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滞在許可証3+仕事の現状と抱負

 イタリアで、移民や滞在許可証をめぐる法律は、この数年めまぐるしく変わっています。わたしの場合は、運命か偶然の幸運か、この法改正のおかげで助かったことが2回あります。

 まずは、2003年の夏。わたしは語学留学で、イタリアに滞在していました。それまでの法律では、イタリアの大学に入学したければ、一度日本に帰って、ビザを申請する必要があったのに、法改正のおかげで、帰国せずに入学できるようになったのです。おかげで、イタリアに滞在したまま、同年秋に大学に入学し、クリスマス休暇に帰国して、日本で、大学通学用のビザを申請することができました。

 わたしが夫に出会ったのは、2003年の12月(詳しくはこちら)、外国人大学の学士課程に入学してまもない頃です。ですから、夫に出会えたのも、この法改正のおかげだと言えます。冬にまだペルージャに残っていたのも、夫も参加していたスライド上映会に出向いたのも、日本に帰国せずに、大学に入学できたおかげだからです。

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ペルージャ外国人大学、ガッレンガ校舎。(屋内の写真はこちら

 ただし、ビザなしの入学をどの大学も許可しているわけではなく、希望していたペルージャ大学(Università degli Studi)では駄目だと言われ、結局、語学講座に通ったペルージャ外国人大学に入学することになりました。でも、そのおかげで、のちに外国人大学で、「日本語・日本文化」の講師の口を得ることができたのだと思います。幸い、日本の大学で受講した科目の単位などが認められたおかげで、2年生に編入し、3年のところを2年で卒業することができました。

 イタリアでは原則として、従来は4年制であった大学教育が、卒業できない若者が多かったこともあり、3年+2年の5年制に切り替わりました。3年でも大学卒業をして職につけるようにして、モラトリアムを短くしようと考えていたようですが、実際には、最初の3年制の課程を終えても、大学卒業とみなされないことが多いので、結局は、4年から5年と、大学に通う年数が長くなった感があります。わたしもイタリアの大学で教えているのは、日本の4年制大学卒業資格のおかげです。

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卒業試験に無事合格し、卒業した直後、のちに夫となる人と   2005/10/10

 法改正の恩恵を再び受けたのは、2005年の秋です。10月10日に大学を無事卒業し、同時に、幸い、2005・2006年度の「日本語・日本文化」の講師としての採用も決まりました。それまでは、就学目的で滞在していた場合、イタリアで就職するには、一度帰国して就労用のビザを取得する必要がありました。それが、法改正のおかげで、イタリアの大学を卒業し、そのときに就職先が見つかれば、一定以上の収入があることを条件に、帰国しなくても、就学用の滞在許可証を、就労用に変更できるようになったのです。その申請の手続きで、ペルージャ県警察本部に赴いた際には、担当官から、わたしが、「ペルージャで二人目の、新しい法を利用した、就労目的の滞在許可証への変更申請者」だと聞きました。

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日本語の授業を受ける学生たち  この日の授業の様子はこちら

 2005年10月から5年間、ペルージャ外国人大学で、「日本語・日本文化」の講師として教えてきましたが、実は、毎年講師の公募に応じ、履歴書や大学の卒業・成績証明書などを提出しては、1年契約で採用される、ということを繰り返してきました。

 今度は、「改正がマイナスに働いた例」をお話します。一昨年度から、ペルージャ外国人大学の学士課程が、新課程に移行しつつあります。これまで教えていたPLIMの課程では、日本語・日本文化の授業は、1・2年時にありました。ところが、新課程では、この授業が3年時にあります。おかげで、今年はちょうど、わたしが授業を教える科目が存在しない、空白の1年間となりました。今年の9月まで教えていた課程では、3年生向けの授業しか行われていないし、新課程では、まだ1・2年生の授業しか行われていないからです。

 イタリアの大学では、各授業の担当者が年に数回(外国人大学の場合は現在5回)の試験日を決め、学生は、自分がいつ受験したいかをこの中から自由に選ぶことができます。わたしは外国人大学で、今年の1月と2月に、前学年度の授業の試験を実施しなければいけないのですが、そういうわけで、この1年間は(1年だけであることを祈ります)、大学では日本語を教えません。

 時々、通訳と翻訳の仕事はあるので、「主婦」というわけではありません。また、実は、今年の夏以来、日本語を教えてほしいという学校から二つ依頼があったのですが、断ってしまいました。一つは、とあるペルージャの語学学校からの依頼で、これはちょうど夕食の時間帯(6時から9時半)という非常に都合の悪い時間帯であるのに、時給10ユーロと、給料が極端に低かったからです。通訳では原則として、時給25ユーロで働き、かつ税は企業側に支払ってもらっているし、授業の場合には準備にもかなり時間がかかります。日本語やイタリア語の個人授業でも、20~25ユーロ払おうという人はいます。

 もう一件は、時給40ユーロ(ただし、税はわたし負担なので純収入は32ユーロ)を提示してきたとある南部の私立大学。日本語だけではなく、日本語の通訳・翻訳の授業も教えてほしいという興味深い話ではあったのですが、片道10時間以上かかる距離で、往復の旅費や宿泊費を考えると残るものが少なく、かつ、数か月も夫と別居してまでしたい仕事かどうかも考えて、お断りしました。

 幸い、夫の収入もあるので、無理までして働く必要がないおかげもあって、今は充電をしているところです。と言っても、通訳などの仕事がないときでも、家事、そして今はオリーブの収穫まであって、かなり慌しくしています。

 ペルージャ外国人大学で、「外国人へのイタリア語・イタリア文化教育」学士取得課程を卒業しただけでなく、シエナ外国人大学の大学院を卒業して、「外国人へのイタリア語教育専門家」の資格も得ましたので、いずれ日本の方向けのイタリア語の学習書やイタリア文学・イタリア文化の本を書いてみたいと思う気持ちがあります。一方で、イタリアで日本語を教えているし、日本でも高校で長い間国語を教えてきたのだから、イタリアの人に、もっと日本語や日本文学・文化を知ってもらうための学習書や本を書いてみたいという気持ちもあります。どちらの言語・文化も教える資格があり、またどちらについても教授法を学び、熟知している人は少ないと思うのです。

 というわけで、「いつか、こうした夢を実現させる」ために、まずはイタリア語学習メルマガ(バックナンバーはこちら)とこのブログの記事を、こつこつと書いているところです。どちらもかなり時間もエネルギーも要するために、今のところはまったく収入に結びついていませんが、毎日忙しく過ごしているのでした。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-11-21 23:58 | Altro | Trackback | Comments(14)

大切なのは種をまくこと

「 大切なのは種をまくこと     オッタヴィアーノ・メナート


まきなさい、まきなさい。
大切なのは、
少しであれ、たくさんであれ、すべてであれ、
希望のつぶをまくことです。

あなたの笑顔をまきなさい。
周囲にその笑顔が輝くように。

人生の戦いに立ち向かうために、
あなたの元気をまきなさい。

人々が勇気を持てるように、
あなたの勇気をまきなさい。

情熱を、信仰を、愛情を
まいてゆきなさい。

ほんの小さなこと、何でもないようなことでも
まいてゆきなさい。

まきなさい、そして、信じるのです。
どの一粒も
この地上の一角を豊かにしていくはずだ、と。」(和訳は石井によるものです。)

 
 これは、ラヴェルナのお土産屋さんで見つけた詩です。わたしの心を打った言葉の一つで、我が家では、冷蔵庫の壁に飾ってあります。
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 seminareという言葉は、イタリア語では「種をまく」という原義から語意が広がって、「(周囲に、あちこちに)広めていく」という意味もあります。日本語の「まく」という動詞に、後者の意味まで込めるのには少々無理があるのですが、ここでは、あえて、一貫してseminareを「まく」と訳してみました。「種をまく」という言葉は、「広める」という言葉では表せない、大地にまいてゆく地道な作業や実りを想起させるからです。

 日本でも、イタリアでも、世界でも、恐ろしいニュースや悲惨な事件、できごとの多い日々が続いています。でも、わたしたち一人ひとりが、笑顔の、希望の、勇気の種をまいていくことで、ささやかではあっても、一つの種から小さな芽が出て大地を緑で潤すように、大地の一隅を照らしていく、いい方向に変えていくことができるはずです。

 今日は、紅葉の装いの美しいラヴェルナの聖なる森を散歩しました。平和というのは抽象的で大げさな言葉ですが、何事も、一人ひとりの一つひとつの行動で、そして、その連鎖で、変わってゆくはずです。

 いつかどこかで実を結ぶはずだと信じて、毎日少しでも、笑顔を、勇気を、愛情をまいてゆけたら。そして、全世界にそういう人が増えていったら。まずは、自分にできる一歩から始めてみたいものです。

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 こちらは、10月9日土曜日に、ラヴェルナ境内で撮影した写真です。今日の散歩では、ほんの2週間で、すっかり秋らしくなった森の様子に驚きました。散歩で疲れてしまって、写真を選んだり、載せたりする元気はないので、まずは、静寂に包まれた聖なる森を散歩して得た、その安らぎと思いの一端をお伝えしようと、この詩をご紹介しました。

>追記(10月25日)
 この詩のイタリア語原文を、メルマガ第58号(リンクはこちら)で、学習教材として取り上げて、解説しました。興味のある方は、ぜひお読みください。 

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by milletti_naoko | 2010-10-24 23:05 | Vivere | Trackback | Comments(8)

マザー・テレサの励ましと戒め

 「しばしば思い起こして、自分の糧にしたい」、そういう言葉は、冷蔵庫の扉に貼って、できるだけ目にする機会が多くなるように工夫しています。

 今回は、その中から、「Il meglio di te」というマザー・テレサの詩をご紹介します。
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 YouTube、Il meglio di te - Madre Teresa di Calcutta - by Soraya(リンクはこちら)では、この詩の言葉が、美しい映像・音楽と共に、紹介されています。イタリア語を学習中の方は、まずはこちらをご覧ください。

 わたしの方で、意図や言葉の響きを大切にしながら、訳してみますね。


「   最良の自分

 人間は道理をわきまえず、
 非論理的で、己のことばかり考えるものです。
 でも気にしないで、人間を愛しなさい。」

「Non importa」の直訳は、「重要ではない」です。何か困ったことがあったときに、「大したことではないから、気にしなくていいよ。」と言った意味合いで使うこともよくあります。ここでは、「人間というのは欠点に満ちたもの、でも、そんなことは、あなたが自分の行動を決めていく上では重要ではない。」ということです。

 詩の続きを見ていきましょう。

「あなたがいいことをしても、人々は
 別の利己的な動機のためだと語るでしょう。
 でも気にしないで、善行を積みなさい。

 目標を実現していこうとすれば、
 行く手を阻む人が現れるでしょう。(直訳は「~に出会うでしょう」)
 でも気にしないで、目標を現実のものとなさい。

 あなたの行う善行は、おそらく
 明日には忘れられることでしょう。
 でも気にしないで、いいことをしなさい。

 正直で誠実な人は、
 傷つきやすく、標的になりやすい。
 でも気にしないで、正直で、そして誠実でありなさい。

 あなたが築き上げたものが
 壊されてしまうかもしれない。
 でも気にしないで、築き上げなさい。

 あなたが助けた人は
 おそらく感謝もしないでしょう。
 でも気にしないで、手を貸しなさい。

 この世に、最良の自分を与えなさい。
 そのために足蹴にされるかもしれません。
 でも気にしないで、最善を尽くしなさい。」

 YouTubeの映像、Michele Placido e Fulvio Russo leggono la poesia Il meglio di te di Madre Teresa di Calcutta (IlmeglioditeONLUS)(リンクはこちら)は長さが1分47秒ですが、冒頭から40秒のあたりから、今回ご紹介した詩、「Il meglio di te」を朗読しています。

 聖パウロの「愛の賛歌」の教え(詳しくは、こちら)を、人生の中で実践していくための、具体的な心構えを説いたものと言えるかもしれません。

 マザー・テレサの言葉に心を打たれたという方は、ぜひ「人生を生きなさい」(Vivi la vita)(イタリア語の詩と和訳、解説はこちら)という詩もお読みください。生きる勇気を与え、凛とした姿勢にさせてくれる、それは美しい詩です。

 冷蔵庫の扉を眺めながら、今日も心が引き締まる、そんな毎日を繰り返しています。
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 ちなみに、写真の詩は、聖フランチェスコ(詳しくはこちら)が聖痕を受けたことで知られる聖地、ラヴェルナ(La Verna)(上の写真)で購入した葉書サイズのカードを拡大コピーしたものです。制作はSan Paolo s.r.l.で、絵はR.Polastriとカードの裏にあります。

 日本にいた頃から、仏教やキリスト教、文学作品や哲学者の美しい言葉を書き写したり、そういう言葉のたくさん載った本を買ったりするのが好きで、今は、あちこちの教会や修道院を訪れるたびに、美しい言葉のあるカードや名言を集めた珠玉集を買い集めています。
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 写真はわたしのコレクションのごく一部です。手のひらサイズと小さいのですが、収められた言葉と同じくらい、装丁も挿絵もそれは美しいので、わたしのお気に入りです。5~6ユーロとお手軽な値段で、収録された言葉も短いすてきな言葉が多いので、旅行の際の自分自身への、あるいはイタリア語を学んでいる友人へのお土産としてもおすすめです。

 「今を生きろ!」(Cogli l'attimo!)、「愛の言葉」(Parole di AMORE)など、テーマごとに名言が集められており、たとえば、写真中央にある本は、「新郎新婦の小さくて大きい本」(IL PICCOLO GRANDE LIBRO DEGLI SPOSI)という題で、結婚生活をこれから共に歩んでいこうという方にぴったりの1冊です。

追記 メルマガ第45号、「マザー・テレサの詩を読もう」(リンクは、こちら)では、この詩をイタリア語学習の教材として扱い、解説をしています。興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

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by milletti_naoko | 2010-04-19 22:03 | Vivere | Trackback | Comments(0)


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