イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

クリスマスの憂いと喜び

 クリスマスと言うと、映画やテレビの広告には、幸せそうな家族、そして、恋人たちの姿が、しばしば映し出されます。クリスマスがそんなに楽しいばかりかと言うと、実は、我が家でも、夫が、皆に喜ばれる贈り物を選ぼうと躍起になるあまりにストレスをためこみがちで、わたしも、そのあおりを食らったり、連日の家族・親戚や友人・知人の家庭訪問やら会食に、気が疲れることがあったりします。

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 人それぞれに、万別のクリスマスがあることを、元旦の夜、この本、『A Season to Remember』を読み終えて、つくづく感じました。

 アイルランドにある、もてなしの温かく、かつ瀟洒な宿、Sugar Loaf Lodge。小説のどの章でも、それぞれに事情があって、クリスマスを、この宿で過ごすことになった人々の人生が描き出されています。マスメディアが、家族や恋人と過ごす幸せなときだと伝えすぎるがゆえに、クリスマスをかえって憂鬱に過ごさなければいけない人々の姿や、恋に落ちた主人公の心の変化を、情感豊かに描き出しています。

 序章と終章の主人公は、ホテルを経営する夫婦、アランとクレアー。それに挟まれた章の題には、どれもホテルの客室の名前が冠され、それぞれの部屋に宿泊することになった人々の人生と、クリスマスをホテルで過ごすことになったいきさつが語られています。最初は主人公が幸せいっぱいだと思ったら、実はそのうち暗い影がさしてきて……という章も多々あります。英語の再勉強を兼ねて、毎晩寝る前に10ページ読むことを課していたわたしでしたが、読んでいるうちに、急に主人公の人生の風向きが変わって、続きが気になり、結局、章の最後まで、30ページほど読み続ける、ということもしばしばでした。

 あまり哲学的に掘り下げず、軽やかな筆致で書かれているおかげで、こうして、久しぶりに分厚い本(372ページ)を1冊、読み終えることができたのでしょう。今は、読み終えたという達成感と、さわやかで温かい読後感を楽しんでいます。気取った文章ではなく、会話が多いので、英語の小説としては、かなり読みやすい方だと思います。各章の内容が、ほぼ独立しているので、筋を追うのも、比較的易しいことでしょう。英語の勉強も兼ねて、ちょっと読書を楽しみたいという方にはおすすめです。

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Big Ben, London 05/12/2011

 この本を買ったのは、ロンドンの空港から発つ前、残された数分の間に、本を買おうと急いでいたときのことです。「1冊買えば、もう1冊は半額」というコーナーにあり、さらに「ベストセラー」とあるので、裏表紙の書評だけ斜め読みして、別の1冊と共に購入しました。余談ですが、わたしは、オンラインで本やCD、電気製品を購入するときには、いろんな国のアマゾンやオンラインショッピングのサイトを見て、検討します。

 たとえば、同じこの小説でも、日本のアマゾンイタリアのアマゾンには、読者の評価や感想がないのに、イギリスのアマゾンのサイトには、すでに10人の読者の、本を読んでの感想や評価が掲載されています。

 同じCDでも、また、それがイタリア語のCDであっても、イタリアのアマゾンでは、アルバムに含まれた曲名が分からないのに、同じ商品をアメリカのアマゾンで調べると、曲名がすべて分かる上に、各曲の30秒ほどを試聴できるリンクまであることも、しばしばです。

 ユーロが暴落し、危機にさらされていることは知っていましたが、昨晩、久しぶりに…10年ぶりに、1ユーロが99円代になったのを知って、びっくりしました。イタリアやヨーロッパの経済・政治の行く先は不安ですが、これは、日本にお住みで、イタリア語の教材を安く購入したいという方には絶好の機会です。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ムームー at 2012-01-04 08:32 x
なおこさんおはようございます。
クリスマスへの思いが色々とあるって知って何か身近な
感じを受けました。
人の感情はどちらのお国にいても同じなんですよねぇ~
読み進めて行くのに引き込まれそうな本に出合えると
嬉しいですね。
今は調べて購入出来ますからいいですねぇ、こうして
教えていただけるととっても参考になりますわぁ。
いつも温かい言葉をかけて下さって嬉しいです~♪
Commented by milletti_naoko at 2012-01-04 08:42
ムームーさん、こんばんは。今日は夫が外泊で、ついついこんな時間(イタリアでは真夜中過ぎ!)まで起きてしまっています。実は最近は買ったものの、読みもせずに、あるいは読みかけたまま放っている本が多いのですが、今回は、久しぶりに短期間で一気に読み通すことができたのでうれしいです。映画にしても小説にしても、どうもあまり堅苦しいものでなく、楽しいものでないと、長く続かなくなってきている気がします。いけないなと思いつつ、勉強ではなく、楽しみで本を読むのも大切だと、自分に言いわけをしています。
Commented by oliva16 at 2012-01-04 09:40
おはようございます。いつも詳細なイタリア情報をありがとうございます。ここまで丁寧に教えていただける情報源はめったにないです。とはいえ、相変わらずずぼらでとっちらかっている私なのでなかなかイタリアのサイトから買い物というところまで行きつきませんが…。
Commented by ank-nefertiti at 2012-01-04 11:49
naokoさん、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
というよりも、もうすぐ本当にお世話になりに参ります^^;

この本、面白そうですねぇ!
英語で読むのは私にはとてもとても!だと思うので、和訳が出ていたら買いたいです^^
でも、それじゃあ勉強になりませんよねぇ・・・^^;

スポレート、なんて素敵なところなんでしょう!
イタリアについてはいろいろと言う方がいますが、私はやはりこの国がとても好きです。
これだけの歴史を持つ国、これだけの文化遺産を持つ国、歴史大好き人間にはたまらなく惹かれる国です。

来週の今頃はペルージャです^^
ワクワクします!
Commented by gianca at 2012-01-04 15:36
なおこさん!あいさつが遅くなってしまいましたが...。
明けましておめでとうございます!去年の終わりは日本帰国、体調不慮、仕事とバタバタしていてなかなかブログが更新できずまたブログに遊びに来れませんでしたが新年を迎え落ち着いたので楽しく読ませていただきますね!今年もよろしくお願いいたします!
「星の王子様」は私も大好きで日本語、英語、フランス語、イタリア語の4冊もっています!
Commented by koba at 2012-01-04 16:46 x
cold winter nights
まさにお奨め時ですね。ユニクロみたいな売り方が本の世界にもあるんですね。私の選書で楽しいのは、古本屋の目録です。新刊もいいのですが、あまりの多さに疲れます。一気呵成に読めた本は楽しいですね。本は読み手を呼ぶといいますから。生憎アマゾンでは在庫キレでした。残念。

Commented by milletti_naoko at 2012-01-04 18:39
olivaさん、おはようございます。さっそく読んでいただけたんですね。うれしいです。インターネット上にはイタリア語学習に役立つ文章や歌、生教材がたくさんあるのですが、たくさんありすぎて目移りしますよね。皆さんが、興味のある教材やページに出会って、ちょっと勉強してみようと思うきっかけになる、そういう記事が書けたらなと思っています。
わたしは逆にずぼらなだからこそ、店を回るより、オンラインで情報を収集・購入ということがよくあります。家電でも、だいたいの値幅を把握してから行くと、あちこちの店(お互いに結構離れているんです、これが)に足を運ばなくてすみますし……
実はわたしも、昨年の末に、フランス語の学習教材をそろえて、「通訳の仕事が終わったら、フランス語の勉強を始めよう」と思っていたのに、仕事終了後は、ロンドン旅行の準備、そして、旅行。帰って来たら、片づけ、ブログの記事、クリスマスの準備に外出続きで、結局、まだまったく手をつけていない状況です。お互いに頑張りましょう!!
Commented by milletti_naoko at 2012-01-04 19:10
杏さん、明けましておめでとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願い申し上げます。

必要に迫れられて、2、3分でに購入する本を選んで買ったあと、機内で、「内容が軽すぎたらどうしよう」、「クリスマスをめぐる感動的な物語かもしれない」などと思いながら、まず序章を読み始めました。環境・食物の安全・男女差別などの時事問題、そして、イタリア人の国民性に関する本など、いろいろ買っているのに、すっかり積ん読になっていていけません。こういう小説だと、夢中になってさっと読めるのですが…… それぞれの主人公たちの運命が気になって、楽しみながら読めた上に、クリスマスの時期に気疲れするのは、わたしたちだけではないんだと、妙に励まされたりもしました。

スポレートはペルージャからは少々遠いのですが、友人がいるおかげもあって、時々足を運びます。いくたびに新たな発見がある、こういうすてきな小さい町が、ウンブリアにはたくさんあります。イタリアには問題も多々ありますが、それに負けないくらい魅力も多いと、わたしも思います。歴史や美術が分かれば、旅もいっそう楽しいですよね。もうすぐお会いできるのが、本当に楽しみです。
Commented by milletti_naoko at 2012-01-04 19:26
giancaさんは、コックでいらっしゃったんですね! どうりでおいしそうなお料理の数々がブログの写真に並ぶはずだと納得が行きました。毎日お忙しい上に、体調まで崩されて大変でしたね。新しい年がgiancaさんにとってすてきな1年でありますように。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
『星の王子さま』、何度読んでもいいですよね。音声CDが秀逸で、これも繰り返し聞きました。日本に置いてきたのが残念です。フランス語版! いつかわたしも原書を読んでみたいと思うのですが、まずはフランス語の勉強を始めなければ。日本語・英語はわたしも繰り返し読み、ドイツ語版は遠い昔に買ったものの、結局開くことがなかたように覚えています。
Commented by milletti_naoko at 2012-01-04 19:57
kobaさん、そうなんです。本当は名作と言われる作品を買えばよかったのでしょうが、空港内のこの店は、本の数がそれほど多いわけではなく、そのためか、古今の良書よりも最近のベストセラーの方が目につく場所にありました。実は、最初からこの本に魅かれたわけではないのです。店内に、以前から読みたかった本がたまたまあって、その本に「1冊買えば2冊目は半額」というシールが貼ってあったので、「それなら、お得だからもう1冊」と、周囲にあった該当する本の中から、めぼしい本を選んでいたら、この本が目に入ったのです。
というわけで、わたしがこの小説を買うことになったのは、ユニクロ方式の割引のおかげと言えます。日本に住んでいた頃は、和書については、実用書は別にして、近現代の文学は、評価の確立した作家の作品を読むようにしていました。人気のあった流行作家の作品もいくつか読んでみたものの、軽くて浅薄な気がして、どうも好きになれず、だったら名作を読みたいと思ったからです。これをきっかけに、毎日少しずつ本を読む習慣を復活させたいと思っています。
Commented by かや@和歌山帰り at 2012-01-05 04:22 x
こんばんは☆
確かに、街をあげてクリスマスのムードでにぎわう裏に、それを寂しく感じている人も多いということを考えるべきですよね。

日本の場合は、ケーキ屋、パンの会社、オモチャ業界、デパート業界、高級ホテルなどなど、稼ぎ時なので盛り上げたいという思惑を感じます。
仏教国なんだから、ここまで盛り上がる必要はないんですよね……。

クリスマスを盛り上げようとする気持ちがプレッシャーになって苦悩になることもあるんですか。なんだか本末転倒じゃないですか。楽しむならみんなで気分良く楽しみたいですね。

凸応援ぽち!
Commented by milletti_naoko at 2012-01-05 05:06
かやさん、こんばんは。かつて高校で教えていた頃、現代文の評論に、「広告がいつも幸せそうな家族や人々ばかり描き出すので、消費者はいつも何かが不足し、物足りないという気持ちを抱き、その心の空虚を埋めるために、消費行動に走る」といった文章があったような気がします。イベントとして、経済や人々の気持ちを活気づけるという意味では大切ですよね。

応援のぽちをありがとうございます!
by milletti_naoko | 2012-01-03 23:10 | Film, Libri & Musica | Comments(12)