イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

緑のカステッルッチョ2

 翌7月15日日曜日、わたしと夫が目を覚ましたのは、朝6時半頃のことです。わたしは再び眠りについたのですが、夫は一人で、早朝のさわやかな空気の中を、偵察に出かけました。皆で散歩ができそうないいコースを探しに行ったのです。

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 7時半には夫も戻り、わたしや友人たちも起き出して、身じたくをしました。写真は、夫が朝食用のパンやジャムを運んでいるところです。

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 シートの上には、うれしいお客さんもいました。幸運を呼ぶというテントウムシ(coccinella)です。野外で食べたので、前夜の夕食時には、バッタ(cavalletta)にクモ(ragno)、この日の昼食時にはハエ(mosca)と、あまりうれしくないお客さんもやって来ました。

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 朝食後はテントを片づけて、テントを立てた場所のすぐ傍らに伸びる道を歩いて行きました。出発は、午前9時40分頃。しばらく進むと、野の花がたくさん咲いているところがありました。

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 道はやがて険しい上り道になりました。汗を流しながら歩くわたしたちに、緑の木々が優しい影を落としてくれます。

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 森には、おいしい野イチゴがたくさん実っているところもありました。

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 森を出ると、シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)と、その手前の広大な高原が、目前に現れました。

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 すばらしい眺めを十分に楽しんでから、さらに道を進んで行きます。途中の道沿いに、sentiero rossoという看板が立っていました。実は、先に森の急な斜面を登る途中で、道がふっつりと消えたため、夫がさらに山を登って、左右に伸びるトレッキングコースを見つけ、以後は、この道を歩いてきたのですが、これが「赤いトレッキングコース」であったようです。

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Pian Grande, Parco dei Monti Sibillini 15/7/2012

 道を進んでいると、広大な高原、Pian Grande(訳すと「大高原」)が見えてきました。トレッキングコースはそのまま上り下りもなく、カステッルッチョの村へと続いていたのですが、せっかくなので、さらにすばらしい眺めを楽しもうと、わたしたち3人は、こちらの峰の頂上を目指して歩きました。

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Pian Perduto visto dalla cima del Monte Veletta (1614m) 15/7/2012

 ヴェレッタ山の頂からは、ピアン・グランデはもちろん、カステッルッチョの村を挟んでその反対側に広がる高原、ピアン・ペルドゥートも、見晴らすことができました。

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 北西には、わたしたちがテントを立てて眠り、馬や牛の水飲み場のあるカーナトラ渓谷(Valle Canatra)も見下ろせます。(下記リンク参照)

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 このあと、賢明な夫たちは、再び山を下って、トレッキングコースに戻ったのですが、わたしは、どうせカステッルッチョ(Castelluccio di Norcia)の村に行くなら、引き返す代わりに、このまま先に進んで、山を下り、直接村に行こうと考えました。ただ、村が見えるところまで来て、斜面があまりにも急なので、ここから下りるのは不可能とは言わないまでも、危険だと分かりました。

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 そこで、カステルッチョが真下に見えるところから、さらに北に進み、これなら何とか降りられそうだと思う程度の傾斜を見つけてから、ようやく山を下り、カステッルッチョ方面に向かい始めました。(ご覧のように、傾斜はまだかなり急でした。)

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 冒険ののち、わたしがようやく村に到着したのは、正午5分前のことです。わたしより5分前に着いていた夫たちと一緒に、バールで朝飲めなかったコーヒーを飲んで、一息つきました。

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 それからバールと併設された食料品店で、昼食用に、パンやサラミ、チーズ、そして赤ワインを購入しました。(つづく)

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 上の地図に赤い矢印で記した部分が、今回、テントを立て、車を駐車していた場所から、カステッルッチョまで、夫が歩いたコースです。バールで休憩したあとは、22番のトレッキングコースを通って、車まで戻りました。地図は、『Carta dei sentieri e rifugi 1:25000. Parco Nazionale dei Sibillini』(Edizioni Multigraphic、 Firenze)のものです。夫のこの地図がいかに古いものかというと、値段に1万リラとあることからも分かります。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Riana at 2012-07-19 18:13 x
なおこさん、こんにちは!
毎年カステッルッチョに行っているのに、こんなに素敵なトレッキングコースがあること知りませんでした!
小さな町を訪れたり、自然の中で過ごすのが好きな主人があちこち連れて行ってくれるのですが、その割にはキャンプや山歩きなどの経験はほとんどなく、私自身もそういった知識も経験もゼロ。興味はあるものの、どうしたらよいのかわからずいつもお散歩程度で終わってしまいます~。私たちの場合はまずは体力づくりから始めなければならなそうです・・・。
Commented by ムームー at 2012-07-19 19:06 x
なおこさんこんばんは~
素晴らしい眺めのところですね、緑の中をいいですね。
歩き涼を感じる素敵~
可愛い野イチゴにも癒されますね、村も道もいい雰囲気ですわぁ。
どこを見ても素晴らしい所なんですね。
美味しい物を調達する楽しみもありますね。
なおこさん素晴らしい生活をされていますねぇ~
Commented by milletti_naoko at 2012-07-19 21:18
Rianaさん、こんにちは! わたしもカステッルッチョを訪ねることは多いのですが、一面の花、銀世界と、季節ごとに違うきれいな風景を見せてくれる上、興味深い散歩コースがいろいろとあります。今回は散歩に慣れていない友人もいたため、シビッリーニ山脈には上らず、周囲の丘や森を歩いたのですが、急な坂は短く、日陰もあって、歩きやすい上に見晴らしのすばらしいコースで、皆が喜んでくれました。カステッルッチョには、今回のコースを始め、登山やトレッキングの入門者が楽しめるコースから上級者も満足できるコースまで、散歩道がたくさんあります。わたしも日頃運動不足なのですが、山歩きの好きな夫に引きずられて(?)、何とか歩いています。散歩をしながらでも、体力づくりはできますよ♪
Commented by milletti_naoko at 2012-07-19 21:22
ムームーさん、こんにちは。ふだん、夫と二人で歩くときは、高原の向こうにそびえるシビッリーニ山脈の高峰を登ることが多く、そうすると眺めはすばらしいのですが、日陰のない急な坂道がどこまでもどこまでも続いて大変です。今回のコースでは、のんびりと花を愛でたり風景に感動したりしながら歩くことができたので、十分に登山を楽しむことができました。(ふだんは夫たちについていくので精一杯のことも多いのです……)小さな小さな野イチゴ、よく熟した真っ赤な実は甘くておいしかったです。みんなで立ち止まって、野イチゴ休憩をしました。
Commented by りえ at 2012-07-19 23:12 x
うわー、綺麗ですねー!最近、スローフード関連の翻訳で、ウンブリアのこと、何年も住んでるのに何も知らないなぁ、と痛感、反省。カステッルッチョが出てきたのでどんなところなのかな、と思っていたところでした。素敵なところですね。
Commented by milletti_naoko at 2012-07-19 23:31
りえさん、こんにちは。6月半ば以降に、色とりどりの野の花が高原を彩るときは、とりわけきれいなんですよ。今年も6月はひどくお忙しかったようですが、いつかまた平日の人の少ないとき、時間が許せば、一緒にドライブに出かけましょう! 夫の運転で片道2時間、わたしが運転すると片道3時間で、少々遠くはあるのですが、6月は日も長いことですし♪ レンズマメはもちろん、特産のサラミやチーズも売っているし、レストランではおいしい地元の料理を食べることもできます。 
Commented by かや at 2012-07-20 00:18 x
なおこさん、こんばんは☆
すごく景色の良いトレッキングコースですね~!
山々が見える景色が素晴らしいです。
村が見下ろせる眺めも良いですね。
野いちごがいっぱいなってたんですか~。野いちごは食べましたか?

凸d(^ー^)pochi!
Commented by milletti_naoko at 2012-07-20 02:17
かやさん、こんにちは。この日は晴天で、日中はとても暑くなりそうだったので、優しい木陰があって、見晴らしもすばらしいこのコースはうってつけでした。野イチゴは、熟れていないと甘酸っぱいのですが、よく熟れた真っ赤なイチゴは甘くておいしいんですよ。応援のポチをありがとうございます!
by milletti_naoko | 2012-07-18 16:52 | Umbria | Comments(8)