イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ローマ目指して2、ファルファ修道院へ

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 10月17日月曜日は、ポッジョ・サン・ロレンツォの宿から、ファルファ修道院(Abbazia di Farfa)を目指して歩きました。

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Abbazia di Farfa, Fara in Sabina (RI)

 この歴史あるベネディクト派修道院は、775年にカール大帝(Carlo Magno、742-814)から、あらゆる政治的・宗教的権力からの自治を得て、8世紀から9世紀にかけて、栄華を極めました。

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800年には、カール大帝自らが、教皇から西ローマ帝国交帝の称号を受けるために、ローマに赴いた際、ファルファ修道院を訪ね、宿泊しています。

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『La Via di Roma』 の図を借用し、書き込みをしています。

 さて、2日目の巡礼路として、提案されている道は、二通りあります。Poggio Moianoを通ったあとで、Ponticelli in Scandrigliaまで歩く(18km)か、それとも、ファルファ修道院(Abbazia di Farfa、図に紫色で記した部分) を訪ねるために、Toffiaを通り、修道院を訪ねたあと、Cannetoを通って、二通りの巡礼路が再び合流する地点まで歩く(26km)か。

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Al bar accanto alla rotonda 17/10/2011 9.26

 わたしたちは、結局、提案されたいずれとも違う道を歩きました。前日、ポッジョ・サン・ロレンツォから、宿へ向かうために、巡礼路からはずれて、1時間ほど下り坂の多い道を歩いたので、この4kmほどの道を再び、しかも登りながら歩くことは、避けたかったからです。そこで、遠回りせずに、巡礼路に再び合流できる道を尋ねようと、近くのバールを訪ねました。さて、巡礼仲間の中には、ファルファ修道院へと向かう巡礼路の近くに、仏教施設があると聞いて、ぜひ訪ねたいと考えている人がいました。

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Verso il centro buddhista attraverso la collina 17/10/2011 10.14

 そこで、皆で話し合った末、バールで教えてもらった近道を通って、仏教施設を訪ね、Osteria Nuova(図に緑色で記した部分)から、再び巡礼路を歩いて、ファルファ修道院に向かうことにしました。上の図に、ピンクの矢印で記しているのが、この日わたしたちが進んだ道のりです。

 この近道、最初の数分は、高速道路を歩かなければいかなかったので、どうなることかと思ったら、やがて右手にある、森の中を行く砂利道を登ることになりました。さらに登ると、道路はアスファルトになりましたが、見晴らしを楽しみながら、歩くことができました。

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Santacittarama Monastero Buddhista, Frasso Sabino (RI) 17/10/2011 11.28

 途中で通りかかった村の食料品店で、パニーノを買ったついでに、仏教施設の場所を尋ねると、1km先とのことでした。そのあとも道は長く、ようやくこちらの仏教の僧院、Santacittaramaに到着したのは、午前11時半頃のことでした。僧たちは不在でしたが、「昨晩集会があったので、食事や果物が残っているから、よかったらどうぞ。」と勧められ、皆、バナナなどを少しずついただきました。

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Pagoda in costruzione 17/10/2011 12.35

 果物を食べたり、僧院の人の話を聞いたりしてから、ゆっくり休んだあと、再び出発。ここから最も近い、巡礼路の地点は、Osteria NuovaのGrotta dei Massacciだと思われたので、途中で見かけた住民に、道を尋ねました。尋ねた人は、親切に、「洞窟(grotta)はパゴダを通り過ぎてすぐにあります。でも、トッフィアに向かっているなら、やはりパゴダを通り過ぎてすぐに、トッフィアへの近道がありますよ。」と、教えてくれました。

 後になってから、この方が教えてくれた近道こそ、実は巡礼路だったことが分かったのですが、最初こう聞いたときは、「交通量の多い車道が巡礼路のはずはない」という先入観があり、「近道よりも、記された巡礼路を歩こう」ということになりました。さらに、巡礼路の目印であったGrotta dei Massacciは、 紀元2世紀の墓であるものの、一見普通に見える家屋の中に隠れていました。それで、夫がこの家屋を指しながら、「これが洞窟だ。」とは言ったのですが、わたしたちには洞窟には見えない上に、付近に、これが洞窟だという標示が何もなかったため、耳を貸さずに、洞窟を求めて歩き続けました。実はこのとき、夫は、巡礼ガイドの写真を見ながら、「これだ」と言っていたのですが、洞窟を有する家屋が、一見普通の家にしか見えなかった上、夫が実物の写真を見て、こう言っているとは、思わなかったからです。ここには、遺跡の説明もなければ、巡礼路の道しるべとなる標示も、まったく見当たりませんでした。

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Monumento non tanto lontano dalla Grotta dei Massacci 17/10/2011 12.43

 そんなこんなで、さらにまっすぐ道を歩いていくと、こんな遺跡が見つかりました。これこそ洞窟かと何人かで近づいて、案内標示を探したのですが、何もありません。そこで、「洞窟は結局見当たらなかったけれど、とにかくこのあたりで、西に向かって進まなければ。」ということになり、大きな道路が交差する場所を歩きながら、それぞれが、だれかに道を尋ねました。

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Pranzo al bar di Osteria Nuova 17/10/2011 13.31

 巡礼路に戻れる道がようやく見つかり、道路脇のバールで、朝買っておいたパニーノを、昼食として食べたのは、午後1時半頃のことでした。

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 このあとは、トッフィアの町まで、かなり長い間、車道を歩き続けました。住宅の間を通ったり、紅葉や遠くの山の見晴らしが美しかったりと、道には変化がありました。途中、とある家のブドウの実を摘んで、分けてくれようとした友人がいました。わたしは気が引けて断ったのですが、他の人は、夫も含めて、みんな食べていました。

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Porta d’ingresso del borgo medievale di Toffia 17/10/2011 15.35

 こうして、ようやくトッフィア(Toffia)に着いたのは、午後3時半を過ぎた頃でした。城門の前の給水場で、飲み水を調達し、

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Toffia   17/10/2011 15.50

町役場で、巡礼者証に判を押してもらい、それから、中世に築かれた石造りの町を散歩しました。

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Toffia   17/10/2011 15.59

 ところどころに、町の歴史や風物を描いた壁画が、描かれていました。

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Attraverso i campi lasciando Toffia alle spalle 17/10/2011 17.19

 町を散歩したあと、バールで、温かい飲み物を飲んで、一息つきました。わたしが頼んだのは、ホット・チョコレート(cioccolata calda)。ここまでくれば、ファルファ修道院は、すぐそこです。このあと、道は、坂を下り、森や田畑の間を通って進んで行きます。時々後ろを振り返ると、美しいトッフィアの町並みが、少しずつ遠ざかっていきます。

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Salita fino a Farfa 17/10/2011 17.31

 修道院やわたしたちの宿のあるファルファ(Farfa)は、丘の上にあるため、最後に、長い登り道が待ち受けていました。目的地はすぐそこだと、自分を励ましながら登って行きます。

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Finalmente a Farfa 17/10/2011 17.45

 この晩、わたしたちが宿泊する予定だったのは、ファルファ修道院の傍らで、修道女たちが経営する宿です。坂を登り切ったわたしたちは、宿の入り口がどこか分からずに、15分近く、あたりをさまよい歩きました。というのは、坂道の両側に、ファルファ修道院への私用出入り口や、宿を経営する修道女たちの家(Casa Suore di S. Brigida、上の写真)があり、さらに、この家の前には、看板の何もない大きな建物があって、いったいどこが宿泊施設かが分からなかったからです。

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 こうして、重い荷物を抱えたまま、しばらくあちこち訪ねた末、ようやく入ることができた宿は、施設も歓待もホテル並みでした。ベッドが二つある広い部屋は、バス・トイレつきで、テレビのある部屋もあり、朝食・夕食込みで、一人45ユーロ。夕食は、皆がずっと食べたいと願っていた、野菜たっぷりのミネストローネでした。食事中に、修道女たちが食べているであろう隣室から、笑い声がしばしば響いてきて、友人たちが驚いていました。

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Borgo di Farfa 17/10/2011 21.11

 夕食のあとは、ひっそりと静まった夜のファルファを、皆でしばらく散歩しました。明かりの少ない村では、夜空の星がひときわ輝いて見えました。

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10/2011 Via di Francesco da Rieti a Roma
Giorno 2 Poggio San Lorenzo - Toffia - Abbazia di Farfa
Bello il paese di Toffia con i suoi murales.
Maestosa l'Abbazia di Farfa.
Sopresa! A cena dalle suore
bella zuppa calda desiderata tanto da tutti quanti
dopo una lunga giornata di cammino.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ムームー at 2011-11-01 05:51 x
なおこさん読み進むうちに私もご一緒させて舞ってるような錯覚に陥りました~
>、遺跡の説明もなければ、巡礼路の道しるべとなる標示も、まったくない
これは困りますね、ご主人様はわかって居られたのですねぇ
石造りの町が美しいですね~
野菜たっぷりのミネストローネ美味しかったでしょう~
私もいただいたような気分です~♪
夜空の星を眺めながらの散策も癒されますね。
Commented by クロちゃん at 2011-11-01 06:56 x
なおこさん、おはようございます。♪
レポを拝見して、昔よくやったテレビゲームの「ドラクエ」を思いだしてしまいました。(*^_^*)
1日の行程は発見の旅でもありますね。
草原に立つ遺跡がますます興味深い風景です。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2011-11-01 19:03
ムームーさん、おはようございます♪ 案内書には、二通りの道とも、地図や説明が詳しく書かれていたのですが、歩いてみると、ファルファ修道院を目指す方の道については、道しるべがまったくといっていいほどなかったので、困りました。この後、もう一つの本来の巡礼路と合流したあたりから、再び巡礼の道しるべがしばしば登場し始めました。この遺跡、かなり離れた道路にも案内標示があったのに、肝心の遺跡周辺には何も標示が見当たらなかったんです! 
ミネストローネ、実は、修道女が迎えに出てくれたとき、友人たちが「今夜の夕食は何ですか。ひょっとしてミネストローネ?」と尋ねた(というかお願いした)ため、まだメニューが決まっていなかった宿で、夕食のプリモはミネストローネと決まったそうです。何事も言ってみるものだなと思いました。野菜たっぷりで、温かくて、とてもおいしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2011-11-01 19:09
クロちゃん、おはようございます♪ まだ歩いたことが少ない道であり、地図を作った人がトレッキングに慣れていない人であるためか、確かに、何だか宝探しの地図のようでした。巡礼路の説明も、「この道をまっすぐ行って、…がある角で左に曲がり、2km進み…」という感じで、しかも、ふつうのトレッキング用の地図なら、細い道は小さく、大きい道路は大きく記されているのに、この巡礼の地図では、巡礼路が細いときでも、大きな高速道路の車道よりも太く記されていたため、人に道を尋ねるときも、自分たちが、居場所を確認するときにも、大変でした。新しい巡礼路なので、まだまだサンティアーゴへの巡礼路に比べると、整備が不足しているようです。おかげで、単なる巡礼よりも、スリルと冒険に満ちた旅ができたかもしれません。ふり返ると、みな、いい思い出です。
そう、この草原に立つ遺跡、いったい何だったのか、わたしもとても気になります。
Commented by oliva at 2011-11-02 10:55 x
こんにちは。
なんといっても私にとって一番印象的なのは、夕食の後に散歩した、という最後の一言!さんざん歩いて疲れ切っているはずなのに、なんというタフさ!仲間がいることも手伝って、パワーが湧いてくるのでしょうね。私も早く元気になりた~い!!
Commented by milletti_naoko at 2011-11-02 18:06
olivaさん、おはようございます。疲れに加えて、夜は寒かったので、わたしを含め、「夜の散歩はどうもなあ。」と思っていた仲間もいたのですが、お元気組に誘われて、散歩しました。夜の静まり返った町には独特の魅力があって、散歩してよかったなと思いました。
「なりた~い!!」の響きに、『妖怪人間ベム』の主題歌中の叫び、「早く人間になりた~い!!」を思い出してしまいました。早くお元気になられますように! わたしも寒さに負けずに頑張ります。
by milletti_naoko | 2011-10-31 15:26 | Via di Roma (RI-RM) | Comments(6)