2010年 10月 03日
ロマーニャ伝統の技とデザイン
上質の布地に、版木を用いてデザインを施す職人技は、少なくとも17世紀から、ロマーニャ地方に伝わるものです。
大部分は伝統のデザインで、麦の穂、ブドウ、鶏など、地域の人々の生活に大きく関わってきたものを描いたものです。
伝統の職人芸は、まず版木を作るところから始まります。版木はすべて梨の木を用いて、手で彫り上げたものです。
伝統を守りつつ、新しいデザインにも挑戦しています。たとえば、こういった日本のデザインを扱った本を参考にして、桜をデザインした版木もあるのです。
上の版木が、桜を描いたものです。下はまだ作成中の版木で、麦の穂を描いた伝統のデザインです。
木版につけている色は、鉱物を染料にしたものです。独特の伝統の色は、赤みがかった茶色(ruggine)。作業工程が前後しますが、下の写真でアイロンをあてている絵柄の色が、この伝統の赤茶色(colore ruggine)です。
赤茶色の染料は、酸化鉄と小麦粉、ワインビネガーを使って作ったものです。ワインビネガー(aceto di vino)と言うとしゃれた感じがしますが、こちらの人の感覚では、単に「酢」(aceto)です。日本では米から作る酢が、こちらではワインからできているだけの話であって、いずれにせよ、最も生活になじんだ素材から酢を作っているわけです。
染料をつけた版木を布に押し当て、こうして布に絵柄が写されました。布は上質の綿か麻で、伝統的な天然の素材を用いた布です。色は、赤茶色に加えて、赤や青なども使われています。どの色も洗濯や使用に耐えるのはもちろんですが、最も耐久性があるのは、この伝統の赤茶色だということです。
商品は種類が豊富で、エプロン、鍋つかみに始まって、ガウンやタオル、バッグもあります。
工房、店の名前はアルティジャナーテ(Artigianate)。リミニの町の中心街に近いグラムシ広場(Piazza Gramsci)にあります。アルティジャナーテは、精神に障害を持つ人々を雇用して、制作作業を通してのリハビリや社会参加を促し、社会福祉にも貢献しています。
いつまでも愛用できる、伝統の技とデザインの生きる作品に興味があれば、ぜひ一度、店に足を運んでみてください。お土産としても、きっと喜んでもらえる品だと思います。
(*追記: 2018年11月現在、この店はもうありませんので、ここに記していた店の情報へのリンクは削除しました。)
この写真と最初の写真は、9月19日日曜日に、リッチョーネ郊外で催された助け合い市(mercato solidale)に行ったときのものです。
われらが友人、合気道4段、黒帯のシモーナが、アルティジャナーテの商品販売を担当していたので、同じくリッチョーネで開かれた花市を訪れたあとで、助け合い市にも顔を出しました。
わたしはこの日、上の写真で夫が着用している青いブドウ柄のエプロンを購入して夫に贈り、さらに壁にかかっている細長のビニール袋入れも買いました。スーパーなどでもらうビニール袋はゴミ袋に使えたりして便利ですが、場所を取ります。きちんとたたんで、この細長の入れ物にいれておくと、場所を取らずに、必要なときには下の取り口からさっと取り出して使うことができます。以前から、お義母さんが使っているのを、いいなあと思っていたのです。
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