イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

学び発見、春の花市2013

 毎年春と秋に催される、リッチョーネの花市、Giardini d’Autoreを、この春は、昨日訪ねました。

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 土曜日に行われた無料の館と庭園の見学は逃したものの、今回の花市には、新しい企画や出展も多く、これまでになく興味深く、いろいろと学ぶことができました。

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 会場は、例年どおり、リッチョーネ駅の近くにある館、Villa Lodi Fèです。3月17日曜日は、朝10時に、会場に駆けつけました。中世の庭園について、Il Giardino Medievale: Storie di piante, cultura e magiaという題で、話があったからです。まずは、こちら、トリノで改築した中世の館の庭園を、古い文献などを参考にして、できるだけ元の姿に忠実に再現し、中世の頃と同じように植物や庭園の手入れをしようと努めていらっしゃるエドアルドさん(Edoardo Santoro)の説明がありました。

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 昔の人が、それぞれのハーブの効用をよく知っていて、暮らしに役立てていたこと、当時の庭がどんなふうに作られていたか、どんな便利な道具を考え出して畑で使っていたかなど、いろいろと学ぶことができました。たとえば、右に見えるホウキを逆さにした道具は、カボチャの栽培用で、棒の部分をツルが伝って伸び、上の円錐の部分に、育ったカボチャが収まるようにできているそうです。

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 続いて、ロマーニャ民俗博物館で、植物を使った染色技法について教えているエーリカさん(Erika Angelini)から、話を聞きました。テーブルには、ロマーニャ地方でよく見かける花や植物と、その染料で染めた毛糸が並んでいて、具体的に、どんな植物を、どんなふうに使って、どういう色に染め上げるのかを、教えてくれました。6月23日、聖ジョヴァンニの日の夜に、草に降りる露には病を癒す魔力があると、今も多くの人々が信じているという話も、おもしろかったです。

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 最後に、こちらの芳香植物を育てる専門家、マルコさん(Marco Gramaglia)の話を聞きました。どういうハーブに、どんな効用があるか、どの植物はどう育てたらいいかなど、わたしたちのいろいろな質問に、ていねいに分かりやすく答えてくださいました。売られている植物の中には、ピエモンテのアルプスの高みに育ち、リキュールやチョコレートに使われているgenepìもありました。

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 こちら、Eco.giardinoの木の家は、今回初めてお目にかかったのですが、上ってみて感動しました。下からだと、何でもない家に見えるのですが、心ばかりの寄付金を払って階段を上ると、

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そこには、花と緑、古い家具をうまく使って装飾した、すてきな部屋が待ち受けていました。

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 材料は素朴なのに、とてもおしゃれで、居心地のいい空間に仕上がっています。天窓があって、天井から外の景色を眺めることもできます。

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 外には見晴らしのいいテラスがあって、椅子が置かれ、部屋の下も、ソファーやテーブルが並んでいて、ゆったりとくつろげそうです。

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 こちらLe Marchand de Sableの店は、いつも、形も色も、そして香りもとびきりすてきな自然の芳香剤を展示しています。今年初めて気づいたのは、我が家にも眠っている、ニスのはげかけた古い椅子や梯子、箱入りで売られているオレンジの、雑な作りの木の箱も、こんなふうに、プロヴァンスを思わせる優しいラベンダー色や薄緑色に塗り上げるだけで、すてきな調度品に変身できそうだということです。お金をかけなくても、今あるものを十分に生かして、心地のいい空間を創り出すヒントを、あちこちのスタンドを回りながら、教えてもらいました。

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 こちら、Fonderia Innocentiのスタンドには、遊び心いっぱいの、めずらしく、かわいい蛇口がたくさん並んでいました。

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 この愛嬌のあるフクロウや鶏も、野山や庭に転がっている自然の材料が、少し工夫するだけで、かわいらしい飾りになることを教えてくれました。

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 すぐ近くのサンタルカンジェロからは、お茶の店、Arte del tèが出展していました。日本のお茶も種類が豊富です。京都産の有機宇治抹茶も売られていて、健康にもとてもいいというので心は魅かれたのですが、ごく少量が25ユーロという高値に気後れして、購入を控えました。

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 今年、夫はピエモンテのアルプスを初め、山で見かけるヒナギクをなつかしんで、この店、Floricoltura Billoで、ヒナギクとカーネーションの鉢、別の店で、ケッパーの苗とヒヤシンスなどの球根を購入しました。

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 わたしは、Vivaio Gigliで、こちらのツツジの鉢を購入しました。ピンクがかったきれいな花がいっせいに咲いて、日本の桜を忍ばせてくれるこの花は、以前も同じ店で購入し、春が来れば目を楽しませてくれていたのですが、よかれと思って、夫が栗の大木の洞の中から取った土と替えたあと、栗の病気をもらったらしく、2鉢とも枯れてしまったのです。2年前は、ツツジの花がきれいな花をたくさん咲かせていて、2鉢買ったたのですが、今回はこちらの1鉢だけを購入しました。まずはこのツツジを大切に育てたいと思っています。

 これから春が近づくにつれ、少しずつ花が咲き、苗が育っていくのが楽しみです。

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Giardini d'Autore, Riccione 17/3/2013

Mostra mercato di giardinaggio, questa primavera ancora più bella con nuove iniziative. Complimenti e grazie a Silvia Montanari & tutti gli staff!
Interessante ascoltare sulle storie di piante, culture e magia. Per la prossima volta, in Piemonte non visitiamo soltanto le montagne ma anche il Borgo Medievale di Borgo Medievale Torino e il negozio del supervivaoio, signor Mario Marco Gramaglia.
Stupenda la casetta sull'albero di Eco Giardino, ci dà tanti spunti e idee anche lo stand di Fonderia Innocenti.
Questo anno abbiamo comprato le piante di azalea, garofanino, cappero e bulbi di giacinto ecc. Si sta avvicinando la primavera e le piante ci rallegreranno con i loro fiori e il profumo.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Riana at 2013-03-20 19:22
なおこさん、こんにちは!
Giardini d’Autore、今年も行きたいと思っていたのにすっかり忘れていました!終わってしまったのですね。館と庭園の無料見学あり、新しい企画や出展も多かった、と聞くと逃したのが残念でなりません。
私も昨年この花市でつつじを購入し、きちんとお世話していたつもりだったのですが枯らせてしまいました。うちは庭がなく、日射しも風もとても強い屋上テラスで育てており、色々工夫はしてみたもののつつじに合った環境ではなかったようです。
こちらはまだ肌寒いので、もう少し暖かくなったらガーデニング始めようと思っています。なおこさんのお宅の広いお庭が羨ましいです。
Commented by milletti_naoko at 2013-03-20 20:07
Rianaさん、こんにちは。 それは残念。今回は新しい企画もたくさんあって、訪ねてよかったと思っています。Rianaさんも、次回はぜひ!

ツツジは、酸性度を好むので、水道水は避けて、できるだけためた雨水で水やりをするといいと思います。うちも風は強いのですが、確かに日ざしが1日中強いのは、ツツジにとってつらいかもしれませんね。ガーデニングがお好きなんですね。すばらしい! わたしも水やりだけではなく、何か植えて育ててみたいと思いつつ、飛び散る花粉にたじろぐ今日この頃です。

最近はイタリア各地でいろいろな花市があります。ルッカの椿祭りは終わりましたが、花市やうちの鉢の様子を見るに、今年、椿がきれいに咲くのはしばらく先だと思います。うちは行けるかどうか分かりませんが、いつかどこかでお会いできる日を楽しみにしています。
Commented by kazu at 2013-03-20 23:54
なおこさん、こんばんは。花市、素敵ですね。私も昔は狭い庭ながらガーデニングのまねごとをしていたことがあるので、つい見入ってしまいます。日本の場合は梅雨の時期がネックで、なかなかヨーロッパ原産の花の栽培は難しいのですが、でもやはり花があふれるような庭にしたくて頑張っていました。私は種を蒔いて育てていたので、なかなか忙しかったですが、こんな記事を読ませてもらうと又庭いじりがしたくなります。
ツツジも可愛いですね。なおこさんの雰囲気にぴったりです。今度は上手く育つといいですね。

それと花粉症、日本でも例年以上に大変です。私は症状はないのですが、今年は中国からやってくる黄砂とPM2.5とやらの公害物質が加わっています。ニュースでこの話が流れるだけでくしゃみがでそうです。もうしばらくの辛抱だと思いますので、それまでなおこさんもお大事にして下さいね。
Commented by milletti_naoko at 2013-03-21 03:52
かずさん、こんばんは。おお、ガーデニングに取り組まれたことがあるんですね! 梅雨が栽培のネックになるとは思いませんでした。逆にペルージャでは、水道水も土壌もアルカリ性なので、椿やツツジ、紫陽花など、日本を思わせる酸性土を好む花を育てるのが難しいという問題があります。お優しい言葉をありがとうございます。今度はちゃあんと育ってくれますように。花市にはすてきなものがたくさんあって、これまでに紹介したものが多いこともあり、かなり写真を割愛しました。

花粉症、日本でもそんなに大変なんですね。公害物質が加わっているなんて恐ろしい。そう言えば、かつて酸性雨についてもいろいろ言われていましたよね。ありがとうございます。今日は雨が降ったので、しばらく無事に過ごせそうです。かずさんも季節の変わり目ですが、どうかお体を大切に。
Commented by fusello at 2013-03-21 19:21
naokoさん、こんばんは☆
花市、催し物盛りだくさんで植物大好きな私には羨ましい限りです。
マルコさんのお話伺ってみたいし、水道の蛇口も欲しいし、、、
樽?に花苗を入れて売るなんて素敵なアイディアだこと♪

naokoさんの桜色ツツジ、丈夫に育って毎年楽しませてくれますよ、きっと!!!
イタリアでもツツジ人気があるんですね、盆栽に仕立てる人もいるのかしら?
それからケッパー、ペルージャでも育つんですか?(南の植物だとばかり思っていたもので、、、) ペルージャで栽培可能ということは東京でもひょっとして、お花と実を愛でることが出来るのかも。。。
Commented by milletti_naoko at 2013-03-21 19:54
Fuselloさん、こんにちは。春のイタリアでは、あちこちで花や植物を専門に扱う市が開かれます。リッチョーネも椿祭りが催されるルッカも、車で3時間近くと、ペルージャからはかなり遠いのですが、心を明るくしてくれるきれいな花に誘われて、しばしば出かけています。

Fuselloさんも植物が大好きなんですね。そうそう、樽に苗を入れるって、新鮮な発想で、いいですよね。他にも、古い登山靴を植木鉢代わりに使うとなど、庭やテラス、室内をすてきに飾りつけるすてきなアイデアがいっぱいで、本当に興味深かったです。

ありがとうございます。ツツジ、今度は元気に育ってもらいたいものです。盆栽は、こちらでは、オリーブなどこちらに従来ある木を使っている場合が多い気がします。ケッパーは、ウンブリアでも、以前わたしたちが住んでいた田舎屋の石壁や、ペルージャの町を取り囲む石壁にも生えています。一度育ってしまうと、あとは放っておいても育って実がなるのですが、大きく育つまでが大変で、何年も毎日たくさん水をやり続けなければいけないと聞きました。冬は屋内に入れた方がいいとも読みましたが、東京でも、きっと育つと思いますよ。
Commented by ムームー at 2013-03-21 22:24
なおこさんこんばんは。
花市がどこでも開催されるのですね。
お花を見て回ると楽しくて飾り付けの参考にも
なりますね、お花が街中に溢れてるのはいいですね。
いつもありがとうございます~
Commented by milletti_naoko at 2013-03-21 22:44
ムームーさん、こんにちは。花の眺めのうれしい春が、こちらでも近づいています。家にあるものを使って、手を少しかけるだけで、おしゃれな雰囲気を演出できるアイデアをたくさんもらえて、緊縮財政だけれど改築の出費のかさむ我が家ではありがたいです。

京都もこれから桜の美しい時期になりますね。庭園のみごとな花が目に浮かぶようです。こちらこそ、いつもありがとうございます♪
by milletti_naoko | 2013-03-19 14:26 | Fiori Piante Animali | Comments(8)