イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

マザー・テレサの励ましと戒め

 「しばしば思い起こして、自分の糧にしたい」、そういう言葉は、冷蔵庫の扉に貼って、できるだけ目にする機会が多くなるように工夫しています。

 今回は、その中から、「Il meglio di te」というマザー・テレサの詩をご紹介します。

マザー・テレサの励ましと戒め_f0234936_1934052.jpg
 わたしの方で、意図や言葉の響きを大切にしながら、訳してみますね。


「   最良の自分

 人間は道理をわきまえず、
 非論理的で、己のことばかり考えるものです。
 でも気にしないで、人間を愛しなさい。」

「Non importa」の直訳は、「重要ではない」です。何か困ったことがあったときに、「大したことではないから、気にしなくていいよ。」と言った意味合いで使うこともよくあります。ここでは、「人間というのは欠点に満ちたもの、でも、そんなことは、あなたが自分の行動を決めていく上では重要ではない。」ということです。

 詩の続きを見ていきましょう。

「あなたがいいことをしても、人々は
 別の利己的な動機のためだと語るでしょう。
 でも気にしないで、善行を積みなさい。

 目標を実現していこうとすれば、
 行く手を阻む人が現れるでしょう。(直訳は「~に出会うでしょう」)
 でも気にしないで、目標を現実のものとなさい。

 あなたの行う善行は、おそらく
 明日には忘れられることでしょう。
 でも気にしないで、いいことをしなさい。

 正直で誠実な人は、
 傷つきやすく、標的になりやすい。
 でも気にしないで、正直で、そして誠実でありなさい。

 あなたが築き上げたものが
 壊されてしまうかもしれない。
 でも気にしないで、築き上げなさい。

 あなたが助けた人は
 おそらく感謝もしないでしょう。
 でも気にしないで、手を貸しなさい。

 この世に、最良の自分を与えなさい。
 そのために足蹴にされるかもしれません。
 でも気にしないで、最善を尽くしなさい。」

 YouTubeの映像、Michele Placido e Fulvio Russo leggono la poesia Il meglio di te di Madre Teresa di Calcutta (IlmeglioditeONLUS)(リンクはこちら)は長さが1分47秒ですが、冒頭から40秒のあたりから、今回ご紹介した詩、「Il meglio di te」を朗読しています。

 聖パウロの「愛の賛歌」の教えを、人生の中で実践していくための、具体的な心構えを説いたものと言えるかもしれません。

 マザー・テレサの言葉に心を打たれたという方は、ぜひ「人生を生きなさい」(Vivi la vita)(イタリア語の詩と和訳、解説はこちら)という詩もお読みください。生きる勇気を与え、凛とした姿勢にさせてくれる、それは美しい詩です。

 冷蔵庫の扉を眺めながら、今日も心が引き締まる、そんな毎日を繰り返しています。
マザー・テレサの励ましと戒め_f0234936_2139150.jpg

 ちなみに、写真の詩は、アッシジの聖フランチェスコが聖痕を受けたことで知られる聖地、ラヴェルナ(La Verna)(上の写真)で購入した葉書サイズのカードを拡大コピーしたものです。制作はSan Paolo s.r.l.で、絵はR.Polastriとカードの裏にあります。

 日本にいた頃から、仏教やキリスト教、文学作品や哲学者の美しい言葉を書き写したり、そういう言葉のたくさん載った本を買ったりするのが好きで、今は、あちこちの教会や修道院を訪れるたびに、美しい言葉のあるカードや名言を集めた珠玉集を買い集めています。
マザー・テレサの励ましと戒め_f0234936_21465674.jpg

 写真はわたしのコレクションのごく一部です。手のひらサイズと小さいのですが、収められた言葉と同じくらい、装丁も挿絵もそれは美しいので、わたしのお気に入りです。5~6ユーロとお手軽な値段で、収録された言葉も短いすてきな言葉が多いので、旅行の際の自分自身への、あるいはイタリア語を学んでいる友人へのお土産としてもおすすめです。

 『Cogli l'attimo!』(今を生きろ!)、『Parole di AMORE』(愛の言葉)など、テーマごとに名言が集められており、たとえば、写真中央にある本は、『IL PICCOLO GRANDE LIBRO DEGLI SPOSI』(新郎新婦の小さくて大きい本)という題で、結婚生活をこれから共に歩んでいこうという方にぴったりの1冊です。

追記 メルマガ第45号、「マザー・テレサの詩を読もう」では、この詩をイタリア語学習の教材として扱い、解説をしています。興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。
2021年4月追記:近いうちにこのブログに第45号を移行して、リンクを添える予定です。

関連記事へのリンク

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

by milletti_naoko | 2010-04-19 22:03 | Vivere | Comments(0)