2012年 04月 16日
歯医者に愛車で

そう思ったのは、食事中よりも、就寝前や起床時に、歯ぐきが痛んだ上に、痛むことがまれだったからです。それが、3月下旬になって、鎮痛剤が必要なほどの痛みが続いたため、歯医者を訪ねると、そこで虫歯が2本あったことが発覚しました。

初診は3月23日。電話したその日に空きが見つかるかと不安だったのですが、夫は「治療が始まってからは、予約が取りにくいことが多いけれど、1回目はすぐに予約を入れてくれるはずだよ。」と言います。幸い、電話したその日の夕方に、診てもらえることになりました。
イタリアの歯科治療は、のんびりのんびり進みます。今回の治療の経緯をご説明すると、
・1回目、3月23日金曜日 ― 虫歯が2本あると診断し、患部を少し削って、投薬。
・2回目、3月27日火曜日 ― 1本目の虫歯を治療。口の左半分に麻酔!
・3回目、4月3日火曜日 ― 2本目の虫歯(左下の親知らず)を治療。麻酔用の注射4回!
・4回目、4月17日火曜日 ― 治療した歯の点検、歯石除去の予定。
毎回、次回の診療日時が記入できる、こういうカードを用意しているところは2年前に比べて進歩しているのですが、以前治療した患者と知っても、昔のカルテを見ようとしないし、問診表を確認せずに麻酔はするし、何だかなという感じです。

それでも、夫が知人・友人から情報を仕入れ、歯科医彷徨を重ねたのちに、ようやく決めた歯医者だし、まったく知らない病院に行くのも恐いので、結局、こちらの歯医者に通っています。歯科医の二人の姓が同じで、共にDott. Bocciarelliなのは、父と娘だからです。今回、3回目の治療は、娘さんの担当でした。「麻酔用の注射を打って、待たずに治療を始めるから痛いのかな」と思って痛みを訴えたら、さらに何度も麻酔を打たれて閉口しました。しかも注射は、父君が打つときに比べて、ひどく痛むのです。ただ、奥歯の虫歯はひどかったそうなので、できるだけ少量の麻酔薬で済ませるために、少しずつ何度も注射したのかもしれません。
2年前と違って、今は中国人の患者がとても多いようです。父さん歯医者が、「言葉を教えてもらわないとね。」と言うので、「日本語と中国語は、まったく違う言語なんですよ。」と言っておきました。場所は、ペルージャの鉄道駅の西にあるマドンナ・アルタ(Madonna Alta)という住宅街です。日本と違って、私立医院がでかでかと表に看板を掲げていたり、独立した建物であることはまれで、たいていは、大きなマンションやビルの一角が病院になっています。この歯医者もその例に漏れません。マンションやバールの前に駐車場はあるものの、毎回、「駐車する場所が見つかるかしら」と心配しながら車で出かけています。近くを通るバスの便もいくつかあるのですが、我が家からだと、バスは乗り継ぎがある上に、とんでもない遠回りになります。

さて、歯医者の治療費なのですが、例によって、ありがたいことに初診料はいらないものの、保険が利かないので、料金は高くなります。そうして、料金は最終日に一括払いです。最終日に料金を請求されて、お金が足りなくても困ると思って、前回の治療時に、合計料金がいくらになるかを聞くと、「虫歯1本につき60ユーロ、歯石の除去に100ユーロで、計220ユーロ。こんなに安くていい話、ないですよね。」と、父さん歯医者が言いました。
うちに帰って、2010年の歯科治療について書いた記事(下記リンク参照)を読むと、そのときは虫歯1本につき治療費80ユーロ、歯石除去が60ユーロとなっています。2年間で60ユーロから100ユーロはひどいなと思うものの、仮に今回も2年前と同じ料金を適用すると、結局「80×2+60」で、料金は同じ220ユーロになるからと、今回はすでに頼んでしまったので、この歯医者に頼むことにしました。今、インターネットで調べると、歯石除去100ユーロというのは、かなり料金が高い部類に入るようです。情報を探していたら、歯医者を選ぶための、診療・治療代見積もり依頼書まで見つかって、おもしろいなと思いました。
ちなみに今回は、モンティ政権の脱税摘発に恐れをなしたためか、それとも、わたしが前回治療代が高くなっても領収書がほしいと言ったのを覚えていたからか、今回は、「領収書がほしいかどうか」を聞かずに、すぐに料金を言ってくれました。
歯並びがひどく悪いので、歯石除去は必要としても、120ユーロという出費と歯痛、歯医者通いは、毎日きちんと歯磨きをしていれば、なしですんだはずです。120ユーロも歯痛も歯医者も、どれも懐と歯に痛く、頭と心に重いので、これからは、歯の手入れをきちんとするぞと、固く決意するのでありました。
ひどい虫歯だからと言って、むやみに親知らずを抜かないでくれたのはありがたいのですが、前回の治療の最後に、「ひょっとしたら、まだ激痛があるかもしれないから、様子を見ましょう。痛みが続くようなら、歯の神経を抜く(devitalizzare il dente)必要がありますから。」と言われて、この2週間は、時々歯や歯ぐきが痛むたびに(しかも、まれにですが、とんでもなく痛いことがあるのです)、ひやひやしました。前回の治療から、明日の歯石除去まで2週間空いているのは、歯科医父娘が、復活祭休暇を取ったためと思われます。こうして口の中に爆弾を抱えていたため、パリ旅行の日にちが決まらなかったのです。明日の歯石の除去も、1度では終わらない可能性が大いにあります。

つらいことの多い歯医者通いの、数少ない利点の一つは、待合室で、最低でも2、30分は待つことになるのが分かっているので、こちらのロンリー・プラネットのイタリア語話者向けの「フランス旅行会話集」を読んで、フランス語を勉強できることです。待合室は、なぜかテレビとラジオの音声が両方聞こえて、ひどく騒がしいのに、歯医者の待ち時間には、不思議と勉強に集中できるし、治療への不安から気をそらしてくれます。会話集の題名は、「フランス語を理解し、フランス語で分かってもらえるための会話集」とでも訳せるでしょうか。イタリア語話者向けなので、フランス語の音声・文法やフランスの慣習を、イタリア語やイタリアの慣習と比較しながら書いてあるため、読み物としてもおもしろく、違った観点からフランス語が勉強できて、参考になります。最近、フランス語学習と言えば、歯医者の待ち時間と家事やドライブのバックミュージックだけになってしまっているので、今日からは、ちゃんとフランス語の学習に取りかかり、夫が巡礼から帰るまでに軌道に乗せたいと思います。一度きちんと発進させてしまえば、その後続けるのが楽になるはずと、慣性の法則を勝手に適用して、確信しているわたしです。
というわけで、明朝は、歯石除去のために、歯医者に行かなければいけません。おととしの歯石除去の記事を読んで、「何だかひどく痛い思いをすることになるようだ」と不安になっているわたしです。同時に、「明日の朝、歯医者に愛車で行って、駐車場が見つかるかどうか」という不安もあります。ただ、そう思う一方で、イタリア語では、書かれていてもHを発音せず、アクセントのしくみが日本とは違うので、イタリア人の耳には、「歯医者」も「廃車」も「愛車」も、みんな同じに響くだろうなと想像して、一人で楽しんでいます。
*追記(4月17日14:28)
今朝、歯石除去のために歯医者に行き、再び料金を尋ねると、今度は、すべて去年と同じ料金を提示されました。つまり、虫歯1本あたりの治療費が80ユーロで、2本治療したから160ユーロ、歯石除去は、要望にもよるけれど、ごく普通の作業なら60ユーロなので、合計220ユーロということです。合計金額は同じなのですが、内訳も同じなので、外国人だと見てのぼったくりではないと安心しました。領収書発行を前提として、この値段だということも、きちんと確認しました。上の写真でも分かるように、領収書に治療内容の明細があるわけではないので、少し心配していたのです。実は、歯医者に出かける前に、もともとこの歯医者を夫に紹介した女性に電話までしたのですが、そのとき、「もう何年もこの歯医者に通っているけれど、親切だし、父娘とも腕がいいから気に入っているのよ。治療費について疑問が残るなら、わたしの名前を出してもらってもいいわよ。」と言ってくれました。
今回、歯石の除去をしてくれたのは、歯医者(dentista)ではなく、歯科衛生士(igienista dentale)の女性でした。予想どおり一度では終わらず、もう一回だけは、歯石除去の続きに、通院しなければいけないのですが、血も出て痛かったので、拷問が二度にわたっても、短い時間ですんで安心しました。
歯石除去後、父さん歯医者に、ひやひやしながら診てもらった左下の親知らずは、幸い、神経を抜く必要はなく、前回の治療でちゃんと虫歯を退治できていたようです。日本では治療後に歯や歯ぐきがいつまでも痛むようなことはなかったので不思議なのですが、歯を必要以上に削らないようにしているからかなと、いい方に解釈したいと思っています。ちなみに、義父の通うエルチェの歯医者さんは、義父は「とても腕がいい」と考えて数十年来通っているそうですが、料金は高くて、虫歯の診療・治療のたびに100ユーロかかるそうです。ひどい虫歯が一つあって、治療するのに6度通ったから、600ユーロ払ったといい、それでも「いい医者なんだ」と義父は信じているようなのですが、いくら虫歯がひどいからと言って、6度も通わなければいけない上に、毎回100ユーロとは、料金の高さは言うまでもなく、本当に腕は確かなのかしらと、わたしは疑問に思い、義父にもそう言いました。お義母さんも、わたしと同意見のようですが、お義父さんの歯医者への信頼は揺るぎません。確かにひどい虫歯というのがあるかもしれないけれど、それにしても6回も通院する必要があったのかと、疑問に思うわたしでした。
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私も年1度歯石除去に行くようにしてましたが、痛いのでのびのびに。。。
100ユーロ、この辺りではたいていそんな値段なんでふつうと思ってました。
感じのいい先生なら、同じところへ通いたいんでいいんですけどね。
それにしても、歯医者の料金が、同じ町でもこれだけ差があるのにはびっくりです。

10日前、ペルージャの、わたしたちは初めて入ったレストラン兼ピザ屋で、英語で注文している、小さいお子さん連れの日本人夫婦がいたので、声をかけたら、ロンドン在住で、ライアンエアーでペルージャに来て、観光中とのことでした。2月にバレンタイン・ディナーでトーディの町に出かけたときも、やっぱりロンドン在住のブラジル人女性とイギリス人男性の夫婦と知り合ったんですよ。ライアンエアーの直行便のおかげで、ロンドンとペルージャが近くなったなと感じています。この日本人ご夫婦、ひょっとしたらPochidoraさんがご存じの方かもしれないなと思いながら、ごあいさつしました。こちらこそ、これからもよろしくお願いします♪
しばらく歯医者行ってないんですけど、行き始めると日本でも長くなりますよね。歯医者にもよりますけど。
日本だとほとんどの治療に保険が効くので、高いと思ったことはないですけど、保険が効かなくても安いと感じるなら、安いんでしょうね。
そういえば、待ち時間に読むマンガとかもちょっと楽しみだったりしました。
凸d(^ー^)pochi!

私は顔の左側半分に痺れが出て、脳の検査まで受けましたが、結局は虫歯。でも歯の根っこの筋肉近くまで蝕まれていて、ほんとにやっかいなことになりました。どういう訳か痛みがなかった為、気が付くのも遅れました。最初に罹った医者は異常がないと診断、セカンドオピニオンでいいお医者様にかかることが出来ました。イタリアに行く日も決まっていたので焦りましたよ。なおこさんの言われるとおり、日頃からのケアが大事ですよね。歯石除去も早く終えて、体調万全でフランスに行かれますよう。
そうそう、イタリア語の先生、いつまで経っても、お返事は「あい」と言われます(笑)
「はい」と「あい」のように、よく使う言葉で、誤解を招きやすく、かつ短いので聞き取りや発音も比較的楽な表現については、先生がいつも混同しているようであれば、誰かが指摘してあげた方がいいと思います。日本語の授業でも、出欠を取る際に、「はい」が「あい」になる生徒は、Hを発音せず、文を書いてもア行とハ行を混同しやすい傾向があるので、指導の手がかりにしていました。「はい」を「あい」と言う人は、他の言葉や表現でも、Hが脱落しやすくて、かつ、日本語におけるHの聴き取りや記憶にも問題がある可能性が大きいのです。