2011年 02月 18日
バレンタインの夕餉


レストランでは、お金をかけずに、手をかけ、心を込めれば、ロマンチックな雰囲気を醸し出せることと、そのためのヒントを、いろいろ教えてもらいました。テーブルの上には、小さな赤いハート型に切り抜かれた紙が、散りばめてあります。部屋の中央にあるテーブルには、大きな赤いハート型の飾りが、いくつも並べてあります。
わたしたちのテーブルのろうそくの周囲には、赤い小さな巻紙があります。

開いてみると、愛に関する名言が書かれていました。左側の紙には、「だれかを愛して失うほうが、まったくだれも愛さないよりもいい」というイギリスの詩人、テニスンの言葉が、イタリア語で書かれています。
ハートに混じって、キューピッドの愛の弓矢をかたどった紙も、置かれていて、上の写真では、左手の巻紙の上に、見えています。パンと一緒に運んでくれた、ピザまでハート型をしています。

まずは、前菜を、二人で一皿頼みました。実は、メニューはふつうのメニューだけで、バレンタイン用の特別メニューがあったわけではないのですが、前菜を頼んだら、チーズも、卵焼きも、ピザも、ポレンタも、みんなかわいいハート型をしていたので、うれしかったです。中央に盛ってあるのは貝の肉や海老のサラダです。

わたしが頼んだのは、キノコとサルシッチャたっぷりのトマトソースのパスタです。ソースがとてもおいしかったです。

夫が食べたのは、黄身のとろりとした目玉焼きとサルシッチャの載ったピザです。生地は薄くて、パリパリカリカリ。ピザにはうるさい夫ですが、満足そうに食べていました。

デザートのミルフィーユ(millefoglie)、前菜と同様、店のふつのメニューから頼んだのですが、これまたハート型をしていました。チョコレートがたっぷりかかっていて、おいしかったです。
もともとこのアグリトゥリズモは、温泉に近いこと、値段も手頃なこと、そして、釜焼きのピザがあることから、夫が選び、ロマンテチックなバレンタイン・ディナーを食べたかったわたしは、前日友人たちと豪勢な昼食を食べたばかりでもあったので、まあいいかと思いながら、了承しました。夫がピザが大好きなので、外食と言えばピザ屋なので、バレンタインくらいは他の食事をと思っていたのです。
結果的には、二人とも自分の好きなものが食べられた上、前日も当日の昼もたくさん食べていたので、量もちょうどよかったし、何よりレストランの心遣いで、ハートにあふれる夕食になって、うれしかったです。

Agriturismo Poggio della Guardiaでは、宿泊所とレストランが、それぞれ独立した建物になっています。上の写真に見えるのが宿泊所で、わたしたちが泊まった部屋は、2階の一番右側にある部屋です。
この日の晩は、以前に映画館で見て、感動した映画、『Ex』が、テレビで放映されていたので、二人で、部屋で映画を見ました。この映画については、イタリア語学習メルマガでも何度か取り上げて、予告編の映像を、ヒアリング教材として活用しています。興味のある方は、下にメルマガ該当号へのリンクを貼っておきますので、イタリア語学習にお役立てください。(*2018年追記: この映画の邦題は『恋するローマ、元カレ元カノ 』です。)
映画の話が出たついでに、わたしが夫と二人で見た最初の映画は、『ラスト サムライ』でした。夫と知り合った最初の頃は、夫も含めた友人たちと皆で繰り出して、大人数で映画を見に行くことが多かったのです。初めて二人きりで映画館に行こうというときの、夫の誘い文句は、「日本人としての君の意見を聞いてみたいんだ。」でした。二人だけで外出できるのが、とにかくうれしかったのを覚えています。
そう言えば、まだ出会ったばかりの頃に、夫がイタリア語版の『荘子』を手に、わたしの住むアパートまで来てくれたとき(記事はこちら)、二人で近くのバールまで歩いて行ったことがありました。チョコレート菓子を食べながら、何かを飲んだのですが、このとき帰り道に、、何かのきっかけで、わたしは、「ペルージャでは、小鳥の鳴き声を聞いたことがない。」と言いました。日本で暮らした最後の数年は、自然の豊かな土地の学校に勤めたために、家にいても、牛や馬の鳴き声が聞こえたり、田んぼで蛙が合唱するのが聞こえたりするところに住んでいたのです。これは、若手の独身教員は駒として動かしやすいために、田舎の学校に配属されることが多かったからなのですが、何はともあれ、緑の中に住み慣れたわたしは、石畳に覆われた町中では、自然に触れる機会が少ないのを、寂しく思っていたのです。
そのわたしに、ルイージが、「じゃあ、君を鳥の鳴き声が聞こえるところに、連れて行ってあげよう。」と言ってくれたのを、今でもよく覚えています。その言葉どおり、以来今まで、自然のあふれる野山に、よくわたしを連れ出してくれています。今住んでいるペルージャ郊外の家にも、緑があふれていて、朝夕ツグミが朗らかな鳴き声を聞かせてくれます。

さて、翌朝は、宿の主人の都合もあって、朝食は、頼んだ時刻に、部屋に運んでくれました。クロワッサンとコーヒーの他に、わたしはジュースを、夫はヨーグルトを頼みました。少し寂しい朝食なのですが、二人一泊朝食つきで部屋代が50ユーロというのは、ローシーズンとは言え、今時めったにない安い料金なので、まあこんなものかなと思いました。寒がりのわたしは、滞在中ずっと、暖房が十分に効いていたのが、ありがたかったです。

朝食のあと、身支度をして出発しようとしたら、宿の主人が不在だったので、帰りを待つ間、アグリトゥリズモの敷地内を、少し散歩しました。ペルージャでは、まだ咲き始めたばかりのアーモンド(木はmandorlo、実はmandorla)の薄桃色の花が、南方にあるヴィテルボ郊外では、美しい花をいっぱいに咲かせていました。
関連記事へのリンク
- バレンタイン小旅行
- ヴィテルボ町歩き



飛行機に乗ればほんの一時間ちょっとなんですが、イタリアは言葉が全くできないので避けていました。(ミラノとベルガモだけちょっとだけ行きました。スイスへの通り道でした。)なおこさんのブログを見ていて本格的に行きたくなりました。
アーモンドの花はちょっと桜のようではありませんか。
バレンタインの夜を素敵な演出のお店で迎えられたのですねぇ~
気持ちが嬉しいですね。
そして美味しそうなピザ、種類も多くて満足されましたねぇ。
私も見てるだけで満たされますわぁ。
アーモンドのお花は桜かと見まがうほどですね、綺麗~
この日も翌日も、パスタはいつもこの地方あるいは店独特のものを頼んだのですが、とてもおいしかったです。主な観光地は英語で問題ないと思います。ウンブリア州トラジメーノ湖周辺では、夏になるとレストランの客を見ると、オランダ・ドイツ勢の方が、イタリアの人、地元の人に比べて圧倒的に多くなります。イタリア語を少しかじった人もいれば、まったく話せず、英語で注文している人もかなりいます。とは言っても、やはり少しはコミュニケーションができた方が旅も楽しいので、Lonely Planetの旅行会話集あたりが、レストランのメニューや料理名、食品名も一覧があって、便利ではないかと思います。わたしはギリシャ旅行の際、イタリア語版のギリシア旅行会話集を買って、重宝しました。
わたしもせっかくヨーロッパにいるのだから、ロンドンやイギリス南部の田園地方、ヨーロッパの他の国をぜひもっと訪ねてみたいと思います。夫が寒いところ、北方にはあまり行きたがらないので、一人で出かける必要があるかも。
夫は、黄身がほとんど固まっていない目玉焼きが大好きなんです。家で作るときは、わたし用の卵より後から入れて、好みどおりに仕上げるのですが、ピザ屋で頼むと、黄身は固まっていることも多く、今回はとろとろなので、大喜びでした。
アーモンドの木は、ピンク色の花が桜のようで、本当にきれいなんですよ。この時期はアーモンドのピンク、そして、ミモザの黄色い花が、庭でにぎやかに咲き始めています。イタリアの桜は純白の桜を咲かせることが多いのですが、それはそれできれいだと思います。ただ、日本と違って、植えるのはサクランボ目当てのようです。アーモンドの花もとても美しいのですが、日本のように、あちこちにこの木だけを、花を楽しむために植えるということはありません。やはり日本には桜を愛する文化があるのだなとつくづく思います。
素敵なバレンタインを過ごされたのですね。ウラヤマシイです!
...それにしても、バレンタインをお祝いするための小旅行だなんて、これもお国柄なのでしょうか。日本では、なかなか無いプランですよね。街も、壁や、お店にハートがいっぱいだし、恋人たちの祝日という雰囲気がいっぱいで、いいですね。↑の記事の、お料理ひとつひとつが、ハートにかたどられたサービスも、心ニクイです! 否が応にも、気分が盛り上がっちゃいますね(笑)
そうそう、「バレンタイン小旅行」の記事中の、ご主人と肩を組まれているなおこさん、とってもキレイです。ちょっと照れていらっしゃるのか、頬を染めているようにも見受けられる表情が、女性らしくて、いい雰囲気です。バレンタインだから、より一層...。うふふ。バレンタイン日記、こちらまで、ニコニコしながら楽しませていただきました。これからも、ずっとずっと、愛情たっぷり、お幸せなおふたりでありますように♪

たまにツボにはまったいいホテルが出てくるとものすごく行きたくなります。
花といえば今日近くのイチゴ狩りに行ってお腹いっぱい食べてきたんですがイチゴの白い小さな花かわいかったです。
毎年食べに行っていたのでカメラ持っていかなかったコトを後悔しました。
イタリアでは、バレンタインは恋人どうし、夫婦どうしでお互いに贈り物をしたり、一緒にちょっと豪華な食事をしたり、旅行をしたりして、二人でいられることを祝う日なんです。「恋人たちの祭日」という別名もあります。日本のようにチョコレートが売り場にたくさん並ぶことはありませんが、町や店がハートの飾りや贈り物によさそうな品物で飾られ、ホテルやレストランでは、バレンタインに向けて特別な宿泊プランや夕食のメニューを用意したりもしていて、宣伝もあちこちで見かけました。
キレイだなんて、ありがとうございます! いつまでも、二人で一緒にいられることに感謝しながら、毎日を過ごせていけたらと思っています。
アグリトゥリズモも、実際に畑があったり家畜がいたりして、本当に農業を営んでいて、自分のところで取れたものをふるまってくれたり、農業体験ができたりするところから、果物の木はあるけれど、放ったらかされていて、アグリトゥリズモとは名ばかりのようなところもあったり、さまざまです。
もうイチゴ狩りですか。早いですね! イチゴが大好きなわたしとしては、うらやましいです。我が家の畑にもわずかながらイチゴがあるのですが、赤い実が見られるのはまだまだ先のことです。こちらには野山で小さな野イチゴを見かけることも多いのですが、去年の夏に訪ねた小さな村は、道の傍らのそこかしこに、いっぱい赤いイチゴが実っていたのでびっくりしました!(↓)
http://cuoreverde.exblog.jp/14429574/
一瞬、桜が咲いてるのかと思ったら、アーモンドなんですか?
アーモンドって落花生みたいなものかと思ってました。全然違う?!
きれいな花を咲かせるんですね~。
ピザも美味しそうですね☆ ピザも大好きです。
凸応援ぽちっ!
ハートづくしでラブリーですね。きっとロマンチックにすごせたことでしょうね。
それにしてもルイージさん、なおこさんをデートに誘う時、婉曲表現ですねぇ(笑)でも最初っからなおこさんのことすごく好きだったのがにじみ出てますね、うふふ。
「二人だけで外出できるのが」ってわかります!日本だったら当然でしょうけど、イタリアって何かと色々と余分な人が(笑)ついてきますもんね~。
ウンブリアやトスカーナでは、庭にアーモンドの木を植えてあることが多く、一足早く、ピンクの愛らしい花で目を楽しませてくれます。
ピザ、おいしいですよ。最近は、日本にもおいしいピザ屋さんが増えているようですね。いつも応援クリックをありがとうございます!
最初は、こうやって大勢で外出することが多いおかげで、夫と知り合い、少しずつ知っていくことができたのですが、結婚すると、なぜ夕食に行くたび、映画や散歩に行くたびに、友だちに声をかけなければいけないのかな、たまには二人で、と思うこともよくあります。習慣の違いなのですが、最近は、「1週間に1度だけは二人きりで外出する」ということで、妥協しています。