2011年 02月 12日
新聞と芸術の町
たとえば、こちらペルージャ(Perugia)の目抜き通り、ヴァンヌッチ通り(Corso Vannucci)にも、2箇所ほど、この販売店があるのですが、上の写真では、その一つが右下に見えています。ペルージャの中心街ともなると、こうして1日中営業しているのですが、我が家に近い郊外のedicolaは、午後は閉まっています。
edicolaでは、イタリアの二大有力紙、『Corriere della Sera』、『la Repubblica』を始めとして、他にもいろいろな新聞や雑誌が売られています。上の写真のla Repubblica紙は、2月1日のもので少し古いのですが、わたしは、この新聞表紙の左下の広告で、雑誌、『Meridiani』2月号が、日本特集号(記事はこちら)だと知って、購入しました。
日本では、雑誌は本屋で売られているのですが、イタリアでは雑誌は書店ではなくて、こうしたedicola、新聞・雑誌販売店で売られています。大きいスーパーだと、一隅に、小さい新聞・雑誌販売コーナーがある場合もあります。ペルージャでは、たとえば駅前のCOOPやSan Marco FornaciのPAMでも、新聞や雑誌を買うことができます。
二大有力紙は、どちらも歴史と権威があり、政治的な偏りが他紙に比べると少ない(と言ってもやや左よりです)新聞なのですが、わたしのお気に入りは、『la Repubblica』紙です。『Corriere della Sera』に比べて、グラフや図示などのおかげで、記事の内容が分かりやすいし、読みやすく、自分が興味のある記事も、見つけやすいからです。
ただし、木曜日に新聞を買うときは、『Corriere della Sera』、金曜日には、『la Repubblica』を買うようにしています。この曜日には、それぞれ、『Sette』、『il Venerdì』という雑誌と共に販売されて、ふだんは1ユーロの新聞が、雑誌と一緒に1.5ユーロになるのですが、この雑誌は、時事問題や文化を扱った記事が非常に充実している上に、1週間のテレビ番組一覧表と、テレビで放映される映画の詳しい説明があって、重宝するからです。
ちなみに、上の写真でご紹介した『la Repubblica』紙は、ちょうど長友選手のインテルへのレンタル移籍が発表された翌日のものでした。スポーツ欄にはご覧のように、数多い移籍した選手の中から、選ばれて写真でも登場し、さらに、記事の中でも、長友選手の移籍について、いろいろと書かれていました。「インテルは、長友選手の獲得によって、選手が試合に参加する前から、まずは日本のマスコミから注目を集めることに成功するであろう」といった内容の文も、ありました。きっと、中田選手がペルージャで活躍していた頃のことから類推して、そういう予想をしたのでしょうが、インターネットを通して、日本の方の長友選手移籍への関心の高さを知るにつけても、この予想は、みごとに当たっているなと思いました。
話を元に戻して、イタリアでは、新聞は読者が年間購読をして、毎日欠かさず買ってくれるわけではありません。そこで、新聞をできるだけ多くの人に買って読んでもらおうとするためか、新聞と抱き合わせて、人気のある歌手たちのCDやレシピ全集、文学全集、芸術に関わるシリーズ本などを、お得な値段で提供していることがよくあります。
たとえば、こちらの画家、カラヴァッジョ(Caravaggio)の画集は、『Corriere della Sera』と共に、売られていたものです。数々の名作が写真と解説と共に紹介されて、とてもよくできているのに、新聞社と画集の出版社の提供のおかげで、比較的安い値段で買うことができました。
こちらは、「イタリアの偉大な芸術の町」というシリーズの1冊。新聞、『Il Sole 24 ore』と共に販売されていました。ちょうどシエナ(Siena)の町で下宿生活を始めた頃に売られていたので、これはと思って購入したのですが、シエナの町の美しい建築物の概観や内部の絵画・彫刻などが、多数の写真と詳しい解説と共に紹介されている上に、書かれていることを読み上げたCDまでついていました。
以上はすべて、何年も前に買った本ばかりなのですが、最近注目して、時々買っているのが、こちらの芸術の町(Città d’arte)シリーズです。上の写真に見えるのは、シリーズ2冊目の『Roma antica』(古代ローマ)。『la Repubblica』紙と、時事問題を扱った週刊誌、『L’espresso』を扱っている出版社が、後者(3ユーロ)と抱き合わせで、12.9ユーロ(つまり本の単価は9.9ユーロ)、あるいは、さらに『la Repubblica』紙を加えて、13.9ユーロで販売しています。
こちらの写真は、昨日購入したシリーズの4冊目、『Città d’arte - Firenze』(芸術の町、フィレンツェ)の98・99ページです。フィレンツェの大聖堂、Cattedrale di Santa Maria del Fioreのクーポラの構造が、図解で説明されています。この本は、全383ページで、大聖堂についての写真と説明が、14ページもあります。このぜいたくな紙面の使い方からも、それぞれの町の見るべき建築物や芸術作品を、ふんだんな写真を使って、詳しく説明していることが、お分かりかと思います。
夫には、「ローマの旅行ガイドなら、ぼくも持っているのに。」と言われて、それは確かにそうなのですが、ローマの地図や公共の交通手段などがびっしりと小さい字で書かれているため、一つひとつの遺跡や芸術作品に限って、情報を知りたいとなると、説明も写真もごくわずかです。
ローマやフィレンツェは、ペルージャからも近いので、町を訪れるときは、まず美しい写真の多いこの本を頼りに、訪れたい場所や見てみたい作品を決めて、それから、インターネットや『地球の歩き方 イタリア』で、行き方や開いている日時を調べようと思ったのです。みごとな芸術作品の多い町なので、写真を眺めるだけでも楽しいし、気になるところを読めば、イタリアの美術史のおさらいにもなります。
お買い得と言っても、全巻買っていては金額もかなりなものになる上、すでに本棚はいっぱいなので、あとは、5月6日発売予定の『Perugia, Arezzo, Urbino』だけ、忘れずに購入するつもりでいます。
上の写真は、先週、3冊目の『Roma medievale e moderna』(中世と近代のローマ)を買ったときに、セットになって売られていた雑誌、『L’espresso』の表紙です。買春疑惑で騒がれているベルルスコーニ首相と、買春に一役買ったという容疑を受けているニコール・ミネッティ。この二人の写真と『Pretty Minetti』という題が、映画、『プリティー・ウーマン』のパロディだということは、ご存じの方には、すぐお分かりのことでしょう。わたしも好きな映画の一つで、サントラのCDまで持っていたのですが、この風刺は、リチャード・ギアとジュリア・ロバーツに失礼だろうと思うのでありました。
それだけ、買ってもらうための競争が激しいということでしょうか。
ベルルスコーニ首相がリチャード・ギア?
イタリアの感性、すごいなあ。。。
そうそう、cincinと言われた話ですが
なおこさんのコメントを読んで、そうだったのか!でした。
反応しても無駄な相手だと思ったので無視しましたが、
決して気持ちのいい感じではありませんでした。
それはきっと、彼らの意図がわからずとも
あの少年たちのふざけた様子から感じたのだと思います。
そういうことだったのですねー。
一つ、知らなかったことを知りました。
勉強になったなあ。
なおこさん、ありがとう!
イタリアでは新聞を読む人が少ないので、あの手この手を使って、販売を促進しています。イタリア各地の料理全集やパスタ・お菓子など、テーマごとのレシピ全集があったりもして、自分がいいなと思う本がお得な値段で売られていると、ついついわたしも買ってしまいます。
いえ、伊首相がリチャード・ギアということではなくて、ここに「買春をする資産家」と「売春する側」という構図を見て、こういう表紙を考えたのではないかと思いますが、それにしてもリチャード・ギアの代わりにベルルスコーニを持ってくるのはなあ、と倫理的にも美的にもどうかなあと思えたのでありました。
どういたしまして。時々バスの中でわたしを見て、「中国人だ!」と言い合う少年少女がいるのですが、大人気ないかなと思いつつ、「わたし日本人よ!」と言っております。自分が外国人の立場でされたら嫌であろうことをしてはいけないよ、と注意し、また東洋系の顔立ちをしているからと言って、皆が中国人ではないと諭しているつもりなのですが……
さすがイタリアきれいなアート系の雑誌、本が抱き合わせになっているのですね。
私は中国人と言われたことはほとんどないのが不思議。何回か「日本人だと思った。」と言われたことがあります。特に日本人のステレオタイプ的な格好をしているわけではないのですが。最近では中国人韓国人日本人、特に若者、私には見分けつきませんけどね。(中国人はちょっと派手目名人が多いかな。)
自分の体験談ですが00年に行った時も旅の記念に毎日新聞を買ってました。
もちろん、ガゼッタ デッロ スポルトです。読めませんが・・・。
ローマでは朝の散歩を兼ねてホテルからテルミニ駅まで買いに行ったのを覚えてます。
セリエAの開幕日にはチーム紹介の本が付いていたような記憶があります。
残念なことにこの日は売り切れで買えず、同じツアーの人に見せていただきました。
これも今ではいい思い出です。
あツ、新聞が配達されていないのもしりませんでした!
電車通勤の人は駅のキヨスクで新聞を買って電車内で読む人も多いようですけどね。
日本の場合、新聞にたくさん広告が挟まれて届くので、1ヶ月ですごくかさばってしまいます。何ヶ月かとっていたこともありましたが、今は読んでないです。
テレビのニュースと、ネットでの検索で大体こと足りてしまう感じはありますね。
長友選手、人気ですね。世界を舞台に活躍してほしいです。
凸d(^ー^)pochi
はじめまして。少しブログをのぞかせていただきました。長い間日本とイタリアを往復しながら、お子さんたちと過ごされているんですね。昔は町を歩く東洋人と言えば、日本からの旅行者か学生かという感じだったのですが、最近では中国の方がすっかり多くなりましたよね。イタリアの国際化に貢献するべく(?)、「日本人です。」と言い続けてまいりましょう。
ということは、イギリスでも、外国語を学ぼうとする人はいるのですね! 他の文化に目を開くことでもあるので、それはいい傾向だと思います。レシピシリーズもよく一緒に売っているのは、やはり「食べること」を大切にする国だからなのでしょうね。
外国人大学では時々、中国や韓国の学生から、彼らの国の言葉で話しかけられることがあります。ただ、わたしも日本人の方かと思って話しかけたら、そうでないということもあるので、ファッションの均一化もあって、ますます見分けが難しくなっているような気がします。
スポーツ紙は、写真も多いし、ゲームの勝敗表は数字なので、言葉が分からなくても分かるところも多いですよね。それにしても、毎日買われていたというのは、すごいですね!
わたしが日本に暮らしていた頃に比べて、ネットへのアクセスも楽に安価になり、ニュース情報も充実してきたので、確かに紙の新聞は必要なときだけ買って読むという方が、日本にも増えてきているんでしょうね。長友選手には、焦らず、じっくりと頑張ってもらいたいものです。
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新聞は必要な時に買うのがいいでしょうね、かさばって困ります、紙面も広告が2ページも占めるというのもありますし。
なおこさん、こうして日本の事がとりあげられると、嬉しいですわ。
きっちりと伝えて貰えるといいですねぇ~
こちらは観光地に行くとやはり日本人よりもあちらの方が多いです。
わたしも日本に住んでいたとき、読んでいない古新聞がたまって困っていたのを覚えています。チリ紙交換という便利なシステムがあったので、助かりはしたのですが。今日一緒に散歩したリミニの友人は、さっそくこの雑誌を購入して、じっくり読み込んでいるところで、おかげでたくさん質問を受けました。わたしも少しずつどんなふうに日本が紹介されているか、読んでみるつもりでいます。
前回実家に帰ったときに、松山空港からのリムジンバスに、日本語、英語と並んで、中国語と韓国語の案内もあったので、びっくりしましたが、全国的に、観光者が増えてきているんですね。