イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ペルージャ田舎風トマト入り炒り卵

 幼い頃からの夫の大好物で、これを作れば間違いなく喜んでもらえる一品です。作るのは至って簡単で、材料も日本で手に入りやすいものばかりです。

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 日本語では、「トマト入りスクランブルエッグ」と言った方が的を射ている気もしますが、義母や夫は、イタリア語で、frittata di pomodori(直訳は、「トマト入り卵焼き、トマト入りオムレツ」)と呼んでいます。

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 材料(2人分)は、 トマト中4つ、卵4つ、玉ネギ2分の1、塩・こしょうを各少々と、オリーブオイルです。ただし、量はあくまで目安ですから、お好みに合わせて加減してください。写真にプチトマトが写っているのは、畑で見つけた最も熟れたトマトを使ったためです。

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 まずは玉ネギを千切りにし、油を熱したフライパンに入れて、しんなりして色が透き通るまで、じっくり炒めます。

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 一方で、トマトをぶつ切りにしておきます。形がくずれて、トマト・ソースになり、さらには汁気がなくなるまでじっくり煮ますので、小さめに切っておくと、煮上がるまでの時間が短縮できます。トマトの皮が気になる方は、最初に皮を湯むきしてください。

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 玉ネギがしんなりしたら、トマトを加え、初めはフライパンに蓋をして沸騰するまで煮立て、煮立ったら蓋を除いて、トマトが形を崩してトマト・ソースになり、さらにそのソースが煮詰まるまで、じっくり煮込みます。トマトの水気がなくなってきたら、塩・こしょうで味をつけます。

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 トマトを煮立てている間に、卵四つを割りほぐし、塩・こしょうで味つけします。卵を混ぜるのに、日本の方は菜箸を使うと思います。イタリアの女性は、フォークでかき混ぜるのですが、初めて見たときはびっくりしました。逆に義母は、わたしが菜箸で混ぜるのを見て、驚いていました。

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 トマトの汁気がなくなったら、フライパンに溶きほぐした卵を加え、手早く何度もかき混ぜます。必要であれば、さらに塩・こしょうを加えて、味を調えます。

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 卵に火が通ったら、できあがりです。火を止めて、お皿に盛りつけてください。義母や夫は普通にお皿の中央に盛ります。

 きわめて素朴な家庭料理です。お義母さんは、トマトと共に玉ネギも使っていますが、夫の友人の母は、玉ネギなしで、トマトと卵だけを具にして作るそうです。田舎や郊外で、自分の家で鶏を飼い、トマトなどの野菜を栽培している場合には、夏には卵もトマトもふんだんにあるために、こういう料理が生まれ、家庭の味として、伝えられてきたのでしょう。

 夫の友人や同僚でも、ペルージャの町中に住む人は、同じトマトと卵を料理するにも、かなり違った調理の仕方をする場合が多いようです。ただし、ペルージャの人すべてに聞いたわけではありませんので、家庭によっても様々な違いがあるかと思います。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Gina at 2010-09-15 10:31 x
台湾にも似たような料理があります。
英語のレシピがありましたので、ご参考まで。
安くておいしい簡単メニューなので私もよく作ります。

蕃茄炒蛋 Tomato and Egg Scramble
2 servings

材料 Ingredients:
蕃茄 3 個 Tomatoes 3 pcs.
橄欖油 1/2 湯匙 Cooking oil 1/2 T.
鶏蛋 3 個 Eggs 3 pcs.
蔥 少許 Green Onions (chopped) 1 T.
糖 1 茶匙 Sugar 1 tsp.
鹽 1/2 茶匙 Salt 1/2 tsp.

Method:
1. Fill a saucepan with water and bring to a boil.
2. Place tomatoes in saucepan for 5 minutes. Remove tomatoes from saucepan, cool, peel off tomato skins.
3. Cop tomatoes into medium size pieces.
4. Heat wok and add cooking oil. When oil begins to ripple, add tomatoes and cook until soft. Mix in eggs, sugar, and salt.
Cook until egg is firm. Top with green onions. Serve.

中国語:
http://www.ytower.com.tw/recipe/iframe-recipe.asp?seq=C01-0476

Commented by milletti_naoko at 2010-09-15 15:29
距離も文化も遠く離れたところで、同じような料理を作っているというのが、おもしろいですね。

違うのは、こちらでは砂糖を入れないこと、トマトを形がなくなるまで煮ること、卵も小さいつ粒状になるまで、フライパンに入れてからひたすらかき混ぜるところでしょうか。

塩より砂糖の分量の方が多いのがおもしろいですね。台湾では、卵料理によく砂糖を使うのでしょうか。



Commented by Gina at 2010-09-15 17:38 x
台湾には他にも『菜脯蛋』または『菜埔蛋』と呼ばれる料理がありますが、
これにも隠し味で砂糖を少し加えます。
卵・台湾風干し大根・刻みネギ混ぜて焼くのですが、
とってもおいしいですよ。
Commented by ゆん at 2010-09-16 21:48 x
ハート形がいいですね ( ̄m ̄*)

私もオムレツは玉ねぎを使って良く作るのですが、
このタイプでは作ったことも食べたこともないので、今度是非やってみます。



横からですが、簡単な野菜炒めにも塩コショウだけでなく、
隠し味に砂糖を少し入れると野菜の旨みが増して美味しいです。
これは、母が料理上手の友達から教わった方法なのですが
もしかして、中華圏から伝わった隠し味レシピなのかも
とGinaさんのコメントを読んで、思いました。

Commented by milletti_naoko at 2010-09-16 22:33
語学コースに通っていた頃は、スペイン人の友達が、玉ネギとジャガイモのたっぷり入ったぶ厚い卵焼きを、よく作ってくれていました。卵料理も国や地域によって違って、おもしろいと思います。

野菜炒めに隠し味として砂糖を入れるとおいしいとは、知りませんでした。すき焼きや肉じゃがを作っていて、砂糖を入れるところを夫に見つかると、嫌な顔をされてしまいます。夫は甘いものには目がないのですが、塩気のものは塩気のもの、甘いものは甘いものと考えていて、食事の料理に「砂糖」という発想が、まだまだ頭にも舌にも受け入れ難いようです。でも、砂糖は控え目、しょうゆは多めにして作ると、喜んで食べてくれます。

というわけで、野菜炒めに砂糖を使うには、まずは夫の目を盗まなければ……
by milletti_naoko | 2010-09-14 23:20 | Gastronomia | Comments(5)