2011年 02月 16日
バレンタイン小旅行


訪れたのは、ラッツィオ州の ヴィテルボ(Viterbo)の町とその周辺です。写真は、ヴィテルボの町のPorta Fiorentina(フィオレンティーナ門)から城壁内に入って、門とRocca Albornoz、噴水を撮影したものです。

朝ペルージャを発って、まずは、宿泊予定のヴィテルボ郊外のアグリトゥリズモに、荷物を置きに行きました。すぐ近くを電車が通ってはいますが、宿を取り囲む自然の美しさに感嘆しました。

ヴィテルボを旅行先に選んだのは、こちらの温泉、Terme dei Papi(テルメ・デイ・パーピ、訳すと「教皇たちの温泉」)で、リラックスするためです。右に掲げてある看板を見ると、エトルリア人に発見されたこの温泉は、教皇たちだけではなく、古代ローマ時代の執政官やダンテ、ミケランジェロも、この温泉を愛し、足を運んだと書かれています。

正午頃に、ゆったりとした広い温水プールで、照りつける太陽のもと、温泉浴をしばらく楽しんだあと、温泉施設内で、セルフサービスの昼食を食べました。前日食べ過ぎたので、あっさりとした昼食をと思っていたのに、ミラノ風カツレツを見たとたんに、ついつい食べたくなってしまいました。食べ始めてかなりしてから写真を撮ったので、食べる前は、カツレツはもっと大きかったし、野菜も量がもっと多かったことだけ、一言申し添えておきます。

食後は、すぐに温泉プールに入るわけにもいかず、また日差しがあまりにも強かったために、しばらく温泉施設から出て、車で近くのヴィテルボの町を訪れ、散歩を楽しんでから、夕方再び温泉に戻ることにしました。
高い城壁に囲まれたヴィテルボの町を、夫と二人で、あちこちの街角の美しさに、目をみはりながら、散歩しました。写真は、13世紀に建てられたPalazzo Papale(教皇の宮殿)です。

午後3時から午後5時まで、ヴィテルボの町を散歩して、すっかり歩き疲れてから、再び温泉、Terme dei Papiに戻りました。駐車場を歩いて、温泉に向かう途中に、沈みゆく夕日を見ることができました。
温泉の中で、くたびれた足をゆっくり休めながら、西の空が徐々に茜色に染まっていく様子を楽しむことができました。午後6時半頃に温泉を後にしたときには、とっぷり日が暮れていて、駐車場から温泉プールの方向を眺めると、濃紺の空に白い湯煙が、もうもうと立ち上っていました。

宿泊したAgriturismo Poggio della Guardiaと同じ名前、同じ敷地内にあるレストランで、夕食を取りました。バレンタインデーだからということで、テーブルには、ハートに囲まれた赤いろうそくがともされ、前菜も、チーズ、卵焼き、ピザなど、いろいろなものがハート型をしていたのが、うれしかったです。二人で一つ注文したデザート、ミルフィーユ(millefoglie)も、かわいいハート型をしていました。

翌日、2月15日火曜日は、宿の主人の勧めで、BagnaiaにあるVilla Lanteという、それは美しいイタリア式庭園を持つ別荘を訪ねました。ローマのVilla d’Este(記事はこちら)を模してつくられたというこの庭園の、あちこちに配された美しい噴水や、水の流れの巧みな利用に、感心しました。

Villa Lanteを訪ねたあとは、すぐ近くにあるTrattoria “da Cioffa”で、おいしい昼食を、手頃な値段ですませました。店の自慢のRigatoni alla Cioffaは、トマトと生ハム、チーズを使ったパスタで、わたしも夫も、カラブリア出身という店の主人の興味深いおしゃべりを聞きながら、おいしいと満足しながら、平らげました。

別荘、Villa Lanteに近いこのトラットリーアには、かつて別荘の家畜小屋(stalla)であった部屋もあります。それがこちらの部屋です。別荘の噴水を始めとして、Bagnaiaの町の家は皆、火山岩、ペペリーノ岩(peperino)を使って建てられているのですが、この部屋は、そのペペリーノ岩をくりぬいてできたものです。わたしたちの右にいるのが、店の主人。ちなみに、店名にあるCioffaは、やはり店で働く若い息子さんが幼い頃からのニックネームだそうです。

帰りに、ぜひわたしが寄りたいと思っていた町に行くはずが、道を間違えてたどり着いたのが、こちらの村、Lubriano(ルブリアーノ)です。バールでコーヒーを飲んだあと、せっかくなので、この趣のある小さな村を、しばらく散歩しました。

ルブリアーノで行き方を聞いて、ようやく着くことができたのが、こちらのCivita di Bagnoregioの村です。ご覧のように、そそり立つ岩の上に建つこの村には、昔はふつうの道を通ってゆくことができたのですが、土砂崩れで地面が崩れ落ちたために、今は高い橋の上を、歩いて行かなければいけません。

花盛りのアーモンドの向こうに、美しい眺めが広がっています。

高所恐怖症のわたしは、行きも帰りもハラハラしましたが、村は、いたるところに風情のあふれていて、心から、訪れることができてよかったと思いました。
散歩を終えたあとは、車に戻り、少しずつ日が暮れてゆき、空が暗くなる中を、ペルージャへと向いました。
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- ヴィテルボ町歩き / Passeggiata a Viterbo (17/2/2011)
- バレンタインの夕餉 / Cena di San Valentino (18/2/2011)


お散歩と温泉の往復、私が大好きな組み合わせです。お食事のテーブルのキャンドル、本当に可愛いですね!
ルブリアーノという町、とてもとても素敵ですね。ジブリの映画に出てきそう。サイードがよく「イタリアはお気に入りの国。観光地は好きじゃないけどマイナーな町は本当にいい。綺麗だし物価もフランスとかに比べて安いし、それでいて観光客も少なくて大好き」と言います。なおこさんのブログを見ていて、本当にそうだなあとつくづく思います!
素敵な旅をされたのですねぇ~
イタリアはどちらを見ても歴史のあるものばかりなんですね。
温泉もあっていいですね。
アーモンドのお花に美しい景色、満たされますね~
岩の上に立つ村も天空にあるような感じがします。
なおこさんのお住いのペルージャも素晴らしいですのに、まだまだあちらこちらに素敵な所があるのですね~
特別バレンタインの夕食という宣伝がなかったので、期待していなかっただけに、店のおしゃれな演出がとてもうれしかったです♪
確かに素朴な小さい村の美しさや人の温かさというのは、ある気がします。それは日本にも言えることのような気がしますが。
ラッツィオにはペルージャに比べて、一足早く春が訪れ始めていて、花盛りのミモザや咲いている椿もあちこちで見かけました。まだまだイタリアには、わたしたちの知らないすてきな場所がたくさんあります。
素敵なブログですね。「もっと知りたい!イタリアの言葉と文化」のほうも、イタリア語の勉強のために読ませていただいてます。
私もペルージャ在住で、Conservatorio di Perugiaに通っています。
Cività di Bagnoregio、素敵ですね!
”天空の城”、一度行ってみたい場所です。
ペルージャにお住まいなんですね! 外国人大学の語学講座に通っていたとき、歌を学ぶためにConservatorioにも通っているクラスメートの友人がいたのを、懐かしく思い出しました。Cività di Bagnoregio、まさに「天空の城」ですよね。イタリアにも、ウンブリアにもすてきな場所がたくさんありますので、ぜひ足を運んでみてください。
Azurraさんのブログも背景の青や絵がとてもすてきですね。訪問、コメントをありがとうございます。残念ながら、コメントは残せないようなので、こちらに書きますが、ハート型の砂糖の袋、かわいいですよね。うちでも、夫が行きつけのバールで見つけて、2日ほど、種類の違うかわいい砂糖袋を、おみやげに持って帰ってくれました。

イタリアだったと思うのですが川のような段々になった滝のような温泉があったんですが名前がわかりません。
そこが憧れの場所の一つです・・・。
高い所にある橋、足がすくみますね。
この村はたぶん自分も落ち着くことはできませんね。
心臓がドキドキで・・・。
実はわたしは、日本の温かくて、じっとつかって安らげる温泉が、とても恋しいのです。ただ温泉プールだと、水着なので男女共に入れて、ゆっくり泳ぐことができるところは、いいかなと思います。わたしたちはそんなに長湯・長居をしないのですが、温泉プールは長く居座る(?)人が多いので、入場料が高いのが少し困りものです。
イタリアには天然の温泉はあちこちにあるのですが、おっしゃる温泉はたぶんSaturnia(サトゥルニア)だと思います。わたしも一度行ったものの、人が多すぎると、夫が入るのを嫌がったので、入らずじまいで、いつか行ってみたいと思っています。
Saturuniaの温泉の写真がある、イタリア語版Wikipediaへのリンクを貼っておきますね。
http://it.wikipedia.org/wiki/Saturnia
あ!チビタいかれたんですね!ここステキですよね~。私も大好きです。
私も記事にしているので、トラックバック申請させていただきました。
Terme dei Papiにいこうと思っていたけれど、海に行っちゃったんですよね~。次回は行きたいなぁ。
ただ思いのほか楽しいビーチだったので満足しましたが。
なおこさんご夫婦で、ちょこちょこ、こういう旅行にいかれるのとってもステキですね。
ラヴェルナの記事を書いたときに、Civitàに似ているというコメントを読んで以来、ずっと気になっていたので、今回ようやく訪れることができて、本当にうれしかったです。トラックバックありがとうございます。交通手段を使って行かれたい方には、とても参考になると思います。わたしのパソコンでは、冒頭の引用部分が文字化けしているのですが、それはイタリア製のパソコンを使っているからで、日本製のパソコンからは、きちんと読めるのかを、よろしかったら教えてください。Delfinoさんが行かれたときは、観光客でいっぱいだったんですね。わたしたちが訪れたときは、他に一人二人観光客がいるくらいで、町も店が一つ開いているくらい。すっかり静まり返っていました。
Terme dei Papiも、パンフレットを見ると、朝ローマから温泉へ、昼1時15分に温泉からローマへと、温泉客を運ぶ専用のバスがあるようですので、ぜひ次回は行ってみてください。バレンタインで混み合っていたため、本当は頼もうかと考えていた、マッサージなどを、今回は見合わせました。

バレンタインデーのお祝い旅行というのもいいですね。うちは夫が年中行事誕生日記念日いっさい廃止志向の人で、最初は楽でいいなあと思っていたのですが、やっぱりこういうものは生活のスパイスになりますから、ないとないで寂しいものです。バレンタインデーには、恒例手作りカードだけはもらいましたが。
ラッツィオ州はペルージャよりかなり南方にあり、温かいので、ペルージャではまだ咲き始めたばかりのミモザの黄色い花が花盛りで驚きました。2月はまだ寒い冬の日が続きますが、そうは言っても、イギリスに比べれば、かなり暖かいことと思います。新婚旅行で6月半ばにスコットランドを訪れたとき、イタリアでは半袖だったのに、エジンバラは寒くて、ホテルの部屋で一晩中暖房がついていて、さらに北へ向うと、あまりにも寒いので、セーターや防寒具を買わなければいけなかったのを覚えています。
やっぱり記念日というのは、節目でもあり、お互いに日頃の感謝を伝えたり、一緒にいられることを祝ったりできるいい機会のような気がします。手作りのカードを作る温かさのある方ですから、ぽんさんの方からさりげない贈り物をされたら、喜ばれるし、次回は自分も、と考えられるかもしれませんね。
バレンタインの旅、素敵!!!
お料理もハート尽くしでこれも素敵!!!
よい記念の旅になりましたね♪
で!!!
チヴィタへいらしたんですね!
一昨年、どうしてもここに行きたくて、オルビエートに暮らす堂さんという日本の方にお願いして連れて行ってもらいました!
まるで「天空の城ラピュタ」みたいなところですよね!
この村、何年か前にイタリアへ行った後に知って、絶対に行きたい!って思ったんです。
村にあるオリーブオイル屋さんのブルスケッタが最高に美味しかったし、そのお家の自家製の白ワインも持って帰ってきたいくらい美味しかったんです。
ああまた行きたい!ってnaokoさんの記事を見て思いました♪
実はこの宿を夫が選んだのは、値段がお手頃だったし、「釜で焼いたピザが食べられる」(バレンタインまでピザ!!)という理由からで、ロマンチックディナーを考えていたわたしは、少々残念に思っていたので、ハートいっぱいのテーブルやお料理が、本当にうれしかったんです。温泉も思いがけず昼食もおいしいし、夕焼けを見ながらのぜいたくな温泉浴もできて、本当に、思い出に残るすてきな旅になりました♪
チヴィタ、独特の雰囲気があるすてきな場所ですね。以前にどなたかのコメントで知ってから、わたしもずっと、いつか行きたいと思っていました。杏さんは旅を「おいしく味わう」のもお上手だなとつくづく思います。ぜひ、また行ってみてください! 季節ごと、時間ごとに、違う風情があることと思います。

日本製のパソコンで見ても、冒頭箇所が文字化けしております~。
なんだか、怪しいサイトに見えますね(笑)ぐふふ
宿泊されたアグリの前菜、おいしそう~♪♪
やっぱり泊まるならホテルも良いけれど、食事の美味しいアグリツーリズモがいいですね。
どういたしまして。日本製のパソコンでも文字化けして見えるなんて、不思議ですね。それにしても、タイトルがかわいい。
前菜はハートが目白押しなのがうれしかったです。パスタとデザートがとってもおいしかったんですよ♪