2013年 03月 11日
苦しみを愛に祈りに~聖リータ、カッシャ ロッカポレーナ

修道女になりたいと願いつつ、親の希望を受け入れて、気難しい夫の妻となり、愛情深い彼女と暮らすうち改心した夫が殺され、二人の子供を失い、それでも信仰を失わず、神に祈り続けた聖リータ。

聖リータが、その生涯の36年間を過ごしたロッカポレーナには、聖女ゆかりの場所がいくつもあります。村は小さく、写真と地図で分かりやすく場所を示した看板があちこちに建っていたので、半日で、そのほとんどを訪ねることができました。

最初に訪ねたのは、1枚目の写真で一行のすぐ後ろに見えている聖モンターノ教会です。ロッカポレーナで亡くなった、聖人の誉れ高い聖モンターノを記念して、村人が築いたこの教会で、聖リータは初めて宗教の教えを受け、パオロ・マンチーニと結婚しました。

12世紀に建てられ、13世紀に増築されたこの教会の祭壇には、聖母の戴冠を描いた美しいフレスコ画があります。

次に、傍らにある、聖リータを記念して20世紀に建てられた教会、Santuario di Roccaporenaを訪ね、

それから、冒頭の写真で右手にそびえる険しい岩山、Scoglio di S. Ritaを登りました。

高みに来ると、訪ねたばかりのロッカポレーナ(Roccaporena)の教会と町並みが、きれいに見えます。

頂の近くには、岩間から水が湧き出し、リータの水と呼ばれる泉があります。この泉のある場所で、遠くの山々や眼下に流れる川の眺めを楽しみながら、しばらく休憩し、

ようやく頂に建つ礼拝堂までたどり着いたのは、登り始めてから約20分後のことです。

伝説によると、聖リータが幾度も祈りを捧げ、そのひざとひじのあとが残るというその岩を包むように、礼拝堂が建っています。大きな深い苦しみに何度も遭いながら、それでも愛と祈り、信仰を失わず、バラのように気高く生きた聖女を慕い、多くの人々がこの岩を訪ね、バラの花を捧げています。

聖リータの生きた時代に、旅人に宿を与え、病人の治癒を行っていた伝染病院。聖女もしばしばこの施設を訪れ、病人の介護にあたっていたそうです。16世紀の美しいフレスコ画の前で記念撮影。

それから、聖リータが結婚生活を送った家(Casa Maritale)を訪ねました。屋根の上に小さな鐘楼があります。家の右上に見える洞窟、Grotta d’Oroも、伝説によると聖リータがしばしば訪ねては祈りと瞑想に過ごしたと言われる場所で、天気のいい日には洞窟が金(oro)色に光り輝くので、「金の洞窟」と呼ばれています。

聖女が夫と子供を相次いで失い、修道女となるまで、妻として母として暮らしていた家は、17世紀に教会となって、改築され、祭壇には祈りを捧げる聖リータの姿が描かれています。

家々の後ろにそびえる山をしばらく登ったところに、奇跡の畑があります。晩年、重病を患っていた聖リータから、「ロッカポレーナのわたしの畑から、バラを一輪、イチジクの実を二つ持ってきてほしい」と頼まれ、1月に見つかるはずがないと思いつつ、聖女の望みどおりこの畑を訪ねたいとこが、思いがけず、咲いたバラとイチジクの実を見つけたと言われています。

このあと、聖リータの生家を訪ね、ロッカポレーナを後にして、聖リータ教会(Basilica di Santa Rita)のあるカッシャ(Cascia)に向かいました。
ウンブリア出身の聖女ということもあり、義父母もしばしば聖リータを慕って、カッシャのこの教会を訪ねているのですが、わたしは今回の旅で初めて、どんな生涯を送った聖女かを知りました。修道生活を願いつつ、親の願いを受け入れて結婚し、夫を殺されても犯人を憎まず、修道院でのひどい扱いに耐え、周囲がどうあろうとも、常に愛情深く、優しさと祈り、信仰に生き続けたというその人生に、感銘を受けました。
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Viaggio per conoscere Santa Rita - parte 1
Vivere nell'amore, preghiera e pace nonostante molti eventi tragici della vita. Visitando il suo paese natale, Roccaporena e Cascia, ho conosciuto per la prima volta la vita e la personalità di Santa Rita e ne sono stata commossa.
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ウンブリアの聖女リータの名前もロッカポレーナの名も初めて聞きましたが、なおこさんと一緒にリータの聖地を訪ねているかのような気持ちでこちらのブログを見させていただきました。
聖リータの生き様や生涯を思うと、私も夫と子を持つ1人の女として何とも言えぬ感慨深い思いで一杯になりました・・。
偉業をなしとげ、迫害に耐えて信仰を貫く聖者は多く、その名も聞くけれど、意外と毎日の長い結婚生活の中で、あるいは修道女としての暮らしの中で、夫の暴言や殺害、他の修道女のひどい仕打ちにひたすら耐えて、それでもかたくなにならず、かえって夫の心をよい方向に変えていくような愛情深い態度や落ち着き、心の平安を保ち続ける、それこそ本当に難しいと思うのです。どんなにかつらく苦しかったことであろうに、それでも優しくしなやかに生きた聖女の人となりに、わたしも感動すると同時に、少しでも学べたらと思いました。
アンシャンテ!
素敵なイタリアの風景ですね。
しかも、通訳や日本語教師をしておられるなんて
すごい!
最初、ワタシの友達と同姓同名で びっくりしましたが、
違う方のようで・・・^^;
またお邪魔させていただきます!
そんな昔から、修道女はみんないい人のように思われている修道院のなかでもいじめってあったんだと思うと、今の世と人間は大きくかわらないんだなぁと思います。
欧州には「奇跡の○○」という場所やものがたくさんありますね。


コメントと訪問をありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね♪ わたしも時々お邪魔します。
ありがとうございます。イタリアでは再び気温が下がりつつあります。そちらもどうかお体を大切に。
今晩は選ばれた新教皇が名として「フランチェスコ」を選び、初めてのあいさつの言葉も、愛や優しさに満ちたものだったので、うれしかったです。