2011年 06月 06日
ヴィトッツァ洞窟の住居群2、トスカーナ ソラーノ

ソラーノの考古学公園の洞窟の住居の中には、こんなふうに二つ並んだ岩屋の戸口が向かい合っていて、部屋から部屋へ(家から家へ?)と移動できるようになっているものもあります。

ちなみに、この右手の岩屋の中は、前回もご紹介しましたが、こんなふうになっていて、

床に掘られた穴から、下の階の洞窟に下りることができるようになっています。

一方、二つ並んだ岩屋のうち、左側の戸口から入ったところにある洞窟はとても小さいのですが、そのすぐ先には、

こうした大きな洞窟があって、辺り一体が、岩壁を掘って造り上げたアパートのようになっています。

二階建ての岩屋から階段を下に下って行くと、道が二手に分かれます。夫の提案で、まずは右に曲がって、レンテ川の水源(Sorgente del fiume Lente)を目指して、歩くことにしました。

川の源へと下りていく道も、なかなか風情があってすてきで、

途中で色の美しい花を見かけたりもしたのですが、ひたすら道を下った挙句、分かれ道があり、どちらに進むべきかという道しるべがなかったので、あきらめて、来た道を引き返しました。

そして、先ほどの分岐点に立っていた看板の左側に進み、納骨所(colombari、複数形)を目指しました。夫がのぞいている洞窟の中が、納骨所になっています。

この納骨所(colombario)は、古代ローマ時代、紀元前1世紀から紀元1世紀に遡る古いもので、岩壁に掘られた無数の穴には、骨壺が並んでいました。ヴィトッツァの洞窟の住居群の中には、こうした古代ローマ時代の納骨所がいくつかあるのですが、中世には、ハトの飼育に利用されたと考えられています。
“Fra le varie grotte ci sono alcuni colombari d’età romana, che durante il Medioevo erano presumibilmente destinati all’allevamento dei piccioni, pratica molto diffusa nel territorio di Sorano.” (“Viaggio attraverso La Civiltà del Tufo”, p.39)

納骨所を訪れた頃から、にわかに空がかき曇り、雷鳴がとどろき始め、雨が降って来ました。雨に濡れぬよう、雷に打たれぬようにと、非難する場所を探したのですが、高い木の下は危険だし、洞窟の住居も、天井に裂け目があったりします。何世紀も風雨に耐えてきたのだから、洞窟の下の方が安全だろう、崩れてきたらすぐに逃げ出せるように、と考えて、洞窟の入り口で雨をしのいでいたのですが、帰宅してからインターネットで調べると、洞窟の中は比較的安全だけれども、入り口付近は危険なので避けるようにと書かれていました。何事もなくて、よかった、よかった。

雨がやんでから、別の道を通って、出発地点まで戻りました。こんなふうに高い城壁がまだ残っている場所や

美しい色とりどりの花が咲く

草むらを通り、

そうして、廃墟と化した教会の脇を通って、時に雨宿りをしながら、駐車場にたどり着きました。せっかくなのでPitiglianoにでも宿泊しようと考えたのですが、町の周囲に車を置ける場所が見つからず、雨もやみそうになかったため、結局すぐにペルージャに戻ることにしました。
参考資料 / Riferimento bibliografico
- “Viaggio attraverso La Civiltà del Tufo. Sorano – Sovana – Pitigliano. Storia, Arte e Natura. Passeggiate lungo le Vie Cave”, la Cooperativa 《La Fortezza》(a cura di), Editrice Laurum, 2010.
関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- tufo(凝灰岩)の里を訪ねて、ソラーノ / Città del Tufo, Sorano, Pitigliano, Sovana & Onano (7/12/2010)
- tufoの里を訪ねて2、オナーノとカソーネのレストラン / Verso Sorano, Lago di Corbara – Onano – Casone, Park Hotel Ristorante Bel Vedere (8/12/2010)
- tufoの里を訪ねて3、ソラーノ温泉 / Terme di Sorano (12/12/2010)
- ソラーノ考古学公園、洞窟の住居群1 / Abitazioni rupestri di Vitozza I - Parco Archeologico “Città del Tufo”, Sorano (5/6/2011)
- ソラーノ、凝灰岩の町 / Sorano, Città del Tufo (GR) (5/12/2015)
- イタリアのかかし二人で楽しそう / Spaventapasseri simpatici a Sorano (GR) (9/12/2015)
参照リンク / Riferimento web
- Parco Archeologico "Città del Tufo", Sorano - Il Parco Archeologico



なおこさん高所恐怖症なんですか?私は高い所が大好きで、いつかスカイダイビングやバンジージャンプもやってみたいけれど、心配性の夫のお許しがなかなか出ません(笑)
ご主人、赤いしましまのシャツがキュートでとてもお似合いです。
すごく若々しく見えます^^
洞窟の中って何か神秘的ですねぇ。
部屋から部屋へ行けるなんて楽しそう。
鳩小屋のようなお墓もすごいですね、芸術作品のようですね。
お花も咲いてて退屈しませんね。
なおこさん、応援のことありがとうございます。
了解しました~♪
長い間、風雨に耐えて来た洞窟の中は安全地帯なのでしょう。
でも、私も入口で雨宿り派です。(^<^)
エレベーターに乗るとみんな出口方向を向きます。
洞窟も入口付近で広い外を眺めていた方が安心感がありますね。
でも、良く考えると、中の方が安全と理解できます。
濃い花色が美しく微笑んでいましたね。(^^)/
高い所が本当にお好きなんですね。我が家では逆で、うちの夫が岩山の上をヤギのように危険も顧みずどんどん登って行ったり、せり出して景色を眺めようとしたりするのを、ハラハラしながら見ています。遠くを眺めようと、急にひどく高い木にすいすいと登り出すこともありますし…… 止めても聞いてくれません。
今の時代ならいざ知らず、何世紀も前に、一体どうやって、どれだけ長い歳月をかけて、こんなふうに洞窟の中に部屋や家をつくっていったのかを思うと、感慨深いものがあります。納骨堂の穴も一体どうやって、2千年も前に完成させることができたのだろうと驚くばかりです。お墓が後世、ハトの飼育に使われたというのも、埋葬されていた人には気の毒なのですが、中世の人の合理的精神にびっくりしたり。ハトも夢見が悪かったのではないかと?
わたしもそう思いながら洞窟の下にいたのですが、夫に指摘されて天井を見ると、実は深い裂け目が刻まれていたので、ひやひやしました。気分的にはやっぱり入り口付近の方が安全そうなのですが、確かにいざ事が起こったときは、中の方がいいのでしょうね。そう言えば、地震のときでも、家の外に逃げ出して、落ちてくる瓦に致命傷を負ったという方もいらっしゃいました。雨でも散歩はできると思っていたのですが、落雷に関する情報を読んでいたら、何だか怖くなりました。以後はもっと気をつけたいと思います。

そう、冷静に考えると大抵は入口付近が崩れるんですよね。
こういうプチ探検面白いですよね。
納骨用の棚を作るなんて死者を身近にかんじてたのかな?
ちなみに今日、我が人生のギックリ腰ベスト3に入るレベルでやってしまいました。
1歩動くのも大変で改めて普通に動くことのできるありがたさを実感しました。
なおこさんも気を付けてください。
ありがとうございます。ぎっくり腰はつらいですよね。どうかお大事に。わたしも数年前、サルデーニャを旅行中に、岩浜を歩いていてウニを踏み、その痛みで持ち上げた足を岩にぶつけて小指の骨にひびが入ってしまい、アザだらけになり、ひびが入っているとは知らず、痛みを我慢しながら無理な姿勢で山道を散歩していたら、旅行中にある朝突然腰が固まって激痛で身動きができなくなりました。以後も、時々急に変な動きをすると腰痛が戻るのですが、普段から体操をして、筋肉をほぐしておくことも大切だなと、今再び反省しました。本当に辛いですよね。どうか早くお体が楽になりますように。急にしゃがんだり、急に腰を曲げたりするような動作をしないで、そういう動きをするときは慌てずゆっくりすることが大切だと、教えてもらいました。