イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ピサで毒キノコ中毒死

 最近、キノコの写真やキノコ狩りの記事を載せたこともあり、素人がよく知らずにキノコを採ったり食べたりしては危険だと警告する意味で、今日知ったニュースを簡単にご報告します。

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 ピサ在住の40歳の女性が、先週水曜日に近所の山で、キノコ狩りをし、夕食にと調理して家族と共に食べました。キノコを食べた彼女とその両親は、当日の夜から強い腹痛と吐き気に襲われます。眠れぬ夜を過ごした翌日の早朝、訪ねた救急病院で、キノコによる食中毒と分かったものの、命を救うにはすでに肝臓移植しか手がなく、日曜の午後、ようやく移植可能な肝臓がピサに届いたときには、すでに女性は逝去していました。

 その後、父親と母親は、肝臓移植を受けたものの、すでに体内に毒が回って、時遅く、相次いで亡くなります。キノコを採った女性の12歳の息子も、毒キノコを口にしたのですが、幸い食べた量が少なかったため、肝機能は悪化したものの、治療が可能で命に別状はないとのことです。

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 突然、命を失うことになった3人の不幸と家族を失った少年の心痛を思うと、言葉もないのですが、最近、わたし自身が、キノコ狩りにつき合って、それを記事にしたという経緯もあり、よく知らずにキノコを口にすると、そういう万一の悲劇も生じかねないということをお知らせしようと、今回は、この事件について、お伝えすることにしました。

 キノコ狩りをする際には、わたしたちが、あまりよく知らないキノコを見たときでも、そうなのですが、自分たちよりキノコを知っている人に、食べられるかどうか、安全かどうかを尋ねがちです。実際、『La Nazione』の新聞記事によると、女性は、キノコが食べられるかどうかを疑問に思ったようで、何人かの知人に、そのキノコを見せて、食べても大丈夫かを尋ねたようです。結果として、彼女がキノコを料理したということは、記事には明記されていませんが、どの知人も、食べても問題がないと言ったのでしょう。

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 今回、3人の命を奪ったキノコは、学名、Amanita phalloides、和名をタマゴテングタケという、猛毒を持つキノコです。下記リンクの三つ目のA.M.I.N.T.のサイトには、3ページにわたって、さまざまな色や形の、このAmanita phalloidesの写真があるのですが、写真を見てもお分かりのように、色も形もさまざまです。最初に掲げたリンクの新聞記事では、毒キノコの写真を九つ載せているのですが、Amanitaにしても、新聞記事の写真のキノコにしても、食べられるキノコによく似ているものが、たくさんあります。

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 今回載せた写真のキノコは、すべて、わたしが、今月、山を散歩中に見つけたキノコたちです。1枚目と3枚目は、タマゴテングタケによく似ているので、写真を選び、残りの2枚は、種は違うけれども同じテングタケ(Amanita)属と思われるので、写真を載せました。写真から判断するに、2枚目はベニテングタケ(Amanita muscaria)、4枚目はテングタケ(Amanita pantherina)ではないかと思うのですが、確かな自信はありませんので、もし違うよという方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです。タマゴテングタケほどの毒性はないものの、この二つも毒キノコですので、見かけにだまされないように、ご用心ください。

*追記(10月24日)
 東京都福祉保健局の「キノコ食中毒」のページ(下記リンク参照)にある、毒キノコによる食中毒防止法が、参考になります。以下9行は、このページからの引用です。

毒キノコによる食中毒防止5か条
1.確実に鑑定された食用キノコ以外は絶対に食べない。
2.キノコ採りでは、有毒キノコが混入しないように注意する。
3.「言い伝え」は、信じない。
4.図鑑の写真や絵にあてはめて、勝手に鑑定しない。
5.食用のキノコでも、生の状態で食べたり、一度に大量に食べると食中毒になるものがある。

 もし、体調に異常を感じたら、直ちに医療機関を受診して下さい。
 食べたキノコが残っている場合は、持参して治療の参考にしてもらって下さい。」

LINK
- La Nazione – Pisa – Funghi velenosi, è morta anche la madre: le vittime sono tre
- citynews Today – Funghi velenosi a cena: intera famiglia sterminata
- A.M.I.N.T. Associazione Micologica e botanica – Amanita phalloides
- Wikipedia日本語版 - タマゴテングダケ
東京都福祉保健局 - 食品衛生の窓 - キノコ食中毒
↑↑ キノコ食中毒の概要、キノコの見分け方のウソ、毒キノコによる食中毒防止法、主な毒キノコの毒成分と症状など、有益な情報が多い上、主な毒キノコの写真つき解説へのリンクもあります。
Ministero della Salute - I Funghi: Guida alla Prevenzione delle Intossicazioni
↑↑ 同様の有益な情報がイタリア語で提供されています。(PDF) 
- 厚生労働省 - 毒キノコによる食中毒に注意しましょう

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Masami at 2012-10-24 16:06 x
なおこさん、おはようございます♪

3人の方を死に追いやったタマゴテングタケは、物凄い猛毒を持つキノコなのですね!毒キノコが危ないことは認識していましたが、そこまでとは思いませんでした。肝に銘じようと思います。

食べられるキノコかそうでないかの識別は時にはプロの方でも難しいのでしょうか?いずれにしても、1人残された12歳の男の子を思うとあまりにも胸が痛みます。貴重な記事をありがとうございました!
Commented by milletti_naoko at 2012-10-24 17:44
まさみさん、おはようございます♪ わたしも友人たちから、ポルチーニに似た軸の赤い毒キノコを食べて、救急病院で一晩中叫び続けた(毒のために自分の意思に関わらず叫んでしまうそうです)人の話を聞いたことがあるのですが、死に至るような恐ろしい毒キノコが身近にあるとは思わず、びっくりしました。タマゴテングタケは、猛毒で最も危険なキノコとして知られ、ヨーロッパには多く自生しているようです。わたしは、champignonに似た、prataioloという白いキノコを、山や野原で見つけて料理することが、これまで時々あったのですが、タマゴテングタケの中には、このprataioloとよく似たものもあります。毒キノコの写真をいろいろ見てみると、素人判断ではポルチーニと間違えそうなものさえあって、本当にこわいなと思いました。

自然の、秋の味を楽しもうと山に出かけたであろう女性とその家族の悲劇が本当に痛ましいのですが、自然には危険もつきもので、二度とこうした悲劇が繰り返されないようにと思って、記事にしてみました。キノコをよく知っていた知人に聞いて確かめたというのも、その知人が判断を誤ったというのも、起こりがちだと思うので、なおさらのこと。
Commented by らいか at 2012-10-24 18:02 x
庭にもにょきにょうき無害そうなのが生えてますが、食べようなんて気にはなりませんね。(^_^;
ポルチーニでも生を多めに食べると胃に違和感があるくらいで、元来きのこは胃や肝臓に負担のかかる食べ物。
他の一目でわからないきのこは、よほどの確信がなければ食べないほうが賢明だと思います。。。
Commented by milletti_naoko at 2012-10-24 18:07
らいかさん、お庭にキノコがにょきにょきとは、木がたくさん生えているお庭で、最近は雨がよく降るんですね。わたしはポルチーニは好きなのですが、生は食べたことがありません。キノコ狩りの好きな友人が何人かいて、よく一緒に散歩もするのですが、こんなに恐ろしい毒キノコがたくさん生えていて、しかも食用キノコに似ているとは思いもしませんでした。以後はわたしも、十分気をつけたいと思います。
Commented by oliva16 at 2012-10-24 19:46
情報をありがとうございます。恐ろしいですね。私は幸か不幸か、売り物のキノコ以外は食べることがないですが…。
Commented by milletti_naoko at 2012-10-24 20:18
olivaさん、どういたしまして。わたしも本当に恐くなりました。日曜日に散歩したとき、夫の友人がくれようとしたのに断ったキノコも、何だか毒キノコによく似ています。そこまで断固とした確信はないけれども、「人が言うから」とか「まあ大丈夫だろう」と考えて食べることは、うちでも時々あるのです。まあ、義父や夫、友人は、わたしと違って確信しているのかもしれませんが。今年のキノコの季節はそろそろ終わるかと思いますが、これからは、さらに気をつけるつもりです。
Commented by かや at 2012-10-24 21:41 x
なおこさん、こんばんは☆
シイタケ、シメジ、マイタケ、マツタケと、秋はキノコ類の美味しい季節ですね♪
キノコ類は大好きなのですが、山で取って食べたことはまだありません。
見るからに毒々しいものもあれば、食べられそうに見えるキノコもあるんですね。
アウトドアに慣れた人と一緒に山に行ったりしても、気をつけなきゃいけませんね。

凸ポチ!
Commented by milletti_naoko at 2012-10-24 22:24
かやさん、こんにちは。日本にもおいしいキノコがたくさんありますよね。今回、猛毒のキノコがあると知り、もっと注意しなければと痛感しました。この秋の毒キノコ中毒は、トスカーナだけでも、100件以上に上るそうで、人が贈ってくれたキノコで、食中毒になる例も多いようです。イタリア各地の地域保健所が、市民に対して、保健所の菌学専門家にキノコを見せて、食べられるものかどうかを確認するように呼びかけています。ペルージャでも、受付時間は短いものの、そういうサービスがあることを、今回のニュースをきっかけに、初めて知りました。
Commented by fusello at 2012-10-24 22:52
naokoさん、こんばんは☆
大自然の中で育まれたキノコは味が濃くて美味しいのでしょうね! でも、すぐに食用かどうか見分けることの出来ないキノコは絶対に食べない、迷ったら食べないで下さいね!
キノコ狩りも楽しいでしょうが、新居の敷地の一角で椎茸を栽培されたら如何でしょう?(椎茸菌が手に入らないかしら)


Commented by milletti_naoko at 2012-10-25 03:51
Fuselloさん、こんばんは。間違って毒キノコを採ったり、食べたりした人には、キノコ狩りには慣れた人が多いようなので、他人事ではないなと思いながら、記事を読みました。ありがとうございます。以後はさらにいっそう気をつけます!

しいたけ、いいですよね。うちの夫も、うちで栽培したらと言っていたのですが、まずはイタリアで可能かどうか、調べるところから始めなくては……
Commented at 2012-10-25 04:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2012-10-25 05:50
鍵コメントの方へ

了承しました。わたしも、今週と来週はいろいろと予定が立て込んでいますので、またお互いに時間のあるときに!
Commented by ムームー at 2012-10-25 15:24 x
なおこさん
こんにちは。
キノコ狩りは危険なこともありますね、こちらでも中毒になったという
話がありますね。
美味しく頂くためにも知識を持って慎重に
きのこ狩りを楽しめるといいですね。
Commented by milletti_naoko at 2012-10-25 16:43
ムームーさん、おはようございます。日本でもイタリアでも、調べてみると、毒キノコ中毒の件数が多いので、驚きました。死に至るほどの例はめったにないようですが、「たぶん大丈夫」と、人の言うことや自分の知識を過信して、毒キノコを食べてしまう例が多いようですので、本当に慎重さが必要だなと思いました。
Commented by Navia at 2012-10-25 23:15 x
秋の楽しい行楽のはずが。毒を毒と知らず楽しい食事をして、その後1人残された12歳の男の子が不憫でなりません。
確かに何人もの人から「大丈夫食べれる」と言われると食べれる疑問が確証に変わって食べてしまう気がします。
そういえば昔からきのこには素人は触れるなと言われて育ってきたので野性のきのこを見ると全て毒キノコに見えてしまって怖いんです。
だからきのこを狩れる人が勇気があるなって思っていたのですが。
きのこ狩りをするときはこういう危険性も考えてちゃんとした知識や知識を持った人と山に入らないといけませんね。
貴重なニュースありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2012-10-25 23:30
Naviaさん、こんにちは。この秋のイタリアでは、毒キノコ中毒が多発していて、トスカーナだけでも、すでに100件を超えたそうです。9月以降でしょうから、1日平均2件は発生しているわけで、キノコの採集や調理が、週末とその翌日に集中することを考えると、うっかり毒キノコを食べる確率がかなり高いことになります。うちの夫は、そんなふうに疑っていては何も食べられないよ、店で売られている乾燥ポルチーニだって、ルーマニアで採られた毒キノコが混入しているかもしれないし、と言うのですが、そこまで疑うことはしないにしても(でも、日本の福岡県のサイトに、「店で売られていたので食用だと思って食べたら毒キノコで、中毒になった」という件もあると書かれていました。「食用」でないなら、なぜ売っていたのか不思議なのですが。)、以後は、用心しなければとつくづく思いました。身近にキノコ狩りをする人が多く、これまでは、結局その言葉を信用していて、問題なくやって来たのですが、ASLのサイトには「専門家にも見分けにくい場合がある」とか「自称専門家の言葉を信用しないこと」とあります。お互いに気をつけましょう。
Commented by germanmed at 2012-11-04 06:22
こんにちは。遊びに来ました。
毒キノコは本当に怖いですね。↑の日本の毒キノコは、もし私が読んだニュースと同一事件なら、鑑定を間違えたものを道の駅か何かで売ってしまったのだという記憶があります。
ヨーロッパで意外に多いのは、直輸入の漢方薬のキノコで肝臓をやられるパターンです。
あと、キノコではありませんが、日常生活の中で身近なものと言えば、夾竹桃が大人でも死ぬくらいの猛毒を持っています。

またゆっくりお邪魔致します。
Commented by milletti_naoko at 2012-11-04 08:04
Germanmedさん、こんばんは。ご訪問ありがとうございます。さすがお医者さん! いろいろと貴重な情報、助かります。キョウチクトウ(oleandro)は、うちの庭にもあるし、イタリアでは道沿いや湖畔などに、並木が植わっていることも多いのですが、そんなに大変な毒があるとは知らず、びっくりしました。食べようと考えたことはないのですが、枝にも葉にも花にも毒があると知ることができて、助かりました。最近、イタリアでは食用の花をサラダに添えたり、他のおかずにも使ったりするレストランをたまに見かけるのですが、素人が真似をして、きれいだから花を飾ろうとして、うっかり食べたりしたら、とんでもないことになりますね。こちらでは、ローズマリーにせよセイジにせよ、庭木から取って、そのまま料理に使うことも多いのでなおさらのこと。

日本の毒キノコの話、鑑定を間違えるようなことが二度とありませんように。イタリアでは、救急車で運び込まれるようなキノコ中毒の例があとをたたないようで、気になります。気をつけたいものです。
by milletti_naoko | 2012-10-23 23:41 | Notizie & Curiosita | Comments(18)