2011年 09月 26日
サンティアーゴが呼んでいる?

夫の幼なじみのフランコに至っては、昨年、リミニの自宅から、サンティアーゴ、そして、最西端のフィニステーラまで、約3千kmの道のりを、3か月かけて歩きました。もちろんこれは特異な例で、他の友人たちは、フランスやポルトガルを起点とする古典的な巡礼に挑戦しています。

わたしたちは、まだサンティアーゴまで歩いたことがないのですが、おととしの秋には、聖フランチェスコが聖痕を受けたという聖地、ラヴェルナ(La Verna)まで、90kmの道のりを6日間かけて歩く巡礼に参加しました。写真は、アルノ川の源、Capo d’Arnoで撮影したものなのですが、残念ながら水が涸れていました。

今年4月には、友人たちが、ラッツィオ州のポッジョ・ブストーネ(Poggio Bustone)からアッシジ(Assisi)までの1週間の巡礼を企画しました。夫は合唱団のコンサートのために1日だけ途中でペルージャに戻ったものの、その他はすべての行程を歩き抜きました。わたしは平日は日本語の授業があったため、巡礼最終日の土曜日のみの参加でした。それでも、スペッロ(Spello)からアッシジ(Assisi)まで、約25kmを歩きました。

こうして自然の中を歩く楽しみを知った上、サンティアーゴへの巡礼を果たした友人たちからは、そのすばらしさを繰り返し聞いていました。今年2月には、そうした巡礼の旅の写真や巡礼者証(credenziale)の展示会と、巡礼を描いたドキュメンタリー映画を見る機会もあり、わたしも、いつかサンティアーゴまで歩いてみたいとは、感じていました。

そんな中、今年7月のマリッティメ・アルプス旅行の終わりには、まるで、サンティアーゴがわたしたちを呼んでいるのではないか、と思われるようなできごとが重なりました。7月20日から2日間滞在した村の名は、サン・ジャーコモ(San Giacomo di Entracque)、泊まった宿の名も、山小屋、Rifugio San Giacomo。このサン・ジャーコモは、日本語では、聖ヤコブ、スペイン語では、サンティアーゴであり、まさに、サンティアーゴ・デ・コンポステーラに遺骸があるとされる聖人の名なのです。

それだけなら偶然かもしれないのですが、次に宿泊したパランフレ(Palanfré)にある唯一の教会は、聖ヤコブ(San Giacomo)を崇めていて、教会正面の壁画の左手には、ホタテ貝で飾られた杖を持つ聖人が描かれ、内部にも、やはりホタテ貝を身につけた聖ヤコブの像がありました。そして、7月25日が、カトリック教会で聖ヤコブを記念する祝祭日であるため、村では7月23日から25日にかけて、聖ヤコブ祭りがあり、わたしたちが宿泊した22日の昼間から、テント設営など、祭りの準備が行われていました。

23日にパランフレを後にして、これで聖ヤコブともお別れと思ったら、とんでもありません。7月24日日曜日に、ピエモンテを発って、ペルージャまで帰る途中に一泊したカッラーラのかずこさんのB&B近くの村、ベルジョラ(Bergiola)の教会にまで、聖ヤコブの像がありました。聖人のシンボルである杖、ホタテ貝、ひょうたんがあることから、聖ヤコブだと分かります。

大理石の山の美しいB&Bに到着すると、かずこさんのご友人夫婦が、お子さんとともに、かずこさんを訪問中でした。

かずこさんが、一同を、日本料理の夕食に招待してくださり、わたしは、かずこさんのお友だちと一緒に、ズッキーニの天ぷらを揚げました。

夕食にいただいたかずこさんの手料理は、かんぴょうの味のしっかりきいた散らし寿司も、

鮭と生野菜がたっぷりのサラダも、とてもおいしかったです。畑で採れたてのズッキーニの天ぷらも、おいしくて、いつまでも手が伸びました。

デザートにと、わたしたちは、再びベルジョラの村に戻り、老人会らしき建物内の店で、アイスケーキを買いました。写真には他にも、先日ご紹介したマリッティメ・アルプスの特産品であるgenepìのリキュールと、ラヴェンダー入りクッキーが写っています。

おいしい食事と楽しいおしゃべりに、時間があっという間に過ぎていきました。夕日に染まる、この美しい大理石の山の写真を撮ったのは、午後8時45分。とっぷり日が暮れ、遅くなるまで、話し続けたのですが、なんと、このかずこさんのご友人夫婦が、初めて出会ったのは、サンティアーゴへの巡礼の途中だったのです。二人とも、特にだんなさんの方は、瞳を輝かせて、その巡礼の魅力を語ってくれました。

そうして、かずこさんと別れを惜しみ、カッラーラ(Carrara)の町を散歩してから、ペルージャへの帰途についたのが、7月25日月曜日。そう、7月25日は、聖ヤコブを記念する日です。こうして、マリッティメ・アルプスのすばらしい自然を訪ねる旅の終わりには、サンティアーゴへの巡礼へのいざないを思わせるようなできごとが、いくつもあったのでした。
Bed & Breakfast Galleria Ars Apua
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Sito : Bed & Breakfast Galleria Ars Apua, Carrara - HOME
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関連記事へのリンク
- 大理石の山に向かって



実際に巡礼をした友人たちからは、道連れになったり、宿を共にしたりする他の巡礼者たちとの出会いの喜びや、何か精神的なものを得たということを聞くことが多いのですが、わたしもこの記事中に言及もした映画を見て、自然や風景の美しさにも、魅かれました。コメントを拝読して、ますますすてきなところなんだろうなという気持ちが強まりました。「サンジャックへの道」という映画、そういう巡礼の道筋の美しさを十分にとらえているんですね。機会があれば、ぜひ見てみたいと思います。愛読とコメントをありがとうございます。
サンティアゴ・デ・コンポステーラには、ちょうどパスクアの頃に行ったことがあります。たくさんの巡礼のグループが、どんどん到着して、そのたびにグループの楽器を鳴らす音が、町に響いていました。私は信者ではないけど、ず〜っと歩いて歩いてってした後、絶対何かが変わっているであろう、心の状態に興味があるので、サンティアゴでなくとも、何日間か歩くだけの旅というのは是非してみたいと思いますっ。
最後から2番目の写真の山に反映した太陽のオレンジが綺麗ですね〜(まさか赤土じゃないですよね)。
無宗教に近い私からはお遍路さんもまだ経験したことも
なくてせいぜいお寺や神社で手を合わせることだけです。
生活の中で自然に出来ることが長い歴史があるからなんでしょうね。
夕焼けに染まった同じ山を、ほぼ同じ角度から、まだ日が高いときに撮影した写真が、記事の中ほどにありますので、見比べてみてください。ふだんは大理石を削り取ったところが白く見える岩山が、夕陽を浴びて、茜色に染まっていたんですよ。
ふだんからお寺や神社をしばしば訪れて手を合わせるのも、りっぱな信仰で、長い歴史が毎日の生活や町の中に自然に溶け込んでいるのだと、わたしは思いますよ。