イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

和伊折衷の誕生祝い

 6月6日日曜日は、姪っ子マッダレーナと義弟パオロの誕生日のあと、初めての日曜日です。というわけで、定例の日曜日の大家族での昼食時に、二人の誕生日を皆で祝いました。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_22594312.jpg

 イタリアの迷信か、ペルージャの迷信かは分かりませんが、「誕生日が来る前に祝うのは不運を招く」ということなので、我が家では、こうして、全員が集まれる次の日曜日に、誕生日を一緒に祝うことになっています。ちなみに、迷信と言えば、「死者を出した家から借りたもの、その家に貸したものの返却は、葬儀から9日間は行わない」という風習があるようで、お義母さんは、「信じてるわけじゃないけど」と言いながら、伯父の葬儀後9日間は、新たに貸したり返したりすることを、徹底的に避けていました。二世代住宅なので、日頃から、お互いに料理を分け合ったりすることも多く、そのための鍋や食器の貸し借りも多いのです。

 ふだんはプレゼントは、食事のあとに渡すのですが、この日は、姪っ子たちがトーディから到着してすぐに、贈ることにしました。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_23223351.jpg

 マッダーレーナは大喜びで、さっそく姉アレッシアの助けも借りて、包装を空けました。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_2326987.jpg

 プレゼントは、ハローキティの布製バッグです。最近、イタリアではハローキティが大人気で、おもちゃ屋でも文房具屋でも、はたまたバールのレジ付近でも、さまざまなハローキティ商品が目白押しに並んでいます。7歳と8歳の姪たちも、2、3年前までは、イタリア制作のアニメ、ウィンクスやディズニープリンセス、バービーに夢中で、誕生日やクリスマスに関連商品をほしがっていたのに、このところはハローキティにすっかりお熱で、日本や京都限定販売の和風小物やシャープペンシルを贈ると、それこそ飛び上がって喜びます。というわけで、絶対に喜ぶのが確実な、ハローキティ商品を贈ることにして、紙袋もハローキティでそろえました。イタリアの店では、包装はしてくれないところの方が多いので、自分たちで包装紙や紙袋、リボンを買って、包装することがよくあります。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_2351391.jpg

 ハローキティは「和製」ですが、バッグは「中国製」だと判明。ちなみに、イタリア人には、"made in China"を「メイド・イン・チャイナ」ではなく、「チーナ」と読む人が大勢います。これは、イタリア語では、「中国」を"Cina"(発音は「チーナ」)と言うからです。

 布製バッグの中には、さらに白い紙袋があります。マッダレーナは甘いもの、チョコレートに目がないので、ペルジーナに勤める義弟にもらったチョコレート菓子をたくさん紙袋に詰めて、バッグの中に入れておきました。案の定、大喜びです。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_23565618.jpg

 こちらが、わたしがかいたミニ・バースデーカードです。今回7歳の誕生日を迎えたマッダレーナは、小学校の1年生。イタリアでは、学年度が9月に始まり、6月に終わるため、もうアルファベットもすべて習い、読み書きができ始めたところなので、簡単な言葉を並べ、皆の似顔絵を添えてみました。イタリア語では、「お誕生日おめでとう」を、「Buon compleanno」と言います。姪っ子は真剣な顔をして、必死でカードを読んでいました。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_042763.jpg

 「和のもの」第二弾は、前菜にと用意した押し寿司です。巻き寿司が、夫の弟、パオロの大好物なのですが、今回は、前夜の合唱祭後のパーティー用に、すでに巻き寿司を作っていたこともあり、お祝いも兼ねて華やかな色合いの具を使い、花の形に並べてみました。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_0112774.jpg

 幸いパオロも、皆もおいしいと喜んでたべてくれました。残念ながら、姪っ子たちは食べなかったのですが、お義母さんも、見た目が美しいし、おいしいと言ってくれました。今回、寿司飯の上に載せたのは、スモーク・サーモンと錦糸玉子、キュウリで、具を載せる前に、寿司飯の上に薄くマヨネーズを塗っています。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_015031.jpg

 それからは、「伊のもの」が続きます。プリモは、お義母さんの手作りで、皆の大好物であるパスタ・アル・フォルノ(pasta al forno)です。日本では、一般に「ラザーニャ」として知られているパスタですが、ペルージャでは、こう呼びます。オーブン用の深皿の上に、まずはゆでたてのパスタを長方形に切って並べ、その上に、ベシャメルソース、トマトソース、そしてパルミジャーノの順に加えて、少しずつ層を重ね、それを何度か繰り返したあとで、オーブン(forno、読みは「フォルノ」)に入れて焼くので、こう呼ばれます。

 南イタリアの友人がかつてハムやゆで卵入りで作ったのを見たこともあり、ウンブリア州でも、肉入りのトマトソース(ragù)を入れて作る人も多いのですが、義母は、末っ子のマルコがミートソースだと食べないために、いつも肉抜きのトマトソースで作ります。それでも、かえってあっさりしている上に、コクがあっておいしいのは、このソースが我が家で収獲したおいしいトマトを、ニンジンやセロリ、肉(ただし、後で取り除きます)を入れて、じっくり煮込んだものだからです。

 セコンドのロースト・チキン(pollo arrosto)を、つけ合わせ(contorno)のサラダやローストポテトと共に食べたあとで、いよいよ誕生日を祝います。

 「ハッピー・バースデー」の歌(イタリア語の歌詞は、「Tanti auguri a te...」)を歌い終わった後、誕生日を迎えた二人がケーキの上のロウソクを吹き消します。(記事の最初の写真)それから、発泡性ワインのスプマンテ(spumante)を全員のグラスに注いで(子供は除く)、乾杯してから、ケーキを切り分けて、いただきます。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_0384992.jpg

 今年は、マッダレーナが2日前にトーディで誕生日会を祝ったときの大きなケーキがまだかなり残っていたため、このケーキを食べたのですが、例年は姪たちの誕生日には、義母が姪っ子たちの大好きなケーキ、チャラミーコラ(ciaramicola)を作り、この上にロウソクを載せて、祝っています。上の写真は、昨年のマッダレーナの誕生日に撮影したもので、この写真のケーキが、チャラミーコラです。

 こうして、義弟と姪、二人の誕生日を祝う誕生会が終わりました。ペルージャでは、家族・親戚の絆が強く、わたしの知人でも、結婚している場合には、週末の食事を1度は夫の家族全員と、そして1度は妻の家族全員と共に取るという習慣を守っている人がかなりたくさんいます。もちろんわたしのように海外から嫁いでいたり、イタリア国内でも実家がとても遠かったりする場合には、近所に住んでいる配偶者の家族とだけ、毎週食べることになります。

和伊折衷の誕生祝い_f0234936_049212.jpg

 そして、日曜日に限らず、ふだんから、家族や親戚が互いを訪問することがよくあります。この日も、お義父さんの姉夫妻が夕方、我が家を訪れました。(上の写真)

 写真の右端に見える、コッラード伯父さんは7月17日生まれで、誕生日がわたしの夫と同じです。17は、イタリアでは不吉と言われる数字なのですが、90歳を過ぎてもまだ元気のいいコッラード伯父さんは、「17が不運を招くなんて、迷信だよ。気にするな。俺なんか、生まれたのも17時なんだから。」と、よく笑いながら、語っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

by milletti_naoko | 2010-06-08 18:03 | Famiglia | Comments(0)