2010年 08月 09日
旅立ちの時
そこで、8月7日土曜日に、フランコの友人・知人・家族が集まって、盛大に壮行会が行われ、わたしたちも、ペルージャから、アドリア海岸、イジェア・マリーナにあるフランコ宅まで駆けつけました。少しずつ友人たちが集まってきて、フランコが巡礼中に背負う17kgもあるリュックサックを見たり、激励の言葉を贈ったりしたあと、持ち寄った料理を砂浜に運んで、いよいよ壮行会が本格的に始まりました。天気のいい日で、海の青色が目に鮮やかです。
フランコは、歩くのが好きで速く、キノコ探し、ポルチーニ狩りの達人であるだけでなく、いつでも新しいことに挑戦するのが好きで、しかも、何でもうまく成し遂げてしまうすごい人です。
たとえば、次の写真では、フランコを人生の伴侶、マヌエーラと友人が取り囲んでいるのですが、背後に見えるフランコとマヌエーラの家は、フランコが友人や専門家の助けも借りながら、少しずつ、土台から壁の塗装まで、自分の手で何年もかけて、建てたものです。
わたしがフランコ宅を初めて訪れた、2004年7月の初めには、ちょうどフランコが友人たちと共に、玄関の木製の扉を取りつけているところでした。その翌日には、呼び鈴を設置し、その次に訪れたときには、トイレの扉ができていて、といった具合に、この数年間、訪れるたびに、家が少しずつ完成していく様子を見守ってきました。
色を決めて、外壁を塗装したのが昨年、そして、木と竹を使って、和風を感じさせるベランダの屋根を作ったのがつい最近と、すでに家は完成したものの、今でも時々フランコは何らかの作業に取りかかっています。
さて、壮行会が進むうちに、少しずつ日が傾き、水平線近くを茜色に染めていきます。
夕日を浴びながら、ローリーがフランコに記念品を進呈しています。記念品は、ピザを運ぶピザ職人の置物です。
なぜかと言うと、フランコはかつて、アルゼンチンで友人が営むイタリア料理のレストランで、ピザ職人として働いたという経歴も持っているからです。
「人生でいろんなことに挑戦してきたフランコを、象徴する贈り物」と言いながら、ローリーが記念品を贈呈したのですが、実際、フランコは、バールでバリスタとして働いたり、家具職人をしたり、そして、現在は水道工事屋として働いたりと、さまざまな新しいことに挑戦するのが好きで、どの道もそれなりに究めてしまう人です。転職も、挫折して職を変えるのではなくて、同じことをずっと続けるよりも、新しいことに挑戦してみたいからのようです。
さて、この壮行会には、たくさんの友人が参加しました。夫とフランコは40年以上の長い友情を誇る大親友なので、フランコの友人は、そのほとんどが、夫の友人でもあります。フランコの友人にも、また個性的な人がたくさんいます。
たとえば、この写真の左にいるジャンニは、インドの音楽に魅かれて以来、長い歳月をインドで暮らし、音楽修業および音楽活動に勤しんでいます。インドの伝統的な民族楽器、シタールが専門で、この日の晩も、午前1時頃に、数曲披露しました。隣は、ジャンニと共に世界を飛び回る、スペイン人のマールです。
この写真で、フランコと話しているのは、観光客を乗せて、アドリア海岸を行くアンドレーア・ドーリア号の船長、スピーディです。
写真で右に写っているのは、マヌエーラです。フランコが大冒険に挑んで、3か月も家を留守にするのは、心配なことも多いし、寂しいだろうと思うのですが、気丈な彼女は、「時々フランコに会いに行くし、一緒にも歩くから大丈夫。悔しいのは、わたしは仕事で同行できないのに、フランコだけが巡礼に出かけること」と、にっこり微笑みます。
日が暮れて、吹きつける風がだんだん冷たくなってきたため、砂浜を後にして、二次会の会場へと向かいます。
こちらは、フランコの姉、ルチャーナの庭です。デザートを食べて、おしゃべり。次から次へと、軽快な音楽が流れ、少しずつ踊る人の数が増えてきます。手前には、大きな実のなった桃の木があります。
数か月ぶり、数年ぶりに懐かしい友人に会えて、うれしかったのですが、その一人が、このナターシャです。
フランコと夫の共通の友人である、アルゼンチン人のエドアルドの恋人で、以前からも会う機会は時々あったのですが、昨年秋に、ラヴェルナまで90kmの道を一緒に歩いたときに、すっかり意気投合しました。
今、この記事を書いている間も、フランコはサンティアーゴを目指して、歩いているはずです。行程は3か月で、1か月以内にイタリアの国境を越え、フランスを1か月余りかけて横断し、スペイン国内を1か月ほど歩いて、11月の初めに、サンティアーゴに到達する予定です。
マヌエーラは、食料や必要な品を調達するためにも、時々週末に車でフランコと合流し、共に歩く予定でいます。9月22日からは、彼女自身も10日間ほど休暇を取って、フランコの巡礼の旅に、1部ですが同行をするようです。
さて、今回の巡礼にあたって、フランコがわたしに以前から頼み込んでいたことが一つあります。巡礼中に、次の旅に向けて、日本語の会話を勉強したいから、iPodに、重要な旅行会話表現を吹き込んでほしい、ということです。結局、昨日になってようやく、日本旅行で必要そうな表現を30あまり、紙に書いて、音声を吹き込みました。というわけで、もし日本の方で、これから11月までの間に、サンティアーゴへの巡礼をしようという方がいたら、フランコにお会いの際には、日本語会話の練習相手をお願いします。
誰にでも優しく、おっとりしているけれども、ここはという時には頼りになる、とても芯の強い人です。
がんばれ、フランコ!