2012年 10月 09日
風見の大天使
風見の大天使ミカエルが、丘の頂に建つ教会の上で、四方を見すえ、村を守る。だれが考えたのか知りませんが、大天使の名を冠した教会にふさわしい風標(かざじるし)だと、感心しました。
このサンタルカンジェロ教会(あえて日本語に訳すと、「聖大天使教会」)は、トレーヴィ郊外の丘の上に建っています。12世紀にはすでに存在したという記録の残る古い教会なのですが、15世紀に、この教会を所有していた修道院が襲撃を受けて以来、長い間放置され、荒廃していました。
1645年のことです。羊飼いの少女が母の叱りを恐れて、この教会に隠れ、聖母マリアに祈りを捧げていると、聖母が姿を現し、少女に語りかけ、慰めました。翌日には、このマドンナの出現は皆の知るところとなり、以来、多くの信者が教会を訪ね、聖母の手によって多くの奇跡がもたらされました。教会を訪ねる信者や寄付をする人が後を絶たなかったため、やがて道が整備され、荒れ果てていた小さな教会は、改築されて、以前よりもずっと大きくなりました。
水は涸れているものの、当時、設置された給水場が、今もなお残っています。
境内には、観光案内の看板が立ち、下方に小さく、丘の斜面に広がるトレーヴィ(Trevi)の町が見えています。
10月7日日曜日は、この観光案内を参考にして、トレーヴィのサンタルカンジェロ教会を訪ねることに決めました。この観光案内は、昨年、通訳の仕事で、フォリンニョ市役所を訪問するお客さんに同行した際に、フォリンニョ市側から、他のいろいろな観光案内と共に、いただいたものです。
(Servizio Turistico Associato, 2005)
フォリンニョ(Foligno)を中心として、興味深い観光地と散歩・ドライブコースが、説明と共に、たくさん紹介されています。ペルージャ出身の夫も知らない、隠れたすてきな場所が多く、今年はこの観光案内のおかげで、そういう場所を、いくつも訪ねることができました。ただ、この観光案内は、地図と説明が大ざっぱで、散歩コースがあまり整備されていないときがあるので、説明に従って歩いていて、道に迷うことも、しばしばあります。
10月7日日曜日の午後は、夫もわたしも少し疲れていたので、散歩コースをすべて歩く代わりに、車で直接、サンタルカンジェロ教会を訪ねようと考えていました。
ところが、曲がり道を見逃したためもあって、車で進んでいたのは遠回りになりそうだと考えた夫が、車を置いて、歩いて教会に行こうと言い出しました。
ひどく坂道が急で、足が滑りやすいところも多いのですが、時々ふり返って、眺めを楽しみながら、オリーブの木々の間を、登って行きます。スポレートの町も、向こうの山の中腹の霞の中に、見えました。
ひどく険しく、歩きにくい坂を上り切ると、本来歩くはずであった散歩コースに行き当たりました。まっすぐに伸びる道を歩いて、サンタルカンジェロ教会に向かいました。ふり返ると、遠くに小さく、トレーヴィ(Trevi)の町が見えます。
教会前の観光案内で、この近くに樹齢1700年とも言われる、ウンブリア州最古のオリーブの木があると知ったわたしたちは、古木を目指して、坂道を下りていきました。今度は、坂のゆるやかな本来の散歩コースを歩いたのですが、道の両側に、白やピンクのかわいらしい野の花がたくさん咲いていました。
葉を手に取ると、タイムのようなオレガノのような香りがします。ただ、うちに帰ってからインターネットで調べてみると、タイムやオレガノとは葉の形や花の咲き方がかなり違います。花の写真や説明を読み比べるうちに、確信はありませんが、それらしい植物が見つかりました。イタリア語名はsantoreggia、日本ではキダチハッカ、セイボリーと呼ばれている植物に、花や葉の形などがよく似ています。
坂を下るにつれて、山の向こうに隠れていたトレーヴィの町が少しずつ姿を現しました。
途中で、車を置いた道の近くを通りかかったので、車に向かい、オリーブの古木は、車に乗って探すことにしました。ボヴァーラ(Bovara)の村にも道路沿いにも、特に目立つ案内標示がないため、時々車を止めては村人に尋ね、何とか厳かな巨木にめぐり会うことができました。重ね着していた登山用のセーターを、歩いて暑くなるたびに脱いで、腰の回りに巻きつけたので、いいかげんな格好をしておりますが、あしからず。
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- ウンブリア最古のオリーブ / L’Olivo più antico dell’Umbria, Trevi
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おはようございます。
風見の大天使ミカエル素晴らしいですねぇ~どちらのお国もやはり見守る像がありますね。
振り返ればこんな素敵な街が見える、道すがらには可愛い
お花が疲れを癒してくれる~
なおこさん赤い服がお似合いですわよ~可愛い~
素晴らしい巨木、神が宿ってる~
ムームーさん、お優しい言葉をありがとうございます。赤いのは3着とも、スポーツ用品店で買った登山用の服です。赤とか青とかはっきりした色が多いのは、登山仲間から見つけてもらいやすいため、そして、イタリアの場合はイノシシをねらう猟師に、「わたしは人間!」と色で知らせるためかもしれません。それに関わらず、最近は赤い色が好きで、よく着ています。
この巨木、本当に特別な、神聖な何かが宿っているように思えます!