イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ピザ屋 Il Vecchio Mulino、トゥウォーロ

 わたしと夫の一番のお気に入りで、最もよく行くピザ屋は、ペルージャの北方、トゥウォーロ(Tuoro)の町にあります。この町の名は正式には、Tuoro sul Trasimeno、「トラジメーノ湖畔のトゥウォーロ」

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トラジメーノ湖に浮かぶ三島の一つ、マッジョーレ島(2009年6月28日撮影)

 町は、イタリア中部で最も広大な、美しい湖、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)の北の湖畔近くにあり、トゥウォーロの港からは、マッジョーレ島(Isola Maggiore)を訪れるためのフェリーも出ています。

 店の名前は、Il Vecchio Mulino(イル・ヴェッキオ・ムリーノ)。

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 「昔の粉ひき場、水車小屋」というその名前は、店舗(上の写真)がかつて粉ひき場であったところから来ています。初夏になって温かくなると、客は皆、屋内よりも、風通しがよく過ごしやすい屋外のテーブルで食べたがります。トラジメーノ湖は、ドイツやオランダなどからの観光客が非常に多く、毎年夏にアパートを数週間借り切って、一家全員で訪れる人も大勢います。

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 Il Vecchio Mulinoは、薪を使うかまど(forno a legna)で焼いたピザが本当においしいピザ屋なのですが、魚介類を使った前菜(antipasti di mare)を始め、魚料理もおいしく食べられるレストランでもあるため、夏になってトラジメーノ湖が観光客でいっぱいになると、毎晩こうした長期滞在者がこぞって夕食に訪れます。他の季節にも、トゥウォーロおよび近隣の町の人々が、週末や何か特別の祝い事があるときに、おいしいピザや魚料理などを食べに訪れるので、特に週末には、予約が必要になります。

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 夜、外で食べるには寒い季節には、店内で食べることになります。壁いっぱいに、選び抜かれたさまざまなワインが並び、軽快な歌やクラシック音楽が流れる中で、楽しく食事をすることができます。テーブルの上にある白いガラスの器の中には、小さなロウソクがあって、客がテーブルにつくと、店の人が火をともしてくれます。

 なぜ、わたしたちが一番よく訪れるのが、ペルージャから車で30分かかるこのピザ屋なのかと言うと、

1.ピザがとびきりおいしいこと

2.トラジメーノ湖やその島々、周辺の町や丘が、わたしたちのお気に入りの散歩コースであること

3.かつて二人でトスカーナとの州境にあるレスキオの町に暮らしていたとき、近かったのでよく訪れていたこともあり、気さくで陽気な店の人ともすっかり親しくなり、「わたしたちの店」という気がして、くつろいだ雰囲気の中で、おいしく食べることができること

が、その理由です。

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 これが店の主人のラッファエーレ。写真が暗いのは、かまどの火が見えるように撮影したためです。ふだんは給仕を担当しているのですが、勤めていたピザ職人が自分の店を出すなどという理由で退職すると、ピザ職人に早変わり。実は、わたしたちがこのピザ屋に通い始めた数年前には、ベテランのピザ職人のフランコ(下の写真)がいて、いつも陽気なあいさつやおしゃべりとそれはおいしいピザを客に提供してくれていました。

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 そのフランコが何十年もピザを焼き続けたあとで店を退職する前から、ラッファエーレは弟子として、ピザ作りを学んでいました。最初は、「やはりフランコの時の方がおいしかった」と懐かしく思う機会も何度かあったのですが、今ではラッファエーレの手になるピザも、フランコに負けないくらいおいしいものになりました。というわけで、他のピザ職人を雇うときでも、本当においしいピザを作れる人だけを厳選するので、この店ではおいしいピザが食べられる、という安心感があります。

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 火が燃えさかるかまどの右手で、何枚かのピザが焼かれているところが見えます。「撮影した写真に炎が写らないのが残念だ」と言ったので、ラッファエーレが火をかき立ててくれているところです。

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 焼き立てのピザをテーブルに運んでくれたのは、ルチャーナ。ラッファエーレの奥さんです。厨房でおいしい魚料理を作ることも多いのですが、今回は給仕を担当していました。

 ラッファエーレがピザを焼く様子をうまくカメラに収めようと、何度もシャッターを切っていたら(結局あまり成功しませんでしたが)、「そんなに他の男の写真ばかり撮っていたら、だんなが嫉妬するわよ。」と、ルチャーナにからかわれてしまいました。

 夫が頼んだピザは、上に拡大写真もありますが、サルシッチャ(salsicia)とハム(prosciutto)の載ったボリューム満点のものです。

 わたしが頼んだのは、vegetariana(ヴェジェタリアーナ)。

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 Il Vecchio Mulinoの「菜食主義者のためのピザ」は、他の店と違って、「これでもか」と思うくらい、さまざまな種類の野菜や豆類がふんだんに載っているので、おいしいピザを食べながら、タンパク質や野菜もたっぷり取れるので、わたしのお気に入りです。

 以上の写真は、5月4日火曜日に撮影したものです。今年は5月の半ばまでよく雨が降り、肌寒かったので、4日はまだ店内でピザを食べました。他の客もまだ全員店内で食事をしており、外国人観光客もまだそれほど多くありませんでした。

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 一方、今日5月29日は、ようやく初夏らしく暖かい気候になってきたため、皆、外で食事をしていました。土曜日であった上に、6月が近づいて外国人観光客の数が一気に増えたために、残念ながら外にテーブルを見つけられずに、仕方なく店内で食べる客もいるほど、大盛況でした。

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 今回は、おなじみの友人、ルーカと3人でピザを食べました。カメラを向けていたら、ルーカが、「これじゃあ、日本の読者に、いつも食べてばかりいるみたいに思われてしまうのでは」と心配していました。夫にせよ、ルーカにせよ、仕事中に撮影して邪魔することもできませんので、余暇の写真ばかりになってしまいますが、いつも遊んでいるばかりではなく、まじめに仕事もしていることを、わたしの方からも申し上げておきます。

 トラジメーノ湖は、湖そのものの美しさに加えて、島々や周辺の町並みや自然が美しく、湖で獲れた魚をおいしく食べられるレストランや風景を楽しめる散歩ができる場所もたくさんあり、日本の皆さんにも、ぜひ一度足を運んでいただきたいところです。

 車がなくても、ペルージャの中心からapmのバスで、トラジメーノ湖周辺の趣のある町を訪ねることが可能です。わたしたちも昨年6月に夫の車が修理中だったために、バスでペルージャから湖を訪れたのですが、切符もそれほど高くなく、快適な旅をすることができました。

 湖畔の町で、特におすすめなのは、カスティッリョーネ・デル・ラーゴ(Castiglione del Lago)、サン・フェリチャーノ(San Feliciano)、そして、パッシンニャーノ(Passignano)です。

 次のリンク先が、トラジメーノ湖の観光サイトです。

 Trasimeno il lago e i suoi borghi

 素人のわたしが撮ったよりもずっと美しい湖や島々、周辺の町の写真に加えて、行き方や楽しみ方、それぞれの町の紹介や宿泊先、イベントの案内など、詳しい旅行情報が満載です。ぜひご覧ください。

 日本語はありませんが、イタリア語に加えて、英語、ドイツ語、フランス語、オランダ語の案内もあります。こうした外国語が苦手だという方も、写真だけでもご覧になって、楽しむことができるかと思います。

 同行通訳も承っています。数人のご旅行で、ご自分たちだけでは不安なのでぜひ、という場合にはご連絡ください。添乗員やガイドではありませんが、移動しながら、旅行に必要なイタリア語などについて、お教えすることもできます。連絡先は、サイトの右側のリンク先に書いてあります。

 以下、関連記事へのリンクを貼っておきますので、興味のある方はご覧ください。

- トラジメーノ湖、ポルヴェーゼ島の散歩 / Passeggiata all'Isola Polvese del Lago Trasimeno)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-05-29 18:30 | Gastronomia | Comments(0)