2011年 10月 27日
ローマ目指して1、秋色の道
リエーティ(Rieti)の大聖堂前に建つ聖フランチェスコの像が、巡礼の出発地点です。巡礼に参加したのは、わたしと夫、そして、夫の左に並ぶ友人たち4名の計6名です。一番左にいるフランコは、今回はリミニ勢を車で送るためだけに、はるばるリエーティまで来てくれたのです。
車でリミニへと戻るフランコに別れを告げ、ヴェリーノ川(Fiume Velino)にかかるこちらの橋を渡ると、道はリエーティ市街を離れて、自然の中を進みます。
道端のところどころに、自生のシクラメン(ciclamino)の花が咲いていました。
途中、こちらのFonte Cottorellaの給水場で、飲み水を補給しました。
地図や説明の言葉を頼りに、そして、こちらの道しるべに従って、歩いて行きました。ただ、本来なら、道が分りにくく、迷いやすいところにあるべき道しるべが、肝心のところにないことも多く、まれにですが、矢印が間違った方向をさしている場合もありました。
トゥラーノ川(Fiume Turano)を渡ると、道は、古代ローマ時代に、アドリア海岸からローマまで塩を運ぶために築かれた塩の道(antica Via del Sale)に沿って、進んで行きます。道路の両側にそびえる菩提樹(tiglio)の並木がみごとでした。
道端には時々クルミの木があり、周りには実がたくさん落ちています。クルミ(noce)を見つけては、石などで殻を割り、おいしい実を味わいました。
セイヨウマユミ(学名はEuonymus europaeus L.)の鮮やかなピンクが、晴れわたった秋の空によく似合っています。ちなみに、この植物は、イタリア語ではberretta del prete(直訳すると、「神父の帽子」)と言います。
今回の巡礼中には、羊の群れをよく見かけました。
秋色に装い始めた木々の見える森の傍らを、歩いて行きます。このしばらくあとに見かけた家で、近くにバールかレストランがないかと尋ねると、どちらも、まだかなり歩いた先にあるということでした。
古代ローマ時代に建造されたサンブーコ橋にたどり着いたのは、午後1時を過ぎた頃です。朝、パニーノを購入しておかなかったため、昼食を食べるには、さらに歩き続けて、レストランまで行く必要がありました。パニーノを作ってもらえるような食料品店が、イタリアでは、日曜日には閉店の場合が多いからです。歩き疲れたわたしたちは、橋の傍らで、しばらく休みました。重たい荷物を背から下ろし、チョコレート菓子を食べて、水を飲みます。
のどかで平坦な道が続いたと思ったら、昼食前の最後の最後に、急な登り坂が待ち受けていて、一気に150m近くもの高さを登ることになりました。苦労して歩いたおかげで、この10分ほどあとには、Ornaro Bassoのレストラン、レジーナ(リンクはこちら)で、それはおいしい昼食を食べることができました。店主の勧めで、わたしたちは6人でしたが、4人前の前菜とパスタを、それぞれ数種類ずつ運んでもらったのですが、6人でも食べきれないほど量が多くて、それはおいしかったです。「巡礼者はつつましく旅と食事を」を主義とする夫を持つ友人たちに頼まれたので、残念ながら、レストランと料理の写真は割愛します。
おいしい食事を楽しみ、ゆっくり休んだあと、再び歩き始めました。美しい町並みや
自然に感嘆しながら、歩き続けます。
歩きに歩いて、ポッジョ・サン・ロレンツォにたどり着いたのは、午後5時半を過ぎた頃でした。実は、わたしたちの歩く巡礼路が、本来1日目の目的地としているのは、この村なのですが、村の中心には宿が見つからなかったため、わたしたちが予約している宿泊先までは、さらに数キロメートル歩く必要がありました。それは覚悟していたものの、村で宿の名を言っても、知っている人がほとんどおらず、この先どう歩いていいかが分からず、困ってしまいました。店に電話しても、経営者は外国人で、「高速道路を通るように」と、車で来店する人向けの道案内をするだけです。それでも、途中で、何とか店と行き方を知っている人を、見つることができました。ちなみに、上の写真で、巡礼の道しるべの下にいる黒い犬は、この一つ手前の村で、午後5時頃から、ずっとわたしたちについて、歩いてきました。この後わたしたちが宿にたどり着くまで、長い間共に歩き、最後に宿に入った友人が扉を閉めたときにも、この犬がすぐ後ろにいたそうです。ポッジョ・サン・ロレンツォの村人によると、この犬の飼い主は、村の住人だそうです。
傾き始めた夕日が、風景を茜色に染め始め、さらには、日が暮れていく中を、しばしば道を尋ねながら、歩き続け、
宿泊先に到着したのは、午後6時頃のことでした。リエーティからポッジョ・サン・ロレンツォ村の中心までは、21kmなのですが、宿まで、さらに1時間ほど歩いたため、この日は、結局25kmほど歩いたのではないかと思います。
ちなみに、村人がこの宿の名前を知らなかったのは、つい最近変、経営者と店名が、わったばかりだからだと、宿に着いてから分かりました。実際、一つ前の写真で、白く輝く看板にも、まだ古い店名、La Locanda di Esopo(訳すと、「イソップの宿」)が書かれています。そのためか、レストランの店内には、今も、イソップ童話に登場する動物たちの絵が、描かれていました。
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塩の道を歩く~ローマ時代はどんなだったのかと昔を偲んでみました、自生のクルミがあるなんて恵みですねぇ~
羊が草を食みいい眺めですわぁ。
このイヌさんは道案内をしてくれたのでしょうね、健気ですね。
長い道すがらに見る景色や動植物さんに出会うことで
癒されますね。
道はアスファルトのところが多いようですが、坂道もあって大変そうですね。確かに、じわじわと足にきそうです。
でも、自然の中を歩き、自然の恵みも食して、良い巡礼旅ですね。
凸d(^ー^)pochi
だれもが初めて歩く道なので、団結力や協調性を問われることも多い旅になりました。回り道をすることも多かったのですが、それだけに、毎日、宿にたどり着けたときの喜びは大きかったです。優しいお言葉、ありがとうございます♪