2012年 11月 12日
パンナコッタ栗風味、聖マルティーノ
そこで、夫は、焼き栗の代わりに、栗の風味のパンナコッタを用意することにしました。型から取り出したパンナコッタの上に、まずマロングラッセを載せます。
食べる直前に、小皿に取り分けたパンナコッタに、栗のソースをかけ、マロングラッセも添えました。栗のソースは、栗のジャムに少量のラム酒と水を加え、火にかけて、ちょうどいいとろみ具合になるまで、時々混ぜながら加熱して、作りました。そうして、秋の風味のおいしいパンナコッタを楽しみながら、聖マルティーノの記念日も祝うことができました。
ただ、イタリアで、聖マルティーノの日に、焼き栗と新ワインを味わう風習があるということを、わたしは、昨日になって初めて知りました。San Martinoと言うと、わたしの頭にすぐ思い浮かぶのは、カルドゥッチ(Giosuè Carducci)の、その名も、『San Martino』という詩です。季節になると夫がよく暗誦して、聞かせてくれたからなのですが、そう言えば、この詩の中にも確かに、できあがっていくワインの香りが登場します。
今、この詩を久しぶりに読み返して、秋の風物が数多く取り上げられているのに、気づきました。小雨に霧(nebbia)、でき上がっていくワインに、暖炉の火。猟師(cacciatore)に、南へと渡っていく(migrare)黒い鳥たちの群れ(stormi di d’uccelli neri)。ペルージャでも、秋の朝は、霧が立つことが多く、今もしとしとと雨が降って(piovigginando)います。上の写真は、今撮影したもので、収穫がとうに終わったブドウの葉が、金色になって、それはきれいです。夕焼けの雲の間をゆく渡り鳥たちの描写に、『枕草子』の「秋は夕暮れ。(中略)まいて雁などのつらねたるが、いとちひさくみゆるはいとをかし。」が重なります。清少納言が、胸を躍らせて見つめていたであろう夕焼け空と渡り鳥を、カルドゥッチは、やりきれない思いで、見やっていたという違いはあるのですが。
「聖マルティーノの日には栗」を言いわけにして、昨夜は、栗の粉で作ったカントゥッチ(cantucci)も、おやつに食べました。時々、わたしたちの散歩の出発地点になるフラガイオーロ(Fragaiolo)の店で買ったものですが、優しい栗の風味がして、おいしいので、機会があれば、ぜひ食べてみてください。フラガイオーロは、ミケランジェロの生地、カプレーセ村に属しています。このビスケットを作った店の名が、ミケランジェロなのも、きっとそのためでしょう。
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Pannacotta per la sera di San Martino
Con la salsa di castagna e marron glacé. Fatto da mio marito e squisito!
Mia cognata diceva che lui fa sempre buoni dolcetti e ho detto che invece a me fa solo gli scherzetti.
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ところで、ルイジさんはお菓子、よく作られますね〜。うらやまし〜い!夫に「そういうことはしないの?」と訊くと、「ボクは食べる専門家なのです」と言われてしまいました。ははは。それでも一応夫の作るトマトソースはとっても美味しいんですけどね〜。あ、私もサン・マルティーノの日に新ワインと栗をいただくとは知りませんでした。
おはようございます。
おおお~美味しそうです~
じゅるっとしててマロングラッセがのってて、ごくり~
聖マルティーノの日に、焼き栗と新ワインを味わう~
こういうのはこちらでは水無月を食べたり鰻の日やお団子を食べることと通じるのでしょうか。
葡萄の棚の色好きが素敵、絵を見てるようですわぁ。
今年は栗を食べていません、夫だけ食べていました~
そう、うちの夫は、特にdolci al cucchiaioを作るのが得意で、人に招かれたり、こちらが招待するときは、時間があって、その気になれば、喜んで腕をふるってくれます。ふだんはケーキ作りはわたしの役目で、日曜も義弟の奥さんが、「ルイージの作るdolcettiはいつも本当においしいわあ。」と言っていたので、わたしはついつい、「A me fa solo gli scherzetti.」と答えました。ハロウィンのときに、子供たちが「Dolcetti o scherzetti?」というわけですが、夫はわたしには、甘いものを作ってくれることはまれで、テレビで映画の緊迫している場面を見ているときや、料理に集中しているときに、脅かしたり、髪を引っ張ったり、もっぱらscherzettiばかりです。まあ、ティラミスやパンナコッタは作ると、食べきるのは大変ですし、ふだんからそんなもの食べていたら、体重の増加傾向が止まらないので、よしとしましょう。時々「自分が食べたいから」と作ってくれるピザもおいしいんですよ。(つづく)
日本でもイタリアでも、昔からのお祭りや食の風習には、その季節の自然や農作業と深い関わりがありますよね。ワインを自宅で作る家庭や地域の醸造所が減り、少しずつ習慣が失われていくのは残念です。来年からは、わたしがしっかり覚えていて、この日には焼き栗と新ワインを楽しみたいと思います。どちらもまさに今が旬のものですよね。
ブドウの葉の金色、きれいですよね♪ 日を浴びると、きらきらとして、見ていてうれしくなります。あら、だんなさんだけこっそり栗を食べたんですか! まだまだ日本でも栗のおいしい季節だと思います。ムームーさんも負けずに、というよりは、だんなさんと仲よくご一緒に、おいしい栗を召し上がれる機会がまだあると思いますよ。
なんとま~、見事な栗尽くし!!うらやましいです。
日本は今年栗が不作で、値段が高いだけじゃなくって、売られていない店がいくつもありました。イタリアより小さな多いさの栗9粒で1500円ですよ!
あ~、いいなぁ、私も栗ソースをかけたパンナコッタ食べてみたいです♪
パンナコッタのツヤ具合もよくって、本当においしそう♪♪
これを食べられるなら、太ってもいいや~って思います(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=euCd8gcW7Ik&feature=endscreen&NR=1
子供たちが歌っている映像もありますので、よかったら一緒に歌ってみてください。
イタリアのすてきな詩、古典にも近代文学にも多いんですよ。メルマガを始めたときは、こういう詩をいろいろ取り上げたいという思いもあったのですが、細かく説明しようとしすぎて、結局書けない月が続いています。こんなふうに、簡単に添えた説明でも、楽しんでいただけて幸いです。
今の日本には、詩を聞かせてくださる方はいないのでは。