イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

花火と流れ星

 10月8日土曜日の晩は、流れ星いっぱいの空が見られると、期待を胸にふくらませて、うちを出ました。

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Montecolognola, Magione 8/10/2011

 訪れたのは、マジョーネ市(Comune di Magione)はずれにあるモンテコロンニョラ(Montecolognola)村です。丘の上にあって、住民も少なく、明かりもそれほどないので、星の観測に適しているだろうと、友人が提案したからです。

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 この村は、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に近く、日中は丘の上からの湖の眺めがすばらしいのですが、夜は、湖畔の町明かりが見えるばかりで、その手前の暗がりに広がる湖は、心の目でしか見えません。

 「ここに北斗七星があるから、これが北極星。流れ星は、北極星周辺の広い範囲に見えるはずだ。」という説明を、夫や友人から聞いて、午後8時20分頃から、夜空を見上げ、目を凝らしました。月の美しい晩でしたが、空が明るくて星が見づらく、また、空を眺め始めた頃は、北極星の周囲が雲に覆われていました。それでも、午後9時過ぎまでの40分間ほどの間に、予想していたほどではないものの、いくつか美しい流れ星を見ることができました。近眼のわたしが見た流れ星は、三つ、四つほどでしたが、夫は十ほども見たと言い、友人たちも、六つ、七つは目にしたそうです。小さくて、明るい光を放っては、すぐに消えていく流れ星が多かったのですが、中には大きくまばゆい光を放つ流れ星もあり、わたしもこうした星を一つだけ見ることができました。

 流れ星が見える瞬間を目でとらえるのに必死で、願いごとをとなえるひまは、残念ながらありませんでした。それでも、一晩に、いくつも流れ星を見ることができたのは、初めてで、うれしかったです。目でとらえることが難しかった星は、わたしのカメラでは残念ながら、性能からも時間的にも、撮影することができませんでした。

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 もし午後8時から観測を始めていたら、あるいは、午後10時まで、空を眺めていたら、ひょっとしたら、もっとたくさんの流れ星に出会えたかもしれません。ただ、ペルージャでは最近、天気が不安定な上、朝晩はめっきり寒くなり、この日の晩も、予想気温が午後8時は11~12度、午後11時が8度と、それは寒かったので、午後9時まで流れ星を求めて、夜空を見つめたあと、それでよしとして、夜のモンテコロンニョラを散歩しました。

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13~14世紀に築かれた城壁、城門が、

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今も中世の名残を伝えています。

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 石造りの壁が、夜明かりに美しく浮かび上がり、交互に窓の形が変わる、趣のある家もありました。

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 こうして夜の散歩をしばらく楽しんでから、車でマジョーネに向かい、友人たちと共に、夕食にピザを食べてから、帰途につきました。

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 近日、ピアン・ディ・マッシアーノ周辺では、車の通行規制が行われているのですが、この晩は、それでも通れるはずの道まで進入禁止になっていて、どうしたことかといぶかりながら、遠回りして家に向かっていると、突然すざましい爆音がして、車で進むわたしたちの目の前に、緑と赤の大輪の花が広がりました。こんなに間近で花火を見たのは初めてだったので、びっくりしました。通行禁止は、花火を打ち上げるためだったんだね、と言いながら、夫は車を進めます。我が家に着いたときも、幸いまだ花火の打ち上げが続いていて、窓から、色とりどりの美しい花火を十分に楽しむことができました。

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Fiera dei Morti, Perugia 2/11/2010

 ペルージャでの町は、中世以来、11月1日の諸聖人の日(Ognissanti)には、大がかりな市が催され、1260年の文書に、「この市がすでに慣例化していた」という記述があります。現在では、「死者の市」(Fiera dei Morti)と呼ばれるこの市は、今年は11月1日から6日にかけて開催される予定ですが、例年、早くもその1か月近く前から、会場となるピアン・ディ・マッシアーノ(Pian di Massiano)の大駐車場に、屋台やアトラクションがいっぱいに並びます。この数日の交通規制はその準備のためであり、この晩は、屋台やアトラクションが始まることを知らせるために、花火を打ち上げたようです。

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Festa del Cioccolato, Perugia 19/10/2010

 10月14日から23日にかけては、チョコレート祭り(Festa del Cioccolato, Eurochocolate)が催され、ペルージャの中心街では、イタリア各地、またヨーロッパの他国のチョコレート専門店や製菓会社の、チョコレートを味わい、いろいろな催し物を楽しむことができます。機会があれば、ぜひペルージャに足を運んでみてください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by bianchi_saitoh at 2011-10-10 22:43 x
仲間と流星群観測なんてちょっとオシャレですね。

千葉は雲り空ということもありましたが日本は条件が悪かったみたいです。
数年前のししざ流星群を寒い中見たこと思い出しましたがまた次のチャンスに期待します。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-11 05:16
bianchi_saitohさんへ

最初は空を覆っていた雲が、いつの間にか東に流れて、おかげで流れ星がよく見えるようになりました。イタリアでは、今年の11月にも、また流れ星を見られるときがあるそうです。日本でも流れ星が見えるといいですね。星や夜空を愛するとは思ってもいなかった友人が、本当にうれしそうだったので、とても意外で、新たな一面を発見する機会にもなりました。
Commented by ムームー at 2011-10-11 11:06 x
なおこさん、こんにちは~
流れ星がいくつか見れたって素敵~素晴らしいですね。
建物と照らし出す灯りに神秘的な造形美を見ます。
長い歴史のなかにあって色々な行事が行われるのも
素晴らしいことですね。
何をするにも楽しむ心が常にあるのがいいのでしょうねぇ。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-11 21:53
ムームーさん、こんにちは。そうなんです。夜明かりに照らされた石造りの建物には、神秘的な雰囲気があって、異次元にいるような、時代を遡ったような不思議な気がしました。死者の市は、中世の昔には、収穫物の多い秋が終わり、長く厳しい冬に突入する前に、必要な食料品などを調達し、とれたものを売るのに役立っていたようです。それが何世紀も経た今も続いているのが、興味深いです。
Commented by kishie at 2011-10-12 06:34 x
わぁ〜ひとつでもちゃんと見れたなんて素敵ですね!私も同じ花火を見てました、Pian di Massianoからの喧騒が家まで聞こえています。ちょっぴり危険な香りのbaracconi、まさに冬の訪れの合図ですね。
Commented by かや at 2011-10-12 07:08 x
こんばんは☆
流れ星と花火が見られて良かったですね☆☆☆
北斗七星、北極星、カシオペア座は北の方を見れば良いので分かりやすいですよね。
南の空の星座は時期と時間で変わるのでなかなか分かりずらいです。

星空って、どんなに綺麗に見える時でも、普通のコンパクトデジカメでは撮れないですよね。不思議です。

凸ぽち!
Commented by milletti_naoko at 2011-10-12 16:21
流れ星が見られて、うれしかったです♪ 寒空の中、必死に夜空を見つめたかいがありました。花火、きしえさんのお宅からも見えたんですね!エルチェに住む親戚も花火を見たと言っていましたから、うちはかなりピアン・ディ・マッシアーノに近いのですが、かなり広い範囲に、美しい花火もにぎやかな音楽も届いているんですね。急にかなり冷え込むようになりましたね。冬には、秋を十分に楽しんだあとで、来てほしいものですが、はてさて。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-12 16:36
かやさん、おはようございます! 流れ星が見られてうれしかったです。北斗七星は、イタリア語ではGran Carro(直訳すると「大きな馬車」)で、夫や友人が星座の名を説明するのを聞きながら、確かに馬車のようにも見えるなと思いました。北斗七星を含むおおぐま座は、イタリア語でもやはりOrsa Maggiore、「おおぐま」で、どちらもラテン語が元であり、一方、北斗七星は中国から伝わったため、名前が日伊で異なるのではないかと思いますが、文化の違いが名前に反映していておもしろいなと思いました。

夜空の美しさは、やはり自分の目で見て、心に大切にしまっておくのがいいのでしょうね。応援のポチをありがとうございます!
by milletti_naoko | 2011-10-10 14:59 | Umbria | Comments(8)