2012年 12月 28日
外国語上達の極意その1
2.学習目標は最終到達点を漠然と思い描くだけではなく、月・年単位での具体的かつ実行可能な達成目標を決め、週・日など短い期間の学習課題をしぼり込むこと。
3.その課題をできるだけ着実にこなしていき、時々自分のそれまでの学習をふり返って、目標やノルマの設定し直しをしたり、初心を思い出して、自分のやる気を奮い起こすこと。

1については、たとえばイタリア旅行中に、イタリア語で切り抜けたいとか、現地の人と話したいというのであれば、旅行会話集や、会話に重点を置く音声CDつきの入門書が最適でしょうし、専門書を読むのに必要だというのであれば、文法を順序だてて、きっちりと説明した入門書で勉強する必要があるでしょう。また、ネイティブスピーカー並みの語学力が身につくように、腰をすえて勉強しようとしうのでしたら、さまざまな場面での話し言葉に接せる幅広い音声教材を使い、旅行や語学学校などでイタリア語を使える機会を増やし、またさまざまな文法書や演習問題をこなしながら、文法や語彙の知識を蓄えつつ、少しずつその外国語で書かれた本を読みこなしていく、また、日記にせよ、メールにせよ、その外国語で書く量を増やしていく必要があるでしょう。マラソンに参加するのに、短距離走と同じ訓練をするのは見当はずれで、いくら同じ走る陸上競技でも、訓練の仕方が違ってくるように、同じ外国語を学習するのでも、望ましい学習方法や教材は、学習目標、どういう場面でイタリア語を役立てたいのかによって、また、それまで一人ひとりが身につけてきた学習の習慣や癖・好みによって違ってきます。
ずいぶん前の話ですが、実用英検1級に合格し、数年前、イタリアの元教育相である名高い言語学者の先生から、「あのみごとなイタリア語を話す日本人女性はだれですか。」と言っていただき、また、シエナ外国人大学の大学院課程で、イタリア語検定試験CILS運営の統括をする先生から、「あなたの教科の成績がひどくいいのは、イタリア語を上手に話すから、それが成績評価に反映されるからじゃないかしら。」(イタリアの大学の試験の多くは、口述試験だからです。これはイタリア語についてはほめ言葉でも、教科の力については疑われていたわけですが)と言われたことがあります。今では、英語の勉強から遠ざかり、英語力が低下したのはもちろん、イタリア語も、大学・大学院課程の勉強で、多くの専門書を読んだり、大学で日本文学を教えていたりしていた頃に比べると、改まったイタリア語をさっと話せる力は下がったかもしれません。それでも、一応、英語とイタリア語に関しては、自分でも満足が行き、周囲にも評価してもらえるレベルまで到達できたと思うわたしが、外国語上達の極意としてすぐに思いつくのは、冒頭に書いた三つです。外国人へのイタリア語教授法を、ペルージャとシエナの外国人大学で、5年間かけて学んだ中では、外国語学習・教育についての最新の研究結果もいろいろと学んだのですが、上記三つの極意は、こうした研究結果にも裏づけられています。
2、3についても、それぞれ、なぜそれが上達につながるのか、また、具体的にはどう実践していけばいいのかを述べるつもりですが、特に2の項が長くなりますので、次の記事でお話しするつもりです。
⇒「外国語上達の極意その2」につづく。(リンクはこちら)
関連記事へのリンク
外国語学習上達のヒント(1言語について書いていても、多言語の学習に通じるものを含みます)
- 外国語学習成功の要因 (二つ目の記事)
- 両極端なフランス語学習
- 重要3000語で95%
- イタリア語学習を成功させるヒント (三つ目の記事)
- イタリア語のTPO
- イタリア語の効果的な学習法 ― 音声の大切さ(1)
おすすめの学習教材(イタリア語・フランス語・日本語・ポルトガル語・英語)
- イタリア語学習におすすめの教材(入門編)
↑↑ 二つ目の記事の半ばに、わたしが日本で、どんなふうにイタリア語を勉強したか、書いてあります。
- おおシャンゼリゼ (使用中のフランス語学習教材)
- 久しぶりの授業 (イタリア人におすすめの日本語の入門書)
- Manuale di Giapponese (同上、記事はイタリア語で書かれています)
- イタリアで英語学習
- 2006年はポルトガル語



リストアップしてくださっているリンク先も読ませていただきました。
なんだかすごく、もっとイタリア語勉強したい!という気持ちになりました。
無謀な目標の元、独学ではじめた上にイタリア語なので、どうにも薄暗い道なのですが、なおこさんの記事のおかげで少し明るくなった気がします。
多分私の場合は最終目標が時間的にも距離的にも遠いので、特に2が大事なんだろうなぁと思いました。
なんか自分のことばかり書いてしまってすみません!
続きの記事も楽しみにしています。
記事がお役に立ったと知って、うれしいです。コメントをありがとうございます。お互いに頑張りましょう!

今、まさに自分の語学学習の方向性を見失っていたところでしたので、こちらの記事を何度も読み返させて頂きました。1~3については、ノートに書き留めて、これからも前を向いて学習していけるようにしたいです。客観的に見て、今の私では、CILSのA2レベルの合格も難しいと判断しています。圧倒的にイタリア語での会話が少ない事、勉強したりしなかったりのダラダラな学習姿勢では、例えイタリアに在住していても、全くイタリア語の習得は難しいものだと、身をもって感じているところです。記事リンクの中の、重要3000語で95パーセントを読ませて頂いて、やはり重要単語を覚える事の大切さを教えて頂きました。ありがとうございます。テレビのニュースを見ていても、他の番組を見ていても、まず早口だと聞き取れない、聞き取れたとしても単語の意味がわからないまま次のお話へと進むので、???となってしまう、の繰り返しです。
なおこさん、このような記事をアップしてくださって本当にありがとうございます。これから過去の記事も丁寧に読ませて頂こうと思います。
私は今年はイタリア語の上達度ゼロ、しかし、下降もしなかったから良しとします(…と、相変わらず自分に甘い私)。
でも、翻訳の楽しさに目覚め、読書の悦びを知り、沢山の人たちと出会えた一年でした。たまにイタリア語の仕事も頂いたりして、なおこさんとのブログでの交流も励みになりました!
来年からもよろしくお願いいたします。
お役に立てたようでうれしいです。わたしも、今フランス語のレベルが、ちょうどライラさんのイタリア語と同じくらいだと思います。お互いに頑張りましょう!
わたしもOlivaさんのブログを拝見しながら、わたしも頑張らなければと思うことがしばしばあります。お互いに頑張りましょう! こちらこそ新年もよろしくお願い申し上げます。