2013年 01月 10日
フランス語1000時間

1kmの道のりは、車で一直線に進めば、1分で行くことができます。ただ、実際にはこの日、わたしたちは、美しい山並みや野の花、湖などの眺めを楽しむために、このあたりで車を降りて散歩したり、国境を越える前にイタリア風のおいしいコーヒーを味わおうと、バールに立ち寄ったりしました。そこで、1km離れていた国境に到着したのは、ようやく20分後のことでした。
一方、わたしが真剣にフランス語を勉強して、イタリア語と同じくらいとは言わないまでも、せめて英語と同じ程度までには身につけられるようになるには、どのくらいの期間が必要かと漠然と考えてみました。社会人になって、1993年の春に英語の再勉強を始めてから、高校教員の多忙な毎日の中で時間を見つけ、1996年12月に実用英検1級に合格しています。イタリア語は、1999年夏に興味を持って、まずはのんびりと勉強をスタートしたものの、のちに学習が加速し、2002年4月に退職して、イタリア留学を始めた頃には、通信教育の上級講座を終え、マルケ州の語学学校では、すぐに最上級のクラスに通うことができました。イタリア語を思うように話し、また書くこともできるようになったのは、ただし、さらにその1年後のことだったのではないかと思います。
フランス語の場合は、イタリア語と英語の知識が大いに助けてくれるので、こつこつと勉強を続ければ、2年あれば中級(B1あるいはB2)、3年かければ上級(C1)までは、到達できるはずです。

昨年6月に、2週間パリの語学学校でフランス語を勉強したあと、受け取ったAttestation de Stageによると、入学時はA1.2+だったフランス語力が、週20時間、2週間の授業に通って、A2.2に達したと書いてあります。ちなみに、わたしが通ったのはA2.1のクラスで、最終日だけA2.2と共同授業でした。(下記リンク参照)

その翌月、7月初めには、再びフランスで5日間旅をしたのですが、諸事情で直前まで出発が不確かだったため、ろくにフランス語の勉強をしないまま、プロヴァンス地方で、ラベンダー畑を訪ねようと出発しました。
A2は、英・仏・伊語でそれぞれ、Waystage/Le Niveau intermédiaire ou de survive/livello di sopravvivenzaと呼ばれているレベルです。旅行や日常生活で頻繁に使われる重要な表現については、何とか理解し、自分でも間違いながらも使うことができて、何とか切り抜けることができる、サバイバル(イタリア語でsopravvivenza)・レベル。数十年前に、学校でフランス語を学んだきりの夫のフランス語も、わたしと似たりよったりで、パリほど英語が通じない上に、イタリアとの国境が近いわりに、イタリア語を解する人に出会うことはまれで、また、ハイシーズンのプロヴァンスに宿も決めずに飛び込んだということもあり、まさにフランス語でフランスをサバイバルという体験をしました。

初日に、日が傾き始める前から宿を探し始めたのに、どのホテルでも、「残念ながら空室はありません。」(c'est complet, je suis desolé.)と言われ、午後9時過ぎまで、宿泊できるところが見つかりませんでした。

次の宿も、わたしは日の高いうちに探した方がいいと思ったのですが、夫が、こちらのサラゴン博物館を先に訪ねたがりました。

広大な庭園は、美しい上に、珍しい植物も多く、

かつて修道院であった博物館内には、ラベンダーの品種や栽培、

収穫や

精油(エッセンシャルオイル)を抽出するための作業、その歴史などについて、興味深い展示がありました。

サラゴン博物館は、書店も充実していて、ラベンダーなどのハーブ、プロヴァンス地方の旅行ガイドを始め、気になる本がたくさんありました。本の好きなわたしたちは、つい長居してしまい、本を買ったときには、もう午後5時。いちかばちかと、カウンターで店員に、このあたりにいい宿がないかと尋ねました。電話でだれかにしばらく相談していた店員さんから、博物館入り口の受付の女性が教えてくれますよと聞き、ついでに、オーディオガイドも返却しながら、宿情報を尋ねると、親切にも受付にそなえつけのパソコンであれこれと調べてくれた上に、電話で宿の予約までしてくれました。
話が横に逸れましたが、人の情けと自分たちのフランス語の頼りなさをつくづく感じた旅でありました。ところが、そのあとは11月になって再び入門書を手に取るまでは、フランス語の学習は、歌を聞いたり、家事をしながらの、音声CDのながら聞きのみ。

しばらく放置されていたフランスカラーのフランス語学習ノートも、ようやく再び日の目を見ることとなりました。
4月・5月には、複数の入門書を並行して学習していた上、6月の留学が目前に迫っていたため、主に問題演習の答えを書いて、添削していました。それが最近は、いちいち入門書を変えて勉強するのもめんどうだし、発音もだいたい分かってきたからと、机上では、『新・リュミエール フランス文法参考書』1本にしぼって勉強しています。今は、日本語のフランス語入門書を2冊買うよりも、『新・リュミエール』1冊にして、別売りの音声CDを買った方がよかったかなという気持ちもあります。1冊にしぼって勉強するとなると、他の参考書でさらにおさらいや演習をするわけにはいかないので、途中から、文法の要点や例文なども、ノートに書き写して勉強するようになりました。実は、パリ出発の前に、新・リュミエールは第5課まで終え、第6課はパリでの語学留学中に大半を、帰国後6月に、すべてを終えていました。11月に再勉強を始めたときは、第1課からやり直すことに決め、今ようやく第5課を終えようとしているところです。
2013年のわたしのフランス語学習の、時間的な目標は、年に1000時間。ただし、その中には、家事をしながらの音声CDや歌のながら聞きの多聴も含めます。レベルとしては、B1には達して、B2に少しでも近づきたいというところです。目標の詳細は、さらに具体的に煮つめたあとで、近いうちに発表するつもりです。あと1000kmの地点で、国境近くで風景の美しさを楽しもうとのんびりして、20分後に国境に到着した昨年の夏。あのときの寄り道、回り道は、わたしたちの心も、旅の思い出も、とても豊かなものにしてくれました。今年のフランス語の学習目標1000時間については、あまり回り道をせず、毎日少しずつ勉強を積み重ねて、1年間で達成するはずの目標に、数年間かかったりしないように気をつけます。フランス語に限らず、いろいろな新年の抱負をお持ちの皆さん、お互いに頑張りましょう!
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Musée et Jardin de Salagon, Mane 5/7/2012
Giardini bellissimi!
Potete imparare molte cose sulla lavanda; coltivazioni, specie, raccolta, distillazione, storia ecc.
Personali GENTILISSIMI che ci hanno aiutato a trovare un alloggio vicino e buono!
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 外国語上達の極意その2
↑ 外国語1000時間学習 & Foto del Colle della Maddalena (Col de Larche)
- パリでフランス語を学ぶ / Imparare il francese a Parigi (4/6/2012)
↑ 通ったパリの語学学校やクラス分けの試験、初級クラスの編成について
- ラベンダーの里 / Champ de lavande en Provance (3/7/2012)
- おおシャンゼリゼ / I miei manuali di francese (16/5/2012)
↑ 昨年5月の時点で使用していたフランス語の学習書の紹介。
Riferimenti bibliografici & web
- AA.VV., “Quadro comune europeo di riferimento per le lingue”, La Nuova Italia-Oxford, Firenze, 2002.
- Salagon. Musée et Jardins - HOME
- 外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)
↑ CEFRの六つのレベル、A1・A2・B1・B2・C1・C2についての説明。文部科学省サイトから。外国語教育における「CANDOリスト」の形での学習到達目標設定に関する検討会議の配布資料。




わたしも実は、留学後の昨年6月から11月まで、音声CDを聞くだけで、机上での勉強はすっかりさぼっていました。おかげで入門書を最初からやり直すはめになったという痛い経験もあるので、今回は、少し間が空いても、また、1日に少ししか時間が取れなくても、細々とでも勉強を続けていくつもりです。1年1000時間に達するための1日3時間は難しく、これまでの1日学習平均は2時間弱で、しかもその半分はおそらくは音声CDのながら聞きなのですが、この「1年1000時間」のおかげで、独学ではつかむのが難しい学習ペースがつかめていると思います。
ぞうさん、お互いに、フランス語の勉強を頑張りましょうね!