2010年 04月 13日
Zuppa di fagioli ~ウンブリア、伝統の味~
読みは、「ツッパ ディ ファジョーリ」。あえて、日本語に訳そうとすると、「イタリア風インゲンマメどんぶり」。
日本料理のどんぶりものには、ごはんの上からだし汁やしょうゆで煮込んだ野菜などを回しかけますが、この料理では、薄切りのパンの上から、インゲンマメ入り野菜スープを回しかけます。
こちらが、かけ汁となるインゲンマメ入り野菜スープ。深めの鍋で、まずみじん切りにした玉ネギを炒め、しんなりしてきたら、さらに細かく刻んだニンジン、セロリと青菜を加え、最後にトマトを加えて、汁気がなくなるまでじっくり煮込みます。そのあと、この野菜を煮込み終わった鍋の中に、別の鍋でゆでて塩で味つけもしたインゲンマメをたっぷりの熱湯と共に加え、さらに煮込みます。そして、ほどよい加減になるように、味見しながら、塩、こしょうを適量加えます。これで、かけ汁ができあがりました。
青菜は何でもよいのですが、今回我が家では、野菜畑で収獲したフダンソウとキャベツを使いました。また、最後に加えたインゲンマメは、一部はゆでただけの豆をそのまま、一部はゆでた豆をさらに裏ごししてから、野菜スープの中に加えています。
このあとは地道に同じ作業を何度も繰り返していくことになります。(ティラミスにせよ、ラザーニャにせよ、イタリア料理には幾層も同じ作業を地道に繰り返すものが多いという印象があります。)
まずは、耐熱の深皿を準備し、底にpane raffermo(古くなって堅くなったパン)を薄切りにしたものをしきつめます。(記事にしようと思いついたのが遅かったので、写真の右側の皿にはさらにできあがったzuppaがあり、左の皿もほとんど完成に近い状態です。)
そして、そのパンの上から、用意しておいたインゲンマメ入り野菜スープをたっぷりと回しかけます。
さらに、その上から、パルメザンチーズをすりおろした粉チーズをたっぷりとふりかけます。写真に見えるのが、わたしの大好きなお義母さん。謙虚で優しく、働き者で、自分もこんなふうに年を重ねられたらいいなと思うのですが、まだまだ修行が足りません。
以上の作業(乾パン⇒スープ⇒チーズ)を何度も繰り返して、最初の写真にあるようなzuppa di fagioliができあがります。
野菜も豆類もたっぷりで、たいへん健康にいい上に、体も心も温まるおいしい一品です。堅くなったパンにはスープの味が染み込みやすいので、パンが熱々のスープを浴びて、温かく柔らかく、そして、うまみたっぷりになります。うちの夫の大好きな料理の一つです。
本来は、食べ切れずに日数を経て、堅くなってしまったパン(paner raffermo)を、無駄にせずおいしく食べようという暮らしの知恵から生まれた料理なのですが、こうした古いパンを見事に活用した料理が各地方に数多くあり、このzuppa di fagioliもその一つです。ちょうど、日本でも冷ごはんを活用したお茶漬けや雑炊、炒めごはんのようなレシピがあるのと同じですね。日本はごはんの、イタリア中部はパンの文化なので、それぞれの主食を最後まで大切においしくいただくための知恵が生まれてくるわけです。
今日は朝から1日曇りがちで、時々雨も降りました。写真は、わたしたちの寝室の窓から撮影したものです。
写真の正面、庭の中央に大きな桜の木があります。この木の右側に野菜畑に下りていく小さな階段があり、この階段を下りていくと、右側には最初はリラの木、次にローズマリーの茂みがあり、そしてその次に、花盛りの様子を、写真と共にすでに何度かご紹介した桜の木が現れます。
奥に隠れた桜の方が、庭の正面にある桜の木に比べて、かなり開花が早かったので、これまでこちらばかりを取り上げていたのですが、今は、正面の大きな桜も、一面に真っ白な美しい花を咲かせ、窓から外を見やるたびに目を喜ばせてくれます。