イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

篝火で迎える聖ジュゼッペ

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 日本で「ヨセフ」と呼ばれるイエスの養父は、イタリア語では、ジュゼッペ(Giuseppe)。カトリック教では、聖母マリアを支え、イエスを育てた聖人として敬愛されています。

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 昨日、3月19日は、この聖ジュゼッペ(San Giuseppe)を記念して祝う日でした。聖ジュゼッペがイエスの養父であることから、イタリアではこの日に父の日(Festa del papà)を祝います。我が家では、お義母さんの名前がジュゼッピーナで、3月19日は、父の日であると同時に、義母の聖名の祝日(onomastico)でもあるため、この日は例年、夫とわたしから、義父母にささやかな贈り物をしています。

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 父の日とは知っていたのですが、聖ジュゼッペの日前夜に、イタリア各地に、大かがり火を焚いて祝う風習があるとは、知りませんでした。3月18日日曜日の夕方は、ペルージャへと向かう車の中から、家の庭や畑で火が焚かれ、煙が上がる様子を、何度も目にしました。上の写真は、高速で直進する車の中から撮影したのですが、それでも、大きな炎が赤々と燃えているのが、分かることと思います。

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 日曜の朝、友人たちとイジェア・マリーナの海辺を、波打ち際に沿って散歩したときには、港近くに、こんなふうに不要な家具や木材が大きく積み上げられていました。午後7時から、聖ジュゼッペの大かがり火を焚くためです。

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 ペルージャまで帰るのに車で3時間かかるため、友人たちは、「かがり火を見てから帰れば」と誘ってくれたのですが、午後5時半頃、リミニを後にしました。それでも、アドリア海岸からアッペンニーニ山脈へと向かう車内からも、いくつもの焚き火を見ることができました。

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 聖ジュゼッペの記念日として祝う3月19日は、ちょうど春分(equinozio primaverile)の直前でもあり、従来異教徒が、長い冬のあとで春の訪れを祝って、かがり火を焚いていた習慣が、カトリック教が普及してからも、こういう形で残っているようです。「春の訪れを祝うと共に、ちょうど復活祭の前、四旬節の期間中なので、火で清めるという意味もある」と、どこかでそう読んだらしい夫が教えてくれました。

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 週末を共に過ごした友人たちの中には、幼稚園の先生もいて、彼女によると、「幼子イエスが生まれた晩は、ことさらに寒かったので、寒さに苦しんだ聖ヨセフのために、火を焚くのだ」そうです。これは、子供に語って聞かせる説明かもしれませんが、聖ジュゼッペの記念日の前に、大かがり火を焚く風習には、いろいろな説があり、祝い方や火を焚く日時も、イタリア各地でずれがあるようです。「冬」に見立てた人形を燃やす風習のある地方もあるとか。

 夫が山中の村に住んでいた幼い頃は、義父や近所の人々も、聖ジュゼッペの前夜には、大かがり火を焚いていたとのことです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by かや at 2012-03-21 02:32 x
こんばんは☆
大かがり火は確かに暖かそうですね。
山火事になりそうで心配ですけど、ちゃんと見ているんでしょうけど…。

凸ポチ!
Commented by milletti_naoko at 2012-03-21 05:57
かやさん、こんばんは♪ 剪定した枝などを燃やすこともでき、火を焚くことで、翌年に作物が育ちやすくもなるそうです。確かに、火事が心配なほど燃え広がっている焚き火も、いくつか見かけました。

応援のポチをありがとうございます。
by milletti_naoko | 2012-03-20 11:16 | Feste & eventi | Comments(2)