イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ローマ目指して1、秋色の道

 10月16日日曜日、いよいよ巡礼(記事はこちら)の初日です。朝は7時前に起きて、7時半から朝食。

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Pellegrini davanti alla Statua di San Francesco della Cattedrale di Rieti 16/10/2011 8.50

 リエーティ(Rieti)の大聖堂前に建つ聖フランチェスコの像が、巡礼の出発地点です。巡礼に参加したのは、わたしと夫、そして、夫の左に並ぶ友人たち4名の計6名です。一番左にいるフランコは、今回はリミニ勢を車で送るためだけに、はるばるリエーティまで来てくれたのです。

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Ponte Romano, Rieti 16/10/2011 9.07

 車でリミニへと戻るフランコに別れを告げ、ヴェリーノ川(Fiume Velino)にかかるこちらの橋を渡ると、道はリエーティ市街を離れて、自然の中を進みます。

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 道端のところどころに、自生のシクラメン(ciclamino)の花が咲いていました。

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Fonte Cottorella, Rieti 16/10/2011 9.33

 途中、こちらのFonte Cottorellaの給水場で、飲み水を補給しました。

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 地図や説明の言葉を頼りに、そして、こちらの道しるべに従って、歩いて行きました。ただ、本来なら、道が分りにくく、迷いやすいところにあるべき道しるべが、肝心のところにないことも多く、まれにですが、矢印が間違った方向をさしている場合もありました。

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Lungo l’antica Via del Sale 16/10/2011 10.07

 トゥラーノ川(Fiume Turano)を渡ると、道は、古代ローマ時代に、アドリア海岸からローマまで塩を運ぶために築かれた塩の道(antica Via del Sale)に沿って、進んで行きます。道路の両側にそびえる菩提樹(tiglio)の並木がみごとでした。

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 道端には時々クルミの木があり、周りには実がたくさん落ちています。クルミ(noce)を見つけては、石などで殻を割り、おいしい実を味わいました。

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 セイヨウマユミ(学名はEuonymus europaeus L.)の鮮やかなピンクが、晴れわたった秋の空によく似合っています。ちなみに、この植物は、イタリア語ではberretta del prete(直訳すると、「神父の帽子」)と言います。

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 今回の巡礼中には、羊の群れをよく見かけました。

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Sulla Strada Provinciale Turanese 16/10/2011 12.26

 秋色に装い始めた木々の見える森の傍らを、歩いて行きます。このしばらくあとに見かけた家で、近くにバールかレストランがないかと尋ねると、どちらも、まだかなり歩いた先にあるということでした。

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Ponte Romano del Sambuco 16/10/2011 13.03

 古代ローマ時代に建造されたサンブーコ橋にたどり着いたのは、午後1時を過ぎた頃です。朝、パニーノを購入しておかなかったため、昼食を食べるには、さらに歩き続けて、レストランまで行く必要がありました。パニーノを作ってもらえるような食料品店が、イタリアでは、日曜日には閉店の場合が多いからです。歩き疲れたわたしたちは、橋の傍らで、しばらく休みました。重たい荷物を背から下ろし、チョコレート菓子を食べて、水を飲みます。

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Vicino ad Ornaro Basso 16/10/2011 13.34

 のどかで平坦な道が続いたと思ったら、昼食前の最後の最後に、急な登り坂が待ち受けていて、一気に150m近くもの高さを登ることになりました。苦労して歩いたおかげで、この10分ほどあとには、Ornaro Bassoのレストラン、レジーナ(リンクはこちら)で、それはおいしい昼食を食べることができました。店主の勧めで、わたしたちは6人でしたが、4人前の前菜とパスタを、それぞれ数種類ずつ運んでもらったのですが、6人でも食べきれないほど量が多くて、それはおいしかったです。「巡礼者はつつましく旅と食事を」を主義とする夫を持つ友人たちに頼まれたので、残念ながら、レストランと料理の写真は割愛します。

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Ornaro Alto 16/10/2011 16.12

 おいしい食事を楽しみ、ゆっくり休んだあと、再び歩き始めました。美しい町並みや

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Fosso dei Cerri 16/10/2011 16.20

自然に感嘆しながら、歩き続けます。

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Poggio San Lorenzo 16/10/2011 17.57

 歩きに歩いて、ポッジョ・サン・ロレンツォにたどり着いたのは、午後5時半を過ぎた頃でした。実は、わたしたちの歩く巡礼路が、本来1日目の目的地としているのは、この村なのですが、村の中心には宿が見つからなかったため、わたしたちが予約している宿泊先までは、さらに数キロメートル歩く必要がありました。それは覚悟していたものの、村で宿の名を言っても、知っている人がほとんどおらず、この先どう歩いていいかが分からず、困ってしまいました。店に電話しても、経営者は外国人で、「高速道路を通るように」と、車で来店する人向けの道案内をするだけです。それでも、途中で、何とか店と行き方を知っている人を、見つることができました。ちなみに、上の写真で、巡礼の道しるべの下にいる黒い犬は、この一つ手前の村で、午後5時頃から、ずっとわたしたちについて、歩いてきました。この後わたしたちが宿にたどり着くまで、長い間共に歩き、最後に宿に入った友人が扉を閉めたときにも、この犬がすぐ後ろにいたそうです。ポッジョ・サン・ロレンツォの村人によると、この犬の飼い主は、村の住人だそうです。

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 傾き始めた夕日が、風景を茜色に染め始め、さらには、日が暮れていく中を、しばしば道を尋ねながら、歩き続け、

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Hotel Ristorante La Brace, Poggio San Lorenzo 16/10/2011 18.50

宿泊先に到着したのは、午後6時頃のことでした。リエーティからポッジョ・サン・ロレンツォ村の中心までは、21kmなのですが、宿まで、さらに1時間ほど歩いたため、この日は、結局25kmほど歩いたのではないかと思います。

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 ちなみに、村人がこの宿の名前を知らなかったのは、つい最近変、経営者と店名が、わったばかりだからだと、宿に着いてから分かりました。実際、一つ前の写真で、白く輝く看板にも、まだ古い店名、La Locanda di Esopo(訳すと、「イソップの宿」)が書かれています。そのためか、レストランの店内には、今も、イソップ童話に登場する動物たちの絵が、描かれていました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ムームー at 2011-10-28 09:33 x
なおこさんおはようございます~
塩の道を歩く~ローマ時代はどんなだったのかと昔を偲んでみました、自生のクルミがあるなんて恵みですねぇ~
羊が草を食みいい眺めですわぁ。
このイヌさんは道案内をしてくれたのでしょうね、健気ですね。
長い道すがらに見る景色や動植物さんに出会うことで
癒されますね。
Commented by koba at 2011-10-28 10:59 x
毎日楽しみに読ませて見させていただいています。今日はなぜかバックグラウンドミュージックを併せて楽しみたいと。手にしたのが「ソングオブザリバティベル」ヨーヨーマのチェロです。なかなかいい組み合わせでした。林の中、茜色の染まる夕暮れは美しい心象でした。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-28 16:31
ムームーさん、おはようございます。いつまでも来ない3人組をどうしたのかなと待っていたら、クルミがたくさん落ちているところを見つけて、食べていたためだと判明! それからは、わたしたちも、足元に注意して、クルミを見つけては、食べながら歩きました。2年前の同じ時期に山を歩いたときには、栗やキノコを目ざとく見つけた友人もいて、秋はやはり恵みが多いなと思います。色が黒いので、皆がNerone(「クロ」)と名づけたこのワンちゃん、翌朝もひょっとしたら、宿の戸口でわたしたちを待ち受けているのではないかしらと思ったのですが、残念ながら、翌日にはもう姿が見えませんでした。長い距離をずっとついてきてくれて、何だかかわいらしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-28 16:35
kobaさん、おはようございます。音楽と共に読んでくださったんですね! すてきな曲みたいですね。自分の足で歩き続けると、1日の日の光や暖かさ、周囲の色が少しずつ変わっていく様子などを、見届けることができて、感慨深いものがありました。
Commented by かや at 2011-10-29 07:53 x
こんばんは☆
道はアスファルトのところが多いようですが、坂道もあって大変そうですね。確かに、じわじわと足にきそうです。
でも、自然の中を歩き、自然の恵みも食して、良い巡礼旅ですね。

凸d(^ー^)pochi
Commented by クロちゃん at 2011-10-31 21:31 x
なおこさん、こんばんは♪
目的地を探して歩く冒険の旅にも思えます。
みんなで力を合わせて辿り着いた喜びと安堵の瞬間は達成感いっぱいでしょう。
長い歩き、お疲れ様でした。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2011-10-31 23:33
かやさん、こんばんは。山を歩くのに比べると、岩や坂道は少ないのですが、不思議とアスファルトの上を歩くほうが、足が疲れて痛んでくるんですよね。思った以上に、自然の風景に多く出会えて、うれしかったです。応援のポチをありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-31 23:35
クロちゃん、こんにちは♪
だれもが初めて歩く道なので、団結力や協調性を問われることも多い旅になりました。回り道をすることも多かったのですが、それだけに、毎日、宿にたどり着けたときの喜びは大きかったです。優しいお言葉、ありがとうございます♪
by milletti_naoko | 2011-10-27 23:54 | Via di Roma (RI-RM) | Comments(8)