イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

春のポルヴェーセ島

 4月7日日曜日も、天気がいいので、久しぶりにポルヴェーセ島を訪ねることにしました。

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San Feliciano, Lago Trasimeno 7/4/2013

 「テッツィオ山に登ろうか」、それとも、「島に行こうか」と言っていたら、出発が午後4時と遅くなり、4時半発のフェリー(traghetto)に間に合うだろうかと心配しながら、ペルージャを出発しました。幸い少し前にサン・フェリチャーノの港に着き、二人分の往復運賃、11.20ユーロを払って、船に乗り込むことができました。

 昨日は観光客が多いからか、出発数分前に汽笛を鳴らして、急いで乗船するように促していました。

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 少しずつポルヴェーセ島(Isola Polvese)が近づいてきました。右手に小さく、マッジョーレ島とミノーレ島も見えています。トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)に浮かぶ3島のうち、フェリーで訪ねることができるのはポルヴェーセ島とマッジョーレ島の二つなのですが、年中フェリーで行けるマッジョーレ島と違って、ポルヴェーセ島へのフェリーは春と夏しか運航していません。今年は、3月30日、復活祭の前日から、フェリーでポルヴェーセ島を訪ねることができるようになりました。

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Isola Polvese sul Trasimeno 7/4/2013  16.39

 フェリーが島の港に着いたとき、水位が昨年秋より1メートル高いことを実感しました。

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Isola Polvese, Lago Trasimeno 1/9/2012

 こちらの昨年9月の写真と比べると、桟橋の橋げたを見ただけでも、水位の違いが分かるります。さらに、当然のことながら、フェリーは湖面に浮かんでいるため、フェリーから島を見るときの視線の高さが上がり、以前よりもかなり高い位置から、島を眺めることができました。

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7/4/2013 16.56

 日の高い、暖かいうちに、冷たい北風の吹きすさぶ島の北側を歩くことにして、まずは北の浜辺に向かいました。砂浜はすっかり水に覆われ、風が強いので、湖の波も高く、海のように、にぎやかな音を立て、水しぶきを上げていました。ビーチパラソルの向こうに、マッジョーレ島(Isola Maggiore)ミノーレ島(Isola Minore)が見えています。

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 高い波が岸に押し寄せては砕けて立てる音に伴われて、北岸を歩いて行きます。いつも穏やかな湖だけに、思いがけぬ一面を見て、不思議に感じると同時に、何だかうれしくもなりました。

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 島の最北端には、夕日を眺めることのできる西向きの石のベンチがあります。

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17.35

 この近くから、階段を上ります。ポルヴェーセ島の中心かつ高みを通る小道を歩くためです。

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 改築中の元修道院と教会の傍らを通り、道はほぼ一直線に、島の中央近くにある宿へと向かっています。日当たりがいいためか、かわいらしい黄色い花が一面に咲いています。

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18.07

 宿を通り過ぎて、さらに島の最南端にある城塞を目指します。

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19.02

 城塞近くで南岸を北上し、再び坂道を上って、今度はCasa Merlataのそばを通り、水生植物園をのぞいてから、まだ時間があったので、さらに別の道を通って、港に向かいました。

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 島に立っていた案内の地図を利用して、昨日歩いた道筋を示すと、こんなふうになります。道が交錯して分かりにくいので、色分けをしています。まずはピンクで示した道を歩き、それから、赤で示した道を散歩して、港まで戻りました。

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 出発予定時刻5分前に、客を急かせるための汽笛が鳴り、わたしが乗船したのはその直後のことです。

 帰りは、夕日が傾きながら、空と湖を、そしてポルヴェーセ島を茜色に染め上げていくのを見守りました。そして、夫がパッシンニャーノに行って、トラジメーノ湖の水位を見たいというので、名残を惜しみながら、夕焼けに別れを告げました。

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Lago Trasimeno, Passignano 7/4/2013 19.49

 夕日は、まだわたしたちがパッシンニャーノに向かっている間に西に沈み、写真は撮れませんでしたが、車内から、えも言われぬ美しい色をした空と雲、そして湖を見ることができました。

 目的地に着いた頃には、空も湖も、暖色から寒色へと変わりつつありました。

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 少し波はありましたが、水位は基準値に比べて-32cmというところでしょう。昨年11月から、1メートル10センチも水位が上がっています。北風が寒いので、このあとはすぐに帰途につきました。

 ポルヴェーセ島へのフェリーが出るサン・フェリチャーノ、マッジョーレ島へのフェリーが出るパッシンニャーノ、トゥオーロには、ペルージャ市内からバスで行くこともできますし、ペルージャやフィレンツェなどから電車で行くこともできます。(ただし、サン・フェリチャーノには電車の駅がないので、パッシンニャーノでバスに乗り換える必要があります。)わたしたちも一度、夫の車が故障して、サン・フェリチャーノとパッシンニャーノまでバスで行って、フェリーで島に向かったことがあります。時間はかかりますが、バスも電車も、特に湖の周囲を走るときは眺めが美しいし、比較的快適ですので、おすすめです。島とフェリーが発着する港のある町への行き方については、下記リンクを参照してください。

 昨日思いついて調べてみたら、思ったとおり、このブログの最初の記事も、ポルヴェーセ島の散歩についてで、投稿の日付は2010年4月3日でした。というわけで、今年の4月3日は、わたしがイタリアに暮らし始めてから11年目の記念日であるだけではなく、ブログを始めてから3年目という記念日でもあったのだと、後になってから気づきました。メルマガには載せることができない写真を添えて、イタリアの文化や暮らしを紹介しようと考えて始めたブログだったのですが、最近ではすっかりブログが独立して、自分の思いを述べたり、友人や多くの方に、こんなことをしましたよと告げたりする場になり、ブログの方にかまけて、メルマガの発行が遅れています。メルマガに比べて、すぐにコメントなどをいただけて、反応を感じられてうれしい上に、もともと書いたり、報告したりするのが好きだというのが、その理由でしょうか。そう言えば、日本の高校で働いていた頃も、国語の教員だからということで、学校新聞や記念誌などの編集を担当することが多かった上に、HR通信や教科通信もよく発行していました。

 ブログを愛読してくださる方、コメントやメールをくださる方、またブログをきっかけにお会いして、お知り合いになれた方、皆さん、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願い申し上げます。

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Primavera! Ora possiamo visitare l'Isola Polvese.

L'Isola è tutta fiorita ed è particolarmente bella in primavera.
Forte il vento dal nord; non avevo mai visto il lago così mosso. Onde altissime!
Spettacolare la vista del lago e del cielo al tramonto.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- トラジメーノ湖、ポルヴェーセ島の散歩 (3/4/2010)
- 湖とマッジョーレ島1 / Isola Maggiore del Lago Trasimeno (4/2/2011)
- -40cm, +100cm! (23/3/2013)
- 「直子の訪伊日記Ⅰ 出発編」 (3/4/2013)
↑ イタリアに暮らし始めてから、11年という記念日にあたって。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by クロちゃん at 2013-04-09 06:42 x
なおこさん、おはようございます。♪
島は探検気分が味わえそうでワクワクしそうです。
すっきりとした景色と夕陽の風景が綺麗ですね。
これもアウトドアの楽しみでしょう。(^^)/
Commented by ムームー at 2013-04-09 09:57 x
なおこさん
おはようございます。
湖への道、そして綺麗な湖、いいですねぇ~
水位もあがりほっとしますねぇ~
美しい夕陽も見れて素晴らしい二つの記念日に
なりましたね。
改築中のお家もどんどんといい形になりますね。
自然豊かな土地で素晴らしいお家の完成が
待たれますねぇ~♪
いつもありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2013-04-09 15:25
クロちゃん、おはようございます♪ そうなんです。今回は歩きませんでしたが、島の北には木がびっしり生い茂る小さな森もあって、本当にいろいろな眺めを楽しめて、探検気分が味わえます。今回は出会えませんでしたが、在来種の黒いリスが木の枝の間や道を走っているのを見かけることも時々あります。

冬に比べると暖かくなり、夏時間のおかげもあって、久しぶりに、長くすてきな散歩ときれいな夕日を楽しむことができました。アウトドア、いいですね~
Commented by milletti_naoko at 2013-04-09 15:29
ムームーさん、おはようございます♪ 晴れた日はやっぱり湖も島も、一段ときれいに見えます。水位もかなり上がって、安心しています。フェリーが島を離れて陸に向かうそのわずか10分の間に、美しい夕陽が傾きながら、空と湖を染め上げ、染めかえていく眺めを楽しむことができました。

時間はかかりますし、まだまだかかりそうですが、少しずつ少しずつ家も完成に近づきつつあります。ムームーさん、こちらこそいつもありがとうございます♪
Commented by fusello at 2013-04-09 18:38
naokoさん、こんばんは☆
ボルヴェーセ島、3時間位で島を一周出来るようなので(↑の地図から)小さな島なんですね。
フェリーが出ていない、ということはミノーレ島は、もっと小さい、無人島なのかしら?

イタリア語を修得し、素晴らしいご主人にめぐりあえ、幸せな11年間でしたね(パチパチパチ、万歳万歳)
お家の完成も待たれます♪
Commented by milletti_naoko at 2013-04-09 21:30
Fuselloさん、こんにちは。トラジメーノ湖で一番大きい島とは言え、海に浮かぶ島に比べると小さいので、歩いて数時間で回れます。ただ、わたしたちは年に何度も訪ねているし、昨日は立ち止まると寒かったのでひたすら歩きましたが、ガイドつきなら内部を見学できる城塞、教会、水生植物園も、中に入って説明を聞くことができますし(昨年9月はお城で結婚式があったので幸い無料、ガイドなしで入れましたが)、おいしいレストランもあるし、今回は歩かなかった森や浜、道も多いので、その気になれば、島全体を回るのに1日かかります。一度夫と、カヤックでポルヴェーセ島の周りを一周したこともあるんですよ。逆に、時間がなければ、1・2時間でも、コースを変えて、主だったところは回れてしまうのが、小さい島のいいところです。ミノーレ島に行くフェリーがないのは、私有地だからです。

ありがとうございます。いろいろあった11年間、これからもう少し、自分が身につけたこと、学んだことをより生かせる道を模索していきたいと思っています。
Commented by とすかーな at 2013-04-10 02:02 x
この島のビーチパラソルが、意外に南国感満載で、イメージとあまりに違ったので、わらっちゃいました(笑)
この記事を見たときに、最後に水位がでてくるかな~?と思ったので、
期待通り書いてくださってて嬉しかったです♪

11年いらっしゃるんですね。もう11年、まだ11年でしょうか?
大学も卒業されて、深くイタリアを学んでおられて尊敬します。直子さんは、努力家ですごいと思います。将来の目標図にさせてもらってます。なかなか、いろんな面で余裕がないとかいってないで、わたしも努力しないといけないんですけど。
Commented by milletti_naoko at 2013-04-10 16:24
とすかーなさん、この南国の島風のビーチパラソルは確か一昨年まではなかったような気がします。風情はあるのですが、初めて見たときはびっくりしました。夫はなんとか基準値まで持ち直せばと言っていますが、そこまで水位が上がるためにはかなりの雨が必要で、もうこの春は雨はいいし、夏に雨が降らないと大変だと義父母は言いますし、わたしもそう思います。

長いようで短い、ふりかえってみると、あっという間の11年でした。日本でばりばりのキャリアウーマンとして働かれていたとすかーなさんに、そんなふうに言っていただけると、何だかうれしいような恥ずかしいような。緊縮財政による教育費削減で、外国人大学でもかつては五つあった日本語・日本文学の授業が一つになり、(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2013-04-10 16:26
とすかーなさんへ(上からの続きです)

まあ、教育界ではイタリア人でも長い間不安定な雇用状況に置かれて、急に職を失う人も多いわけですが、大学の日本語の授業の担当はイタリア人の方になり、そういわけで、今は、日本語の授業(クラス・個人)やイタリア語の個人指導、通訳などなど、不定期で不安定な仕事をしています。夫が改築中の家ができたら、主に日本人の旅行者向けのB&Bの企画として、ウンブリア各地をコースを決めて、観光案内につきそったりしてはと言うし、それでわたしが、泊まりがけ集中日本語コース、イタリア語コースも開講できると、そんなふうなアイデアはいろいろあるのですが、それまでにも、学んだことを実地に生かせるようにしたいなとただいま模索中です。初めてジーナさんに会ったとき、企業家精神にびっくりしたことがあるのですが、わたしも見習わなければ。

暮らし始めは、特に言葉や習慣、人間関係で、旅行や仕事で訪れるときとは違って、大変なことが多いと思います。どうかご自分に優しく、イタリアに優しく、少しずつ根を下ろし、枝葉を広げていってください。いつかきれいな花を咲かせることができる日を夢見て。いっしょに頑張りましょう!
by milletti_naoko | 2013-04-08 17:30 | Umbria | Comments(9)