2011年 09月 08日
朝日と植物園とカモシカの道


東には、昇り始めた日の光がまばゆく、

西には、傾きゆく月と、朝日に赤く染まるアルプスの山。この写真を夫が撮影したのは、7月18日の朝のことです。朝日や山がどんなに美しかったかを、夫が目を輝かせて語るので、

翌7月19日は、わたしも早起きして、朝日を見ようと思ったら、昇る朝日は雲に覆われて見ることができず(上の写真は、5時58分に撮影)、ですから、山も紅に染まることはありませんでした。でも、ピンクを帯びた朝焼けの空が、とてもきれいでした。

ちなみに、わたしがようやく昇る朝日と紅に染まる山を見ることができたのは、さらに次の日、7月20日の朝のことでした。(上の写真)「菜の花や月は東に日は西に」と詠んだのは、与謝蕪村。ここでは逆に、「日は東に月は西に」見えたのですが、自然の雄大さと神秘を感じました。

7月19日火曜日の朝、テルメ・ディ・ヴァルディエーリ(Terme di Valdieri)を訪れると、日頃は後方に見える高い山が、霧と雲にすっかり隠れています。写真で、道路の左手に見えるのは、アルピ・マリッティメ自然公園の観光案内所。右手に見えるピンクの建物は、バール・ホテル兼レストランです。

観光案内所内には、周辺の山や村の観光やトレッキングに役立つガイドブックや地図が、多数あります。無料で手に入るいい地図もあり、どこを歩くか決めたり、自然公園全体の概要をつかむには便利なのですが、登山をするには、やはり詳しい地図を購入する必要があります。無料の地図では、所要時間や標高差、正確な道筋などが、分からないからです。案内所ではちょうど、「人間と狼の出会い~狼の飼育と人間と犬の関係の起源」(原題は下記)というテーマの展示が行われていました。

観光案内所で入園料を払い、上の写真の左に見える木の橋を渡って、植物園に入ります。夫が見ている看板に、このヴァルデリーア植物園(Giardino Botanico Valderia)の園内図や説明があります。植物園では、アルピ・マリッティメ自然公園の代表的な植物を、約450種も見ることができるます。ちなみに、上の写真は、天気のよかった前日に撮影したもので、

わたしたちが植物園を訪ねた日は、曇っていた空から、入園とほぼ同時に、雨が降り始めました。

天気は残念でしたが、植物園では、自然公園の植物を、生育環境ごとに、14か所に分け、一つひとつの植物の名前も、きちんと記されていたため、散歩は楽しかったです。アルピ・マリッティメを歩いていて、時折り見かけた、こちらの美しい花も、学名が、Astrantia major L.、イタリア語名がAstranzia maggioreだと分かりました。(2020年追記:日本では学名から「アストランティア・マヨール」と呼ばれるようです。)

こちらの花は、イタリア語で、Regina delle Alpi(直訳は、「アルプスの女王」)、学名をEryngium alpinum L.と言います。この花は、植物園や他の庭園で栽培されているのは、見かけても、今回の旅行中は、自生の花を見ることができませんでした。(2020年追記:日本では学名から「エリンジューム・アルピナム」と呼ばれるようです。)

このエーデルワイス、Stella Alpina(直訳は「アルプスの星」)は、かなり標高の高いところで、時々見かけました。

こんなおもしろい形をした花も咲いていましたし、ブルーベリーの茂みがあり、苔むした岩が美しく並ぶ小道もありました。

植物園を訪問したあとは、雨が降りやまないので、次に宿泊する場所探しも兼ねて、ドライブをしました。こちらのエントラックエ(Entracque)の町を訪ね、

町はずれにあるダムに近いレストラン、Ristorante il Vecchio Mulinoで、昼食を食べました。わたしが食べたのは、こちらの前菜、Antipasti misti。地域特産のチーズや肉、魚を、趣向を凝らして料理したもので、どれもとてもおいしかったです。食後はまず、ダムの隣にあるENELの博物館で催されていた、アルピ・マリッティメとメルカントゥールの植物・動物の写真展を見ました。

それから、エントラックエのジェッソ川(Torrente Gesso di Entracque)、バッラのジェッソ川(Torrente Gesso della Barra)(上の写真)を遡って、翌日から宿泊する宿を決めたのですが、澄んだ水が勢いよく流れる川と、石の模様の美しさが、印象に残りました。

それから、サンタンナ・ディ・ヴァルディエーリ(Sant’Anna di Valdieri)の宿に戻り、しばらく部屋で休みました。わたしが午睡のあと、目を覚ますと、空はすっかり晴れ上がり、部屋の窓からは、朝は霧と雲に覆われていた山が、よく見えました。

その後、午後6時頃に、夫から電話があり、「窓から向かいの山を見てごらん。」と言うのです。電話で夫が指示する場所を、カメラのズームで拡大して見てみると、夫が携帯電話を片手に、手を振っているではありませんか。(赤い矢印で示した部分)
かつてサヴォイア家の王がよく狩猟をしにやってきたこの地域では、その頃から、カモシカ(camoscio)を引き寄せるために、塩をまいていた箇所がいくつかあり、今もそうして塩がまかれたところを、カモシカが好んで歩くそうです。前日に、ライ麦の博物館の方から、この岩山に、そういうカモシカの通り道があると聞いていました。以来、夫はこの岩山を登りたがっていたのですが、登山地図を見ても、トレッキングコースがなく、岩がちなので、わたしは反対していました。わたしが宿で一眠りしている間に、夫はこうしてカモシカのように軽々と、目指す岩山に登ったわけです。
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アルプスの女王はなんともいえない貴賓さを感じます。
岩山をカモシカのように…。
美しい自然がたくさんありますね。(^^)/
夫は山育ちなので、道のないところや急な山の斜面を、野生の勘で身軽にひょいひょいと登っていくのです。一緒に散歩するときは、トレッキング・コースを歩くように言うのですが……

朝陽を受けて赤く染まる山が綺麗ですね。旦那さんの気持ちもよく分かります。日本の北アルプスでも、朝陽を受けた山はすごく綺麗でした。朝陽に染まる山の様子を山岳用語?ではモルゲンロートと言うらしいです。
山の天気ですから、なかなか思うように晴れてくれませんよね。でも、朝陽は見られたようで良かったですね。
小さな花も綺麗だし、お肉の料理も美味しそうです。
凸d(^ー^)応援pochi!