2012年 03月 28日
薬草で花粉退治

最近のわたしの花粉症療法は、イラクサ(ortica)のハーブティーに、アマーロ・ズヴェデーセ(amaro svedese、直訳は「スウェーデンのアマーロ」)をティースプーン3杯入れて、1日に3杯から4杯飲むというものです。

夫の本棚には、薬草療法を扱った本が何冊もあります。今年、花粉症の症状が出始めてすぐ、このうち数冊を借りて、花粉症にはどういう薬草が効くかに目を通しました。クロスグリ(ribes nero、学名Ribes nigrum)やミント(menta)の効用を説いた本が多かったのですが、どの本も、数種類のハーブを組み合わせての療法を紹介しており、うちにはないものも多かったので、実践は見送っていました。本を借りたとき、夫に一番信頼がおける本はどれかを尋ねたら、迷わずこのマリア・トレーベンの一冊だという答えが返ってきました。
マリア・トレーベン(Maria Treben、1907-1991)は、オーストリア人女性で、ヨーロッパに従来伝わってきた薬草療法で、多くの人々を癒し、またドイツ、オーストリア、さらにはヨーロッパ中でセミナーを行い、会議で発表することによって、伝統的な自然療法への関心を喚起しました。この本、『La Salute dalla Farmacia del Signore』は24か国語に訳され、今でも薬草療法のバイブルとして、参考にする人が多いようです。日本では、『薬草ハーブの宝箱』という題名で、西村サイエンスが出版しています。

この本の花粉症の項を読むと、「イラクサはどんなアレルギーにも効果があり、花粉症もアレルギーの一つなので、1日3、4杯のイラクサの煎じ薬(ハーブティー、tisana)に、1杯あたりティースプーン3杯のErbe svedesiを加えて飲めば、症状は退散する。」とあります。
イラクサ(ortica)は、イタリアでは野山でよく見かける草です。肌に直に触れると、赤く腫れ、ぶつぶつができたりして痛むので、見かけたら、手や足に触れないように気をつける必要があります。上の写真は、3月18日に、リミニの友人宅で撮影したものです。まだ育ち始めたばかりで、丈は低く、葉も小さめです。イラクサの乾燥葉は、薬草専門店(erboristeria)に行けばあるとしても、

このスウェーデンの薬草(Erbe svedesi)とは何ぞやと思って、本の該当ページを開くと、大きい文字で掲げられた見出しの下に、すぐアマーロ・ズヴェデーセの作り方が説明されています。「アロエ、ミルラ、サフランなど11種もの薬草を、アルコール度数40度の穀物あるいは果実の蒸留酒に浸して……」 最初にこの説明を読んだのは、約1か月前、2月の末だったと思うのですが、そのときは、いくらてきめんに効果があると言っても、これではまず薬草をすべてそろえるところからして大変そうだとあきらめました。

それが、このアマーロ・ズヴェデーセを、昨日ご紹介した春の花市の露店で見つけたのです。

瓶のラベルを拡大すると、こんなふうに、「マリア・トレーベンのオリジナルレシピ」と、彼女の写真と署名入りで、ドイツ語とイタリア語で書かれています。

この露店には数々のハーブティーも並んでいたのですが、アマーロ・ズヴェデーセに出会えるとはつゆとも知らなかったわたしは、アマーロと共に飲まなければならないハーブティーが、どの薬草のものか、まったく覚えていませんでした。
上にも書いたミントとクロスグリだけは頭に残っていて、ミントは夫手作りの自家製の乾燥葉があったので、とりあえず、アマーロと共に、クロスグリのハーブティーを購入しました。アマーロ・スヴェデーセは、200ml入りで14ユーロ、イラクサのハーブティーは、ティーバッグ15袋で4.5ユーロでした。

さて、花市で思いがけずアマーロ・スヴェデーセを購入することはできたのですが、うちに帰ってマリア・トレーベンの本を開き、必要なのは、イラクサの乾燥葉だと分かりました。
このイラクサ(ortica)をようやく購入できたのは、先週久しぶりに、行きつけの薬草専門店を訪ねたときのことです。量り売りで、100gあたり4.06ユーロ。箱の値段を見て、一瞬高いなと思ったのですが、乾燥葉は軽いので、25gでも紙袋いっぱいになり、とりあえず1ユーロ分購入しました。店で、イラクサの煎じ薬(tisana、ハーブティー)は、大さじ1杯の葉に約200mlの熱湯を注いで、10分間葉を蒸らしてから飲むと聞きました。24日土曜日から、遠出していた週末を除いて、毎日マリア・トレーベンの教えどおりに3、4杯飲んでいたら、今日はもうこんなに残り少なくなりました。イラクサはペルージャ周辺でも見つかるのですが、夫によると、まだ葉が若いので、薬草としての効力はあまりなく、リゾットなど料理に使うとおいしいとのことです。

この数日、イラクサのハーブティーを準備し、飲むのに使っているのは、このお気に入りのティーカップです。目の細かい茶漉しと蓋がちゃんとついているので、とても便利です。マリア・トレーベンの本には、砂糖を入れるようにとは書いていないのですが、アマーロを入れると苦くなるので、黒砂糖をティースプーンに3杯入れて飲んでいます。
1か月前に、他の薬草専門店で買った、花粉症を緩和するという栄養補助剤は、去年かかりつけ医が処方してくれた鼻用スプレーと同様の効果を発揮して、完全にとは言えないものの、かなり花粉症の症状を抑えてくれました。ただ、薬草専門店にイラクサを買いに行ったとき、この栄養補助剤も買おうと思ったら、夫から「アレルギー症状に苦しみにくい体を作るためのものだから、ずっと飲み続ける必要があるわけではないんじゃないか」と言われた上、マリア・トレーベンが「花粉症にてきめんに効く」というハーブティーの材料が手に入ったので、しばらくは、これ一本で様子をみようと思って、今回は買いませんでした。

ただですね、薬草専門店で、イラクサの乾燥葉を買う際に、「マリア・トレーベンが、花粉症対策には、イラクサの煎じ薬とアローマ・ズヴェデーセを勧めているから」と言ったら、「あら、アレルギーや花粉症には、何と言ってもこれが効果抜群よ。」と、お店の人が、こちらのクロスグリの芽を使った品を紹介してくれたのです。「クロスグリなら、アローマを買ったときに、煎じ薬も買ったから。」と断ったのですが、「あら、葉よりも芽(gemma)の方が効果は抜群なのよ。」と、カタログまで取り出して、説明を見せてくれました。
ふだん化粧品や贈り物を買うのによく利用している店で、この親切な店員さんが好きで、意見に一目置いているものだから、ついついこの商品も購入してしまいました。50ml、9.50ユーロなり。60滴を少量の水に垂らして、1日2回飲用ということで、煎じ茶と違って、旅行先で服用しやすいので、そういう機会に持って行きたいと思っています。もちろんマリア・トレーベンの療法の効果が今ひとつであれば、このクロスグリの芽の液を併用することもできるのですが、今のところは、マリア・トレーベンの療法だけで、うまく症状が治まっています。ちなみに、この行きつけの薬草専門店でも、別の会社が製造した「マリア・トレーベンのオリジナルレシピ」を歌ったアマーロ・スヴェデーセが売られていました。200ml入りが、17ユーロだったように覚えています。
この記事を書くにあたって、本のアマーロ・ズヴェデーセの項を読み始めたら、万病に効くとあり、西洋医学にはさじを投げられた患者にも、このアローマを使った療法で健康を回復した人が大勢いるそうです。病気や怪我から回復した人の例が列挙されているのですが、あんまり長いので、途中で読むのをやめてしまいました。なぜ「ズヴェデーセ」(svedese、スウェーデンの)と冠されているかというと、14~15世紀を生きたスイスの医者、パラケルスス(Paracelsus)が考案したと伝えられる、このアマーロのレシピを18世紀に再発見したのが、スウェーデンの著名な医者で、医大の学長でもあったDr. Samstだったからです。このアローマ・スヴェデーセを世界に知らせたのが、マリア・トレーベンで、ウィキペディア英語版の説明には、「多くの病気を治し消化を助けるといわれているが、その効能を裏づける科学的証拠に乏しい」と書かれています。

こちらは、以前にもご紹介した、ペルージャの花粉カレンダーです。(下記リンク参照)3月末から4月初めにかけては、例年、イトスギの花粉量がまだ多い上に、松花粉の飛散が始まり、5月になってイトスギ花粉が収まりを見せる頃、松花粉の量がピークに達します。というわけで、まだまだ油断は禁物です。とりあえずは、花粉症対策として、目薬とアローマ・スヴェデーセ入りイラクサの煎じ薬を服用し、できるだけ、「1日15時間続けて何も食べ」ず、「1日2リットルの水を飲む」ことを、心がけていきたいと思っています。
余談ですが、花粉症と共に始まった歯茎の痛みが、いつまで経っても治まらないので、花粉症とは関係がないかもしれないと思って歯医者に行ったら、2本虫歯があることが判明しました。以前の記事でも書いたように、2本の虫歯の治療も、イタリアでは終わるまでにひどく日数がかかります。ひょっとしたら復活祭までに治療が終わるのは難しいかもしれないと言われ、4月のパリ行きは雲散霧消してしまう恐れがあるのでありました。
参照リンク
- Amazon.it - Maria Treben, "Salute dalla Farmacia del Signore"
関連記事へのリンク
- 花粉症対策2012
- 花粉情報、イタリア&ウンブリア
↑ イタリア全国・各地、ペルージャの「花粉カレンダー(例年の平均各月花粉飛散量)」へのリンクを貼っています。


花粉症には色々と工夫して苦労されていますね。
でも、そろそろ出口が見えて来たでしょうか。
加えて、歯の治療ですか。
ここは一挙に治して、すっきりと楽しい時間に備えましょう。
そして、パリ行きが間に合いますように…。(^^)/
花粉症に加え歯の治療!大変ですね。特に歯の治療ってイタリアではどんな感じですか?イギリスでは、なかなかに大変なことになってます。もちろん、保険が効かないので実費。おまけに歯医者選びも大変で、結局高くても腕のいい日系に通わざる得ない状況です。
治療に時間がかかるということですので、やはりイタリアの歯医者事情も大変そうですね。くれぐれもお大事に!
それにして、花粉症の記事をよくもここまで専門的なことも取り入れて書いたものです。
なおこさんらしいな~
ところで、私のブログの読者さんが、近くの方にお知らせくださいとコメントを下さったので、なおこさんにお知らせします。
小田原少年少女合唱団が、アッシジで歌うそうです。
以下、予定です。
3月31日、アッシジ、サンフランチェスコ教会でミニコンサート(13時~14時)
4月1日、Palacongressiパレード
オープニングセレモニー着物で演奏(20時30分頃)女子は振袖で男子は袴。
4月3日、コンクール(同声19以下の部門)
PM Konservatoriumに移動して友情コンサート(21時頃)
だそうです。
ご興味があれば行かれてくださいね♪

イタリアでも歯の治療は、公立病院であれば安く受けられはするようですが、ペルージャの公立歯科医はあまり評判がよろしくないようなので、実費で値段も高い私立のお医者さんに通っています。夫がいい歯医者が見つからずにいろいろ通ったあげくに見つけた歯科医で、「治療中、治療後の痛みが少ない」、「腕もなかなかいい」というのが選んだポイントのようです。ただ、日本だったら、麻酔なんか使わない治療で、平気で麻酔を使うので、歯を削るときには痛まないけれど、麻酔がきれるまで口が長いことつらかったりします。ロンドンには日系の歯医者さんもいるんですか! やっぱり日本人人口が多いんですね。治療に日にちがかかるのは、「初日は虫歯を確認して、薬をつめて、治療は次回…」と言った具合に数回にまたがってしまうからです。ありがとうございます。早く治療が終わるのを指折り数えて待っています。
コンサートやコンクールのお知らせをありがとうございます。3月31日か4月1日に、友人夫婦と会う約束があるので、都合がつく方は、ぜひ参加したいと思います。4月3日火曜日は先約があるので難しいと思うのですが、どの催しも、近隣に住む日伊の友人・知人にも連絡を回しておきますね!

