2013年 02月 26日
トランプで日本語学習
赤色(rosso)のカードなら午前(ごぜん、mattina、A.M.)、黒(nero)なら午後(ごご、pomeriggio、P.M.)ということにします。そうして、引いたカードに応じて、わたしの「今(いま)何時(なんじ)ですか。」(Che ora è? / Che ore sono?)の問いに、日本語で答えるように指示しました。というわけで、たとえば、上の写真のカードであれば、
♦Q ⇒ 「午前12時(ごぜんじゅうにじ)です。」 E’ mezzogiorno.
♣10 ⇒ 「午後10時(ごごじゅうじ)です。」 Sono le dieci di pomeriggio.
という形で答えるという練習をしました。
以前の授業ですでに、どうして「午前」「午後」というかというと、昔は十二支が、時刻を表すのにも使われていて、午の刻(うまのこく、ora di cavallo)が、午前12時前後の時間帯をさしていたからだと説明し、だから、午前12時のことは、「正午(しょうご)」(mezzogiorno)とも言うのだと教えていました。それを覚えていて、「しょうごです。」と答えた人もいました。
練習を始めて、どうやら数字をきちんと覚えていないらしき人がいることが分かり、他の皆はどうかと、手当たり次第に引いたトランプの数を、日本語で言うように促します。じゅう(10)、に(2)、さん(3)、じゅうに(12)…… その結果、どうも、数字がおぼつかないのは一人だけのようだと分かったので、もう一度、トランプを使って、時刻を答える練習をしました。
時刻の言い方が復習できたところで、教科書で、プールの開いている日時を数字で書いた表を見て、質問に答える練習をしました。
みたかプール 10:00-5:00 (月-金)
⇒ みたかプールは、ごぜんじゅうじからごごごじまでです。
La piscina Mitaka è aperta dalle dieci di mattina alle cinque di pomeriggio.
⇒ みたかプールは、げつようびからきんようびまでです。どようびとにちようびは、やすみです。
La piscina Mitaka è aperta dal lunedì al venerdì. E’ chuisa il sabato e la domenica.
そのあとは、いよいよ本題。数字の20(にじゅう)から10000(いちまん)までの学習です。まずは、教科書にイタリア語で書かれている詳しい説明を読み、説明や練習問題も加えながら、数字の1(いち)から10000(いちまん)までが書かれた表を読みます。それから、教科書にある、54(ごじゅうよん)、9172(きゅうせんひゃくななじゅうに)など、さまざまな数字を日本語で読み上げる練習問題を仕上げたあとで、
おもむろに広告を取り出し、指さした数字を、日本語で言えるように練習しました。
399なら「さんびゃくきゅうじゅうきゅう」、229なら「にひゃくにじゅうきゅう」というあんばいなのですが、9で終わらない値段が少ないので、それを探すのに少し苦労しました。
こういう広告やトランプを使えるのは、クラスが少人数で、皆が大きな長方形のテーブルに、向い合って座っているおかげです。このあと、いくつかの漢字と値段の言い方(~円)を学び、練習をして、それで終わる予定だったのですが、30分時間が余ったので、さらに数字の練習をすることにしました。ここで、またトランプの登場です。
まずは3桁の数字から。十の位以降の数字は、大きい数でも一緒に練習ができるので便利です。わたしが引いて並べた数を見て、
392⇒「さんびゃくきゅうじゅうに」(trecentonovantadue)
という具合に答えていきます。300が「さんひゃく」でなく「さんびゃく」に、600は「ろっぴゃく」に、800は「はっぴゃく」となるところが難しいので、百の位には、できるだけこうした数字が並ぶように気をつけました。90が「きゅうじゅう」でないといけず、くじゅうとは言えないことも、生徒には難しいことの一つです。
二回りしたら、今度は4桁の数字です。
1645⇒「せんろっぴゃくよんじゅうご」(milleseicentoquarantacinque)
皆が悲鳴を上げたのは、5桁になったときです。
79819⇒「ななまんきゅうせんはっぴゃくじゅうきゅう」
(settantanovemilaottocentodiciannove)
6桁では、さらに悲鳴が上がりました。
516826⇒「ごじゅういちまんろくせんはっぴゃくにじゅうろく」
(cinquecentosedicimilaottocentoventisei)
教科書の練習問題には、10000(いちまん)」までしかないのに、わたしがあえて6桁まで練習したのは、1万以上の数字の言い方の論理が、日本語とイタリアでは違うため、言うのも、聞いて理解するのも、難しいからです。
日本語では、万以上は、万を単位に、一万、十万、百万、千万と数えますが、イタリア語では、このときの単位が千なので、
一万(いちまん、10 000、)はdiecimila(10X1000)、
十万(じゅうまん、100 000)はcentomila(100X1000)であり、
百万(ひゃくまん、1 000 000)で新たな単位が登場して、un milione、
千万(せんまん、10 000 000)は、その10倍なのでdieci milioni(10X1 000 000)と表現するのです。
大きな数字を考えるときに、基準となる数字が違うので、万以上の言い方では、日伊に差があるのです。脳でも、数字だけは、母国語で考えた方が認識や処理が速いそうで、わたしも、大きい数字は、ニュースで聞いたり、値段を見たりするたびに、頭の中で日本語に直してみないと、その数字が実感として把握できません。ちょうどイタリアの人々が、ユーロ導入から10年以上経った今になっても、ユーロの値段をリラに換算しないと、その価値が分からないのと同じように。
たとえば、上の練習でいうと、
79819は、
日本語(giapponese)では、7X10 000 + 9X1000 + 819と考えて、
「ななまんきゅうせんはっぴゃくじゅうきゅう」となるのですが、
イタリア語(italiano)では、79X1000 + 819と、千(mille、複数形はmilla)単位で数字を言うので、
settantanovemilaottocentodiciannoveとなるわけです。
同様に、
516826も、
日本語では、51X10 000 + 6 X1000 + 826と考えて、
「ごじゅういちまんろくせんはっぴゃくにじゅうろく」となるのですが、
イタリア語では、516X1000 + 826と、千単位で数字を言うので、
cinquecentosedicimilaottocentoventiseiとなるわけです。
ちなみに、日本語では千の単位の区切りをコンマ(,)で現して、516,826と書きますが、イタリア語ではピリオド(.)を使うので、516.628となります。
最初は悲鳴を上げていた皆も、最後にはきちんと、何も見ずに、頭で考えて言えるようになったのだから、えらいものです。
最後にまだ時間があったので、かなり古いものですが、こちらの京都のガイドブックを取り出しました。
本の中に、京都の寺社の拝観時間・料金が、きれいな写真と共に掲載されているので、たとえば、
「だいごじは、なんじからなんじまでですか。」と聞いて、
「ごぜんくじからごご4じはんまでです。」と答え、
拝観料を見て、「ろっぴゃくえんです。」と言う練習をしました。
おかげで、授業の復習をしながら、日本の美しい寺社や桜の花、紅葉も紹介することができました。
授業が終わって、外に出ると、夜空には満月が輝いていました。月明かりに照らされた高速道路を走って、ペルージャに向かい、アッシジを通りかかると、要塞や聖堂、町並みが照明に浮かび上がり、それはきれいでした。
********************************************************************************************************************************
Ieri sera ho usato le carte come sussidio didattico.
A seconda di numeri che saltano furi, si rispondeva alle domande,
「いまなんじですか」(Che ore sono?) e
vedendo le carte messe insieme sul tavolo, si doveva dire grandi numeri in giapponese.
I ragazzi erano bravissimi e alla fine riuscivano a dire anche 516826 in giapponese!
********************************************************************************************************************************
LINK
- Lezioni di giapponese / 日本語の授業
- Fioritura dei Ciliegi Giardino Shosei-en, Kyoto
- Fioritura dei Ciliegi Tempio Daigo-ji, Kyoto
美しいトランプですね、こういうので練習されると
いいですね。
なるほど数字を読むことは難しいことなんですね。
でもこうしてわかりやすく説明をして貰えると覚えやすいのでしょう。
日本の綺麗な写真を見ての勉強は懐かしいですね。
満月きれいです~
いつもありがとうございます。
京都の寺社や自然の美しさに、生徒の皆さん、感嘆の声を上げていましたよ。月の光がこんなに明るいとはと、思いながら運転して帰りました。こちらこそ、いつもありがとうございます♪
数字のゲームで、最近こういうものを発見しました。100以下の数字を覚えたての時などに、楽しめます。禁止する数字を変えれば、369が不足することも無いですし、家に帰って友達とイタリア語で遊んでもいいですしね。こういうゲームになると、みんな必死に数字を覚えてくれます。笑。http://www.youtube.com/watch?v=PM6zk5etugY
数字を続けて言わずに、あえてランダムに提示できるようにトランプを使ったのはわけがあって、うちの夫もですが、1から順にだけ言わせていると、1から10まではすらすら言えても、「では、5は日本語では何と言うか」と聞くと、「1、2、3、……」と頭で、あるいは指を使って数えないと出てこない、つまり、そのまま丸覚えになってしまう危険があるからです。
いきなりぱっと引いた数をさて言えるか言えないかで、外国語の数字の復習もできますよね。わたしもフランス語、頑張ります!