イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

だまされたかな? 蔓延・多様化するインターネット詐欺

 わたしにはメールアドレスが二つあって、主に日本用・イタリア用と国別、言語別に使い分けているのですが、そのどちらのアドレスでも、よく迷惑メールを受け取ります。

 日本語で届く迷惑メールは、ダイエットや金儲けが簡単にできると謳ったものや、いかがわしい交友の誘いのメールがほとんどなのですが、イタリア語で届くメールには、いわゆるフィッシング詐欺のものが圧倒的に多いのです。こんなことから、メールを受け取る側の、あるいは犯罪者側の国民性に違いがあるのだろうかと思ったりもするほど、スパムメールの内容が対照的です。

 出会い系のスパムメールにしても、日本の場合には、「寂しさをいやしてくれれば、お金を差し上げます」のようなあきらかに疑わしいものが多いのに対して、イタリアの場合は、まじめな交際を考える人も利用することが多そうな出会い系サイトからの勧誘だけです。イタリアの知人や友人の中には、こういうサイトを通じて知り合ってつきあい始め、結婚を真剣に考えている人もいますが、ニュースを見ていると、恋人や配偶者がいるにも関わらず、それを隠して相手を探すような輩もいます。犯罪に巻き込まれる可能性もありますので、この手のサイトには十分ご注意ください。

 ただ、わたしが受け取るイタリア語の迷惑メールで最も多いのは、先にも述べたように、フィッシング詐欺です。銀行や郵便局などを装って、「あなたの口座が凍結されました。再度使えるようにするには、以下のリンクから、ホームページで個人情報を確認してください。」と、個人情報を尋ねてるものがあります。

 かと思うと、どこかの国で資産家が多額の遺産を残して亡くなって、その遺産を受け取り手としてあなたが選ばれたとか、運よく多額の宝くじに当選したとかいう理由を述べて、個人情報を盗み出そうとするメールもあります。

 こういうフィッシング詐欺による犯罪の被害が後を絶たないため、イタリアには、消費者がこうした詐欺を通告し、また出回っているフィッシング詐欺情報を説明した記事を説明したサイトもあります。

 そんなにうまい話が転がっているはずがない、と普段は注意してこういうメールは削除したり、迷惑メールに指定しているわたしですが、つい昨日、詐欺とは言わないまでも、誇大広告にまんまと乗せられてしまいました。

 実はこのメールを受け取ったのは2度目で、一度目は話に乗りかけたものの、最後の最後で考えを変えて、支払いはしなかったのです。それが昨日、2度目のメールでは、「あなたは幸運にも選ばれました」とか「あと7分以内に答えなければ」とかいう誘い文句に釣られて、ついついお金まで支払ってしまいました。

 メールを寄こしてきたのは、Gruppo OmniGeo Italiaと称する業者です。観光に関するアンケート調査に協力すれば、提携している観光業者のホテル一覧にあるホテルから、ホテルを一つ選び、そこに2人で、無料で7日間宿泊できるクーポンを提供するが、この宿泊が無料なのは、ホテルにとってもいい広告になるからだ、といった旨のことがメールには書かれていました。

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 「選ばれました」、「あと7分」という言葉に急かされて、アンケートに答えるだけならお金もかからないし、と思って答えていると、最後の画面に、ホテルのクーポンを受け取るためには、クーポン発行・送付の料金を払う必要があるとでてきました。実は、前回は、ここであやしいなと思って、作業を止めていたのです。それが今回は、PayPalを通じて、クレジットカードで払う料金は、17.5ユーロでそれほど高くない上に、少しお金を払わなければいけないので、よけいにホテルの広告もかねての無料宿泊が、本当らしく思えたりしたために、結果的に、自分の個人情報を知らせた上に、この送料の支払い手続きを済ませてしまいました。

 それが、夫に話したら、「それは詐欺では」ということになり、インターネットでいろいろ情報を調べると、幸い、同じようなメールを受け取って、話に乗るべきかどうか悩んでいる人の相談や、実際に利用して旅行に行った人のコメントがあるブログやサイトが、いろいろ見つかりました。こうしたサイトを読み込むと、どうやら以下のような事情であることが分かりました。

・完全な詐欺ではないけれども、メールの文面ほどうまい話ではない。
・7日間の無料宿泊券が受け取れるのは事実だけれども、代わりに、その間の食事代をすべて宿側に自分で支払う必要があり、結局自費でホテルに泊まるのとあまり変わらない結果になることも多い。
・観光客の多い時期には、ホテル側が無料宿泊券での利用客を受け容れなかったり、食事の料金をかなり高く設定することもある。
・問題が起こった場合に、相手にしなければいけないのは、アメリカの会社であり、直接連絡しなければいけないのは、ポーランドの会社である。
・オンラインでデータを入力し、支払いを済ませてから、無料宿泊券が自宅に届くまでには、数週間かかる場合もある。

 送料を支払ってしまう前に、こういう情報をきちんと調べておけば、むりやり旅行条件を規定されてしまう、それほどおいしくないこういう旅行・宿泊の誘いには乗らなかったのですが、すでに払ってしまったものは仕方がありません。

 実際に、この無料宿泊券を使って、安くいいホテルに泊まることができたというコメントを残している人も何人かいます。ただ、わたしたちの場合、ホテルに泊まっていても、昼食は別の店で食べたり、トレッキング中にパニーノで済ませたりすることも多く、場所も料金も共によさそうなホテルが、この業者と提携している宿の中にはないかもしれません。実際、観光シーズンを避けると、他の旅行業者のサイトから、あるいはホテル自身に連絡を取って、格安料金でいいホテルに宿泊できることも多いのです。

 というわけで、まずは贈られてくるであろう無料宿泊券とホテルの一覧を見て、もしよさそうなホテルがあれば、この宿泊券を利用するけれども、あまり得るところがないようであれば、17.5ユーロは、世の中にはいろいろな詐欺や誇大広告もあると、勉強させてもらったと思って、あきらめるつもりでいます。

 皆さんも、こういうメールを受け取ったときには、よく内容を確かめて、インターネットでその信憑性も確認してみてください。もし話に乗る場合でも、必ずどういう条件が提示されているかなどをしっかり読んでおくこと。わたしが今回、支払いを済ませたあとから参考にしたサイトにも、こういう忠告が書かれていました。

 写真は、宿の主人にうまくかつがれたような気がして、宿泊して、とても後味の悪かったB&Bです。(記事はこちら

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Yuka at 2011-02-10 10:20 x
やはりおいしい話には裏があるのですね。
私の周りにも詐欺まがいのことにひっかかった人が何人かいます。
私はお声がかかってもメールが来ても全部無視しているのですが、友人はマルチ商法に勧誘されたり等しているみたいです。一度池袋を歩いていたら、本屋にたどり着くまでに7人から「手相を見せてください」と言われてびっくりしたことがあります。日本人は騙されやすい人が多いのか、悪徳商法が蔓延している気がします。
イタリアにもそういうメールがきたりするのですね…
料金が発生する場合は要注意だと思います。
本格的な詐欺メールではなくてよかったですね!
Commented by ゆん at 2011-02-10 13:42 x
おもしろいなー、迷惑メールでもお国柄があるのですね~
確かに日本の迷惑メールはタイトルから何から全てが怪し過ぎて開封する気にもなりませんが、フィッシングとなるとやっかいですね。

以前、遺産の受取人に選ばれました・・・というメールを受け取ったことがあって、あまりに珍しかったので思わず開封して中身を読んでしまいました。そんな話があるわけないと思ってそれきりでしたが、なるほど、うっかりクリックしていくと、個人情報を盗まれてしまうのですね。勉強になりました。

使い勝手のいい宿泊券だといいですね。

Commented by milletti_naoko at 2011-02-10 17:18
ゆかさんへ

イタリアで知り合った女性が、とても報酬のいい仕事の説明会がると聞いて出かけたら、詐欺まがいの電話商法で電話をかける仕事で、自分にはできないと断った、と聞いたこともあります。日本でも確かに、これは明らかに悪徳商法と思われる広告をよく見かけたような気がします。人の弱みや信頼につけこんで、そういう心ないことをする人がいるのが残念です。

まったくの詐欺ではとりあえずないようなので、よかったと思っていますが、わたしも以後は気をつけます!
Commented by milletti_naoko at 2011-02-10 17:23
ゆんさんへ

件名に、郵便局やクレジットカード会社からの連絡とあると、ついつい開き、個人情報を入力してしまう人が多いようで、データを悪用されるケースが後を絶たないようです。メールの本文も、いかにも本当に郵便局や銀行であるかのように装ったスタイルになっていたり、それらしいリンク先の名前が設けられたりしています。

もう払ってしまったので、新しい旅行先を開拓する役に立ってくれればと思っています。提携ホテルが、たどり着きにくい場所にあることが多いというコメントを書いている人もいるので、やはりイタリア国内で車で行ける宿や場所を中心に考えてみるつもりです。
Commented by ムームー at 2011-02-10 18:02 x
なおこさん
いろいろな方法で私達は狙われているのですね、ついついわからずって事があります。
今は娘に聞いています。

お年寄り二人だと、騙されそうですもの。
以前、訪問で下水が詰まってるから、見せて欲しいと
台所に入ろうとした怪しいのがありました。

宿泊券素晴らしいところに出会えるといいですね。
Commented by milletti_naoko at 2011-02-10 18:20
ムームーさんへ

以前に弟から、日本で問題になっていた「オレオレ詐欺」について聞いたことがあります。人がお互いに信じあえて暮らしていけたらいいのに、世の中に疑ってかかる必要があることや人が多いのは、残念です。

下水や水道、電気の配線の修理を偽って、お年寄りの住む家に入り込んで、金銭を盗むという犯罪は、イタリアでも時々あるようです。お互いに注意しましょう。

宿泊券、禍転じて福となってくれたらいいな、と思っています。
Commented by bianchi_saitoh at 2011-02-10 23:47 x
なおこさん、こんばんは。
微妙な内容の話ですね。よく日本では「高い授業料を払った」といった表現をしたりしますが、イタリア人の人もそのような表現、又は考え方をするのでしょうか?

自分は今のところありませんが、仕事では取引相手やお客様にはいろんな方がいて結果として授業料を払う事になる時もあります。
事前には予測できない事もあります。

ところで昨日のアロマの話のアドレスぜんぜんダメでしたね。
自分も触発されて今日ネットでアロマポット購入しました。
週末タイムセールで格安商品をゲットしたんですが大丈夫かな?

キャンドルで直火タイプやライト(LED)などいろいろあるんですね。 火は危ないのでライトタイプにしました。

近年、花粉の量が少なかったが今年は多いとのこと。少しでもアロマ効果あるといいのですが。
Commented by milletti_naoko at 2011-02-11 00:24
bianchi_saitohさん、こんばんは。

わたしも今回、「高い授業料を払った」と書こうと思ったのですが、それほど高くないかなと思い直して、「勉強させてもらった」と書いたんですよ。今ふと思いつく範囲では、こちらで該当する表現は思いつきません。こちらの人はだまされたと思ったら、とにかく腹が立って収まらない傾向があるので、「高い授業料を払った」と思ってあきらめることはあまりないような気もします。こういう詐欺もだんだん手が込んできて、インターネットの発達をうまく利用したりもして、本物らしく装うので、見分けるのが本当に難しいですよね。

わたしもいろいろインターネットで調べて、店でも探してみます。他にもミントティーを飲んだり、首の後ろをドライヤーで温めたりすることは、今からできるので、やってみるつもりでいます。対策を十分に練って、軽減できる症状は、できるだけ軽減したいものですね。
by milletti_naoko | 2011-02-09 19:06 | Altro | Comments(8)