 船の旅はわずか10分間。沿岸や遠景の山々が美しく、島に近づくに従って、さまざまな水鳥の姿が見え、また鳴き声が聞こえてきます。暖かい日差しの中、私たちは3時ごろから6時まで、緑に囲まれた島の散歩を存分に楽しみました。
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 まずは、湖岸に沿って、打ち寄せる湖の波の音を聞きながら、1時間ほどかけて島を歩いて1周しました。そして、バールでアイスクリームを食べて一休みしてから、島の中部にある小高い丘を登りました。オリーブ園に松林、そして、そこかしこに咲いている色とりどりの野の花が美しく、また野生のアスパラガスもところどころにすっくりと伸びていました。

 小さい島なので、歩いていてもほとんどの場所から穏やかな美しい湖が目に入り、優しい木々や野の緑と共に、心を穏やかにし、またはずませてくれます。どこを歩いていても、朗らかな鳥のさえずりが快い音楽を奏でています。最近は特に仕事の方が慌しく、ストレスのたまることも多かったので、たくさん歩いて足は疲れましたが、すてきな心の休養になりました。
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     夕暮れのトラジメーノ湖(Monte Tezio山頂から、2009年7月に撮影。)

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by milletti_naoko | 2010-04-03 23:41 | Umbria | Comments(0)