イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

宿でびっくり

 「イタリアの背骨を歩く」(記事はこちら)ために、7月15日木曜日から、2泊したのは、こちらの宿、ホテル・プラートスピッラ(Albergo Pratospilla)です。

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 右手にある大きい建物二つがホテルの施設で、まさに緑の自然のただ中にあります。アッペンニーニ山脈の尾根に近い上に、百の湖自然公園(Parco dei Cento Laghi)(記事はこちら)の数々の湖を歩いて訪ねるには、絶好の場所にあるため、こちらに宿泊しました。

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アッペンニーニ山脈の尾根からの眺望とコンピオーネ湖

 地の利がいいので、平日の朝だというのに、ホテル前の広い駐車場に、キャンピングカーが2台とまっています。

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 地の利がいいのは、絶好のトレッキング・コースがあるだけではなく、ホテルの左に見える森の中に、子供たちが自然の中で、思いっきり体を動かして楽しめる百の冒険公園(Parco delle 100 Avventure)があるからです。

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 子供も楽に歩いて行ける距離にパーロ湖(Lago Palo)があるため、金曜日には、先生に伴われた小さい子供たちが遠足をしていました。

 すぐ近くにスキーリフトの乗り場もあり、1年を通じて、食・スポーツなどに関するさまざまな催しも行われます。ホテルの建物も、冬は雪が多く、寒いので、機能を重視したつくりになっています。部屋が20あり、ベッド数40ですから、かなり大きな宿と言えます。

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 題名に戻って、この宿について、何にびっくりしたかと言うと、7月15日木曜日の晩は、宿泊客が、わたしたち二人だけだったことです。アグリトゥリズモやB&Bでは、客が自分たちだけということもたまにあるのですが、夏のこの時期に大きなホテルに二人きり、ということに、まず驚きました。

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 決してサービスや設備に問題があるからではありません。二つ星のホテルとしては快適です。部屋は広くて、ダブル・ベッド以外にも二段ベッドがあり、テレビもあれば、机やタンスもあります。浴槽がなくても、シャワーはあります。前日まで、トイレ・シャワーが共同の山小屋に泊まったり、シングル・ルームに押し込まれてダブル・ルーム料金を払う羽目になったり(記事はこちら)と、宿泊にはあまり恵まれていなかったわたしたちは、大喜びでした。

 このホテル、驚いたことに、週末はすでに満室で、そうと知らずに予約を求める電話が、わたしたちの2泊3日の滞在中に、立て続けにありました。

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ホテル前にあるスキーリフト。奥の小道は、尾根道へと続いています。

 冬はスキー場として長く滞在する客が多いようですが、夏は周辺地域から、週末だけ大勢の客が押し寄せるようなのです。

 平日は閑散としていて、週末だけは毎週満室。夏は例年そういう経営状態で、それでも十分やっていけるからか、宿の主人も、こういうもの、と問題にもしていません。

 アッペンニーニ山脈のパルマ地方東部では、大勢の客が来るのは週末だけで、平日は閑古鳥が鳴くところが、全般に多いようです。

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 たとえば、上の写真のラグデイの山小屋(Rifugio Lagdei)(記事はこちら)では、わたしたちは平日に訪れて、おいしい食事をすぐにのんびり味わえたのですが、今月の日曜日に行った友人たちは、昼食には山小屋の前に長い列ができていたので、あきらめて、別の場所で食べたと言っていました。

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 カサローラ村(Casarola)(記事はこちら)には、おいしいと評判のレストランがあります。水曜日の朝訪ねると、ラヴィオーリを作っている最中で、ぜひ手作りのパスタを食べたいと思った夫が開店時間を尋ねたのですが、「次の営業は土曜日」と言われてしまいました。

 週末に来る客を長期滞在客に変える工夫や対策が必要だと思うのですが、宿やレストランの人も、こういうものとのんびり構えているように見えました。

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宿に着いた日の夕方、夫が宿の前で撮影した三日月です。

 さて、話は戻って、このホテル・プラートスピッラ。夫が宿泊を予約するために、ホテルに電話をしたのは、当日の朝のことです。そのとき、宿の主人からは、「料理担当の女性を探して、夕食のしたくができるかどうか分かってから、折り返し連絡します」と、返事がありました。携帯電話の電波が一定していない地域では、携帯電話に送ったメッセージが数時間後に届くことが、よくあります。午前11時に宿の主人が送った「夕食OK」のメッセージも、夫の携帯電話に届いたのは、その日の晩で、すでに夕食が済んだあとでした。

 そういうわけで、夕食ができるかどうか分からないまま、夕方宿に到着して、夕食が取れると聞いたときには、ほっとしました。レストランのありそうな隣村まで、かなりの距離があるからです。

 そして、もう一つ、宿で驚いたのは、レストランの客も、わたしたち二人だけだったことです。二人しか客がいないのに、わざわざ料理をする人から給仕係まで、必要な人々を集めて準備してくれたことにびっくりすると共に、心から感謝しました。

 さらに驚いたのが、話しぶりから地元出身らしいと分かる主人を除けば、この日、ホテルで働いていた人は、皆東欧やアフリカから来た移民であったことです。

 けれども、料理がどれも、それはおいしかったのです。こんなにおいしいパスタや肉料理は久しぶりに食べたと、二人とも大満足でした。

 パルマ地方のアッペンニーニ山脈の小さな村では、メニューの一覧を客に運ばない店がいくつかありました。少ない客のために多くの料理を常に用意し、そのための材料を常備していては、確かに、食材も無駄になります。

 このホテルでも、わたしたちが食事をした二晩は、メニューの一覧はなく、毎回、宿の主人や料理担当の女性が、その日に準備できるメニューを口頭で説明してくれました。値段が分からないので不安だったわたしたちは、最後にもう一つ、料理の安さにも、びっくりしました。

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 ホテルを去る土曜日の朝には、ところが、レストランの入り口に、値段を記したメニューの一覧表がきちんとありました。手書きなので、やはり手に入る食材や季節によって、メニューも変われば値段も変わるのでしょうが、セルフ・サービスにしても、値段の安さにびっくりです。セルフ・サービスになっているのは、土日は大勢の客でごった返すからのようです。

 夏は、登山や自然との触れ合い、冬は雪やスキーで楽しめるこの場所に、興味のある方は、次のリンクをご覧ください。

LINK 
- Pratospilla - Albergo Ristorante Bar, Impianti di risalita invernale e estivo

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-08-30 16:47 | Emilia-Romagna | Comments(0)