イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ナデシコとブナと救急病院

 湖を訪ねたあとは、来た道をひたすら下りました。(記事、「思い出の散歩道」の続きです。)

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 渓谷、Vallone del Vei del Boucは、見晴らしがすばらしく斜面も色とりどりの花に覆われています。

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 特に印象に残ったのは、ナデシコ(garofanino)の花です。花びらの形も、ピンクの色合いもさまざまな花が、標高2千メートルもの高みに、たくさん咲いていました。

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 ただ、そうやって風景や花に見とれて、撮影するために立ち止まっていたら、夫からかなり遅れてしまいました。また、下り道が長いこともあり、本来のトレッキング・コースよりは近道になる小道を選んだのですが、この道には細くかつ足元が滑りやすいところが、何箇所かありました。山を下る途中で、うっかり足を滑らせ、左手で体を支えた際に、地面に指を強く突いて、痛めてしまったのは、こんなふうに、他のことに気を取られながら歩いていたため、また、歩きにくい道を選んでしまったためだと思います。

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 翌日、7月22日金曜日の朝は、サン・ジャーコモの宿から、別の渓谷を歩こうと出発したのですが、あまりにも指が痛むのですぐに引き返し、一番近いクーネオ(Cuneo)の町にある救急病院(Pronto Soccorso)を訪ねました。受付で事情を説明し、わたしの負傷は、verde(訳は、「緑色」)に、区分されました。救急病院では、救急医療を必要とする順、傷病の重い順に、赤(rosso)、黄(giallo)、緑(verde)、白(bianco)に区分され、患者が診療を受けられる順や支払いの有無も、この色によって決まってきます。待合室の壁を見ると、緑色の印の横には、「それほど緊急を要しないけれど、この病院を訪れたのは正解」と書かれていました。

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 にも関わらず、すぐにレントゲン撮影と診療を受けることができ、包帯で指を固定もしてくれました。中指の第二関節が不完全骨折(infrazione)を起こしているけれども、大したことはなく、20日間固定すれば治るはずだと聞いて、安心しました。受付から診療終了までが、40分と速かったので、夫と二人で、ピエモンテの病院の効率のよさに感心しました。診療やレントゲンも幸い無料でした。ちなみに、3週間後にペルージャの病院で、レントゲン撮影をし、ギプスを取って、診療を受け、「もう大丈夫」と言ってもらったときには、予約をしていたにも関わらず、すべて終わるまでに2、3時間かかりました。このときは患者の自己負担金(ticket)として、レントゲンに14.2ユーロ、診療に12.91ユーロを支払いました。

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 もともとサン・ジャーコモの宿では、泊まり始めた水曜日の晩から、「金曜の晩はすでに満室」と聞いていました。マリッティメ・アルプスの地図やガイドブックを見て、わたしたちが次の滞在先として選んだのは、アルピ・マリッティメ自然公園(Parco delle Alpi Marittime)の東端に近いパランフレ(Palanfré)でした。上の写真、左手の看板にあるように、この村を出発地点とするトレッキング・コースはたくさんあります。

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 宿は、こちらのL’Arberghです。

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 この宿はレストランにもなっていて、到着したばかりのわたしたちは、まず昼食を済ませました。地元のサラミとチーズがふんだんに味わえる前菜を、夫が喜んで食べていました。(残念だったのは、夕食にも、そっくり同じ前菜が出されたことです。)空室があり、朝食・夕食つきでダブル・ルームが、一人一泊50ユーロと聞いて、ここに泊まることにしました。

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 ちょうど翌日から村祭りが始まるため、村の入り口で、会場の設置をしていました。そのため、わたしたちは、車を村はずれの駐車場に置き、しばらく歩いて荷物を運びました。

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 午後は、宿からしばらく山道を登って、ブナの森(bosco di faggio)を訪ねました。下方にある村を雪崩から守るため、ブナの伐採が禁じられていたために、数世紀を経たみごとなブナの木が、いくつもそびえ立っています。

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 散歩道には、自然やかつての暮らしを説明する看板がいくつか立っています。そうした看板を読み、美しい眺めや花を楽しみながら、しばらく散歩をして、宿に戻りました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by クロちゃん at 2011-09-22 06:55 x
なおこさん、おはようございます。♪
思わぬところにアクシデントの罠が待ちうけていましたね。
救急病院の手際の良さ、良心的な対応は、これぞ病院と感じます。
アクシデントには見舞われましたが、美しい自然はいつも待っています。
またお出かけくださいね。(^^)/
Commented by ムームー at 2011-09-22 13:54 x
なおこさんこんにちは。
山の景色も街の中もとても素晴らしいですね、目の前にこの景色が広がれば見とれてしまいますわ。
病院によって対応が違うでしょうが、時間が早いのは
嬉しいことですね。
先生の説明も対応もいいと安心しますねぇ。
日本は伐採されすぎて災害が起こることもあります。
自然に花が咲いてて素敵~
Commented by milletti_naoko at 2011-09-22 14:59
クロちゃん、おはようございます♪
いつでも用心する必要がありますよね。数年前には、サルデーニャの岩がちな海辺を歩いていて、ウニに足を乗せ、痛いので思わず動かした足が岩に当たって、足の小指を骨折し、気づかぬまま山を歩いて、ぎっくり腰になったこともあります。そのときも今回もいい病院がそう遠くないところにあって、助かりました。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-22 15:04
ムームーさん、こんにちは。夫が近くの駐車場に、とりあえず1時間分の料金を払って駐車して、「時間内には終わらないだろうな。」と気にしていましたが、うれしい驚きで、あっという間に診療が終わりました。「緊急を要しない」に区分されていたし、緊急病院内にも、レントゲン撮影室の前にも、人がたくさんいたので、よけいに効率のよさに感心しました。木を伐採しすぎての土砂崩れは、残念ながらイタリアでもよくあるんですよ。
Commented by かや at 2011-09-23 01:37 x
こんばんは☆
野生のナデシコも綺麗ですね☆
標高2000mで咲いているんですか~。すごいです。

日本では女子サッカー「ナデシコ・ジャパン」の活躍のおかげでナデシコの苗が売れていて、僕も買ってきたんですが小さい苗ばかりになってしまいました。

指のケガはその後よくなりましたか?お大事にどうぞ。
足をケガしなかっただけでも良かったと思ったほうがいいですよ。

凸応援ぽち!
Commented by milletti_naoko at 2011-09-23 06:31
かやさん、こんばんは。さっそくナデシコの苗を買われたんですね。マリッティメ・アルプスでは、アッペンニーニ山脈で見かけるより、花が大きく、背丈の低いナデシコがたくさん咲いていました。指は今も毎朝起きるときは、あまり曲がらず痛むのですが、だいぶ調子がよくなりました。応援のぽちをありがとうございます!
by milletti_naoko | 2011-09-21 16:46 | Piemonte | Comments(6)