2013年 01月 20日
外国語上達の極意その3
2.学習目標は最終到達点を漠然と思い描くだけではなく、月・年単位での具体的かつ実行可能な達成目標を決め、週・日など短い期間の学習課題をしぼり込むこと。
3.その課題をできるだけ着実にこなしていき、時々自分のそれまでの学習をふり返って、目標やノルマを設定し直したり、初心を思い出したりして、自分のやる気を奮い起こすこと。
たとえば登山でも、「所要時間3時間」の山を、苦労しながら登っても、頂上が時々見えていたり、「あと1時間半」などという道しるべが時々現れて、自分がこれまでどのくらい歩いたか、自分の歩くペースがどのくらいかが分かったりすると、登り続ける励みにもなるし、「もう少し早めに歩かないと、日暮れまでに下山できない」のか、「もっとゆっくり歩いても、時間に余裕がある」のかが分かって、自分が歩く速さを調整することができます。一方、歩く道が木々に覆われていて、頂上が見えない上に、目的地までの時間や距離を記した道しるべがまったくなければ、歩いても歩いても、、「自分がどれだけ歩いてきたか、まだ頂上までどのくらいあるか」がつかめず、歩き続ける気持ちにはずみもつきませんし、自分が歩く速さも、これでいいのか、いけないのかが分かりません。
独学での外国語学習は、長時間努力をこつこつ積み重ねなければいけない点と、自分がどれほど上達したか、まだどれだけ勉強しなければいけないのか、学習のペースはこれでいいのかが、分かりにくい点が、登山に似ています。学校の勉強であれば、授業やテスト、通知表を通じて、自分の学習到達度が分かりやすいのですが、外国語学習では、到達したい目標が各自違う上に、設定した目標に対して、自分がどこまで学習を進められたか、あとどのくらい、どんなふうに学習したらいいかをつかみにくく、他の学習者がどの位置にいて、どんなペースで進んでいるかも、なかなか目に見えません。
ですから、学習目標やノルマを、極意その2こちらで説明したように、具体的に、細かく設定した上で、さらに、自分の実際の学習ペースや学習量が、目に見えて分かるように、記録していく必要があります。「あと~時間」、「あと~ページ」という道しるべが、いつでも見える状態で、登山を、外国語学習を続けていくためです。
では、具体的かつ明解で、詳細な目標を設定し、自分の学習時間や学習量をつかみやすくするにはどうすればいいのか。おそらくは仕事の都合で、受験はできずに終わったのですが、実用イタリア語検定の合格を目指して作成した、こちらのイタリア語がんばろうノートを、例としてご紹介します。
表紙には、試験の日にちと、学習計画を立てた日時を明記し、表紙を見るたびに、「試験まであと何日か」が、さっと分かって、自分に気合いを入れられるようになっています。
学習計画を立てるにあたって、まずは、当時自分が手に持っていた、あるいは使用可能であった学習教材を、すべて書き出しています。
そうやって書き出した学習課題を、試験開始までに、ただし無理なく終えることができるように、週ごとの学習計画を、こんなふうに立てています。ご覧のように、学習課題を終えたら、終えた課題を丸で囲み、学習し終えた日づけを横に添えて、自分の学習ペースや、あとどれだけ学習しなければいけないかが、一目で分かるように工夫しています。
並行して、毎日の学習時間も、自分の学習ペースや、その波がつかみやすいように、記録していっています。高校教師として働いていた当時は、毎晩帰宅も遅く、夜、あるいは週末も仕事をしなければならないことが多かったのですが、その中で、これだけ勉強できていたことが分かります。仕事の特に忙しかった7月には、勉強時間が少なく、学校が夏休みに入り、自由に使える時間の多い8月は、その7月分を取り返そうという気持ちもあってか、学習量が格段に多くなっています。
たとえば、上の学習計画表で、7月に予定していた、通信教育上級コースの学習計画に、大きなバツじるしをつけているのは、中級コースを終えるのに、7月末までかかってしまったので、以後の学習計画を、再び練り直す必要があったからです。こんなふうに、学習計画は、1か月ごと、あるいは数か月ごとに見直して、計画に無理がなかったかどうかを点検し、問題があれば、計画を立て直す必要があります。計画を見直すことで、自分の学習態度に甘さや怠けがあることが分かったら、これではいけないと、自分を奮い立たせることにもなるでしょう。
山登りはつらく、道が果てしなく見えるようでも、少しずつ登り続ければ、必ずいつかは頂上にたどり着いて、すばらしい風景や花を楽しむことができます。果てのないように見える外国語学習も、確かに、本気で勉強をしようとすれば、学習はいつまでも続くのですが、まずはこの山、次にあの山と、達成できそうな目標を計画し、少しずつ努力を重ねていけば、着実に力がつきます。外国語の力がつけばつくほど、表現できる幅も広がり、歌や映画、ニュース、人の言うこと、読む本の内容が、ぐんぐん分かるようになり、学ぶ楽しみもまた大きくなります。
当たり前のことのように思える、この三つの極意を念頭に置いて、学習していけば、きっと外国語の力が、少しずつ伸びていき、いつかは目指すレベルに到達できるはずです。皆さん、お互いに頑張りましょう。
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Anche nello studio delle lingue straniere, è importante sapere quanto si è studiato e quanto ancora si deve studiare.
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関連記事へのリンク
- 外国語上達の極意その1
- 外国語上達の極意その2
LINK
Passeggiata nel Parco dei Cento Laghi / 百の湖自然公園の散歩
- イタリアの背骨を歩く1 / Camminata sulla Spina dorsale d’Italia 1 (7/2010)
*Itinerario: Prato Spilla – Lago Verde – Lago Martini
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*Itinerario: Lago Martini – Passo Givarello – Monte Bragalata – Passo Compione - Laghi di Compione – Lago Martini – Prato Spilla
高校で国語を教えると、特に古文や漢文の授業では、古語辞典や漢和辞典、文語文法のテキスト、古典作品の解釈本を駆使して、みっちり授業の準備(教材研究)をする必要があったため、ある意味、勉強をする訓練は、職場でもできていた、そのおかげでもあるかもしれません。
わたし自身が、昨年2度中断してしまったフランス語学習の反省も含めて書いた記事なのですが、参考にしていただけたようで、うれしいです。お互いに頑張りましょう!