イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia 日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより

財布とポルケッタ

 最近、近所に新しいスーパーマーケット、Todisが開店し、義母と義弟は、開店当日にさっそく買い物に行きました。

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 「開店祝いに、ポルケッタ(porchetta)入りのパニーノがただでもらえるのよ。買い物しなくてももらえるから、行ってみれば。」と、お義母さんが言ってくれたのですが、わたしは、ポルケッタのためにわざわざ渋滞と人込みに巻き込まれることはない」と思って、出かけませんでした。

 かつて学生時代、ペルージャの中心街はずれのアパートで、いろんなイタリア人女性と共同生活を送ったとき、同じ家に、節約上手な社会人女性が住んでいて、いろいろ買い物のコツを教えてもらったのですが、彼女たちから、「Todisで売られているパスタや牛乳などの工場製造製品は、聞いたことがないメーカーのものばかりだけれども、野菜や果物は新鮮でおいしい。」と聞いていました。一度だけ中心街近くのTodisに入ったことはあるのですが、イタリア製ではない、聞いたこともないメーカーの商品が多くて、結局買い物をしたのは、その一度きりだったのです。

 そうして……試しにパスタなど、いくつかの商品は買ったものの、スーパーの品揃えにはどちらかというと落胆した義母と共に、買い物を整理していた義弟が、あることに気づきました。ズボンの後ろに入れていた財布が、なくなっているのです!

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 財布(portafoglio)が落ちていそうなところ、ありそうなところすべてを、必死になって探したけれども見つからず、結局は、スーパーで列に並んでいるときに、後ろからすられたらしいという結論に至り、すぐに警察署(questura)に、盗難の届け出(denuncia di furto)をしに行きました。身分証明書(carta d’identità)運転免許証(patente di guida)など証明書のたぐいも、すべて財布に入っていたため、警察には「出てくるかもしれないから、しばらく様子を見てみては」と言われたものの、その場で、古い証明書は廃棄して、新しいものを発行してもらう手続きを取ったそうです。そうしないと、車も運転できなかったからと、義弟から聞きました。

 開店のどさくさに紛れて、こういうひどいことをする人もいるもので、行ったら必ず財布がすられたというわけではないのですが、わたしは、義弟を気の毒に思いながらも、内心、「自分はわざわざ出かけなくてよかった」と思いました。

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 財布や証明書の盗難と言えば、うちの夫も、まだ結婚前に、初めて二人で日本を旅行したその帰り、ようやく母国に戻ったと安心したのでしょう、ローマ・フィウミチーノ空港とペルージャ間を結ぶ高速バスが、途中、ローマ・ティブルティーナのバスターミナルに立ち寄って、45分ほど停車した際、ここの有料トイレ(上の写真)に、財布や身分証明書類など一切合切を入れたウエストバッグ(marsupio)を置き忘れたことがあります。気がついて5分ほど後に戻ったときには、すでに跡形もなく、すぐに警察にも届けたけれど、結局見つからずじまいで、やはりすべての証明書類やクレジットカードを破棄して、新しく作り直しました。

 似たような盗難には、お義父さんも遭っています。墓地(cimitero)に駐車していた車に置いていた財布を、やはり中に入っていた証明書類ごと、盗まれてしまいました。で、この後が、笑い話になりそうでならない苦い話なのですが、義父は、盗難後、すぐに、盗まれた免許証の代わりとなる書類を発行してもらいに、エルチェ(Elce)の自動車学校まで出かけました。当時、ペルージャ中心街および近郊では、スモッグ対策のために、かなり広い地域にわたって、「この日はナンバーが偶数の車だけが走行できて、次の日は奇数の車のみ」といった具合に、自動車のナンバーによる交替走行規制(targhe alterne)が行われていたのですが、義父が盗難に遭った日は、ちょうど義父の車では走行ができない日でした。運が悪いときには悪いことが重なるもので、そんなことも知らずに走っていた義父は、市警察官(vigile)に停められ、事情を説明したものの、罰金を言い渡されてしまいました。

 さらに、この罰金を払いに行ったときのこと、駐車した車が、駐車線から、ほんのわずかだけ、かろうじてはみ出していたのに、やはり市警察に見つかって、罰金を課されたそうです。「こんなのは、線からはみ出したとは言わない」と、義父はさんざん抗議をしたそうですが、市警察官も頑として譲らず、結局義父は、それぞれ約70ユーロの罰金を、1日に2度、支払わなければならない羽目になったそうです。しかも、どの罰金も、もともと墓地で盗難に遭いさえしなければ、払う必要のなかったものです。

 皆さん、イタリアに長く住む地元の人でさえ、うっかりすると、やはり盗難に遭ったり、罰金をもらったりしてしまうことがあるのです。貴重品の管理や運転・駐車には、十分に気をつけましょう。

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 ちなみに、このままでは救いがないので、いい話をして終わりにしたいと思います。数年前のある日、わたしは、ペルージャの市内バスに、うっかりポシェットを置き忘れてしまいました。そのポシェットには、アパートの鍵や財布も入っていて、アパートに帰ったときに、家の鍵、そして、鍵を入れたポシェットを、バスに置き忘れたことに気づいて青くなりました。すぐに、バス会社の遺失物係に電話したところ、幸い親切な方が、遺失物係りに届けてくれていて、現金やカードを始め、もともと入っていたものが、すべてポシェット内にあって、感激しました。このときうっかりポシェットを忘れたのは、当時まだ恋人であった夫と、初めてひどいケンカをしたあとで、気が動転していたからだと思います。ついでに、やはり数年前のポルトガル旅行中に、ベンチにうっかりカメラを置き忘れて見つからなかったときも、夫とケンカをした直後でした。ケンカをすると、注意力が散漫になるのだと思います。というわけで、旅行中はただでさえストレスも多いと思うので、できるだけ、ゆっくりと計画を立て、お互いを思いやって、ケンカにならないように努めるのも、盗難防止と夫婦円満の秘訣だと思います。

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Panorama da Montesanto, sulla collina il paese di Sellano  10/3/2012

 最初の写真は、3月10日に、ペルージャのはるか南東にある水の里、セッラーノ(Sellano)を訪ねたときのものです。ポルケッタ入りのパニーノを、セッラーノの店で作ってもらい、すぐ近くの小高い丘に立つ村、モンテサント(Montesanto)のこの場所で、すばらしい眺めを楽しみながら、おいしいパニーノをほおばりました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by クロちゃん at 2012-04-06 06:39 x
なおこさん、おはようございます。♪
運の悪いことって続くことがありますね。
私も一度だけ財布をなくしたことがあります。
もうずいぶん昔のことですが、今でも覚えています。
それ以来、財布はセカンドバックに入れて肌身離さず持ち歩くようになりました。
車は、スピード違反以外に反則金はありません。(=^0^=)
いつもぼーっとしている時に警察官の「止まれ」の旗で止められます。(^^)/
Commented by 更紗 at 2012-04-06 07:04 x
大変でしたね。イタリア人の先生が「すりに遭うのは外国人だけじゃありません、イタリア人も被害にあいます!だから怖がらないでください!」と言っていたのを思い出しました・・・。

すみません、スーパーなんですけど、イタリアにはゴム手袋ってありますか?旧市街のcoopには見当たりません。お店の人に訊くとしたらguanti gommi??洗剤で手が荒れそうなので手に入れば嬉しいんですけど・・・。
Commented by koba at 2012-04-06 07:39 x
日本人でなくてもすりにあうのですね。ぼぉーとした日本人は尚更。水と安全はただは変わりつつありますが、でも、落し物はまず返ってきます。置き忘れはいつまでもそのまま。いつまでも。
我が家は、旅行を楽しむため「喧嘩はご法度」を合言葉に出かけます。2,3週間の時は忍耐か諦めか笑ってごまかしますが。
心騒がず、平常心が大切。年寄りは経験から学んでおりさすが、さて現実は如何に。
Commented by ムームー at 2012-04-06 10:33 x
嫌な思いをするときって重なりますね。
男性がズボンのポケットに入れてる財布はあぶないですね。
私はタクシーの助手席に乗った時、日ごろよりも薄いバッグを
忘れました、電話をしてもないの一点張りでした、カードも現金もなくなったーー!!
昔~嫌な気分で家を出たあと、追突されて入院しました、あれ以来家を後にするときは喧嘩や嫌な言葉をはかないようにと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 15:42
クロちゃん、おはようございます♪ 今でこそ笑い話として語れますが、お義父さん、あのときは本当に「弱り目にたたり目」でした。クロちゃんも財布をなくされたことがあるんですね。やっぱり貴重品は、日本でも常に用心して持ち歩く必要があるのですね。
わたしは今のところ、日本でもイタリアでも車で反則金を払ったことはないのですが、イタリアでは時々、日本とは勝手が違うので、たまにどちらが優先か、まれに車線を間違えてしまうことがあります。余暇を利用して、イタリアの道路標識をもっと勉強しなければ!!
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 16:10
更紗さん、イタリア語の授業でもそういう注意があったんですね。ただ、「イタリア人も被害に」遇うのだから、「しっかり注意してください」ではなくて、「怖がらないでください」と来るのが、おもしろいですね。外国人だけが標的ではないので安心を、ということでしょうか?
イタリアでもゴム手袋は売っていて、わたしも洗剤で手が荒れるので、ゴム手袋が欠かせません。(そう言えば今、右の手袋に穴が空いているようなので、わたしも買いに行かなければ!)中心街のスーパーは、COOPにせよCONADにせよ、店舗が小さいので、品数が少なく、食料品以外はほとんど置いていないと思います。万一置いてあっても、品数が少ないと思うので、もう少し大きいスーパーに行って、掃除・台所用品を探すことをお勧めします。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 16:13
更紗さんへ(上からの続きです)

値段や耐久性、ゴムの厚みもさまざまなゴム手袋があるからです。中心街からだと、一番行きやすく、分かりやすいのはミニメトロでも行ける鉄道駅(Fontivegge)のCOOPだと思います。Via PalermoのSidisや Via della PallottaのConadも、バスで簡単に行けます。この数年まったく行っていないので、事情が変わったかもしれませんが、以前近所に住んでいた頃は他店に比べて安いのが魅力でした。ただ、Sidisは大きいのでゴム手袋は必ずあると思いますが、Conadは店舗がどうだったか覚えていません。ペルージャ郊外になりますが、うちの近所、San Marco FornaciのPAMは、店もとても大きいし、夜は9時まで開いていて、日曜祝日も開いていることがあるので便利です。記事へのリンクはhttp://cuoreverde.exblog.jp/17260061/
ゴム手袋の呼び方は特に決まっておらず、guanti di (della) gomma、guanti di (della, per la) puliziaなどいろいろあるようです。
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 16:18
kobaさん、やっぱり日本では置き忘れが見つかることも多いですよね。「忘れ物も警察で見つかる」と思って、ポルトガルで紛失届けを出したけれど、夫も警察官も「絶対に見つからない」と最初から思い込んでいるようでした。国によって、こういうときの対処の仕方も違うわけです。
「喧嘩はご法度」は、賢明な旅行の合言葉ですね! 旅先では、したいこと、すべきと思うことが違ったり、道を間違えたり、ストレスがたまることもあり、ケンカになりそうな原因も多いのですが、まずはわたしがいつも平常心でいればだいぶ違うかなと、皆さんのコメントを読んで思いました。
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 16:23
ムームーさん、タクシーの助手席に忘れたと分かっているのに、それがないとは、つらいですね!! わたしは大阪で、タクシーの運転手にわざと遠回りをされて、駅から近いはずのホテルに行くのにかなり高い料金を払う羽目になったことがあります。ホテルの人に、「大阪には悪徳なタクシー業者が多いですから」と言われて、愛媛ではそんなタクシー運転手がいると聞いたことがないので、びっくりしました。
追突されて入院とは、大変でしたね! やっぱり、落ち着いた気持ちでいることが、自分の心身の健康にもいいし、トラブルの元も作らないんですよね。わたしも以後はよくよく気をつけたいと思います。
Commented by 更紗 at 2012-04-06 17:57 x
なおこさん
詳細な説明をありがとうございます!
パスクワが終わったら探しに行きます!!(今行ってお店が閉まっていたら哀しいので)
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 18:13
更紗さん、中心街の小さなお店や日曜祝日(復活祭の日曜日および翌日月曜日は祝日)はともかくとして、スーパーは基本的に、平日や土曜日は復活祭が近くても開いているはずです。駅前のCOOPやサン・マルコ・フォルナーチのPAMは、今日と明日は確実に開いていると思うので、もし学校の授業がないようなら、外出がてら行ってみてください。ペルージャ在住の方で、万一「いや今日明日も閉まっている」という情報をお持ちの方はご連絡ください。スーパーにとって、復活祭直前は、不況のさなか売り上げが見込める絶好の機会ですから、まだ売れ残っている卵やコロンバを売ったり、祝祭日用にごちそうを用意しようと訪れる客の需要に応えるため、前日の土曜に店を閉めたりはしないと思います。
Commented by pochidora at 2012-04-06 20:02
なおこさん、こんにちはー!!現地の方でもスリや置き引きの被害に合われるんですねー。そうだとしたら、観光客なんていいターゲットでしょうね!義弟さんも義父さんも災難でしたね!(しかも、義父さん、まさに負のスパイラルにはまったー!って感じでしたね!)
どこにいようと油断は禁物!ってことで私も気をひきしめなくちゃ☆なおこさんも気をつけてくださいね☆
Commented by milletti_naoko at 2012-04-06 22:25
Pochidoraさん、こんにちは♪ 負のスパイラル、まさにそのとおりなのですが、そう言えば昔、「天中殺」という言葉がはやりましたね。やっぱり気を抜いたり、気が動転したりしていると、こういうことになりやすいので、コメントで人生の先輩方がおっしゃるように、「家の外ではケンカは避けて、仲よく心穏やかに」過ごすのが大切だなと思いました。そう言えば、かつて高校で教えていた頃、奥さんもだんなさんも同僚であったことのあるご夫婦が、新婚旅行でアメリカに行ったとき、途中で食事にどこへ行くかでケンカして、後は旅行中ずっと口を利かなかったと聞いたことがあります。それは極端にしても、結局、ケンカしたり怒っていたりすると、結局は損ばかりで、せっかくのいいことが楽しめないし、逃げていきますよね。油断とケンカは禁物、お互いに気をつけましょう! いや、Pochidoraさんはケンカなんてなさったことがないかもしれませんが。
Commented by 更紗 at 2012-04-06 23:39 x
たびたびのコメントありがとうございます!
あとでカフェに行きがてらcoopとPiazza Italia近くの小さいスーパーを見てみます。で、無かったら明日Fontiveggeのcoopに行きますね!ほんとうにありがとうございます!!
Commented by milletti_naoko at 2012-04-07 01:05
更紗さん、どういたしまして。早く見つかるといいですね。
Commented by 更紗 at 2012-04-07 01:37 x
またまたすみません
meta'でゴム手袋を無事にみつけました。でもやっぱり品揃えは悪いので、近いうちにFontiveggeに日用品を買いに行ってみます。ありがとうございました。
Commented by kazu at 2012-04-07 01:54 x
サイフや証明書、盗難に遭うとほんとにがっくりきますよね。特にお義父様のような場合、どこへ憤りを持っていったらいいか。ご同情申し上げます。それにしても現地の方でもこんな災難に遭うとは。私はイタリアではまだ盗難に遭っていませんが、パリの地下鉄でスリにあったことがあります。もうその手口は鮮やかで、地下鉄のドアが閉まる瞬間に飛び降りたジプシーの女性がスリさんでした。なおこさんが言われる通り、歩き疲れてぼんやりしていて注意散漫なのが原因です。またその時のパリの警察の対応も不親切で、5時間も待たされ、時間をほんとに無駄に過ごしました。苦い思い出です。なおこさんのようにいい方に拾われると心から嬉しくなりますよね。置き引きしたお金なんて、あぶく銭で決して手元には残らないし幸せにはなれないのにな。
Commented by milletti_naoko at 2012-04-07 07:50
kazuさん、パリでスリに遭われたんですね! 警察で5時間も待たされるなんて、本当に嫌な思いをされましたね。パリにいずれ行くときには、わたしも余裕を持って計画を立てて、心に余裕と緊張感が持てるように(旅行中は難しいですよね。そのスキをつかれるのでしょうが)したいと思います。
by milletti_naoko | 2012-04-05 22:10 | Sistemi & procedure | Trackback | Comments(18)