2010年 07月 09日
なぜか和名の爪楊枝、イタリア

ところで、イタリアの爪楊枝は、日本のものとは違って、両端が尖っています。

さらにおもしろいのは、イタリアではどういうわけか、爪楊枝の商標名が日本語であることが多いことです。順に見ていきましょう。

こちらは、スーパーで買った我が家の爪楊枝です。商標名は「sayonara」で、浮世絵まがいの女性の絵が添えてあります。
家庭用の爪楊枝だけではなく、レストランに置いてある個別包装の爪楊枝にも、日本語名のものが圧倒的に多いのです。「爪楊枝=日本」という発想がおもしろくて集め始めたそのコレクションをご紹介します。

こちらはKIMONO。「日本⇒着物・芸者」という発想からか、着物をまとって舞いを踊る女性の絵が添えてあります。

Karate。絵はありませんが、イタリアにも日本の空手や合気道、柔道をたしなむ人は大勢いて、日本語の単語としては、よく知られています。

BON SAI。「凡才」ではなく「盆栽」でしょう。イタリアにも盆栽の愛好者はいて、さまざまな植物の盆栽が植木屋や市場で売られており、日本語のまま、bonsaiとして親しまれています。

このSAMURAIという爪楊枝には、刀を2本佩いた武者の絵が印刷されていて、先端の尖った爪楊枝を刀になぞらえたとも考えられます。商標名の日本語と商品である「爪楊枝」に関連がありそうなのは、SAMURAIだけで、他の商標については、単に「爪楊枝⇒日本のもの」という発想から、名づけたのかもしれません。
このSAMURAIという爪楊枝、どうもイタリアの製品としては古株で、製造会社sismaのホームページには、「SAMURAIはすでに爪楊枝の代名詞」などとも書かれています。ひょっとしたら、この日本語名の爪楊枝が売れたので、他の製造業者も、商標名に日本語名を選んだのかもしれません。
ちなみに、イタリアの爪楊枝本家(?)のsismaでは、他の業者も日本語の商標名をつけ始めたからか、さらに凝った名前をSAMURAIにつけ足しました。それが、こちらです。

stuzzicadenti「爪楊枝」という単語のstuzzica(re)「つつく」という動詞にあたる部分を、carezza(re)「優しく触れる、なでる」と置き換えているところが、しゃれています。

何も言葉が書かれていない白い包みや店名だけのもの、あるいは単に、「stuzzicadenti」(爪楊枝)と書かれた包みも、たまに見かけるのですが、まだまだ日本語名を書いた紙包みの方が多いようです。
というわけで、今も新しいレストランを訪れるたびに、爪楊枝の袋に目を光らせています。
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Stuzzicadenti in Italia, chissà perché? Nomi spesso in giapponese
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爪楊枝のお話、面白いですね。
こんなところで日本語にお目にかかれるとは!
でもやっぱり、日本のイメージは昔からあまり変わりませんね(笑)
先日はブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございました!
とってもうれしかったです!!
こちらのブログは情報がきめ細やかで、びっくりしました。
当方の大雑把ぶりとは180°違いすぎます ・・・w
アジアではお馴染みの首をかしげる日本語商品が、イタリアにも・・・w
これからも、遠い異国・イタリアの暮らしを拝見して楽しみ、応援させていただきます!
素敵なご家族と、お健やかにお過ごしください♪♪
初めてコメントさせていただきます。
写真を眺めているだけで、イタリアに思いを馳せることもできて、また、読み応えのあるブログですね。
今回の、この爪楊枝のおはなし...。こういうの、大好きです!
こんなちいさな日用品のなかに、思いがけず和の心が! (笑)
なおこさんのおうちの、サヨナラと書いてあるものも凄いですが(なぜにサヨナラ?)、サムライというのもなかなかですね。
勝手に、歯間を刀でツンツンしている場面を想像して、可笑しいやら、痛いやら...(笑)
これからも、どうか愉しいブログを届けてくださいね。
どうぞよろしくお願いします!
ゆんさん、そうなんです。実はイタリアのイタリア語教育研究者には、日本におけるイタリア語の店名や商品名、外来語について論文を書く人がたまにいるので、いつかイタリアにおける日本という題で発表したくて、温めていたというか今も温めている素材ではあります。でも、わたし自身が思わず笑ったように、むしろ日本人の方にとって興味深いのではと思って、今回書いてみました。
おもしろいと思ってくださる方がいて、うれしいです。
もともとブログを始めたのは、イタリアの生活や風景に、写真を通して、日本の皆さんに親しんでいただこうと思ったからなのですが、長年教員をしている職業病で、説明がつい細かく長くなってしまいがちで、さらに元国語教師、現日本語教師としては、くだけた文を書くことができない性分なので、それを喜んで読んでくださる方もいると思うと、本当にうれしいです。
ちなみに、SAYONARAという商品名は、この言葉がどういうわけかイタリア人が最も知っている日本語の単語の一つだからと思います。ただし、彼らは、イタリア語の発音を持ち込んで、「サヨナーラ」と発音します。
今夜旅行から帰宅しましたので、また記事を書いていきたいと思います。こちらこそよろしくお願いします。また、何か興味のあることがあれば教えてください。
わたしも毎回店で新たな日本語名の爪楊枝を見つけるたびに、喜んで、なぜこういう名前をつけたのだろうと想像しようとするのですが、答えが出てこないものの方が多くあります。
今夜旅行から帰宅しました。また、明日ゆっくりみほさんのブログも拝読しようと思います。
明日からまた記事を書いていきたいと思いますので、こちらこそよろしくお願いします。