2011年 11月 28日
煙草と原発と携帯と
日本で最後に時代劇を見たのは、かなり前の話ですが、毎回こんなふうに事が運ぶものが、多かったように覚えています。この「お上の偉い人が、正義の味方として悪を退治する」という構図が、なんとも日本的で、イタリアでは、果たして受け入れられるだろうかと、かつて考えたことがあります。忍者や侍、チャンバラの好きなイタリア人が多いから、ふと「イタリアでも、時代劇は受けるかもしれない。」と思ったものの、「いや、そもそも強い外国による支配が長かった土地もあれば、政治家への不信も高いイタリアでは、「お上=正義」という公式が受け入れがたいのではないかと、すぐに考え直しました。
ただ、悪代官と悪徳商人が、自分たちさえ私腹をこやせればよいと、民を犠牲にしたり、国益を損じたりする、こういう図式だけは、残念ながら、日本にもイタリアにも、いえ、全世界に根強く残っているようです。
イタリアで汚職や大切な情報の隠匿があるたびに、「母国の日本ではそんなことはないだろう。」と思っていたわたしは、原発や放射能汚染に関する情報の隠蔽や統制を知って、暗澹とした気持ちになったのですが、昨日の晩の、イタリアの報道番組、『Report』を見て、まさか、そして、またか、と思いました。
番組では白黒の決着がすでについたように語っているものの、後からいろいろなニュースや記事を読んでみると、必ずしもそうとは言えないかもしれないので、奥歯に少しものが挟まった言い方というより、書き方になってしまうことをご承知おきください。
かつて、煙草は健康に害がないと、多くの人々に売り込んでいたとき、原発は安全で環境に優しいと思い込ませてきたとき、実際には、健康への危害が大きく、環境を大いに損なう恐れがあることを告げる研究結果があったのに、政府や大企業は、研究者を疎外・除外する、研究資金を取り上げるなどして、そうした研究結果を握りつぶし、危害が少ないとする研究のみが、人々の目につくようにしていたとのことです。
携帯電話は健康に害を与え、脳腫瘍を引き起こすのか否か。
昨夜の『Report』では、世界保健機構から、携帯電話の危険性を調べるよう依頼された研究者の中に、自国の電話会社から経済的支援を得て、研究を行っている人物が非常に多いこと、携帯電話がマウスや人間の健康に深刻な害を与えるという研究結果に至った研究者がメンバーから外されたり、研究資金を絶たれたりしていることを、明らかにしていました。また、携帯電話と脳腫瘍の関係を突き止めようとする研究者が、携帯電話会社あるいはその連合から、研究費を受け取るという場合が、非常に多いということでした。携帯電話会社から経済的支援を受けている研究とそうでない研究では、結論として導かれる携帯電話と脳腫瘍の関連度に大きな差があるという話もありました。
今インターネットで検索してみても、携帯電話と脳腫瘍の関連については、やはり賛否両論が見られます。ただ、腰の重い世界保健機構が、今年5月に、「携帯電話が脳腫瘍を引き起こす可能性がある」として、断言はしまでも、とりあえず自分の身を守るために、携帯電話の使用を見直す必要を訴えています。多くの国民の健康に関わるこうした記事も、新聞やニュースでは隅に追いやられていた、と番組の司会者は語っていました。わたしたちもそういうニュースを特に聞いた覚えはないし、彼女の言うように、巨大な税収入を国にもたらす携帯電話の危険性を、国民から意図的に隠そうとしたのかもしれません。携帯電話を製造する会社も、将来的に裁判で訴えられたときの対策としてか、使用説明書で、「身体から1.5cm離して」あるいは「イヤホンを使って」使用することを勧めている場合もあるようですが、20m離して、初めて安全と考える研究者さえいるようです。
放射能汚染と同じで、携帯電話も多くの人が使うようになったのは、つい最近のことなので、データはまだ不足しているものの、発達期にある子供の脳に与える害は、ことさらに大きいとする研究者もいます。1日30分間、10年以上使い続けても、健康に害を与える可能性があるとも言われています。
というわけで、この先さらなる研究結果が出るまでの間も、できれば、昨晩の番組で勧めていたように、以下の点に留意して、身を守る必要があるのではないかと思います。
・イヤホンを使うようにする。(危険性が90パーセント減少する)
・電話を使わないときは、できるだけ身体から離れたところに置く。
・車内や郊外など電話が通じにくいところでは、脳に与える害が特に大きくなるため、携帯電話の利用を控える。車内で利用する場合には、窓を少し開ける。
・家や職場では、可能な限り、携帯電話ではなく固定電話を使用する。コードレスフォンにも、携帯電話と同様の危険性がある。
・枕に下に、携帯を置いて眠るのをやめる。
そして、幼い子供には携帯電話を与えず、与えたとしても、使い過ぎぬように注意することが必要だと思います。
昨晩の番組を見て、番組自体が信頼性の高いものであることもあって、わたしは、携帯電話は、毎日長い間使い続けていれば、年月を重ねるうちに、脳腫瘍の引き金となる可能性があり、発達期の子供に与える害は特に大きい、と受け取りました。研究結果や意見が分かれる問題でもありますが、携帯電話も、煙草と同じで、中毒というわけではありませんが、特に必要性がなくても、むやみに長時間使ってしまっている場合もあるかと思います。
情報を得て、ではどうすれば、と判断するのは、わたしたち一人ひとりの選択に任されているのですが、とりあえず、昨晩番組を見なかった方にも、情報をお伝えしたいと思って、この記事を書いてみました。
リンク
この晩の放送を見てみたいと言う方に(↓)
- RayPlay.it – Report 27/11/11(イタリア在住者のみ視聴可能)
世界保健機構の5月の発表を受けて書かれたオンライン記事(↓)
-Corriere.it – Salute – Allarme dell’Oms su cellulari e wi-fi. 《Rischio tumori del sistema nervoso》 31/5/2011
日本でもほんの一時期、携帯電話の電磁波が健康を害する…可能性があるというニュースがあったのですが、その後、全く聞かなくなりました。
今、携帯電話の会社は勢いがある業種ですからね。邪魔になるものはつぶすぐらいの力とか人脈関係は持っていそうですよね。
携帯電話が発する電磁波も怖いですが、あの小さな画面を長時間見ていれば目が疲れ、頭も疲れ、視力は低下しますし、脳にも悪影響がありそうです。
日本だと「アプリ」(アプリケーション)と言って、暇つぶしできるミニゲームみたいなのが今流行っているんですけど、電車の中とか待ち時間とか家で暇な時とか、暇さえあればそんなのばっかりやっている人が増えています。そういう人は、どんどん体への悪影響が溜まっていきますよね。なのに、携帯電話会社のほうはそういう本来必要ないようなゲーム機能などばかりに力を入れているんですよね。なんか、それでいいのか?って疑問に思います。
公式発表がされないなら、自分の身は自分で守るしかありませんね。
凸d(^ー^)pochi
番組では、携帯電話で話すより、メッセージを送るように推奨していましたので、携帯の電磁波が危害を及ぼすのは、特に電話で話すときではないかと推測します。ただ、いつまでも画面をのぞきこんでゲームばかりしているような子供や大人が増えれば、社会的にも、人格形成の面でも問題なので、携帯電話を生産する企業の自重と共に、余暇の使い方を教育することも大切かと思います。