2010年 12月 20日
イタリアのクリスマス ~ プレゼーペとクリスマスソング
こちらは、今年1月3日に、ペルージャ郊外にあるモンテマルベの修道院で撮影したプレゼーペです。
この修道院では、教会内祭壇前のプレゼーペ(上の写真)に加えて、敷地内の別の場所にも大がかりなプレゼーペが飾られていました。
右にキリスト誕生の場面、中央には砂漠があり、砂漠の奥には海と空が見えます。照明や音楽を効果的に使って、1日の流れも表しています。空は、やがて赤く染まったあと、徐々に青く、そして暗くなります。
そして、前方に見える焚き火の明かりや左手に見える町の屋内の照明が際立つようになります。暗くなった空には、やがて聖母と受胎を告知する天使の姿が浮き上がり、彗星が走ります。
砂漠の左手では羊飼いたちが羊の番をし、そのさらに左には町があって、家の中でさまざまな職業に営む人々の動きを見ることができます。
鍛冶屋は鉄を打ち、牛を使って穀物を挽く人がいれば、布を織り上げる女性もいる、といった具合で、さまざまな職人をかたどった人形は、巧妙な仕掛けによって、仕事をするのに関わる体の部分や仕事の道具が動くようになっています。
聖フランチェスコは、「人々が、イエス・キリストが生まれてきた際の寒さと貧困、素朴さを実感し、神の人間への愛を感じとれるように」と考えて、プレゼーペを考案したそうです。
イタリアで愛されるクリスマス・ソング、『Tu scendi dalle stelle』(題を訳すと、「あなたは空から降りて来る」)の中でも、神の御子が凍りつく寒さの中、衣服や火に不足する貧しさの中に生まれてきた様子が、歌われています。歌詞と共に、メロディーも美しく、わたしも大好きな歌です。
この歌を子供たちが歌う美しいYouTubeの映像(詳しくはこちら)を見つけました。クリスマス飾りに彩られたの街や家庭の映像も、それは美しく、心が温まりますので、ぜひご覧ください。画面には、イタリア語歌詞の下に英訳も添えてあります。また、1番と2番の歌詞については、日本語の全訳とイタリア語の解説を、メルマガ第29号(リンクはこちら)に載せてあります。
イタリアのクリスマスと年末年始の行事について、より詳しく知りたいという方は、メルマガ第60号(リンクはこちら)に、バックナンバーの関連記事へのリンクをまとめてありますので、参考にしてください。
↑ *2020年1月追記: ヤフージオシティーズのサービス終了のため、リンク先のサイトがなくなってしまっています。このブログに記事を転載次第、リンクを追加するつもりでいます。
クリスマスって、お国によってまた違いがあるものなんですね~。
プレセーペというんですか。クリスマスというと日本では派手やかなイメージばかりですが、こういうおごそかな雰囲気のものも良いですね。あたたかみを感じます。
食卓はやっぱり、にぎやかそうですね♪
凸d(^ー^)応援pochi!
イタリアのクリスマスは、教会のミサに参加し、家族皆で祝います。日本のお正月に近いものがあるかもしれません。一方、大晦日の晩は皆で食べたり飲んだりにぎやかに過ごして、乾杯と共に新年の訪れを祝い、花火を打ち上げるところも多くあります。
いつも応援ありがとうございます!
キリスト教が盛んな国だからでしょうか。
クリスマスミサなどには行くのですか?
一度、スウェーデンの教会で子供たちの聖歌を聞いたことがあります。
みな天使のように可愛く、声も澄んでいて、心が洗われた記憶があります。
そちらの教会は大きくて綺麗なのでしょうねー!
クリスマスは厳かな式なんですね。
こちらでは意味もわからずにクリスマスをプレゼント
を贈る日なんて勝手に思い込んでいます。
街に暮らす人々の様子など興味深いですわぁ。
神の御子がお生まれになった日…敬虔な気持ちを味うことが
出来ました。
ありがとうございます~
子供たちはまだまだ「すてきなプレゼントをたくさんもらえるうれしい日」と受けとめているようですが、やはり敬虔なカトリック教徒にとっては、最も重要な行事の一つで、日頃はミサに行かない人さえ、この日は参列する人が多いようです。
教会の大きさや美しさはまちまちです。古代ローマ時代の教会から、ロマネスク・ゴシック・ルネサンス・バロックなどを経て、近現代の建築へと、各地のいろいろな教会に、当時の歴史・建築様式や地方色が見られておもしろいです。
救いの御子の生誕を祝う祝祭日で、4つ前の日曜日からクリスマスの準備期間に入り、教会祭壇に大きなロウソクを四つ立てて、毎日曜日に一つずつ新たなロウソクに火をつけていきます。
とは言え、子供たちにはやはり「プレゼントが楽しみ」である日という意味合いが大きいようです。
やっぱり、同じクリスマスとはいえ、お国柄が出ますね。
本来、キリストの降誕を祝う日ですものね。
このプレセーペというお人形を飾る風習を知るにつけ、
しみじみ考えさせられました。
日本はもともと、宗教について深く考えるようなことはなく、
クリスマス商戦という言葉がぴったり。10月終わり頃から
派手に飾り立てて、肝心な12月になると、お正月用品と
ごちゃまぜになっているあたり...、なんだかなぁ(笑)
今でこそ、ずいぶん落ち着きましたが、ひと頃のクリスマスと
いえば、プレゼントと高級ディナーと、高級ホテルご宿泊の
豪華3本立てがないと始まらない...みたいなイメージがあって、
たぶん、外国の方から見たら、異常な雰囲気だったんだろうなぁ
と、なんだかフクザツな気持ちになったりします。
皆様のコメントやお返事を拝見していると、お子さんたちは
プレゼントを貰える楽しい日...という認識とのこと。
私もひょっとしたら、そのレベルかも...(笑)などと思いつつも、
そんな無邪気さに、ちょっぴりホッとしたりして...。
でも、イタリアのクリスマス。素敵そうです!
去年、イタリア語のお稽古でイタリアのクリスマスについていろいろと教わりました。
アドヴェントから始まる、クリスマス。
プレセーペには、毎日少しずついろいろとくわえていき、最後にみどりごのイエスを飼葉おけにそっと置いて、プレセーベは完成する、ということなども・・・
私はクリスチャンではないのですが、この時期が敬虔なクリスチャンにとって本当に大事なとき、ということは、本当によくわかります。
『Tu scendi dalle stelle』、美しい曲ですねぇ・・・
なんともしみじみとしてしまいました。
私の記事へのイタリア語へのアプローチの仕方についてのコメント、本当にありがとうございます!
naokoさんの言葉は、ああ、そうなんだよね、と心の中にすーぅっと入ってきました。
焦らずに少しずつがんばりますね!
メルマガも楽しみにしています^^
実はイタリアの従来のカトリック教色の色濃いクリスマスも、少しずつアメリカ文化・消費主義の影響を受けつつあります。義父母は息子たちを、「贈り物をくれるのは幼子イエスだ」と伝統に従って育てたのに、孫娘たちは、保育園でも、小学校でも、そしてテレビでも、「サンタクロースがプレゼントを運んでくれる」と聞かされて、贈り主はサンタクロースだと思い、周囲もそう言って聞かせているのを、とても残念に思っています。
日本は多神教のおかげか、多文化を緩やかにうまく自国の文化や慣習の中に取り込んでいっているかと思います。こういう外国の宗教・風習が日本の中に商戦と共にうまく入り込んでいる(?)ものの一つに、バレンタイン・デーのチョコレートがあるかと思います。イタリアでは恋人や夫婦が共に過ごして、ささやかに祝い、男女を問わず贈り物をしたりする日です。日本のバレンタイン・デーをめぐるドラマを話したら、イタリアの友人がそれは興味深そうに聞いていました。
何はともあれ、みほさんがお菓子作りの腕をふるえる行事が、こうした外国文化の取り込みのおかげで増えているのですよね。
『Tu scendi dalle stelle』、教会で歌われるさまざまなクリスマスソングの中で、一番好きな歌です。メロディーが美しくて、歌いやすくもあるし、リンクを貼ったYouTubeの映像がとにかくすてきなので、わたしもしみじみと感動しました。毎年、夫の属する合唱団が、12月26日にクリスマス・コンサートを行い、世界各国のクリスマス・ソングを子供たち、そして歌を愛する大人たちに贈っているのですが、この歌も、毎年必ず登場します。
実は、プレセーペについては、キリスト生誕の場面は、12月25日に、幼子イエスが登場して完成するのですが、さらに場面を日にちに忠実に発展させると、1月6日に、この日訪れたとされている東方の三博士やラクダ、貢物を置くことになります。中には、クリスマス前の今から、幼子イエスや三博士を置いている先取りプレセーペを飾っている場所もたくさんありますが……
イタリア語は英語と違って、まだまだ学習教材も情報も、そして触れる機会も少ないので、自分から積極的にそうしたものを探しにいき、根気づよく、時々自分の「やる気」を高める工夫もしながら、頑張る必要があると思います。Buon studio!
ということは、腹ごしらえをしっかりされたんですね!特に大がかりなプレセーぺには、1日の時間の移り変わりをうまく照明を使って表したもの、夜空に浮かび上がる星や像などを工夫したものがあって、興味深いです。