イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

クロッカス咲くフィオンキ山

 2月26日土曜日は、スポレートの南南東にあるフィオンキ山(1337m)の頂を目指して、山を登りました。

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 まだ雪の残るところの多い山の高みに、自生の美しいクロッカス(croco)が咲いていて、目を楽しませてくれました。

 まずは、聖フランチェスコが仲間たちと祈りを捧げて過ごした森や庵のあるモンテルーコ(Monteluco di Spoleto、827m)まで登って、近くのホテルで、昼食用のパニーノを作ってもらい、車でさらに山を登りました。

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Sbalzo della Carta (1061m) 26/2/2012 12.24

 わたしたちが今回歩いた登山コースは、Sentiero dei Castellieriイタリア山岳クラブ(CAI)のSentiero SCです。本来は出発点が950mで、高低差が450mあったのですが、時間も遅いので、もっと高い地点から登り始めることにしました。途中、Sbalzo della Carta(上の写真)で車から下り、眺めのすばらしさに息を飲みました。

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Bivio Patrico (1040m) 26/2/2012 12.40

 近くの小村との分岐点に車を置き、いよいよ山を歩き始めます。目指すフィオンキ山(Monte Fionchi, 1337m)が、前方に見えています。

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26/2/2012 12.59

 20分ほど歩いて、こちらの分岐点までやってきました。CAIの道しるべによると、目指す山までは、あと1時間15分。手前の岩に、大きく「庵」(EREMO)と書かれ、矢印も付されています。

 実はここまで来る間にも、何度かこの庵への道案内を見かけたのですが、どういう庵で、何キロメートル先にあるかが、さっぱり分かりません。それでも、夫はひどく行きたがっています。

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 何とか説得して、予定通り山登りを続けることにしました。フィオンキ山(Monte Fionchi)が、かなり近づいてきました。

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 山を登るにつれて、道が深い雪に覆われていることが、多くなりました。

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 すっくりと立つさまざまな木々の美しさ。木の周囲の地面だけ、雪に覆われていないのが、自然が描いた模様のようです。少し先に、木のテーブルと椅子を見つけて、そこでパニーノを食べました。野バラの茂みに囲まれていたので、花が咲く季節に、また訪ねてみたいなと思いました。

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I Trocchi (1098m) 26/2/2012 13.59

 おいしい清水のわく泉の二つあるこの場所の名は、I Trocchi。このあとは、道しるべに従って、矢印の方向に、山を登っていきました。道しるべによると、フィオンキ山の頂までは、徒歩1時間。

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Monte Fionchi (a sinistra) 26/2/2012 14.09

 山頂が近づいてきました。雪に覆われたところが多いので、道が分からず、間違った道をしばらく進んで引き返したりもしました。

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 フィオンキ山が目前に迫る、岩がちの小道を歩いているとき、道の上に、そして山の斜面に、自生のクロッカス(croco)がたくさん咲いていたので、うれしくなりました。今年、山でクロッカスの花を見たのは、この日が初めてです。

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 わたしが苦労しながら、雪の坂道を上っている間に、夫はもうこんなところまで登ってしまいました。

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Vicino alla cima del Monte Fionchi (1337m) 26/2/2012 14.55

 夫は、フィオンキ山の頂上まで登り、さらにその先を少し歩いたそうなのですが、わたしは、この写真を撮った高さまで歩いて、あとは山登りを断念しました。

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 登りやすい小道があるはずですが、今はすっかり雪に隠れています。わたしのいるところからは、斜面が急で、雪は深いものの固いので、滑り落ちてしまう可能性もあります。後から聞くと、夫は一度ここまで歩いたあと引き返し、反対側から山を登ったとのことです。

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Eremo degli Angeli 26/2/2012 16.28

 帰りは、泉のあるI Trocchiまで、雪の深い別の道を通って戻った上、遠回りして、夫が行きたがっていた「天使の庵」(Eremo degli Angeli)を訪ねました。

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Panorama dall’Eremo degli Angeli 26/2/2012 16.56

 道のりが長く、登り下りもあって大変でしたが、この庵にたった一人で、もう長い間住んでいる高齢のシスターと会って話を聞くことができました。庵からの眺めも、すばらしかったです。フィオンキ山の名前をうろ覚えだったため、わたしは、シスターに話しているときに、「フィノッキオ山」(Monte Finocchio)と言ってしまい、後から夫が、思い出して楽しそうに笑っていました。名前、よく似ていますよね。

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Patrico 26/2/2012 17.34

 すっかり疲れ果てたわたしが、重い足を運びながら歩いていると、かき曇る空の下を、夫は一人でどんどん先に行ってしまいました。そうして、そのうち冷たい強風が吹き始め、最初は少しだけ混じっていた雪の量がどんどん増えてきて、激しい吹雪になりました。一足早く車までたどり着いた夫が、車で迎えに来てくれたのと出会って、ほっとしたのは、午後5時半近くのことです。雪が降りつける中、車に乗ったまま、Patricoの集落を訪ね、そのあと、最初は雪が、途中からは雨の降る山道を下ってスポレートまで下り、そのまままっすぐペルージャまで戻りました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by kazu at 2012-03-06 11:27 x
「天使の庵」はやはりここもフランチェスコかキアラの縁の地ですか。ご高齢のシスターが一人で住んでおられるとは驚きました。それにしても木々の根本をみると、雪があるとはいえ春が近いという感じですね。木が地下水を吸い上げ根本から温かくなって雪が解けていくと聞きました。こうして雪山を行かれるときは、靴は何か特別のものを履かれるのでしょうか。来週私も犬を連れて雪山に行きます(^^)
Commented by ムームー at 2012-03-06 11:48 x
美しい雪景色~
山に登られる途中で見える景色にも感激しますね、そして
美しい色したクロッカスが出迎えてくれるのですねぇ。
癒されますね~
昔~に白馬の途中まで登ったきりなので山のぼりの楽しさも苦しさも何も知りませんの。
でもこうして見せていただくとお二人の会話が足音が
聞こえてきそうですわぁ。
知らない世界を見せて貰えて嬉しいです♪
Commented by milletti_naoko at 2012-03-06 18:32
kazuさん、天使の庵自体は、聖人たちにゆかりの地ではないのですが、聖フランチェスコは、ごく近くにあるスポレートやモンテルーコを訪ねたり、宿泊したりもしていますし、近くを歩いたり通ったりしたことは、あるかもしれません。シスターは、以前に住んでいた庵も計算に含めると、もう40年間も、一人で、俗世間から離れて、神との対話や平和を楽しみながら、暮らしているとのことです。クロッカスは、ちょうど雪が解け出した頃に見かける花で、まさに春の先駆け。雪の上を歩くときは、登山靴を履いていきます。雪が解けたところは泥になったり、濡れた岩の上は足が滑りやすかったりするので、登山靴とストックに助けられます。使い込んだので、長い間雪の中を歩いていると、少し靴の中に水が入ってくるようになってしまったのですが…… 雪山のお散歩、楽しみですね。
Commented by milletti_naoko at 2012-03-06 18:35
ムームーさん、わたしも登山がそれほど好きなほうではなかったので、今こうして山登りをするのは、夫や友人たちのおかげです。慣れていないので、ゆっくり苦労しながら登るのですが、それでも山を歩いていると、きれいな野の花や野生の動物たち、すてきな風景に出会えて、歩いてよかったと思うことがしばしばあります。
疲れた足と心を、かわいらしいクロッカスの花の大群が、励ましてくれました♪
by milletti_naoko | 2012-03-05 23:17 | Umbria | Comments(4)