2010年 07月 04日
サンティアーゴ巡礼、2600kmを歩く旅
上の写真で、左から二人目がフランコです。
フランコは、スペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラへの巡礼を、すでに2度経験しています。ポルトガルから出発したり、フランスのスペインとの国境付近から旅立ったりと、出発地点や経路を変えて、スピーディたちと共に、毎日30kmほどの道のりを歩く巡礼を達成しました。
スペインの北西にあるこの町は、9世紀にキリストの十二使徒である聖ヤコブの墓が発見されて以来、イェルサレム、ローマと共に、キリスト教の三大聖地の一つとして、数多くの巡礼者が目指したところです。1985年には、巡礼路が世界遺産にも指定されています。Santiagoはスペイン語で、聖ヤコブのことです。
ただ、フランコやスピーディがこの巡礼を繰り返し行っているのは、宗教心というよりも、自然や風景、歩くことに加えて、世界各国から来る巡礼者との交流を楽しむためのようです。
今回フランコは、イタリアの自宅からサンティアーゴまで、約2600kmの道のりを、8月から11月までの3か月間にわたって、歩き通そうと計画しています。本人の話を聞いていると、歩くことを楽しもうという気持ちと共に、自分自身の限界に挑戦するというという意識が強いようにうかがえます。とにかく歩くのが速くて、体力もあり、アッペンニーニ山脈を歩いていても、目安が6時間のトレッキング・コースを、3時間半弱で歩いて、疲れを知らない健脚の持ち主です。
昨年、ラヴェルナまで巡礼をした際に(上の写真)、オランダからヴァチカンまで2500kmを徒歩で旅するオランダ人、グスターヴォに出会って、啓発されたからかもしれません。
実は、ペルージャには、サンティアーゴ・デ・コンポステーラ信者会があり、サンティアーゴを含むさまざまな聖地への巡礼を志す人々に、巡礼者証を発行しています。
7月2日金曜日は、フランコに頼まれて、ペルージャにあるこの信者会に、巡礼者証を受け取りに行きました。信者会を設立したのは、サンティアーゴ巡礼の研究家であるカトゥッチ教授です。
信者会に着いたとき、ちょうど担当者が不在だったため、しばらく前の廊下で待つことになりました。本部近くの廊下には、巡礼に関する本が何冊も並んでいます。
巡礼の歴史研究書、聖地巡礼のガイドブックなど、主題こそ「巡礼」で統一されているものの、本の内容は多岐にわたっています。
巡礼といっても、サンティアーゴへの巡礼だけではなく、アルプス山脈を越えて、ローマを目指す巡礼路(Via Francigena)を歩くためのガイドブックもありました。下の写真)
廊下には、サンティアーゴ巡礼に関するポスターが、たくさん貼り出されています。3枚目の写真は、その一つを撮影したものです。
こちらは2002年5月下旬にペルージャで行われた国際会議、「サンティアーゴとイタリア」のポスターです。信者会の担当者が戻るのを待っている最中に、通りかかった他の教授に質問したところ、話がはずみ、カウッチ教授の研究活動や、ペルージャでは毎年この時期にサンティアーゴ巡礼に関する催しが行われることを教えてもらいました。
思いがけず話がはずみ、夢中になっている間に、係の人が戻ってきました。フランコから預かっていた必要書類を提出すると、すぐに巡礼証(Credenziale del Pellegrino)を、受け取ることができました。
巡礼者証の表紙は、左側の部分です。古来から巡礼者のシンボルとされている貝殻(conchiglia)の絵で飾られています。数年前に、サンティアーゴ巡礼から帰ったばかりのマヌエーラが、大きな貝殻で飾られた杖を誇らしげに見せて、「この杖を使って巡礼を達成したのよ」と言っていたのを思い出します。
巡礼者証には、ローマまでの巡礼路(Via Francigena)及びサンティアーゴまでの巡礼(Camino de Santiago、スペイン語)の道のりを記した地図も、載っています。
フランコの3か月、2600kmという長い巡礼のうち、何日間かは、マヌエーラやスピーディも同行することになっているため、ひょっとしたら参加するかもしれないわたしと夫の分も含めて、9枚の巡礼証をもらって来ました。
こちらは、今年5月末からペルージャで行われた、「ローマ・サンティアーゴ間の巡礼」に関する催しのポスターです。描かれているのは、数世紀前の巡礼者たちのようです。写真展(mostra fotografica)と書かれているので、写真の展示もあってのでしょうか。6月4日にフランコたちが日本に関する映画を見るために、はるばる遠くから駆けつけてくれたときに、知っていれば一緒に見ることができたのに、と残念です。
実はこのところ太陽の照りつける暑い日が続いていたので、出かけるときは気が重かったのですが、興味深い話もいろいろ聞けて、いい経験になりました。