イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

フォンテ・アヴェッラーナ修道院

 1月19日土曜日は、マルケ州にあるフォンテ・アヴェッラーナ修道院を訪ねました。

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Monastero di Fonte Avellana 19/1/2013

ペルージャ周辺では、山の頂上付近にしか雪を見かけなかったのに、ウンブリアとマルケの州境に近づいてから、まずは道の両脇に雪が現れ、少しずつ野山に積もった雪が高くなっていきました。

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 まずは教会を訪ねました。祭壇の右下にある入り口から、

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こちらの、修道院内の最古の教会に行くことができます。地下にあるけれども、聖人の遺骨や遺品があるわけではないので、正確にはクリプタではないのだと、後で、ガイドが教えてくれました。

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内部装飾に東方の影響が多く見られるのは、古来聖地、イェルサレムとの関係が深かったためだそうです。

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 教会は、柱廊の左手にあり、柱廊の一番右のアーチの向こうにあるドアの前で、日に数回行われるガイドつきの修道院訪問を待ちます。ドアの傍らには、「ガイドが少々遅れたからと言って、呼び鈴を鳴らさず、静かに待つこと」という貼り紙がありました。柱廊の左手にある建物の地階が、修道士用の食堂になっていて、午前中早いうちに、あらかじめ頼んでおけば、訪問客のためにも、食事を準備してくれるそうです。

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 そうとは知らなかったわたしたちは、修道院の傍らにあるバールで、青菜とチーズ入りのピアディーナを作ってもらって、食べました。このピアディーナが、思いがけずとてもおいしかったので、うれしかったです。

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 それから、修道院境内の下方にある植物園(giardino botanico)を訪ねました。

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 雪が深いので、

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雪に包まれて見えない植物も多いのですが、夫が一番見たがっていた大木は、この位置からでも、よく見えました。

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 この大きなおおきなセイヨウイチイ(tasso)の木です。

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どっしりとした幹がどれだけ太いか、写真から、お分かりになるかと思います。

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この巨木にあいさつをしたあとも、

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しばらく散歩をして、他の木々を見てから、再び修道院に戻りました。

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 上の写真の手前に見える土産物屋で、薬用酒やクッキーを買い、午後3時からのガイドつきの修道院訪問を待ちました。料金は、一人2ユーロを修道院への寄付という形で支払います。ガイドと訪ねた修道院内部では、写真は撮影できなかったのですが、特に、かつて修道士たちが、写字生(amanuense)として、ギリシャ語やラテン語の古典作品を羊皮紙(pergamena)に書き写し、文化を社会に、後世に伝える貴重な写本(manoscritto)を生み出していた作業場、scriptoriumが興味深かったです。その写真は、修道院のサイトでご覧になれます。(リンクはこちら

 たくさんの大きな窓が、三方に設置され、朝から日暮れまで、日の光が降り注いで、書写の作業がしやすいように、工夫されています。かつてペルージャ外国人大学のラテン語・ラテン文学やイタリア文献学の授業で、羊皮紙の作り方や、写本作業、写本の際に起こりがちな誤りなどを、詳しく学んでいたので、この作業場の見学がとても興味深かったです。羊皮紙も、修道院内で作られていて、羊皮紙作りの作業にあたる修道士もいたと聞いて、それは知らなかったので、びっくりしました。

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 夫が見つけたこちらの泉が、修道院の名の由来になった泉(fonte)かと思ったら、これは後から人工的に作られたものだそうです。本当の泉は、現在では建物内の鉄格子の向こうにあり、窓が閉まっていて見えないことが多いと聞きました。

 帰り道も、ウンブリア州に近づくまで、美しい雪景色を楽しみながら、ペルージャへと向かいました。

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Monastero di Fonte Avellana, Marche 19/1/2013

Entrando nelle Marche si vedeva un mondo sempre più bianco, sempre più coperto dalla neve. Suggestivo!
Bellissimo il Monastero, interessante la visita guidata con guida.
Scriptorium, sala luminosa ed elegante dove i monaci amanuensi lavoravano, creando numerosi manoscritti per diffondere e tramandare la cultura.
Purtroppo, non si può avvicinare alla fonte che diede origine al nome del monastero. La fonte nell'ultima foto è artificiale e venne costruita posteriormente, però è comunque bella.
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LINK
- Monastero della Santa Croce di Fonte Avellana - HOME
Dal sito del monastero - “Lo "Scriptorium S. Pier Damiani" è l’ambiente più significativo di Fonte Avellana; il luogo dove i monaci amanuensi obbedivano alle disposizioni della Regola di San Benedetto circa il lavoro quotidiano trascrivendo su pergamena antichi testi classici greci e latini, realizzando preziosi codici miniati.”

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by kazu at 2013-01-22 00:34 x
なおこさん、こんばんは。フォンテ・アヴェッラーナ修道院、リンクされている教会内部も見せていただきましたが、綺麗な教会ですね。私の好きなバラ窓はないけれど、これだけ窓が多ければ中は明るくて気持ちがいいでしょうね。なんかおしゃれな感じがします。それとあの大きないちい。びっくりです。確か赤い実がなるのじゃなかったですか。この木も実がなるのかな。いろいろ想像していたら楽しくなります。まだまだ雪が多いのですね。それとビアディーナ、見るからに美味しそうですね。今、お腹が空いているので、じゅるです。
Commented by KEIKO at 2013-01-22 00:40 x
なおこさん、こんばんは。

セイヨウイチイの木、本当に素晴らしく大きな木ですね。休日はお二人でこんなふうに充実した時間を過ごされることが多くて、本当に羨ましいですね。この写真から、私は二十年くらい前に、夫と旅の途中で偶然出会った、山口県の川棚温泉のそばにある「川棚の大クス」を思い出しました。日本三大樹の一本だそうです。「タコをひっくり返した姿」ということです。地上3mの幹周は日本一とも言えそうだ。という方もいらっしゃいます。枝張りは間違いなく日本一のそれだと、全国の巨木を探して旅されている方も、書いておられます。本当にひとめ見ただけでも、これはただ者ではない・・・・という気がしました。偶然だっただけに、本当に印象に残っています。それから、そのすぐ近くには、なんと!!「小野小町の墓」というのがあるんですよ。これにもビックリです。日本も小さな国ですが、おもしろい国だな・・・・と思います。

なおこさんとご主人に「川棚のクス」を見ていただきたいです。どんな感想を持たれるかな・・・・・・
Commented by milletti_naoko at 2013-01-22 00:54
かずさん、こんにちは。周囲の自然が美しいと言う人が多い修道院なのですが、今回は雪が降っていたので、修道院を中心に訪ねました。そうなんです、きれいな建物が、雪の中でいっそうきれいに見えました。窓が大きく、多いのは、修道士たちが写本作業をしやすいようにするためですが、早朝から日没まで内部が明るいのだと、ガイドさんが教えてくれました。

Wikipediaを見ると、ヨーロッパイチイは、種子を覆う仮種皮が赤いので、赤い実のように見えるのだそうです。

こういう観光名所で食べる食事には、食べられるだけでありがたいと思わなければと思うようなものも多いのですが、このピアディーナは、おいしかったのでうれしかったです。エミリア・ロマーニャのものに比べて、油脂が多く使われているような印象を受けました。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-22 01:02
けいこさん、うちの夫は、晩や週末に「家にじっとしているのが耐えられない病」なので、天気が悪くても、多少具合が悪くても、駆り出されがちです。わたし自身は出不精で、家でしたいことやしなければいけないことも多いので、「困ったなあ」と思うことも多いのですが、「犬も歩けば」美しい風景に出会えることも多いので、感謝しなければいけませんね。

川棚の大クスの写真を見てみました。みごとな大木ですね。機会があれば、ぜひ訪ねてみたいと思います。わたしたちも、イタリアやウンブリアの巨木を訪ね歩いています。前回夫と日本を旅したときは、屋久島の杉を訪ねたいと言っていたのですが、距離も遠く、台風の恐れもあったので、結局訪問しませんでした。小野小町のお墓があるとは、本当にびっくりです!
Commented by クロちゃん at 2013-01-22 05:17 x
なおこさん、おはようございます。♪
そちらでも雪景色ですか。
白い世界に大木と泉の色がきれいです。
こちらでも、先週に降った雪がまだ残っています。
大寒を過ぎて寒さもピークのようです。(^^)/
Commented by Masmai at 2013-01-22 05:40 x
マルケ州とウンブリア州などは雪に縁がない州のような気がするのですが、雪深くでビックリです!これは、ここ数日に降った雪ですか?

それにしても雪にも負けずウオーキングされるお2人は素晴らしいです^^セイヨウイチイ(tasso)は本当に幹が太いのですね!!

Commented by milletti_naoko at 2013-01-22 17:35
クロちゃん、おはようございます♪ 最近、ペルージャは温かいので、雪は山の頂周辺に見かけるだけなのですが、マルケに近づくと、辺りが一面の雪景色になったので、びっくりしました。木々や泉も、銀世界の中では、ひときわきれいに見えますよね。

そちらにも、そんなに雪が降ったんですね! 大寒という言葉が懐かしいです。こちらでは、この週末からまた気温が下がるという予報が出ています。防水用のロングスパッツを持って行ったのは、泥除けのためだったのですが、おかげで真っ白な雪の中を、好きなように歩くことができて、うれしかったです。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-22 17:42
まさみさん、ペルージャはイタリア中部にありながら、夏は最も暑い町、冬は最も寒い町の一つとして、ニュースに顔を出すことがよくあるんですよ。と言っても、この数年は寒くはあっても、降雪や積雪は少なくなったので、雪がたくさん降って、長く残った昨年は、姪たちが大喜びでした。イタリアを南北に走るアッペンニーニ山脈が防いでくれるおかげで、アッペンニーニの西にあるウンブリアには積雪が少ないのですが、山の西には雪がなくても、山を越えて、東側にあるマルケやエミリア・ロマーニャに行くと、平地でさえすっかり雪に覆われているということが、例年、冬はしばしばあります。

どっしりとした幹の太さにびっくりしました♪ 小さな植物園の散歩だけではあったのですが、他には誰も足を運ぶ人がいないらしく、植物園は、足跡もまったくなく、一面が雪に覆われていました。純白の世界を歩くのは、楽しかったですよ♪
by milletti_naoko | 2013-01-21 16:00 | Marche | Comments(8)