2010年 05月 04日
百花繚"蘭"
今回は、テッツィオ山に咲く自生のラン(orchidee spontanee del Monte Tezio)を写真と共にご紹介します。
Ⅰ. 5月1日(土)のテッツィオ山登頂中に見つけたランの花
1. ミジャーナから一つ目の十字架まで(Da Migiana alla Prima Croce)
緑の木々に覆われた坂道を登っていると、突然眼前に広い岩がちの草原が現れました。急な斜面は登るのが苦しいのですが、根気強く上へ上へと登っていくと、あちこちにランの花が咲く野原があります。
すぐ近くに咲いている花どうしでも、色や形がかなり違っています。
2. 一つ目と二つ目の十字架の間に(Dalla Prima Croce alla Seconda Croce)
道のわきのそこかしこで目を楽しませてくれる、小さくあでやかなランの花。
こんなふうに群れをなして咲く花もあれば、広い野原のあちこちに散らばって咲く花もあります。
しばしば立ち止まっては何枚も写真を撮るわたしを、「日本人だねえ」とからかう友人には、「記事に載せるいい写真が撮りたいから」と言い返し、少し風情の異なるランの花、美しく咲いている花を見かけるたびに、立ち止まって撮影します。
もともと特に上り坂では歩くのが遅く、花粉症のために最近はあまり登山をしていなかったので、一番しんがりを進みながら、それでも特に美しい花を見ると、角度や背景にもこだわって、ゆっくり撮影。優しい夫はあきれがちに、時々立ち止まってわたしを待ってくれています。
というわけで、撮影したのは歩いて行く道のすぐ近くに咲いていたランの花だけなのですが、それでも花弁の色や形、模様はさまざまに異なっています。
赤紫や藤色の花が圧倒的に多かったのですが、時折、柔らかなクリーム色の美しいランの花が二つ、三つ共に咲いているところにも出くわしました。上の写真の背景の左手を目を凝らしてご覧になると、あちこちに散らばって咲いている赤紫のランの花も見ることができます。
II. 5月2日(日)に目にしたランの花
3. ミジャーナのオリーブ園に咲いていたラン(Nell'oliveto di Migiana)
このところ、しばしば夫から「ミジャーナにランの花がたくさん咲いているよ。」と聞いていたのですが、なかなか機会がなくて、今回ようやくその美しい花を見ることができました。
「一番花の多いところに、友人たちがテントを立てたからなあ」と、夫は前日から、ランの花たちの運命をひどく心配していました。日曜日は、朝、友人たちがテントを片づけ始めたのを見て、わたしは小雨の中、カメラ片手にオリーブ園の草原の中のランの花を見に行きました。
残念ながら、雨がだんだん強くなる上、まだテントをたたむ作業に忙しい友人も多かったため、このキャンプ場となっていた草原のランの花は見ることができませんでした。
4. 雨の中を歩いて訪れた土地、サン・ピートロで見かけたランの花(A San Pietro)
このランについては、夫から以前にも、「一つ一つの花が、両手両足を広げたやせたサルみたいに見えるからorchidea scimmia(scimmiaはイタリア語で「サル」を意味します)という名前なんだ。」と聞いていました。
(今回は、図鑑とWikipediaで事実を確認してから書いています。時々夫にからかわれたまま、ずっと気がつかないでいることがありますので……)
こんなふうに、花弁の純白と藤色の対比が美しいorchidea scimmiaの花が、一面に咲きほこっているところもありました。
皆さんも、春にイタリアを訪れたときには、ぜひ美しい野の花を楽しむ機会を見つけてください。今回の散歩では、ランのほかにも、春咲きのシクラメンも花盛りを迎えていました。野バラやエニシダ(ginestra)の花はようやく少しずつつぼみが開き始めたところです。
また、町や住宅街でも、今は藤が白や薄紫の美しい花を一斉に咲かせているんですよ。リラやリンゴも花盛りです。