2010年 10月 16日
旬の味覚を封じ込め
野菜畑でもズッキーニやキュウリはすでに姿を消し、毎日残りわずかになったトマトを大切にいただいているところです。おいしい果物やトマトがたくさんある機会を逃さずに、ですから、保存用のジャムやトマトの瓶詰め、トマトソースを作って、来年また果物やトマトの季節が訪れるまで、少しずつ旬の味がつまった瓶を開けて、楽しむようにするわけです。
今回は、夫がブラックベリーのジャムを作ったときの様子と、トマトソースを二人で作ったときの様子を、写真と共に、ご紹介します。
昨年の10月3日土曜日。夫は早朝から、1時間半ほど車を運転して、アッペンニーニ山脈を訪れ、ブラックベリーをどっさり摘んで帰って来ました。大量の収穫に、顔一面に満足の笑みを見せる夫です。わたしの方は、前日ようやく1週間ほどの突貫作業で仕上げた翻訳を企業に納品したところで、この日はたまっていた洗濯と掃除に終われていました。
まずは土鍋にブラックベリーを移します。
木の葉や枝などが紛れ込んだものがないかどうか確認し、あれば取り除いていきます。まずは砂糖を加えずに火を加え、果実が少し柔らかくなってから、裏ごします。
裏ごししたブラックベリーの重さを量り、必要量の砂糖と共に再び土鍋に入れて、火にかけます。鍋の下の網は、火力が鍋底全体に均等に伝わって、土鍋が割れるのを防ぐために、敷いてあります。
甘い香りが周囲に漂い、いい色になってきました。十分に濃縮するまで、加熱を続けます。できあがったら、煮沸消毒した瓶に詰めます。昨年できたたくさんのジャムは、半分は友人たちへの贈り物、残りの半分は、パンと食べたり、ケーキやパンナコッタに添えたりして食べました。ブラックベリー独特の甘さが口いっぱいに広がって、それはおいしいジャムでした。
今年は9月初めに義父が右足を骨折し、夫が家で義父が請け負っていた野菜畑や家畜の世話にも追われているため、休みの日に楽しみの登山はしたものの、労働になってしまうブラックベリー摘みとジャム作りはしませんでした。義父の足は、幸い今週月曜日にギプスが取れ、快方に向かっています。
トマトソースを作ったのは、今年の9月19日です。前回の記事では、湯むきしたトマトをぶつ切り、あるいは四つ切りにした瓶詰め作りについて、ご説明しました(記事はこちら)が、今回は収穫したトマトの量が多かったこともあり、作業の早いトマトソースにすることにしました。
まずは、トマトを洗い、できあがったトマトソースを入れる瓶を煮沸消毒しておきます。瓶は以前に店で買ったトマトソースの空き瓶をそのまま使用し、蓋だけ新しく買い足しました。
器械で裏ごしするため、湯むきをする必要はありません。トマトを次々と縦に四つに切っていきます。横にある瓶には、来年育てるための種を残したいという夫のために、熟したトマトを選んで、その種を入れていきます。
実は最初は二つ割りにしていたのですが、四つ切りの方が裏ごししやすいということで、後から四つに切り分け直しました。トマトをすべて切り終わると大きな鍋二つがいっぱいになりました。
こちらがトマトを裏ごしする器械です。上から次々に切ったトマトを入れていき、右手にあるハンドルを回すと、裏ごしされたトマトが下方に落ちる仕組みになっています。濃縮トマトジュース上になったトマトが落ちるところに、鍋を置きます。
裏ごしで不用となった部分は、器械の後ろから次々と振り落とされていきます。このトマトのかすが落ちるところにも、同様に鍋を置いておきます。なお、一度の裏ごしではまだ十分にソースとして使える部分もかすとして取り分けられてしまうので、かすとして出てきたトマトも、さらに数回裏ごしをして、トマトの食べられる部分を無駄なく使いきれるようにします。実はこの器械は、本当はトマトソース作り用ではなく、ジャム作り用の製品で、そのために、作業効率がひどく悪かったということです。
鍋二つ分のトマトが、鍋二つ分のトマトソースになりました。鍋を火にかけ、15分ほど沸騰させて、水分を飛ばします。途中で、時々トマトソースをかき混ぜて、熱を均等に配分します。
鍋の火を止め、トマトソースを次々に瓶に入れていきます。
大きな鍋に瓶を入れていきます。瓶と瓶がぶつかって割れることのないように、間に布や紙新聞を詰め、その後で、鍋を水で満たします。
鍋に蓋をして火にかけ、ぐつぐつと沸騰してきたら、そのまま1時間煮沸消毒を続けます。前回の瓶詰めの記事でも書いたように、この時間には同じペルージャでも、各家庭によって差があります。
鍋が鏡のように、カメラで写すわたしを映しているのが、何だか不思議でおもしろいです。
1時間後に火を止めて、そのまま一晩置き、翌日中の水が冷たくなったら、瓶を取り出すことができます。こうして、保存用のトマトソースの瓶が、七つできました。来年の夏、また野菜畑でトマトが採れるまでは、このトマトソースと前回作った瓶詰めを使って、料理をします。夫も義母も、「トマトの季節でない時期に、わざわざハウス栽培のトマトは買わない、料理に使うトマトは自分たちで作った保存用のものを使う」という主義なので、わたしもそれに従っています。
収穫の秋、実りの秋は同時に冬に備える時期であり、そのため、ペルージャでは中世から、大がかりな市場、死者の市(Fiera dei Morti)が立ち、長く辛い冬を乗り切るための食糧などが販売され、現代のトスカーナ州にあたる遠方の町からも、多くの人々がこの市を訪れていたそうです。
今年の死者の市は、11月1日から11月5日までで、会場は例年通り、ピアン・ディ・マッシアーノです。ペルージャ中心街からは、ミニメトロで15分足らずです。10月1日から、市内バス・電車およびミニメトロの乗車券が、1ユーロから1.50ユーロに値上がりしていますので、ご注意ください。
一方、今日ペルージャで始まったのが、毎年恒例のチョコレート祭り、Eurochocolateです。今年の開催は、10月15日から24日までです。中心街いっぱいにイタリアと世界の各地から来たチョコレートの店が並び、チョコレートの巨大な塊を彫刻するところが見られたり、さまざまなチョコレート菓子やケーキの味を楽しんだりすることができます。土日はひどい混雑で、ラッシュ時の日本の駅のようになるので、平日の方がゆっくり楽しめるかと思います。
近くにおいでの方で、チョコレートのお好きな方は、ぜひ足を運んでみてください。ちなみに、ペルージャで、チョコレートがとびきりおいしい専門店は、外国人大学のガッレンガ校舎の前にある、Augusta Perusiaという店です。おしゃれなチョコレート菓子や、チョコレートのリキュールが店内に並び、アイスクリームもおいしいのでおすすめです。(詳しくはこちら)
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
こちらは先日トマトが1個300円で売られていてわなわなしたところです。汗
手作りジャム・手作りトマトソース本当においしそう!
はじめまして。大裕さんのブログからきました。
素敵な街並み、おいしそうな果実、たのしそうなご主人、
うらやましい~!!!笑
私も母がなんでも手作りしてしまう人で、
同じような感性の方がいるのかと思うと、
なんだかうれしい気持ちになりました。
またおじゃましますね!
夫はこういう情熱をお義母さんから受け継いだのだと思います。義母は、庭の木になるサクランボ、イチジク、リンゴを次々とジャムにしてゆき、毎週日曜日には大家族皆がそろう昼食のために、手打ちのパスタ作り。
訪問とコメントをありがとうございます。ブログ拝見しました。お若いのに美しい地球、環境を守っていこうと動かれているのが、すばらしいと思います。実は夫が養蜂に関心もあり、「ミツバチの羽音…」という講演とても興味深いです。
実は、この裏ごしの器械は、本来はトマト用ではなく、よく覚えていないのですが、サクランボかスモモか、とにかく何かの果物専用の裏ごし器なので、夫は、「安く上げようとするから、作業がしづらい」と嘆いていました。
我が家で毎日料理の際に裏ごしするのに使っている裏ごし器は、下記のようなもので、日本でも手に入るようですが、これは家庭用であって、産業用のものがどんなものかは分かりかねます。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0019K7WX8/ref=nosim/?tag=uchiko2001-22