2010年 04月 22日
野生のアスパラガス
4月半ばから5月末にかけては、天気がいいと、野山に野生のアスパラガスを摘みに出かける人々が大勢います。我が家の大ベテランは何と言ってもお義父さん。テッツィオ山やミジャーナに一人で出かけては、両腕に抱えきれないほどたくさんのアスパラガスと共に、帰宅することもしばしばです。
わたしたちも、今年はまだですが、野山に散歩に出かけて、結局アスパラガスを探したり摘んだりするのに夢中になって、歩くのが二の次になることもよくあります。まだまだ夫にはかないませんが、わたしも教えてもらって、どこにアスパラガスがあり、どうすれば見つけられるかが分かるようになりました。
写真のアスパラガスは、今日、4月21日(水)の夕食用にと、義父母から分けていただいたものです。我が家の鶏の産む新鮮な卵がたくさんあるので、今回は卵とじにしていただくことにしました。
どうやって調理するにしても、まず下ごしらえをする必要があります。
上の写真の上方に、紫がかったアスパラガスと緑色のアスパラガスが1本ずつ写っています。色が違うのは、生えていた土壌の性質が異なるためだそうですが、どちらもおいしく食べられますし、紫色のものもゆでると緑色になります。
まずは、アスパラガス1本1本について、穂先の方から、親指と人差し指の端でつまんで下方に折り曲げては、ポキポキと茎を短く折っていきます。茎を両指でつまんで下方に曲げても折れないところまで来たら、残りの茎は堅すぎて食べられない部分です。(上の写真の中央下方にある部分)
アスパラガスを調理しやすくし、また食べられる部分と食べられない部分を分けるために、この地道な作業をひたすら繰り返します。(上の写真の右側が、食べられる部分、左側が堅くて食べられない部分。中央左は、摘み立てのままのアスパラガスで、中央右は、それを小分けにしたものです。)
お義母さんの流儀では、このあとフライパンにオリーブ・オイルを入れて熱してから、アスパラガスを加え、さらに少々の水と塩を加えて、この水とアスパラガス自身の水分とで10分ほど煮込みます。
普段はわたしも教わったとおりにしているのですが、今回はブログにも書くとあって、いつも頼りにしている料理書、『Il CUCCHIAIO D'ARGENTO』(Clelia d'Onofrio, Editoriale Domus, 1997)(詳しくはこちら)を見てみました。日本では見かけない野菜の調理法が詳しく書かれているし、材料ごとに、伝統的なレシピを中心にさまざまな料理の作り方が並んでいて、とても便利です。いろいろな女友達に、「これはという1冊」を尋ねた末に、購入したものです。
この本には、「ゆでる場合は、塩水を沸騰させてからアスパラガスを入れて、15分間ゆでてから水気を切ること。ただし、少量の塩水を沸騰させて、蒸すのが最良。」とあります。蒸し器も時間もないので、今回はゆでてみることにしました。
ゆでてしまうと、お義母さんお勧めの調理法と比べて、せっかく豊富なビタミンAとビタミンCが水に溶けてしまうという問題はあるのですが、色はより鮮やかな緑色になりました。(上の写真)
オリーブ・オイルをフライパンに入れて、アスパラガスを炒めます。卵四つを皿に割り入れ、塩少々を加えて混ぜ、この溶き卵もアスパラガスを炒めているフライパンに入れて、時々混ぜ返してできあがり。これは、二人分の分量です。
春らしく、花の形に整えてみました。昨日、鮮やかな黄色が一面に広がる菜の花畑を見て、啓発されたからかもしれません。
野生のアスパラガスの特徴は、独特のさわやかな苦味です。慣れるとこれがおいしいのですが、卵を使うと、この苦味をおさえて、ほどよいものにできるわけです。
野生のアスパラガスは、パスタやリゾットの具としても活躍します。この場合、苦味とバランスを取るために、パンチェッタあるいはサルシッチャと共に料理するとおいしくなります。 お義母さんに教えてもらったり、レストランで食べたおいしい料理からアイデアを得たりして、自分でも作ってみる料理が多いのですが、上の写真は、わたしが作った野性のアスパラガスとパンチェッタのリゾットです。先週、健康によいからと玄米を使って作ったのですが、アスパラガスの薄緑色と旨みが全体に行きわたって、なかなかおいしくできました。
書いているうちに、とっくに真夜中を過ぎてしまいました。いつか天気のいい日に、アスパラガスを探しに行って、野山に生えているアスパラガスの写真も、皆さんにお見せできたらと思っています。
*追記(2010年6月10日)
ようやく野山に生えているアスパラガスの写真を撮り、野生のアスパラガスの探し方の説明を添えて、記事にすることができました。興味のある方は、こちらをご覧ください。
山で山菜を摘んでくるようにはいかないので、もちろんスーパーで買いますが、
生では3~4本が一束になって売られる太い品種、6~7本が一束で売られる細い品種があり、
太い品種が網に乗せて焼くと、瑞々しく柔らかく尚且甘味があって好きです。
細い品種は筋が多いのが難ですが、炒めものに使ったりしてました。
※近年は山菜の季節になると「山菜を採らない事」と、あちこちの山・渓谷で注意看板が出されます。
イタリア中部で見つかる野生の細いアスパラガスも、茎が指で折れて切れるところまでなら、料理すると柔らかく、特に筋も感じられなくて、おいしいんですよ。
イタリアでも、たとえばトラジメーノ湖のポルヴェーセ島や、テッツィオ山の農場が所有する土地では、アスパラガスだけではなく、花やキノコなども収穫してはいけないのですが、山菜については、少なくともウンブリアでは自由に収穫できるところの方が、まだ多いように思います。ミジャーナのうちのオリーブ畑や山で、私有地だと書いてあっても、アスパラガスを摘んでいる人にも、残念ながら時々出会うことがあったりもします。