2010年 10月 22日
聖フランチェスコとビール

フランチェスコ修道会の特徴である深い茶に身をつつんだ修道僧が、それはそれはおいしそうにビールのジョッキを傾けています。ラベルに、Franziskaner Weissbierとあり、オンラインの独伊辞典や各国語版のWikipediaによると、「フランチェスコ修道会の白ビール」と書いてあるようです。

初めてスーパーで見かけたとき、「なぜこういう名前なの」と夫に尋ねると、「イタリアの修道院ではワインを作っていたけれど、ドイツの修道院では、ビールを作っていたからだよ。」と言っていました。アッシジの聖フランチェスコは、夫の家族が特に敬愛する聖人で、義父母がその記念日である10月4日に結婚式を挙げたほどです。夫の名前も、祖父の死さえなければ、ルイージの名を受け継ぐ代わりに、フランチェスコとしたかったとお義母さんが言います。ちなみに、普段は使わず証明書にもないのですが、夫の二つ目の名は、フランチェスコだそうです。
最初は聖人への崇拝と興味から手に取ったビールなのですが、味も気に入ったため、この夏夫が家で最もよく飲んだのは、この「フランチェスコ修道会の白ビール」でした。

記事を書くにあたって、イタリア語版のWikipediaで「Franziskaner」を調べると、「ビール工場がフランチェスコ会修道院の近くにあるため、この名がある」とあります。そして、「ビール」(Birra)の説明を見ると、「中世に、製造されるビールの質が一気に向上したのは、まさに修道院のおかげであった。修道女までがその任務の一つとして、ビール作りを受け持ち、作られたビールの一部は、病人や巡礼者のためのものであった。」とあります。

修道院の基本となる生活信条は、「祈れ、働け」です。ラヴェルナの修道院でも、一人ひとりの修道僧たちが、自分自身の特技や本来の職業を生かして、それぞれ修道院の生産活動の一部を担って、働いていました。そうした僧たちの職業や暮らしぶり、また生活用品などを展示する博物館も、ラヴェルナにあります。上の写真に見える鐘楼の下の扉をくぐり、まっすぐに廊下を進むと、左手に博物館の入り口があります。
畑を耕した僧もいれば、薬剤師として働いた僧もいて、また、楽器を担当した僧もいることが、博物館を訪れると分かるのですが、ドイツの修道院では、多くの修道僧や修道女が、ビールの生産に当たっていたのでしょう。
このビールをブログの記事にすることを思いついたおかげで、思わぬヨーロッパ中世の歴史の一こまを、垣間見ることができました。


日本の修道会では比較的お菓子を作っているところが多いです。
函館のトラピスト修道院のクッキーが一番有名ですかね。
同じトラピスト会でも地方によって違うものを作っているらしいのですが、私が好きなのは那須のトラピスト会が作っているガレットというお菓子。固焼きのワッフルみたいな形で美味しいですよ。
でも、確かにその地その地で、取れるもの、好まれるものを作るのは道理にも経済にもかなっていますよね。中世、病人や巡礼者にビールを提供していたというのにも、びっくりしましたが、アルコールは何でも、疲れをいやし士気を高めるのに役立つのでしょう。
函館のトラピスト修道会というと、札幌に住んでいた頃、父の出張土産がこの修道会のチーズだったように覚えています。クッキーも有名なんですね、懐かしいです。那須の近くに行ったら、ぜひこの修道院でガレットを味わってみたいと思います。イタリアでは、Camaldoliの修道院のチョコレートがおいしくて、他にも薬草を使ったクリームやリキュールがありますが、修道院伝統の製法に従って作ってはいるものの、どうも今では他のところで作られているようです。
昨夜写したビールの写真は何だか暗かったので、今朝になってオリーブの見える窓辺で撮影して、写真を置き換えました。
瓶ビールと言えば、数年前にフランスとベルギーを一人旅した際、お土産にとブリュッセルで可愛らしいパッケージの瓶ビールを買い込み、フーフー重い思いをして持ち帰ったことを思い出します。ところが、2年ほど前に近所にベルギービールの専門店が出来ました。先日も別の場所に立ち飲み風のお洒落な感じの店で、ベルギービールを売りにしているところを見つけました。日本のビールは風土的なものか、苦味が強くてキリリとした味わいが特徴ですが、あちらのものは様々な風味が楽しめていいなと思います。
あ、ちなみに私は辛党&甘党の両党使いですので、チョコレートにも↓目がありません(笑)
はじめまして、かっぱの夫婦です。
hiroさんの「人生はチョコレート」への書き込みを拝見して、
訪問させていただきました。
私たちは毎年ヨーロッパへ旅行にでかけます。ラテン民族の国が好きで、イタリアへは3,4年に1度必ず行くことにしております。
以前聖フランチェスコの足跡の一端に触れたくてアッシジへ行きましたが、非常に印象深い街で記憶にのこりました。
その後アッシジからアレッツオに向かったのですが、途中のペルージャに降りようかどうか迷いました。
そのときは時間がなく、シエナとサンジミニャーノにも行く予定でしたので、残念ながら通過してしまいました。
ラファエロも好きで、ペルージャ時代のラファエロの軌跡にも触れたいと考えておりますので、
いつかペルージャにもお邪魔する予定でおります。
milletti_naokoさんのブログで勉強してから訪れると
楽しみも興味も倍増しますね~。
チョコレートが大好きなかっぱ♂にとりましては
レポートで拝見した「チョコレート祭り」はまさに
聖なる祭りで神々しく感じました。
これからもときどき寄らせていただきます。
失礼いたしました。
残念ながら「スチュワードデス物語」は見たことがないのですが、アッシジの修道院がそういうドラマの舞台にもなっていたんですか。知りませんでした。建物一面がさまざまな絵画に覆われた場所もあるのですが、わたしは素朴で温かみのあるジョットの絵がとても好きです。
訪問、コメントありがとうございます。もの割りあうも多少の縁、ですね。
コメント、ご訪問ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします。お名前から、つい昔むかしの黄桜のコマーシャルを思い出してしまいました。
聖フランチェスコについては、もし時間が許すようであればぜひ、聖痕を受けたというラヴェルナも訪れてみてください。わたしたちが一番聖フランチェスコの行き方や人生を感じるのはこのラヴェルナです。また、トスカーナになりますが、コルトーナの近くにも、聖フランチェスコゆかりの美しい場所があります。ただ、いずれも車でないと行くのが難しいのが難点でしょうか。トラジメーノ湖に浮かぶマッジョーレ島にも、自然と静寂を愛する聖フランチェスコの足跡やゆかりの場所があります。
チョコレートがお好きなんですね。今日は義弟夫婦と姪っ子たちが訪れ、日曜日なのでイベントも多く、チョコレートの塊を無料で配布したりもしていたそうです。わたしがご紹介したのはごく一部だけなので、ぜひ一度チョコレート祭りにいらして、チョコレート尽くしを楽しんでみてください。