2010年 06月 12日
オリーブの花と初夏の食卓

この白く小さい可憐な花が、オリーブの花です。ごく小さい花なので、よくよく近づかないと、はっきり見ることができません。

こんなふうに遠くからだと、何かクリーム色のものが葉と葉の間に垣間見えるという程度です。オリーブの木の下にいるのは、最近我が家の敷地内で生まれたばかりの子猫たちです。うちで飼っているわけではないのですが、残飯をよくやるために、数匹の猫が、周囲に居ついています。
花はたくさんあるのですが、近年オリーブの実があまりならなくなったので、夫は、「今年はたくさん収獲できるといいんだけれど。」と心配していました。
このところ暑い毎日が続き、野菜畑では、ズッキーニの花が咲き始め、実も食べられるほどに大きくなってきました。以下、4枚の写真は、すべて昨年、2009年8月20日に撮影したものです。

8月末の写真なので、赤く熟れたトマトも見えますが、今年はまだ、我が家の野菜畑では青くて小さいので、収獲までは待たなければいけません。

ズッキーニの花は、朝顔に似て、早朝は花をいっぱいに広げて美しく咲いているのですが、日が高くなると、だんだん花が閉じてしまうのです。そして、日数が経つと、早朝であろうと、花は閉じたままとなり、しぼんでいってしまいます。
今日は野菜畑に行ったのが11時過ぎで、もう閉じかけた花もあったので、昨年「メルマガの記事に添えよう」と思って勇んで撮影したまま、眠っていた写真を使用しています。

さて、ズッキーニは、実だけではなくて、花も、衣をつけて揚げたり、パスタの具にしたり、卵料理にしたりしておいしくいただけるのですが、花を摘むときには、注意が必要です。
上の写真では、ズッキーニの実の上に咲いていた花が、日が経ったためにしぼんでしまっていますが、撮影の2、3日前には、美しい花が咲き、そのすぐ下に小さなズッキーニの実が見えていたはずです。
こんなふうに、花のすぐ下にズッキーニの実が育ちつつある場合には、この花は残しておかなければいけません。花なしでは、下にあるズッキーニがそれ以上育たなくなってしまうからです。

一方、この写真の左手に見えるズッキーニの花では、花のすぐ下には細長い緑色の茎があるだけです。こうやって花の下が細長い茎である場合には、遠慮なく花を摘み取ることができます。その際にはナイフを使います。

今日わたしが野菜畑で収獲したのは、こちらです。ズッキーニの花はもう閉じかけてしまっています。他にも、サニーレタス(insalata canasta)と小玉ネギ(cipollina)、そして、今年初めてのズッキーニの実も収獲しました。
辞書を見ると、伊和辞典にも伊伊辞典にも、「ズッキーニ」はzucchina(zuccaの語尾に縮小辞、-inaがついた縮小形)とあり、一方、「カボチャ」はzuccaだと書かれています。
けれども、この「ズッキーニ」、ペルージャ周辺では、単にzucca と呼ぶことの方が多いようで、レストランのメニューに、ズッキーニの花の名がある場合には、たいてい、fiori di zuccaと書かれています。夫、義父母や友人、知人も皆、ふだんはズッキーニをzuccaと呼び、「カボチャ」について話したいときには、zucca invernale(冬のzucca)と呼んで、夏に育ち収獲するズッキーニと区別しているようです。
それは、さておき、今日の昼食には、収獲したばかりの新鮮な野菜を、たっぷりいただきました。

パスタの具は、ズッキーニとその花です。まずは、フライパンにオリーブオイルを熱し、小玉ネギの玉にあたる部分をみじん切りにして、しんなりするまで炒めます。さらに、細かく切ったズッキーニの実を、花の茎に近い堅い部分と共に加えて、これらをじっくり炒めてから、火を止める少し前に、花の柔らかい部分も加えて調理します。最後に、ゆで上がったパスタとすり下ろしたパルミジャーノを加え、よく混ぜ合わせれば、できあがりです。
素材が旬の野菜で、しかも収獲してから2時間以内と、きわめて新鮮なうちに料理したこともあって、我ながら、とてもおいしくできました。

セコンドは、和風ハンバーグです。小玉ネギの上の青い部分とモヤシ(残念ながら缶入りです)を使い、味つけには、しょうゆも使いました。野菜のつけ合わせは、やはり畑で取れ立てのサニーレタスです。
こうして安全なおいしい野菜を食べられることを、義父や夫に感謝しながら、我が家で取れた今年初めてのズッキーニをいただきました。実は、このズッキーニ、夏が進むと、ズッキーニばかり食べる毎日が続くようになり、野菜畑のあるどの家庭でも、「また、ズッキーニ!」という悲鳴が聞こえてきがちなのですが、「今年初」ということもあり、今日は、夫と二人で喜びながら、そして感謝しながら、おいしく食べたのでありました。

